残念系天才魔術師と禁忌教典   作:ヒトでなし筆者

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ドーモ、ドクシャ=サン。ヒトデナシヒッシャです。




残念な天才

「ぐぅ…」

 

 机に突っ伏して眠っているこの男の名前はエア=テウトート。

 測定不能なほどの膨大な魔力に加え、十人が十人天才と語るほどの実力を持ち、特にゴーレムの扱いと錬金術の腕前に関しては神の域と評されるほどの逸材だ。

 …ごらんのとおり授業態度がよろしくないことや日中はいつも寝ていることに目を瞑れば。

 

「また寝てるのねアンタは!」

 

「…やめてー。耳がちぎれるー。それに授業前じゃん、もう少し寝させてー」

 

「もう、システィ。そのくらいにしときなよ」

 

 このように学友に耳を引っ張られようが睡眠を続けようとするぐらいには怠惰だ。だいたいのことはゴーレムで代用できるしとは本人の談。

 そんな怠惰な性格ゆえか、瞼が半分閉じている上にその目は死んでいる。

 

「もう。また寝ないで魔術式いじってたの?夜はちゃんと寝ないと体に悪いよ?」

 

「僕はもともと夜型なんだ。こちらとしてはなんで昼に活動しなきゃならないのか理解できないなー」

 

 自分の好きなことにはがっつり集中するが、興味のないことはとことんサボろうとする。まあ口うるさい学友がいるので最低限のことはやるが。

 

「というわけでおやすみー」

 

「寝るなー!」

 

「《うるさい》」

 

「むぐ!?」

 

 システィーナの口が突如開かなくなった。もちろん原因はエア。

 あのデタラメな詠唱を膨大な魔力を使って無理やり成立させて、口をくっつけたようだ。

 

「というわけでおやすみー」

 

「むぐぐー!(これをどうにかしなさいよー!)」

 

 時間経過で解けるので問題ない。メイビー。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「…遅いッ!」

 

「ねむいー…」

 

「だから寝るなッ!アナタ本気になればすごいのにどうしてやらないの!?」

 

「僕は別にー、地位や名誉に興味があるわけじゃないんだー。おもしろければそれでいいんだよー」

 

「…その集大成がそのちっちゃいのなのかしら?」

 

「そうだよー」

 

 システィーナの視線の先には、かわいらしくデフォルメされた妖精のようなものたちが浮かんでいた。

 

「その子たちなんて言うの?」

 

「Deformation Tulpa Type Cybernated Format Advance Artificial Intelligence Automatic doll.

 誇張人工精霊型自立制御式超思考的自動人形だよ」

 

 今まで間延びした言葉ばかりだったが、唐突に饒舌になった。典型的なオタクタイプだ。

 

「デフォルメーション…人工精霊型…うーん」

 

「言いにくかったら妖精ゴーレムかカフェの妖精さんでいいよ」

 

「どういう由来でそうなったのよ…」

 

「この子たちの設計を思いついたのがカフェテリアだったから」

 

 割とどうでもいい理由だった。

 

「というわけでもう一眠り…「あー悪い悪い、遅れたわー」よりにもよって今来るのか…」

 

 非常勤講師、ようやく到着。かなりの大遅刻だが、エアとしてはもう少し後のほうがよかった。

 

「やっと来たわね!ちょっとアンタいったいどういうことなの!?アナタにはこの学園の講師としての…あ、ああああああ!」

 

 いままで説教臭く語っていたシスティーナが、非常勤講師の姿を目にした途端、叫んだ。

 

「違います、人違いです」

 

「人違いな訳ないでしょ!?アンタみたいな男、そうそういてたまるもんですか!」

 

「こらこらお嬢さん。人に指をさしちゃいけませんってご両親に習わなかったのかい?」

 

 真剣な表情で言っているが、そういうことを言っている場合ではない。

 

「ていうかアンタ、なんでこんな派手に遅刻してるの!?あの状況からどうやったら遅刻できるって言うの!?」

 

「そんなの……遅刻だと思って切羽詰まってた矢先、時間にはまだ余裕があることがわかってほっとして、ちょっと公園で休んでたら本格的な居眠りになったからに決まっているだろう?」

 

「なんか想像以上にダメな理由だった!?」

 

 どうやらあの非常勤講師は、隣の席で突っ伏している学友とどっこいどっこいなダメ人間だったようだ。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

『だめだぞエア!昼食くらいちゃんと食べろ!』

 

『そうだよ!甘いものだけじゃ虫歯になっちゃうよ!?』

 

「ちゃんと歯は磨いてるから問題ないよー」

 

『そういう問題じゃないと思います…』

 

 学園内の食堂にて。エアは妖精型のゴーレムに引っ張られて食堂に来ていた。普段から偏食気味な創造主の姿に耐えきれなくなったようだ。

 

「あ、エア君!こっちだよ!」

 

『ほら呼ばれてるぞ!』

 

「…なんでこんな僕にかまうんだろうねー?」

 

『うーんなぜかほっとけない感じがするんだよねー』

 

『母性本能ってやつか?』

 

「どっちかと言えば君らの方が子供じゃないかー…」

 

 割と雑に扱っているはずだが、まったくめげずにかまってくるルミア。

 エアは己のゴーレムに尋ねてみるが、芳しくない答えしか返ってこなかった。

 

「さて、イチゴタルトでも食べるかー」

 

『だから甘いものばかり食べるな!』

 

 ダメダメなエアにツッコミを入れる妖精ゴーレムの姿は近頃よく見られるようになった。

 これも妖精ゴーレムがエアを無理やり引っ張って連れ出す影響だろう。いったいどこにそんな力があるのかとかは聞いてはいけない。

 

「そうだよエア君!バランスよく食べなきゃ!」

 

「そんな不健康な生活してるから寝てばっかりなのよ」

 

「別に関係ないと思うなー。めんどくさいし…」

 

 実際必要最低限の栄養は薬剤などで摂取しているので生活には問題ない。生活には問題はないが人としては問題だらけだ。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 ダメ非常勤講師、グレン=レーダスの赴任から一週間。

 

「いい加減にしてくださいッ!」

 

 ついにシスティーナの堪忍袋の緒が切れた。

 自身が左手に付けていた手袋を投げつけたのである。どこぞの業界ではご褒美です。

 

「システィダメ!はやく先生に謝って、手袋を拾って!」

 

 ルミアが止めるがもう遅い。システィーナにはすでに火がついている。

 

「…やーれやれ。こんなカビの生えた古臭い儀礼を吹っかけてくる骨董品がいまだに生き残ってるなんてな。

 いいぜ、受けてやるよ」

 

 かっこつけた後あっさり負けたと記しておく。

 

 

 




カフェの妖精さんはラビットハウスの三人のイメージ
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