「商人さん、暴れ猿が3匹現れました!」
「眠りの杖で眠らせろ」
「商人さん、また暴れ猿が3匹現れました!」
「眠りの杖で眠らせろ」
「商人さん、今度はキャットフライが4匹も現れました!」
「眠りの杖で眠らせろ」
「わ、足がもつれましたー」
遊び人は、足がもつれてその場に倒れた・・・倒れた遊び人をキャットフライは取り囲み・・・
「ぐわ!4匹のキャットフライが一斉にマホトーンを!ボクの呪文が封じ込められました!」
「・・・安心しろ俺たちは魔法なんて使えないからな」
俺は遊び人に、たかったキャットフライにチェーンクロスを叩きつけた!
激戦を潜り抜けた俺たちはアッサラームにたどり着いた。砂漠の入口にある中世アラビアのような街並みが広がる金と歓楽に溢れた町、アッサラーム。大きな歓楽街にはベリーダンス劇場や怪しいマッサージ店などが並ぶ、男の子の憧れが詰まった町だ。
「商人さん、この町の名物料理は、暴れざるそばです。冷たくてのど越しが最高って評判です!それともー、商人さんも男の子だから、やっぱり歓楽街ですか?男だけのパーティーですから、安心して遊べますね!・・・と言っても、やっぱり今回も装備更新してイシスへ強行軍するパターンですよね。遊んでいる時間なんてないですよね・・・」
「よし、歓楽街に行くぞ」
「そうですよね、強行軍ですよね・・・って、歓楽街に行くんですか!驚きのあまり、思わず乗り突っ込みしちゃいましたよ!まだまだ日は高いですが、昼遊びも良いですよね!遊びの達人であるボクがしっかりとご案内しましょう!接待を伴う飲食店にしましょうか?それとも、心も体も癒されるようなお店にしますか?」
「決まっているだろう。ベリーダンス劇場だ」
「うーん。この時間は、まだ劇場はやっていませんが・・・ベリーダンス劇場ですか・・・商人さんは、こういうのが好きなのですね・・・とりあえず、行ってみましょうか」
アッサラームの歓楽街の中でも、最も大きいな施設であるベリーダンス劇場にやってきた。劇場のオープンは夜からである。この時間では開いていないが、劇場の中では10人ほどの踊り子たちが夜のオープンに向けて、ベリーダンスの練習をしていた。練習中なので露出度の高い派手な衣装は着ていないが、くねくねと体をくねらせる動きは踊り子の達の豊満な体と合わさり、俺の目をくぎ付けにするには十分過ぎる光景だった・・・いかん、いかん、ここに来た目的は、ダンスの練習をのぞき見することではない。劇場の座長に会いに来たのだ。
「座長、話があるんだが少しいいか?」
ダンスの練習を監督していた座長が胡散臭げな顔でまじまじと俺と遊び人を見ている。遊び人をじっと見つめて、
「なんだ、女の売り込みか?いい女だが、ここはベリーダンス劇場だぞ。ムチムチさが足らんな」
「確かにいい女に見えるが、こいつは男だ」
「なに!この美しさで男だと!素晴らしいぞ!この劇場での踊り子は難しいが・・・いや、これはこれでいけるか・・・」
「魔王討伐の為に旅をしていたはずのボクが劇場に売り飛ばされそうになっています!」
「魔王討伐だと・・・事情が変わった。話を聞かせてもらおう」
俺は座長に、これまでのこと、伝えたかったことを話した。魔王討伐の為にアリアハンから旅立ったこと、ノアニールの呪いから解放したこと、嫌な客にしつこくされてこの劇場から逃げ出したレナが元気に暮らしていること、「座長は元気かしら?」と気にしていたこと・・・
「商人さん!レナって誰でしたっけ?ボクの知らない女の名前がこんなところで出ました!」
「そうか、お前がノアニールを解放した商人か。昔はノアニール出身の踊り子もいた・・・みんな、故郷の惨状を嘆いていたものだ。ノアニールを救ってくれて、ありがとうな。そして、ノアニールを救った英雄がレナからの伝言を聞けるとは・・・」
「ああ・・・レナは元気に暮らしている。訳があって居場所は教えられないが、座長のことを気にしていたぞ」
「・・・そうか、居場所は聞かないでおこう。レナをつけ回した客はしつこいからな・・・レナは、あいつをいまでも警戒しているのだろう・・・教えてくれてありがとう。商人になにかお礼をしたいが・・・そうだ、少し待っていろ」
座長は控室に向かった。レナは下の世界、アレフガルドで暮らしている。レナの話をベリーダンス劇場の座長に伝えれば、強力なアイテムをお礼としてもらうことができる。この一連の情報は俺がドラクエ3のゲームで知った情報だ。現時点で上の世界でこの情報を知る人間は転生者である、俺だけだろう・・・「レナって誰?商人さんの昔の女?今の女はボクだっけ?」遊び人がブツブツ呟いている。遊び人、お前は男だ。しばらくすると、座長が戻って来た。戻った座長の手には・・・
「商人、お前にお礼をしたい。これは、レナが戻った時に渡そうと思っていたものだが、お前にあげよう。きっと、魔王討伐の役に立つはずだ・・・」
俺は座長から、ビキニタイプの水着を受け取った。俺は早速、水着を商人の特殊能力で鑑定した。鑑定結果は・・・魔法のビキニ、女性専用防具、職業による装備制限なし、守備力65。現時点で手に入る防具としては破格の性能だ。女性専用防具ではあるが・・・
「商人さんがきわどい感じの水着を念入りに見ながら、ニヤニヤしています!周りの踊り子さんたちのドン引きしています!」
夢中になって念入りに魔法のビキニを調べていた俺に、踊り子のお姉さんたちは冷たい視線を向けている。俺は、純粋に鑑定能力で防具としての性能を調べただけだ。ほんの少しは、ムチムチの踊り子さんたちがこれを着た姿を想像したが・・・
「何故、俺にそんな視線を向けるんだ・・・」
「商人さんが無意識のうちに、踊り子さんたちを見ながら水着をにぎにぎしているからです!」
俺は踊り子さんたちの冷たい視線を浴びながら劇場を後にした。魔法のビキニを大切に懐にしまって・・・