ーCode.2ー
…本当にそうなのかしら。
最近は情報規制が厳しく他のスプロールでの動向は耳に入らないけれど、少なくともここ《東京スプロール》では、統治という名の規制が蔓延っている。脈拍や位置情報、果ては今何を見ているかまで筒抜け、という噂まである始末だ。勿論総てが完全な悪であると定めてしまい、否定することは出来ないけど、果たして人間にとってこれが…
いえ、そうね。考えることは止めましょう。事実、「私達」は抵抗に失敗した…正確には諦めてしまった、の方が正しいのかしら?今の「私」には仲間も術も…ましてや時間もない…。与えられた「幸福」を享受することしか出来ないただの…
ふふっ、どうしても一人だと憂鬱になってしまうわね、やっぱり。
そうだわ!今日は確かセリカから素敵なプレゼントが届くのだったわね!最新型のアンドロイド…一体どれくらいの性能があるのかしら。楽しみだわ。
ピンポーン
どうやら着いたようね。…うん、時間ピッタリだわ。
「どうぞ、鍵は空いているわ」
ガチャ、バタン
カツカツカツ…
「始めまして、識別番号-」
『…音無さんもそうだけど、真壁さんも協力しているのかしら…』
貴方達はそれでいいの?
⇨いいえ、まず貴方たちには…
よろしくね、二人とも
二人とも可愛い子達だったわ。感情を表に出すのが苦手なだけで、人一倍正義感に溢れていた《迹槫ク》…逆にちょっとの変化で顔の色がコロコロ変わっていた《邏ャ》
そして…
この三人はいつも一緒だったわ。それこそ最期も…。どことなく面影がコノ二人に似ているようだけど、私への当て付けかしら?それともせめてもの償い?
ふふっ、どちらにしても貴方にはまだそう感じることが出来る《ココロ》が残っている、そう解釈しても良さそうね。
そうでしょ?リツコ。
#識別番号44《ミズキ》、親愛度上昇
#識別番号51《ツムギ》、親愛度上昇
◎「気付き」
それにしても、アノ子たちはまるで赤ん坊のようね。教えたことをすぐに吸収してしまう、まるでスポンジだわ。…そう、ちょっと押してあげるとすぐ漏れちゃうところも同じ。
「監視」と確か言っていたわね。素直にセリカが私にプレゼントしてくれる訳は無いとは思っていたけど、概ね想定通りね。ただ、「二人」というのが気になるわね…別に監視だけなら一人でも良かったはず。それこそ意図的に「監視」なんて言わない子を一人…うん、いないはずはないわね。となると二人が表から私を油断させる「囮」として、ソノ子が裏から私の真意を探る「本命」…。ふふっ、偉く綿密ね。そんなに私が怖いのかしら?
となると…
鎌をかけましょうか
探ってみるのが手っ取り早いわね
⇨連絡手段はどうしているのかしら?
直接会うことは論外として、次点で無線だけど、いくら新型とはいえ傍受されるリスクからは逃れられないことは向こう側も承知の上のはず。なら暗号を使ってくるから…解読するのは得策ではないわね。時間が足りないわ。
…そうね、今は警戒に留めておきましょう。確証が得られてからでも遅くなさそうだし、何よりアノ子達ともう少し話してみたいわ。
『…この世界の私、頭良すぎないかしら?』
◎夜の定例集会
#ミズキ、ツムギ、識別番号33 感情度上昇
◎ネコ(?)との遭遇
…ん?ネコ?そう、貴方達にはそう見えるのね。彼女たちのことを「赤ん坊」とは例えたけど、ここまで知らないものなの?リツコ、貴方本当にちゃんと教育はしているのでしょうね?
…いえ、「その必要がない」からしていないのかしら…。もしそうならコノ子達は…
その方向で考えるといよいよ年貢の納め時が近い予感はしてしまうわね。何か対策を立てないと。
ふふっ、その前に私の体力が持つかしら?
…笑い事ではないわね。
それにしても貴方達は…
もう少しよく調べてみたら?
面白いのね、そして本当に可愛いわ
⇨ネコなら名前をつけてあげなくちゃ
「…名前、ですか?」
「ええ。私が貴方達に名前をつけたように、このネコ(?)にも名前が必要でしょ?それが貴方達に初めて教えたこの屋敷でのルールのはずよ?」
「なるほど。人間の記憶メモリには限界がある、同会話中でそう述べていたと記録しています。」
「…ちょっと内容が変わってしまってるけど、まあいいわ。さぁ、貴方達がつけてあげて?」
「私達がですか?この屋敷の主人は貴方なので、貴方がつけるべきでは無いのですか?」
「間違ってはいないわ。」
「ならどうして…」
「ん~、そうね…」
「…」「…」
「勉強、でどうかしら?」
「勉強。それは私達アンドロイドに必要な行為だとはインプットされていません。」
「そうよ。アンドロイドなら記録で十分ですものね。でもこの屋敷にいるからには、貴方達には勉強して成長してもらわなくちゃ。なんてったって私の世話役兼監視役なんでしょ?」
「ミズキ、ここはチハヤに同意した方が得策だと進言します。ここでの同意はチハヤの油断を増長させ、今後の任務の成功率上昇に繋がると予測されます。」
「ツムギ、それは当人の目の前で言うことではありません。…しかし、得策で有ることは事実です。私達がこの猫に名前を与えましょう。」
…本当に心配だわ
『…本当に心配だわ…うん?』
「それではチハヤ。この猫にはどのような名前を与えればよいのでしょうか?」
「それは貴方達が考えること…っていうのは難しいでしょうからヒントを上げましょう。私はどうやって名前を付けたのかを思い出してみて?」
「…私達の名前は、チハヤの死んだ古い友人の名前と同等だとインプットされています。しかし、私の記憶領域に「友人」というカテゴリーに属する単語は0件です。矛盾します。」
「…矛盾…はしていないかしら?それなら貴方が知っている名前はどう?」
「私達アンドロイドには名前は存在しません。」
「ええ、知っているわ」
「しかし…研修中に周囲でよく耳にしたどのカテゴリーにも存在しない単語ならあります。」
「そう…ならそれが名前よ。なんて言う単語?」
「アカネ」
…ん?『えっ野々原さん?』
「東京スプロールで稼動中のアンドロイド製造工場にて時折目撃されるアンドロイドの通称名だそうです。それ以上の情報はインプットされていません。」
「そう…アカネ…いいんじゃないから?」
『いいのかしら?』
「ではこれからこの猫の名前は「アカネ」です。アカネ、こちらに来なさい…アカネ?」
ふー。何とかなったわね。この調子で成長…成長?してくれたらいいわね。
…
うん。この過程は必要なかったかしら?
#ミズキ、ツムギ 感情度上昇
#【プリティ〜〜〜ッ→ニャンニャンッ!】獲得