アズールレーンのまだ無い世界 ―碧き航跡の鎖― 作:焦げた紅茶
戦況図と偵察映像を眺めているオブザーバー。
「敵沿岸砲台群は無力化。目標物がまだ見つからないのが少し癪だけど。第一波の爆撃で基地諸共、水上艦艇は粗方行動不能。洋上ではピュリファイアーがうまく囮になって敵主力艦隊を誘引、分断できたのはいいとしても気付かれるのは時間の問題。別に展開している戦略爆撃機用の大型空母がいつまでも安全とは言えない状況ね。とはいえ、一番厄介な一航戦を首都に釘付けにしてる今なら突入できるかしら。」
通信回線を開く。
「ようやく出番よ、オミッター。」
「あのさぁ。わざわざ、呼びつけておいてこんだけ待たせるのひどくなぁい?嫌がらせのつもりかよ?」
相当退屈だった様子で、オブザーバーに悪態をつくオミッター。
「北極で退屈してたあなたなら何ともないと思ってたけど?それに、その玩具で遊ぶせっかくの機会を与えたのはこちらでしょうに。」
「あっそ。んなこと、分かってるっての!」
通信が切られる。
「性格は少々面倒だけど、扱いやすいに越したことはないわねあの
そう考えを巡らせていたところへ、本土上空を飛行していた高高度偵察機が映し出している映像に、海面に立つ人影があるのを見つける。
「あら、まだ向こうにもまだ予備があったの?見ない子ね。長門?ふーん。」
オブザーバーが何かを確信したのか微笑を浮かべる。
「"もの"は意外と近くありそうねぇ。」
◇
湾口まであと数分の海上を高速で突き進む量産型艦艇の甲板上で待機しているセイレーンの上陸部隊。いつになく苛立つオミッター。
「チッ、面白い話だからって聞いたからわざわざ乗ったのにさぁ。結局、美味しいところ全部ピュリファイアーに持ってかれたんじゃねぇかよぉ。おまけに初手の爆撃で相手残ってな――」
延々と愚痴を垂れ流しているところに、オブザーバーから送られてきた新たな艦影発見の報せに釘付けになる。
「ハッ、長門型が単騎で待ち構えている??おいおい冗談だろォwww」
思わず吹き出すオミッター。湾口周辺の地形に目を向ながら位置を確かめ始める。
「あそこの稜線を過ぎればこちらの射程距離内に入る上に、向こうは空母の観測支援無しに突っ立ってるだけ!とうとう敵さんの頭までイカれちまったのかァ?」
余裕どころか完全になめ切ったオミッターは、全艦隊を長門に対して即座に展開、包囲させるべく号令を下す真似をしようとする。
「コケにしてんのか?上等だ。一発お見舞いしてやれッ!全艦!砲戦用意ッ!」
数隻で構成された上陸支援に用意された量産型戦艦隊の主砲塔群が照準を始める。
いや、おかしいだろ...なんで、今現れたんだ....??
「砲撃と同時にとt―――」
ドドドドドォォォォォンンンッッ!!!
一瞬の気の弛みだった。展開の為に艦隊が速度を落とし始めた矢先に、彼方から降り注ぐ無数の砲弾が海上に叩きつけられる。艦艇は無数の残骸を晒し、榴弾の爆風に吹き飛ばされる人型セイレーン達。誘爆により爆音を轟かせながら何十メートルもの黒煙が辺りを包んでいく。
そして長門は、
前半終わり。次、いつになるかわがんね。