幻想郷の賢者って何人いるんでしょうね。
ってことで勝手に想像して面白くしていきます。
それから2日。
鬼は男の元で療養を行い、
傷を完治するほどまでになっていた。
「もう休む必要もないな。
腕は治らん、
「そうですか……」
「お前の鬼としての力を封印され
落とされたんだろう、茨木童子が
ここまで行儀良いわけがあるまい」
「…………」
「出ていこう、等とは考えるなよ?」
「え!?」
図星だったのか、鬼は目を丸くする。
だが、ここにいること事態がこの男に
迷惑がかかっている筈だ。
「何故………ですか?」
「阿呆め、言ったろう。外は雷獣も彷徨いている、
それに里に鬼が出たことが分かったら
殺されることくらい分からんのか、たわけ」
「私は鬼です、逃げるくらいは………」
瞬間、男が手を差し出す。
鬼はそれに疑問符を頭上に浮かべる。
「掴め」
「え、えぇ?」
鬼は困惑しながら男の手を握る。
そして────手が、握り潰される。
「あいたたたた!?」
「やはりな、鬼の角も飾りに過ぎんな」
「いたい、いたいですっ!?」
どこにこんな力が、と思いながら鬼は手を離す。
本当に潰されそうなほどの力だった。
だが、それと同時に。
自身が、無力になったことを感じた。
「鬼ならばこの程度は耐える。
分かったのなら出るのは鬼の騒ぎが収まるか
奴が来るまでは止めておけ、阿呆」
「騒ぎ………奴?」
「知らんのか………鬼の討伐が
成されたと京では騒ぎが起こっている。
酒呑童子、星熊童子、茨木童子、
そして
どうやら死ななかったようだがな、と
男は茶を啜る。
…………鬼は山の四天王と言われた三人を思い出す。
おそらく、彼女らも死んではいない。
「二つ目の奴だが………」
そう言いかけた瞬間、空間が割れる。
そして、そこから金髪の女性が現れる。
「あら、呼ばれた気がしたわ~♪」
「……………呼んだつもりはないがな」
「確か貴女は………」
男は心底嫌そうな顔をし、
鬼は見覚えのある顔に驚く。
「あら、久しぶりね?
随分と………あぁ、鬼の討伐騒ぎの、ね………」
「それよりも紫、
幻想郷とやらは完成したのか?」
「あー………えっと」
「ふん、妖怪と人の共存など無茶だと言ったろう」
男は溜め息をつく。
それを見た八雲 紫は頬を膨らませる。
「出来るわよ、そのうち」
「そのうち、などと
言っているから計画が進まんのだ阿呆」
「しかも無茶、って言ったわよね?
無理、無駄とは言ってないから本心では
あなたも出来ると思ってるんでしょう?」
「戯言ではない程度にはなった、と、
そう思っただけだ。調子に乗るな」
「うふふっ…………はぁ、あなたが
来てくれれば楽に進むのだけれどね………」
紫は残念そうな顔をして男の顔を見る。
「興が乗らん。僕はただの仏彫りだぞ」
「嘘ね」「嘘ですよね」
「阿呆どもが」
絶対嘘だ。そんな顔で二人は男を睨む。
男は茶を飲み干す。
「大体300年以上も生きてる人間が
そんなに若いわけないでしょう」
「さっ、300年!?」
「300年生きようが僕は
「仏の彫りすぎよ。
神格でも宿ったんじゃないかしら?」
「仏彫りが仏になる、か。
はッ、面白い冗談だな………」