大乱闘スマッシュブラザーズ Stern des Lichts   作:アヤ・ノア

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光の化身キーラとの最終決戦が始まります。
彼らはキーラを倒し、この世界に平和を取り戻す事ができるでしょうか。


55 ~ 光の化身キーラ

 キーラと、彼女に操られたマスターハンド、そしてアイシャとの決戦が、始まった。

 

「まずは守りを固めるわよ!」

 ベルは闇の魔力を展開し、六人の防御能力を高める。

 キーラの攻撃は強烈なので、それを防ごうとベルは判断した。

 

「はあっ!」

「効かんな」

 柊蓮司は魔剣をキーラに振るが、キーラは光の壁で彼の攻撃を防ぐ。

 アルトリアは、相手の出方を伺っている。

「うあああああああ!!」

 アイシャは柊蓮司に包丁を振り回す。

 やたらめったら振ったためか柊蓮司に掠って傷を負わせる。

「っつー……」

「おらっ!」

 マリオはキーラにハンマーを鋭く振り下ろす。

「アイシャ、元に戻ってよ!」

「うああああああああああ!!」

 アイシャはカービィの投げをかわし、包丁で反撃する。

「受けてみよ」

「くっ!」

 キーラはシャドウに光の球を無数に飛ばす。

 シャドウは何とか抵抗したが、ダメージはかなり大きかった。

「はあっ!」

「カオススピア!」

 アルトリアはキーラを不可視の剣で斬りつけるが、なかなかダメージを与えられない。

 シャドウは光の矢をマスターハンドに放ち、牽制した後にサブマシンガンで撃ちまくる。

「眩しいか?」

「ああ、でも嫌な眩しさだぜ……!」

 キーラは柊蓮司の攻撃をかわし、あの光のレーザーで反撃する。

 あの時より威力は低かったが、カービィ達を軽く混乱させた。

「せいっ!」

 ベルはキーラの隙を突き、素早く飛び掛かって大鎌を振り降ろす。

 カービィは光の球を吸い込んでマスターハンドに吐き出す。

「当たらないわよ!」

「ふっ! はっ! 食らえ!」

「ド・オヴァ・デ・シー!」

 キーラは光のレーザーでベルに反撃するが、ベルは緊急回避で攻撃をかわす。

 シャドウは拳銃を三連射してマスターハンドを撃ち、

 ベルはシャドウの傷を魔法で癒した。

 

「キーラがこんなに強いなんて……」

 光の化身キーラは非常に強かった。

 桁外れの攻撃力に、こちらの攻撃をほとんど通さない防御力。

 さらに、マスターハンドとアイシャを味方につけていると隙は無かった。

「全てを奪っただけはあるな。それでも、僕は決して諦めはしない。

 お前達は時間稼ぎをしろ、僕が奴らを吹き飛ばす」

 シャドウはカオスエメラルドに力を溜め、大技の準備に入る。

 カービィ達は頷くと、シャドウを守るために攻撃に入る。

「クリーンだよ!」

 カービィはアイシャが振ったモップを吸い込んでクリーンをコピーし、

 箒で地面を掃いて動きやすくする。

 身軽になった柊蓮司とマリオは飛び道具でキーラを牽制する。

 キーラは光の羽をシャドウに飛ばしてくるが、アルトリアが攻撃を受け流す。

「来た」

 しばらくするとシャドウの身体が赤く光り出した。

 大技を発動する準備ができたのだ。

「シャド兄!」

「カオス……ブラスト!!」

 カービィの掛け声を聞いたシャドウは全身から衝撃波を拡散し、

 キーラ、マスターハンド、アイシャを吹き飛ばして大ダメージを与えた。

 その威力は、マスターハンドを消滅させ、キーラを守る光を剥がすほどだった。

 

 衝撃波が治まると、光の球になったキーラは宙に浮かんだ。

「おのれスマッシュブラザーズ……許さんぞ!!」

 キーラは全身から強い光を放ち、再び全身を光の翼で覆った。

 恐らく、追い詰められた彼女は怒りでホンキを出したのだろう。

「みんな、しっかりして!」

「ああ、分かってる!」

 柊蓮司はホンキを出したキーラを魔剣で斬りつける。

 防御力が下がったのか、柊蓮司は手ごたえをしっかり感じた。

 キーラは翼を槍のようにしてマリオ、シャドウ、ベルを貫く。

「ははは……どうだ」

 三人の苦痛に歪む顔を見たキーラは、高らかに笑い声を上げる。

「マリおじちゃん、シャド兄、ベルベル! もう、許さないよ!」

 カービィはクリーンを捨てて能力星をキーラに吐き出し、

 ハンマーを構えてキーラに突っ込んでいく。

 勢いがついたハンマーは、キーラのコアを的確に殴り、さらなるダメージを与える。

「えいっ! やあっ! とおっ!」

 キーラはワープを繰り返しながら、翼を変化させた槍を次々と突き刺す。

 たくさんの予告線を展開し、キーラがコアを一瞬光らせるとそれが無数のレーザーに変わった。

 レーザーはカービィを貫くが、カービィは怯まずキーラに突っ込み、

 短い手足で懸命にキーラを攻撃した。

 

「我を崇めもせず、恐れもしないとは……貴様は本当に、我を楽しませてくれる」

 キーラはカービィを嘲笑うかのように光る。

 カービィは真剣な表情でキーラを睨みつける。

「言ったよね? 僕はみんなの思いを背負って戦っているって。

 だから……絶対に、勝って、世界を元に戻すんだ!!」

 強く叫ぶカービィを見たキーラは一瞬驚くが、しばらくするとワープして光の爆弾を設置する。

「まずい! アレはこちらをまとめて攻撃するものです!」

「うん! 任せて! ずおおぉぉぉぉぉぉぉ!」

 アルトリアは光の爆弾を見てカービィに警告する。

 カービィは頷くと光の爆弾を吸い込み、それをキーラに吐き出していく。

 が、一部の爆弾は処理できず、爆発してダメージを食らった。

「いたたたた……」

「今度はこれを見るがいい」

 そう言うと、キーラは青い光を出し、それらをパックンフラワーとピチューの姿に変える。

「貴様が解放したファイターだ。さあ、食らえ!」

「させないっ……!」

 カービィは体術で光のファイターを攻撃するが、光のファイターの攻撃は激しい。

 ピンチになるカービィだったが、その時、

 光のファイター目掛けて銃弾が二発放たれ、瞬く間に爆発して消えた。

 その銃弾を放ったのは、もちろん、シャドウだ。

「シャド兄!」

「キーラの体力は後僅かだ。決めろ、カービィ!」

「うん!」

 カービィはそう言って、ハンマーに炎を溜める。

 キーラは再びレーザーで反撃するが、カービィは全てかわし、キーラに肉薄する。

「とどめだ! 鬼殺し……火炎ハンマァァァァ!!」

 そして、カービィは炎を纏ったハンマーを、思いっきりキーラにぶちかました。

 それがとどめになったのか、キーラを自らと同じ眩い光が打ち据え、

 やがてキーラ自身を光が包み込み……砕け散る。

 

「この我が、新世界の創り手が、スマッシュブラザーズ如きに、敗れるとは……!」

 その声を最後に、キーラは力尽きる。

 そして、マスターハンドと共に海へ墜落しようとしていた。

 

「……長かったわね」

「ああ……本当に長かったな」

「だが、これでもう、この世界を脅かす者は誰もいなくなるだろう」

「うん……また、美味しいご飯を食べて、たくさんお昼寝ができるね」

「ふふっ……皆さん、よく頑張りました」

「本当にお疲れ様、だぜ」

「……」

 多くの戦士達の体を奪い、支配下に置いたキーラ。

 この争いの世界で最大規模の異変を起こした存在。

 その、キーラとの戦いに勝利した事を喜ぶカービィ、シャドウ、ベル、マリオ、

 アルトリア、柊蓮司だったが、リンクだけは浮かない表情をしていた。

「……どうしたの? キーラに勝ったから、嬉しいんじゃないの?」

「……いや……俺はどうも納得がいかないんだ。

 俺達が助けたファイターは……これで全員だったか?」

「全員? あ……!」

 リンクの言葉により、カービィは気付いた。

 スマブラ四天王ら主要メンバーは助けたが、ゼルダ姫も、

 マリオの双子の弟ルイージも、まだ助かっていなかった。

「どこにいるのかしら! 助……え!?」

 ベルは急いで行動に移ろうとするが、突然、空間に罅が入り、ポロポロと破片が落ちていく。

 その破れた空間の中から、不気味な一つ目と無数のクレイジーハンドが姿を現した。

「何、あれ……!」

「不快な……!」

 カービィは見た事のない敵に唖然とし、シャドウはある敵を思い出し不快な表情になった。

 無数のクレイジーハンドは、マスターハンドに襲い掛かって来た。

「まさか、こいつが隠れていたなんて……」

 "神"であるベルでさえも、その目を見て戦慄する。

 光の化身キーラを破った事で、抑えられていた闇が暴走した。

 キーラが天に帰る前に、彼女が部下にした無数のマスターハンドが

 無数のクレイジーハンドに襲い掛かり、その命を散らす。

 そして、キーラが天に帰った時、破れた空間から無数の不気味な触手が現れる。

「……!」

 シュルクは未来視(ビジョン)を使い、これから来る出来事を予測した。

 あの時のように、また、ファイター達が全滅しないように。

「みんな、逃げて!!」

「え……!?」

 シュルクは皆にその場から避難するように叫んだ。

 カービィなどの子供達は突然の叫び声にあたふたしながらも、その場を立ち去ろうとしていた。

 だが――

 

「な……っ!」

 闇は、争いの世界を飲み込んでいった。

 ファイター達が逃げ出すよりも、早く。

 

「きゃあああああああ!」

「うわあああああああ!」

 そして、瞬く間にこの世界の一部は漆黒に落ち、

 その場にいた全てのファイターは、闇の中に飲み込まれていった。

 

 ファイターとスピリッツを配下に、この世界の掌握を狙う、もう一つの勢力。

 混沌と闇の化身、その名は“ダーズ”――




~次回予告~

キーラを倒したと思いきや、新たな敵・ダーズが襲来し、
スマブラメンバーはバラバラになってしまった。
次の舞台は闇の世界。
果たして、スマブラメンバーは再会できるのだろうか?

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