残念系天才魔術師と禁忌教典   作:ヒトでなし筆者

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あなたの未来を決めるのはあなた自身の行動だ。
それを心の隅に置いておいてほしい。


努力に憾み勿かりしか(?)

 講義の数が減り、代わりに競技祭に向けた練習の時間となる。

 もっともエアはその時間さえも惰眠に費やしているが。

 こんなのでも尋ねられれば質問に答えるし、やれと言われれば80点のクオリティで成し遂げるためあまり文句が言えない。

 

「ふわぁ…おー、ルミアー。練習終ったのかー?」

 

 特にやることもなく、木陰で微睡んでいたエア。

 そんな彼のもとにルミアがやってきた。

 

「うん。エア君は練習しなくていいの?」

 

「そうだねー。要は場外に追いやればいいんだし、水流で押し流すさー」

 

 もちろんほかにもやりようはあるが、本人は水系統の操作の方が楽らしい。まあもっと速く終わらせる方法もあるにはあるが。

 

「それよりさー。なんで『精神防御』なんてやってるんだー?

 ルミアならほかの競技でもよかったんじゃないかー?最悪『精神防御』には僕が出ればよかったんだしー」

 

 『寝る』ということに関して言えば、まったくブレない精神性の持ち主であるため、変態と言う名の紳士であるあのツェスト男爵にも変態視されるほど。この学園にはくせのある奴しかいないのだろうか。

 

「心配してくれてありがとう。でも大丈夫。

 システィも先生も式の調整を頑張ってくれてるから、私がそれに応えないとダメだと思うの」

 

「ふーん…」

 

 基本的に人でなしなエアでも、人の心はわかる。そして察した。この少女はあの非常勤講師に好意を抱いているのだと。

 

「それなら僕は何も言わないよー。まあ、なんかあったらグレン先生が止めるだろうしねー」

 

 さすがに友人の恋路を妨害するようなことはない。

 

「がんばれよ」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 迎えた魔術競技祭当日。

 

「ぐぅ…」

 

 エアは当たり前のごとく爆睡していた。今回はイヤーマフとアイマスクまで持ってきて準備万端だ。

 

「ちょっとエア!もうすぐルミアの競技よ!いい加減起きなさい!」

 

「わざわざイヤーマフとってまで耳がひっぱりたいのかー?ならこっちにも考えがあるよー?」

 

「なによ考えって」

 

「こういうことさー」

 

 そう言うが早いか、エアの耳が取れた。

 

「…はぁ!?」

 

 今システィーナの右手は取れた耳を持っている。いきなり人の体の一部が取れたら誰だって驚く。エアも驚く。

 

「はっはっはー。どーだ、驚いただろー。その名も【フェイク・ボディ】だー」

 

 自慢げに胸を張る。事実人間の感触に寄せたゴーレムの作成は難易度が高い。だがそれだけの技量がエアにはあった。

 

「どーだじゃないでしょこのバカ!」

 

 ただシスティーナは脅かされた怒りの方が勝ったようだ。

 

『おいバカ!怒らせてどうするんだ!』

 

『私もダメだと思います』

 

「たはは…それよりこれからルミアの競技じゃなかったっけー?」

 

「そうなのよ!もう、あんたがこんなもの見せるせいで忘れるところだったじゃない!」

 

「ええー?」

 

 エアは理不尽だと心の中で訴えた。もちろん口に出せばとんでもないことになるのはわかりきっている。だから心の中で訴えるのだ。

 

「それにしてもルミアがこんな競技に出るなんてねえ…」

 

「確かにあの変態男爵の競技だし、出させたくないのはわかるよー」

 

 ツェスト男爵は精神魔術で少女の心を汚染していくのを見るのが好きな変態ゆえに、学園でもクビ候補筆頭だ。

 ただあんなのでも学園の教授としてはセリカを除けば最強クラスなので世の中はつくづくわからないものだ

 

「でも、君の知っているルミアはそんなに軟弱なのかー?」

 

「そんなわけないわよ。あの子は強いわ。でも万が一廃人になったりしたら…」

 

「ならば僕が断言しよう。そんなこと、万に一つもあり得ないって」

 

「…」

 

「大丈夫だって。君は君が知っている強いルミアを信じればいいんだよー」

 

「…あなたに励まされるなんて思わなかったわ」

 

「失敬な。僕だってたまにはまともなことぐらい言うさー」

 

「ふふっ、そうね。まあルミアなら大丈夫よね!だってルミアなんだから!」

 

「はは…」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 昼休み。言うまでもなくエアにとっては昼寝の時間だ。

 

「エア君、ちょっと来てくれるかな?」

 

「ぐおぉ…なんか用なのー?」

 

「うん。システィがあの時のお礼にお弁当作って来たんだって」

 

「ほーん、そっかー。無駄にするのも悪いし、おとなしくもらっときますかー」

 

「システィも喜ぶと思うよ」

 

「まあ、泣かれるよりはマシか…」

 

 こんなことで泣くようなシスティーナではないだろうが、前回のように半泣きで見られるのは御免蒙りたいものだ。

 

『ほら早くいこうよ!』

 

『人を待たせるな!』

 

「はいはい、わかってるよー…ん?」

 

「?どうかしたの?」

 

「いやー、あっちから違和感が…」

 

「違和感?」

 

 エアが指さした方角にはシスティーナがいる。

 

「何かあったのかな?」

 

「危険はないと思うけど…」

 

 なにかが起こってからでは遅い。少し急ぎながら向かってみることにした。

 

 

 

◇◇◇

 

 

「わ、私が二人…!?」

 

「《力よ無に帰せ》」

 

「あっ…」

 

「「「…」」」

 

「…まあそういうことでグレン=レーダスはクールに去るぜッ!サラダバー!」

 

「逃がすかこのロクでなしィィィ!」

 

「ぎゃああああ!」

 

 グレンせんせいそらをとぶ。




変態男爵って実は第六階梯なんですよね。変態なのに。
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