大乱闘スマッシュブラザーズ Stern des Lichts   作:アヤ・ノア

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ドラキュラ城のボスとの対決です。
次週からは謎の空間編となります。


72 ~ 夜の伯爵、ドラキュラ

 ルフレとベレスを仲間にしたベル一行は、ドラキュラ城脱出のために階段を上っていった。

「大きな敵の気配を感知したわ!」

 ベルはドラキュラ城にいるボスの気配を感知した。

 この城に住むボスとはいえば……「彼」だ。

「ドラキュラ伯爵……」

 ヴァンパイアハンターが幾度となく戦ってきた偉大なる吸血鬼・ドラキュラ。

 彼を倒せば、このドラキュラ城から脱出する事ができる、とベルは信じていた。

「ドラキュラは生半可な力では倒すどころか、傷つける事も不可能よ。

 だから、ヴァンパイアハンターの力が必要なの」

 ベルは階段を上りながらドラキュラについて話す。

 しばらく歩くと、シモンのボディに宿ったアルカードのスピリッツを発見した。

「むっ! レジェンド級のスピリッツか……」

 ルカリオはアルカードからただならぬ力を感じる。

「下がっていろ、ここは私が相手する」

「いいわよ」

 そして、ルカリオは皆の前に立ち、アルカードに戦いを挑んだ。

 結果はルカリオが勝利し、スピリッツの解放に成功した。

 すると、ドラキュラ城の玉座の前に、

 闇の鎖に縛られた茶髪の男と、瞳が金色になっている女を発見した。

 この男こそ、代々ドラキュラと戦い続けてきたヴァンパイアハンター、

 リヒター・ベルモンドだ。

 女は異次元の旅人の一人である、「真祖」ミロだ。

「リヒター!」

「ミロ!」

「う……ぐぅぅぅぅっ……」

「ウオォォォォォォォォ……」

 リヒターとミロは苦しそうな表情を浮かべている。

 ミロはダーズの呪縛にかかっていなかったが、

 いつも身に着けている十字架のペンダントが外れており、吸血衝動に侵されていた。

 また、リヒターを助ければ、ドラキュラと戦う力を得る事ができる。

「二人とも、苦しそうだ。今、助ける!」

 そう言って、ベレスは天帝の剣を鞭のようにバラバラにして振り抜いた。

 リヒターを縛る闇の鎖は消え、同時にリヒターとミロが襲い掛かる。

「ウオオオオオオオオオオオオ!!」

「うああああああああああああ!!」

「……ルフレ、来る!」

「ああ。ベレス、共に信じよう!」

 ルフレとベレスは、リヒターとミロを助けるべく、共に剣を抜いて戦闘態勢を取った。

 

「ふっ!」

 ベレスは天帝の剣を鞭状にして振った。

 だが、リヒターは上手くこれをかわし、手斧を投げて反撃した。

「痛い……」

「剣で守らなかったのかい?」

「自分のいた世界に、武器の相性はない」

 ベレスが元いた世界には、剣は斧に強い、などの相性はない。

 ルフレは「へぇ」と感嘆しつつ、相手の動きを観察している。

「ベレス! 攻撃が来るよ!」

「! ……危ない!」

 ルフレとベレスは、ミロの爪攻撃をギリギリでかわした。

 リヒターが隙を突いて鞭を振るが、ベレスは鞭が届かない位置まで移動し、

 魔弓フェイルノートでリヒターを撃つ。

「ギガサンダー!」

 ルフレは魔道書を開き、雷魔法でリヒターとミロをまとめて攻撃した。

 さらに、ルフレはリヒターが近づくのを待ってからエルファイアーで足止めし、

 ベレスが魔斧アイムールを思い切り振りかざしてとどめを刺した。

「十字架が……!」

 すると、リヒターの手からぽろりと十字架が落ち、

 ルフレがそれを拾ってミロの首にかけるとミロは正気に戻った。

 

「……はぁ、一時はどうなる事かと思ったわ」

「どうやら、無事みたいだね」

「あたしがこんなので倒れるわけがないわ」

 えっへんと威張るミロ。

 彼女の身体にはほとんど傷がなかった。

 ベレスに倒されたリヒターはというと、星を出しながら気絶していた。

 しばらくすれば、元に戻るだろうと、ルフレとベレスは彼を見守った。

 

「……んっ、ここは、どこだ」

「お帰り。ここはドラキュラ城だよ」

 ようやくリヒターは正気に戻り、起き上がる。

「ドラキュラ城……そうか、俺は奴の手駒に……」

 リヒターは胸に手を置く。

 どうやら彼は、操られていた時の記憶を僅かながら覚えていたようだ。

 再び操られてしまったために、リヒターは、はぁ、と溜息をついた。

 ベルはリヒターが落ち着いたのを確認して、改めて、彼に事情を話す事にした。

 

「……というわけで、この城を脱出して、みんなと合流するのが目的なのよ」

「なるほど、仲間を探した後に巨悪を倒すのか。ならば、話は速い。俺も同行しよう」

「待って。貴方の名前は?」

「俺の名はリヒター・ベルモンド、ヴァンパイアハンターだ」

 リヒターはベレスに自身の名を名乗る。

「ベルモンド……。強そうな気がする。……自分はベレス・アイスナー。よろしく」

「ああ、よろしくな」

 新参者のベレスも静かにリヒターに名乗り、リヒターはベレスを快く迎えた。

「あっ、あたしも自己紹介するわ。あたしはミロよ」

「ミロ、よろしく」

「……ベレス、彼女からあいつの臭いを感じるぞ。気を付けた方がいい、血を吸われ……」

「ちょっと! あたしはそんな事しないわよ!」

 リヒターは人間に見えるミロを吸血鬼と見破った。

 伊達にヴァンパイアハンターをしていないようだ。

「信じていい?」

「というか信じて」

「分かった」

 

「いよいよだな……」

「どうなるのかしら」

 リヒターとミロを仲間にしたベル一行は、いよいよドラキュラがいる玉座に入る。

 ヴァンパイアハンターの血が騒ぐリヒターに、やや不安そうな表情のミロ。

 ドラキュラは強敵だ、気を抜くわけにはいかない。

「……さあ、入るわよ」

 ベルは覚悟を決めて、大きなドアを開けた。

 

 ドラキュラ城の玉座には、黒いマントを纏い、赤い模様の豪奢な服を着た男が座っていた。

 男は玉座から立ち上がり、マントを翻す。

 この男こそ、ベル達が倒すべき敵――吸血鬼・ドラキュラ伯爵だ。

「現れたな、ドラキュラ」

 リヒターはヴァンパイアキラーを構えている。

 彼とドラキュラは、何度も戦ってきた宿敵だ。

「ドラキュラは単純に力だけで勝てる相手じゃない」

「だから、軍師として、僕も君と一緒に戦うよ」

「ルフレ……」

 どうやら、ルフレもドラキュラとの戦いに協力してくれるようだ。

 頼りになる仲間に、リヒターは笑みを浮かべる。

 

「さあ、来い! ドラキュラ!!」

「私達が相手してやるわ!!」

 ミロ、ベル、リヒター、ルフレは、ドラキュラ伯爵との決戦に望んだ。

 

 ドラキュラは玉座からワープし、四人の前に立つ。

「ファイアー!」

 ルフレは魔道書を開き、炎の玉を放つ。

 ダメージは大きくなかったが、牽制はできた。

「せいっ!」

「おらおらおら!!」

 ベルは大鎌を振り回し、ドラキュラを切り裂く。

 ミロはドラキュラに接近し、爪で連続攻撃した。

 彼女は力を制御しているとはいえ吸血鬼、その身体能力は相当高い。

「いくぞ! リヒター無敵アッパー!」

 リヒターは、ドラキュラに勢いよくアッパーを繰り出す。

 だが、ドラキュラは怯まず、マントを翻すと、蝙蝠の姿に変化してベルとミロに突っ込む。

「「きゃあっ!」」

 ベルとミロは防御が間に合わず、まともに攻撃を食らってしまった。

「次に攻撃を食らったら君達は倒れるかもしれない。ここは一度下がって。僕が引きつけるから」

「あたしに下がっていろっていうの!?」

「そうじゃないよ、君達は前に出てるから結構攻撃を食らってる。

 このままだと、君達は倒れるんだよ」

 ルフレはベルとミロに助言をする。

 確かにこの二人はドラキュラの攻撃を食らってかなりのダメージを受けている。

 回復でもしない限り、無理をすれば待つのは死だ。

 ここは傷が癒えるまで待つのが賢い選択だとルフレは判断したのだが……。

 

「敵に後ろは見せないわ!」

「ダメだよ、ミロ、ベル!」

 ベルとミロはルフレの話を聞かずに、ドラキュラに突っ込んでいく。

 案の定、ドラキュラは火炎弾を放ち、ベルとミロは重傷を負ってしまった。

「きゃあああああ!!」

「でも、私は死神なのよ……!」

「ドラキュラは単純に力だけで勝てる相手じゃない、ってリヒターが言ってたよ。

 逃げるは恥だが役に立つ! 時には引く事も必要なんだよ!」

「……分かったわ」

「あんたの言う事も、信じた方がいいのね」

 ベルとミロはようやく折れて、攻撃が届かない安全な場所に行った。

 ルフレはサンダーソードを構え直し、ドラキュラの隙を突いてサンダーソードで斬りつける。

 リヒターはドラキュラの攻撃が届かない位置に潜り込んでヴァンパイアキラーで攻撃する。

 ドラキュラはワープした後、火炎弾を放つ。

 ルフレとリヒターは緊急回避で背後に回り、ドラキュラの攻撃をかわした。

「ここは身を護るのが正しい」

 ドラキュラは蝙蝠の姿に変化し、突進する。

 ルフレはジャストシールドで攻撃を防ぎ、リヒターは鞭を振ってベルとミロを攻撃から守った。

 ドラキュラはマントを広げ、炎を周囲に回転しながら放つ。

「エルファイア!」

 ルフレは一旦距離を取った後、魔道書から火炎弾を放つ。

 ベルとミロは何とか身体を動かして炎を回避し、

 ルフレとリヒターは落ち着いて攻撃をかわした。

 攻撃が終わった後、ドラキュラは再びワープする。

「次はどこに行くか……」

 ルフレはドラキュラの攻撃を予測しながら歩く。

「……そこか!」

 どうやら、ルフレの予測は的中したようだ。

 サンダーソードがドラキュラの身体を切り裂き、電撃によってさらなるダメージを与える。

「今だ、リヒター!」

「ああ! 食らえっ、ドラキュラ!!」

 リヒターはヴァンパイアキラーを、ドラキュラの頭部に勢いよく叩きつけた。

 その一撃が決まり、ドラキュラは崩れ落ちる。

 

「ふぅ……落ち着いてきたわ」

「あたしも、もう大丈夫よ。もう前に出て大丈夫?」

「ああ、大丈夫さ」

 ちょうど、ベルとミロの傷も癒えたところだ。

 二人はゆっくりと立ち上がり、再び前線に出る。

 すると、ドラキュラは両手を大きく広げ、四人の周囲に邪悪なオーラを放つ。

 ドラキュラは山羊の角、悪魔の翼、ねじれた尾と、筋骨隆々の悪魔のような姿になった。

「変身した!?」

「ああ、ドラキュラは追い詰められるとこんな姿に変身するんだ」

 ルフレは変身したドラキュラを見て、ごくりと唾をのむ。

 自身がかつてそのような姿になり、未来を滅ぼしてしまった事を思い出した。

「ドラキュラは『竜の子』って意味よ! ここからは油断大敵!」

「ぐあぁぁっ!」

 ベルがそう言った瞬間、ドラキュラが爪でリヒターを切り裂いた。

 空を引き裂くその爪は、リヒターの体力を大きく削った。

 ドラキュラは闇の玉を連続して放つ。

「この攻撃は回避しにくい、防御に専念だ!」

「ああ」

 ルフレの指示で、リヒター、ミロ、ベル、そしてルフレはシールドで防御する。

 その後にリヒターは聖水、ベルは大鎌を投げ、ミロはドラキュラの背後に回って爪で引き裂く。

 ドラキュラは力を溜めた後、両手から雷のエネルギー弾を放つ。

「きゃあ!」

「見切った!」

 ミロはまともにダメージを食らうが、リヒターはジャンプしてかわした。

 ドラキュラは連続で爪で攻撃し、ミロ達を追い詰めていく。

「負けないわよ!」

 ミロは反撃として同じく爪でドラキュラを引き裂きベルは大鎌でドラキュラを一閃する。

 ドラキュラはジャンプして間合いを取り、再び雷のエネルギー弾を放つ。

 何とかシールドで防ぐものの、威力は大きくシールドを大きく削られてしまった。

 だが、ドラキュラの体力も残り僅か。

 四人は隙を伺いつつ、ドラキュラに攻撃していく。

「見切った! トロン!」

 ルフレはドラキュラの爪攻撃をかわした後、トロンでドラキュラに大ダメージを与える。

「これでとどめだ! ドラキュラ!!」

 リヒターが勢いよく鞭を一閃すると、ドラキュラは苦しみながら爆発する。

 そして、ドラキュラの身体に十字架が現れ、十字架が消えると同時に、

 ドラキュラもまた消滅するのだった。

 

「か……勝ったわ!」

 ――こうして、深い理由など全くない、ドラキュラ城での戦いは終わった。

 少なくとも、ベルにとっては、だが。

 

 そして、ドラキュラを倒したため、玉座に白い光の渦が現れる。

 ここに飛び込めば、ドラキュラ城を脱出できる。

「さあ、みんな……戻るぞ!」

「ええ! もう、こことはおさらばね。……カービィとシャドウは、無事かしら……?」

 そう言って、ベル達は光の渦の中に飛び込んだ。

 全員が飛び込むと、光の渦は消滅するのだった。




~ベルのスピリッツ名鑑~

アルカード
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
ドラキュラ伯爵と人間の女性の間に生まれた青年。
本名アドリアン・ファーレンハイツ・ツェペシュ。
強靭な肉体を持ち、剣などの様々な武具を扱う。
また、ドラキュラ譲りの高い魔力で様々な魔術や変身能力を使いこなす。

ドラキュラ
出身世界:こことは異なる世界
性別:男性
本名ヴラド・ツェペシュ。享年937歳。
吸血鬼にして、全ての魔物を束ねる魔王。
冥府の番人である死神を始めとした強力な魔物を配下に置いている。
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