「商人さん、ここはいったい・・・ただの草原のような・・・」
「見た目はただの謎の草原だが、ナジミの塔地下への入口と鍵が開かないが謎の扉があるんだ。意味はないが寄り道してみた」
「ただの草原なのに謎が多いですね!開かない扉なんて怪しすぎですよ!この世の中に意味のないものなんて、きっと無いはずです!念入りに調査しましょう・・・わ、足がもつれましたー」
遊び人は、足がもつれてその場に倒れた・・・遊び人は顔面から草原に突っ込む。
「ぺっぺ!顔面からいったら、口の中に大量の草が!あれ、この味は馴染み深いというか、食べ飽きたというか・・・モグモグ、こ、これは薬草です!」
俺は遊び人が倒れた周りの草を鑑定した。商人は職業特性でアイテムを鑑定することができるのだ。
「まじか!確かに薬草だ。この辺りは、薬草の群生地帯のようだな・・・俺はこの瞬間、謎の草原の謎を一つ解いた気がするよ・・・では、早速・・・」
さすが運の良さ極振りの職業、遊び人。薬草の群生地帯を見つけるとは・・・遊び人の運の良さに驚きながらも、俺はその辺の草を鑑定して、見つけた薬草をむしっては袋に詰めていく。むしった薬草で袋がいっぱいになると、袋を遊び人に手渡し、
「それでは遊び人。この薬草をレーベの村で売って来てくれ」
「え、今からですか?今日は今日の冒険はこの辺りで切り上げて、レーベの宿屋でのんびり疲れを取りたいなーなんて、当たり前の休息を再提案します!」
「ほれ」と言って、商人は遊び人に薬草を手渡した。
「大丈夫だよ、遊び人!薬草を食べれば完全回復だ。それこそ、薬草は売るほどあるしね!薬草の売値は一つ6Gだ。草原全体がゴールドに見えてきた!ゴールドをむしりまくるぜ!」
「一人で村に向かうなんて、完全にパシリ扱いです・・・ボクはすごくブラックなパーティーに入ってしまいました・・・」
遊び人は薬草を抱えて、駆け足でレーベの村に向かった・・・その日、何度も遊び人は商人が刈り取り下した薬草をレーベの村に売りに走った。日は沈み辺りはすっかり暗くなっている。少しずつ遊び人の疲れは蓄積していった。
「まだやるの商人さん・・・これがボクたちの目指すハッピーエンドになのでしょうか・・・2人でレーベの村に行くって言ったのに・・・そろそろ、足が棒のようになってきました・・・」
「ほれ、薬草だ。まだまだ、頑張れ」
遊び人はトボトボとレーベの村に向かった。そして、夜が更けていく。
「商人さん・・・もう夜中なので道具屋さんが閉まってしまって・・・道具屋さんお店を開けてもらって、薬草の買い取りをしてもらっていますが・・・さすがに、5回もお店を開けてもらうのは、人としてどうかって思います・・・」
「寝ている道具屋を何度も起こすのは、人の道から外れているかもしれないな。だが、安心しろ遊び人。薬草は武器屋でも買い取りしてくれる。武器屋で売ろう!まだまだ頑張ろうな、遊び人。神は超えられない試練は与えないんだ、そして明けない夜はない・・・」
「・・・・・・朝まで続ける気、まんまんですね・・・武器屋のおじさん、ムキムキで怖そうだったのに・・・」
遊び人は涙を浮かべながら、レーベの村に向かった。ある時はフロッガーに舐められ、ある時はバブルスライムの毒に侵されて、アルミラージのラリホーで寝てしまった時は、商人に「居眠りするな」と怒られて・・・それでも、遊び人は薬草を売り続け・・・そして、夜が明けた。
「これで謎の草原の薬草は、あらかた刈り取りが終わったな。まさにゴールドがつまったボーナスステージだったな。そろそろ、レーベの村に向かおう!」
商人はビシッとレーベの村を指さした。朝日が謎の草原を優しく包み込んだ。一面の野草に覆われた謎の草原のあちこちは、商人の乱獲によって地面がむき出しになっている。この乱獲によって、しばらくの間、謎の草原で薬草の繁殖が激減し、レーベの村の薬草摘みで生計を立てている人々に経済的な打撃を与えたことを商人は知らない・・・
「ボクは、すでにレーベの村に20回以上行ってますけどね!」
今度こそ2人でレーベの村に向かった。
レーベの村に到着した俺たちは、まずは武器屋に向かった。この村の武器屋のオヤジはムキムキマッチョらしいので、見た目の圧力に対抗するために、第一声から気合いを入れていくぜ!
「ムキムキの武器屋のオヤジ!武器を見せてくれ!」
「何がムキムキゴリゴリよ!こんな美人に対して失礼極まりないじゃないか!」
武器屋のカウンターには美人ではないけど、おばさんが立っていた。あれ、事前情報と違うな。
「うちの旦那なら、そこの遊び人ちゃんが一晩中寝かせなかったから、まだベッドの中だよ。ということは、商人さんが、こんな田舎の武器屋に深夜から早朝に何度も、起こして店を開けさせた狂気の元凶だね。まあ、うちも買い取った薬草で儲けさせてもらうから、文句を言う気はないわ。今度は本業でももうけさせてね!いらっしゃいませ。ここは武器と防具の店ですが、どんなごようでしょうか?」
まさにウインウインの関係だ。ビジネスはこうでないとね!徹夜で走り続けた遊び人と武器屋のオヤジの苦労も、きっとウインウインだな。しかし、遊び人のモチベーションが徹夜のせいで大幅に下がっているから、ここでモチベーションアップをはかるか!これは、リーダーとしては必要な作業である。
「今回は遊び人の頑張りでゴールドが手に入った。遊び人が好きな装備を選んでいいぞ」
徹夜の謎の草原とレーベの村の往復マラソンをこなし、死んだような眼をしていた遊び人の顔がパッと輝いた。
「ボクが選んでいいんですか!武器屋のお姉さん、商人と遊び人が装備できるものを見せてください」
「お姉さんだなんて、遊び人ちゃんは正直だねー。たしかに私は若く見られがちだから、お姉さんと呼ぶのが正解かもしれないわね!正直な男の子にはサービスしちゃうよ。こんなのはどうかな・・・」
2人とも武器はコストパフォーマンスが高い銅の剣を購入。鎧は・・・遊び人は水色の稽古着、俺は濃い茶色の皮の鎧を購入した。頭装備はおそろいのターバンを2つ購入。武器屋のおばさん・・・じゃなくてお姉さんは、利益に走らず、コストパフォーマンスも重視したお勧めをしてくれたようだ。
「ボク、ターバンをつけてみたかったんです。ターバンって可愛いですよね!しかも、商人さんお揃いです!」
「ターバンは値段の割に防御力が高いし、商人と遊び人の専用装備だからな。ナイスチョイスだ」
商人に褒められた遊び人は「てへへ」と照れている。
「遊び人ちゃん、たくさん買ってくれてありがとうね!買った装備はここで身に着けて行くかい?と、言いたいところだが、遊び人ちゃんは、頭に血がこびり付いてるし、ピエロメイクは取れかかっているひどい状態だから、うちのお風呂で汚れを落として行くかい?」
「お姉さん、いいんですか!お風呂、使わしてください!」
俺はこの世界に転生してから初めての武器・・・銅の剣を受け取り、皮の鎧とターバンを身に着けた。まだこの村でやることがある。お風呂中の遊び人を武器屋に残して、俺は村の探索に向かった。
これから冒険の舞台は、アリアハンからロマリア地方に移り変わる。ロマリア地方には、いざないの洞窟最深部の旅の扉を使って向かうが、いざないの洞窟の入口は壁で封鎖されている。この壁を破壊するキーアイテム「魔法の玉」と呼ばれる爆弾がレーベの村で入手できる。俺は、魔法の玉をくれる爺さんのところに向かった。
「やっぱり、扉に鍵がかかっているか・・・」
魔法の玉をくれる爺さんの家の扉には鍵がかかっており、どんなにノックしても、大声で呼びかけても扉は開かなかった。ゲームをシナリオ通りに進める場合、この扉を開けるために盗賊の鍵が必要だ。盗賊の鍵は、なじみの塔の居眠りがちな老人がから貰える・・・これは、ロマリア地方に向かうための最初のキャンペーン(連続した)シナリオである。どうやら、キャンペーンシナリオの進行には、盗賊の鍵を入手、レーベの村で魔法の玉を入手、いざないの洞窟の壁を破壊してロマリア地方に向かう・・・一連の手順を踏む必要があるようだ。この世界に1つしかない、盗賊の鍵や魔法の鍵などの「大事なもの」が必要なキャンペーンシナリオは、アイテムを入手した者だけがシナリオ進めることができるということだろう。そもそも、倒すべき魔王バラモスも大魔王ゾーマも1体ずつしかいないのだから・・・俺が魔法の玉の爺さんの家のドアを、借金取りのように強ノック連打していると村の入口で歓声が上がった。
「勇者様とお仲間が到着したぞー!勇者様、バンザーイ!!」
この世界ではターバンは武器屋も買える設定です!