アズールレーンのまだ無い世界 ―碧き航跡の鎖― 作:焦げた紅茶
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深い意識の底
光のみえない暗闇
鼓動のおと
血のにおいと温もり
誰? あなた
あやなみ
私は 何?
綾波の中にいるのは?
本当の―――
?
あの子が呼んでる...
夏の日差しが照り付けられる東京湾。放棄された艦艇の残骸の数々。その中に工作艦と護衛の巡洋艦に横付けされた修復中の戦艦があった。
「第三実験棟にて待機って言われたけど...ん~、ここどこ??」
迷った
通路上で手元のパンフレットに描かれた案内図を眺めながら、冷や汗をかく一人の艦船。駆逐艦吹雪。
「定期検査と迎えに行くだけの簡単なおつかいって、愛宕さんから聞いてたのに。他の皆は任務で太平洋に行っちゃったし、しばらく会えないのは寂しいなぁ。」
パンフレットに挟まれた一枚の命令書に目を移しながら考える吹雪。そこには、機密指定と判を押された黒塗りの文書。そして唯一、記された『特型駆逐艦の移送』の文字。
「にしても、なんでこんな複雑な道になってるんだろう。艦内通路は薄暗い上に、人もほとんど見当たらなかったし。一体、何のために...」
妙に”戦艦”らしくない内部構造への疑問が頭をよぎる。
その時―――
ドーンッ!
衝撃で転ぶ吹雪。慌てながら壁に寄りかかっていると、警報の
「上からの振動。魚雷じゃない。爆撃されたってこと!?」
◇
一方、巡洋艦内艦橋。外は黒煙に包まれるが如く惨状が広がっていた。伝声管から慌ただしく響く怒鳴り声がこだまする。
―――『艦尾被弾、砲塔故障!!』『機関部浸水、火災発生!!』『外部供給用電源ケーブル、破損。"工廠"との通信ケーブルも同じく断線した模様。』
壁に掛けられた受話器を取る軍人。
「各員、損傷箇所の応急作業に当たれ。対空砲員は構わず配置に就け。全艦、合戦準備!」
息を切らしながら艦内電話を切り上げる老齢の艦長。
「これで少しは時間稼ぎになるか。」
そのような様子を尻目に、不意にぶつけた頭を抱えながら起き上がる陸軍将校がいた。
「全く、せっかくの昼休みが台無しですな。ここから乾ドックが燃えてるのが良く見えますよ艦長殿。いずれにせよ、ここの偽装がバレるのも時間の問題でしょうな。」
「それにしても、情報より随分と早いではないか。いきなりここを襲ってくるとは...」
腰を痛めた様子ながらも、事態に動揺を隠せないでいる。
「どこかで漏れたと考えるのが自然でしょう。戦争の真っ只中だというのに、政治に付き合わされるのは面倒この上ないな。私は下を手伝い行きます。客人扱いは慣れないものですから。」
「かたじけない。今のご時世じゃ、どこも人手が足りん世の中だからな。」
よろけそうな足取りで将校が退室しようとしたところで思い出したように
「あぁ、それともう一つ。例の計画の
そう言い残して足早に降り去っていく姿を、呆然と見つめる。
「・・・。」
燃え行く艦を、基地を、国を、海の上でただ眺めるしかなかった。
「今の我々自身に為せる事が無いというのに、一体何の為の軍人であるのか。」
かの事変から始まった戦争がいつの間にか、圧倒的な
「一介の予備役でしかなかった私がこうした形で戻るとは、つくづく嫌な世の中だよ。」
こんな時、大陸に残してきた家族のことを気に掛けてしまうものだな
「ただ祈る事しかできない私を、どうか許して欲しい...」
予定ではもっと短かったのですが、文字数足りなくてエラー喰らったので、やむなく繋げて投稿。