生命の灯火 作:ENDLICHERI
今回、最終回です。・・・・・・あんまり『ヒャッハー♪』な感じは書けないから、もう本編どうぞ。
あれから、どれだけの日が過ぎたんだろう?あんなニュースを見た後の1ヶ月、アタシは部屋から出ることも出来ず、涙も無くなるほど流していた。
その間、綾斗くんのご両親たちが、身内で葬式を開いた。アタシも夕香さんから呼ばれたけど、「今は行けない」と言って断った。スマホに入ってる、こっそり撮った綾斗くんの写真を見るだけで悲しさが一気に襲ってくるアタシなんかが行ったら、どうなってしまうのか分からないから・・・・・・。
綾斗くんを殺した殺人犯は、近くにいた人に取り押さえられて捕まった。おそらく、かなりの間は外に出ることはないだろう。
アタシは、1ヶ月経った後になって、ようやく気持ちの整理が出来て、部屋の・・・・・・家の外に出た。なんとか学校生活を送れるようになったけど、ふと1人になると、綾斗くんを思い出して、感情が込み上げてしまう。
Roseliaのみんなや、他のガールズバンドのみんなが手を差し伸べてくれて、ようやく元のアタシに戻ることができた。
そして、12月24日。突然友希那に呼び出されて、アタシはCiRCLEへ向かった。そこには、友希那だけじゃなく、紗夜・あこ・燐子の姿もあった。
「あれ?今日、練習はないはずだよね~?」
「・・・・・・リサ、覚悟はできたかしら?」
「っ!?」
友希那の言葉の意味を、アタシはすぐに理解できてしまった。友希那が言ってるのは、『綾斗くんに会うこと』。といっても、彼のご両親や夕香さんに会うことなんだけど。
「・・・・・・うん。もう、大丈夫。ちゃんと、受け止める。」
「・・・・・・そう。なら、行くわよ。」
アタシは友希那たちの後ろを歩く形で、彼の実家へ向かった。
アタシたちが綾斗くんの実家に着いた時、偶然にも綾斗くんのご両親が庭にいた。
「君たち・・・・・・。」
「こんにちは。リサを、連れてきたわ。」
「こ、こんにちは・・・。」
「君がリサちゃんね。さ、入って入って!」
ご両親はとても優しかった。葬式に出なかったアタシに対しても。
アタシは真っ先に綾斗くんの写真が飾られてる仏壇に手を合わせた。『すぐに来れなくてごめんね』って。
「ようやく来たね~。」
「夕香さん・・・・・・。」
「あら夕香、もう病院出てきて大丈夫なの?」
「夜にはまた戻るけどね。ちょっと、リサちゃんと2人きりにさせて。」
「っ!」
「ええ、良いわよ。」
「それじゃあみんな、どこか喫茶店にでも行くか。」
「えっ!?いいんですか~!?」
「宇田川さん、少しは遠慮しなさい!」
「良いの良いの!ほら、行くよ~。」
「ハーイ!」
綾斗くんのご両親は、アタシと夕香さんを家に残し、友希那たちを連れて外に出掛けた。
アタシは、アタシの前に座った夕香さんに対して身構えてしまった。綾斗くんの葬式に行かなかったことを怒っているのではないか、って。だから、咄嗟に謝ってしまった。
「夕香さん、ごめんなさい。綾斗くんの葬式に出なくて・・・・・・あの時、綾斗くんを家まで送らなくて、ごめんなさい・・・・・・!」
「・・・・・・リサちゃん。」
「・・・・・・!」
名前を呼ばれても、アタシは謝罪の言葉と共に下げた頭を上げることが出来なかった。夕香さんがどんな顔をしているのかさえ、想像もしたくなかった。
「リサちゃんは、本当に優しすぎるよ。お姉さん、リサちゃんの将来が心配になっちゃうな~。」
「えっ・・・?」
アタシは夕香さんの言葉が予想してたのと違い、頭を上げてしまった。
「通り魔殺人なんて、リサちゃんのせいじゃない。それに、一緒にいたとしても、綾斗くんがリサちゃんを庇ってたかもね。死期が近い人間より、未来がある方を守ろうとして。」
「・・・・・・。」
「あとね、綾斗くんから聞いてたの。『自分の葬式にリサちゃんは来ない』って。」
「綾斗くんが・・・?」
「えぇ。だから・・・・・・リサちゃんに会ったら渡してって言われてたの。この中にある動画を最初に見てって。」
「これ、綾斗くんの・・・・・・。」
夕香さんから渡されたのは、綾斗くんが使っていた音楽プレーヤー。技術の進化もあって、動画も看れるようになっている。
アタシは夕香さんに渡されたヘッドホンを付けて、唯一入ってる動画を再生した。それと同時に、夕香さんもどこかへ行ってしまった。
『やぁリサ、元気にしてるかい?・・・・・・って、死人に言われても嬉しくないか。』
そこに映ってたのは、生前に撮影された綾斗くんだった。
『君がこれを見てるってことは、僕はもういないんだね。でも、どうせ君のことだから、僕が死んですぐにこれを見ている訳ないしね。』
何よ、アタシのことはほとんど知らない感じだったのに・・・・・・。そんなとこ、見抜かなくていいのに・・・・・・!
『僕としては色々言葉を送りたいんだけど、どうにも浮かばないから、1曲だけ、君に送るよ。・・・・・・ギターを弾かないのは、許して。』
綾斗くんは横に置いてある端末を操作して、音楽を流し始めた。聴いたことのないメロディーだから、アタシの知らない曲ってことしか分からない。
『ぬるま湯に足首までつかって 1人 静かに溶けたいだけなのに Oh
氷ごと水をかけられちゃ 僕は
蝉の聞こえない裏路地 匂いのしない駄菓子屋も
おまえのせいだってわかってんだ 僕の夏を返してよ
あぁ くらくらする きっと暑さのせいじゃない あおい空のせいでもない
アイスクリームに かぶりつく横顔にただ 嫌気がさしただけなんだ』
もう、何よこの歌。まるで「彼女に会わなければ普通の夏を過ごせたのに」みたいな感じにさせるじゃん・・・・・・。
『ずっと打ち上がらない花火 胸に響いてこない音
おまえのせいだってわかってても 僕の夏を君は捕る
だから あぁ くらくらして きっと僕だけじゃないだろ ずるい君のせいなんだろ
明るくなった 一瞬の横顔にただ 嫌気がさしただけなんだ
赤みがさしただけなんだ』
でも・・・・・・なんとなく分かるよ、綾斗くんがこの曲を聴かせた理由。
『・・・・・・リサ、うざったいほどのお節介をありがとう。ちゃんとした恋愛しなよ。あと、その音楽プレーヤーの中に、今まで僕が歌った曲を録音して入れておいたから、嫌なら消してくれ。それじゃあ、さようなら。』
ここで、動画が終わってしまった。
「・・・・・・もう、最後くらい・・・・・・素直に言ってよ・・・!」
アタシは、彼からのひねくれた感謝と愛の言葉を受け取り、失くなったと思っていた涙を流した。
人はいつ死ぬのか分からない。アタシだって、あと数秒で死ぬかもしれない。だから、後悔しないように生きよう。アタシの初恋を、胸に秘めて・・・・・・。
以上を持ちまして、綾斗の一生と「生命の灯火」は終了となります。今まで読んでくださり、ありがとうございました。
最後に書いた曲は「楠木ともり」さんの『眺めの空』です。バラードテンポの、少しひねくれた男子の、ある女子を思った歌です。
歌詞を書こうとは思ってました。今回書いた『眺めの空』かKinKi Kidsの『愛のかたまり』のどっちかを。「綾斗だったら」を考えて、純愛な『愛のかたまり』より、ひねくれた『眺めの空』を書きました。
これからのENDLICHERIは、現在筆頭中の作品を書いたり、もしかしたら新作を出したりすると思います。こんな作品になるかは分かりませんが、見ていただければ嬉しいです。
・・・・・・こんだけ真面目に書けば十分か?んじゃ、おつモニ~!