「ハァーッ……ハァーッ……‼︎」
イカロスのコクピットの中、肩で息をする翼
荒ぶる自分の心を押さえるかのように胸を押さえる
ビーッ‼︎ ビーッ‼︎
「な、アラート…⁉︎」
翼が顔を上げる
外の様子を映し出すモニターにいくつもの警告表示と共にイカロスの機体の損傷部位がいくつも表示され赤く点滅している
「こんな…こんな損傷部位が…⁉︎ メンテナンスの時は無事だったはずなのに…⁉︎」
疑問に思いながらもなんとかイカロスを操作し、離脱の準備をする
(イカロスの操作が重い……こんなこと今までなかった……)
なんとか立ち上がるイカロス
その目前に光輝く球体状の飛行体が数体飛来した
「何だ……あれ……」
イカロスの周囲を警戒していたガンブレイバーから翔真が球体を見据える
同じようにそこにいた何人もが球体を見上げていた
聴衆の中にはスマホで写真や動画を撮るものもいた
そんな人々のスマホが、ガンブレイバーやバスター、シーウインガーの計器が、イカロスのモニターがノイズを記録し、無機質な「声」を紡ぎ出す
『矮小で蒙昧な人類よ。お前たちに未来は存在しない』
女性のような声が神戸市各地より響く
それと共に球体は一斉に光弾を放ちイカロスを攻撃し始めた
「ぐぁっ⁉︎」
不意の攻撃にイカロスはよろめき、膝をつく
『自らを万能と過信する傲慢。それによって破壊されてゆく惑星。お前たちは自ら未来を閉ざし、自滅する運命から逃れられない』
球体はイカロスへの攻撃をやめ、その体に高速で接近していく
「させるかッ!!」
ブレイバーのバルカン砲が球体をすんでのところで撃ち落とす
イカロスはなんとか立ち上がろうとするが、既にエネルギーが限界に近く、タイマーリアクターが赤く点滅している
「こんな時に…‼︎」
『翼さん、無茶するな‼︎』
翔真の言葉に我に返り、翼はなんとかイカロスを立ち上がらせ、空へと離脱させる
追おうと飛来する球体はブレイバーたちがなんとか一掃した
「こいつら……一体なんなんだ⁉︎」
『我らはお前たちが選ぶべき最善の「未来」そのものだ』
新たに現れた球体のひとつ。一際大きな球体がその側面を裂かせ、文字通り「口を開く」
『我らはあらゆる苦痛を、あらゆる恐怖を超えた完全にして無欠の生命体。我らこそ、最善の未来を紡ぎ為すもの』
『まだお前たちも遅くはない。我らと同化せよ』
『全ての生命は我らに回帰、同化するべき存在。我らと一つになることこそ、全ての宇宙に平和をもたらす』
『いがみ合い争い自滅することも、有限なる命と死に怯えることもなくなる。我らこそ最善の未来。究極の楽園』
淡々と抑揚のない「演説」を読み上げる球体を華鈴は忌々しげに睨む
「何が最善の未来だ……そんなもの、あたしたち自身で決められるんだよ。人類なめんな!」
リーダー格らしい球体が口を閉じる
『愚かな。じきにお前たちは理解するだろう。光はいつか翳りうることを。自らの破滅が変えようのない未来であることを』
『あの光の巨人が再び現れる時、お前たちは真に必要な未来を理解するだろう』
それだけ告げ、球体たちは一斉に姿を消した
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ウルトラゾーン内部
フェニックスネストが飛ぶ宇宙空間に似た暗黒の空間
過去に報告のあった通り、そこには過去に地球に現れた怪獣たちや異星人の魂が仮初の肉体を形取り浮遊していた
怪獣墓場
怪獣たちが眠る宇宙の墓場がそこにあった
「ほほう……ドキュメントに記録のある怪獣も、記録に無い怪獣もいる……違う宇宙から来たウルトラマンたちが戦った怪獣たちまでここにいるということは、ここはやはり次元すら超越した空間だということに…‼︎ くぅ〜じっくり見聞したい‼︎」
興奮した様子で映像やデータを取りまくるケリス
それを宥めるように手を振る剛
「残念だがそんな暇は流石に無さそうだ。この空間自体が不安定。かつネクロヴァイスの根源も断たねばならないしな…」
「ぐぬぬぬ……G.I.G.……ネクロヴァイスの反応、及び時空間異常の結節点をサーチします」
唇を噛み締めながら頬を叩き、ケリスが輝と共に周囲のサーチを開始する
しばらくのサーチの後に目星をつけたケリスがモニターに目標を表示する
「この空間内で異常にネクロヴァイスのエネルギー濃度が濃い地点を確認。遠方に見えるあの小惑星内部です」
モニターに映し出されたのは一部が崩壊し、半月状に欠けた小惑星
その一点にネクロヴァイスのエネルギー異常集中を示すポイントが打たれている
「エネルギー異常点にちょうど時空間異常結節点もありますね。ネクロヴァイスが原因で生まれたのか、それとも時空間異常からネクロヴァイスが生まれたのか……」
「どっちだかは今関係ない。同じ地点にあるならこっちのもの‼︎」
「そういうことだ。目標惑星に向けて突入体勢!」
『G.I.G.‼︎』
フェニックスネストは船頭を小惑星に向け、突入を開始した
フェニックスネストが突入した小惑星
そこは、まるで地獄のような光景が広がっていた
崩壊したビルのような構造
砂漠化し、砂に構造物たちは半ば以上埋もれていた
生き物は愚か、草の一本も生えていないのだ
「なんなんだよ、これ……」
「死の惑星、にしてもなんだか気分が悪い……」
ケリスが周囲の構造をサーチ、その分析をはじめる
そして一瞬目を見開き、顔を青ざめさせる
「これって、嘘、そんなー」
『地球人類、消エロ』
フェニックスネスト内の計器から不気味な声が響く
ーギャオオオオオオン!!!
と同時にフェニックスネストに大きな衝撃が走る
「ぐっ!?状況を!!」
「せ、艦外カメラの映像から確認!!怪獣です‼︎」
フェニックスネストの外、その外装に突撃してきたのはロケットのような体型の怪獣
岩石のようにゴツゴツした体表を持つその怪獣はフェニックスネストに再度突撃し、執拗に攻撃してくる
「わわっ、コイツッ⁉︎ なんてヤツだ‼︎」
ーゴァァァァァァァァ!!!
追い討ちをかけるかのように今度は地表から亀のような大きな甲羅を背負った別の怪獣が火炎弾を放ち攻撃してくる
「輝、ケリス‼︎ レガシーウインガーとレガシーローダーで出撃‼︎ 怪獣を迎撃する‼︎」
フェニックスネストからレガシーウインガーとレガシーローダーが発進、それぞれの怪獣に向けて飛来していく
「ウイングレッドブラスター‼︎」
ウインガーからのビームが飛行怪獣ーガイガレードを撃ち抜き、その体勢を崩す
ーギャオオオオオオン!!!
折りたたんでいた頭を展開し、着陸したガイガレードは腹部を展開したワームホールから岩石を放つ
「わわわわッ!?なんなんだコイツ!?」
輝はウインガーを操舵しなんとかばら撒かれた岩石を回避する
ーゴォアアアアア!!!
火炎弾による攻撃の隙間を縫い、レガシーローダーが大亀怪獣ーグライキスに肉薄する
「バリアブルパルサー、発射‼︎」
ローダーの放つ光線が大亀怪獣を穿ち、その体をよろめかせる
ーギャオオオオオオン!!!
ーゴォアアアアア!!!
2体の怪獣を前にフェニックスネストを背にした2機が相対する
『地球人類よ。お前たちに未来は存在しない』
再び計器から声が響くと共に2体の怪獣たちの背後に光り輝く球体群が飛来する
「あの球体が話している……?何者だお前は⁉︎」
剛の詰問を受け、球体群は冷淡な言葉を紡ぐ
『スフィア。ある宇宙の地球人類たちは、我々をそう呼称した』
「スフィア……?」
『我々は完全にして無欠の生命体。争いによる自滅も、限りある命故の死の恐怖も超越した宇宙和平そのもの』
『我々がかつて在った宇宙の地球人類は我々との同化を拒んだ。唯一救われる道を拒んだのだ』
『だが、お前たちはまだ間に合う』
スフィアと名乗る球体は機械的に言葉を紡ぎ続ける
『我々と同化せよ。我らの一部もまた、かつては争い怯える人類であった』
『だが、その者らの恐怖も今や存在しない。我々と一つになった今ならば』
『争いによる自滅を繰り返し、愚かな理想による破壊を宇宙にすら持ち込まんとする地球人類は、そうすることのみが救いなのだ』
スフィアの演説を聞いていた剛はモニター越しの彼らを睨む
「断る!!限りある命だろうと、何度誤ちを繰り返そうと、我々人類は我々にしか選べない未来を、自身の意志と力で選び取る!!」
「右に同じく‼︎ お前らみたいな胡散臭い連中の言葉なんかそもそも信じられないんだよ‼︎」
剛と輝はそれぞれにスフィアの誘いを拒絶する
が、ケリスは一人唇を噛み締めていた
「メテオール解禁!!我々人類の意地を、見せつけてやる‼︎」
『バーミッション・トゥ・シフト、マニューバ!!!』
レガシーウインガー、レガシーローダー2機がマニューバモードへと変化する
ーギャオオオオオオン!!
ーゴォアアアアア!!
戦闘態勢に入った2体の怪獣が咆哮
グライキスが火炎弾を連射し、ガイガレードが腹部から石くれを射出する
「ブリンガーファン、ターンオン!」
レガシーローダーはその弾幕をファントムアビエーションで回避しながらブリンガーファンを点火、吐き出された岩石を絡めとり、2体の怪獣へと叩きつけて吹き飛ばす
「……先輩、任せましたよッ‼︎」
「おう‼︎ スペシウム弾頭弾、ファイア‼︎」
ローダーと入れ替わりに突撃したウインガーからスペシウム弾頭弾が放たれ、倒れた2体を追撃する
「高分子エネルギーミスト圧縮、メテオール弾頭チャージ完了。輝、ケリス‼︎ 後方へ!!」
剛の指令に従い後退する2機
その背後から現れたフェニックスネストの主砲にはメテオールの青白いエネルギーがチャージされていた
「フェニックスフェノメノン、ファイア‼︎」
放たれた空間すら震わせる一撃
回避することすら叶わず、2体の怪獣へ直撃しその体を爆散させた
その光景を冷ややかに見下ろすスフィアたちを剛が睨む
「ー人間を舐めるなよ‼︎」
その言葉が聞こえたか否か、スフィアたちは
ーフフフ、ハハハハハハハハハハ……ッ
底冷えするほど不気味で機械的な嘲笑で答えた
『我々が地球人類を過小評価している。それは否である』
『ー必要以上の文明を持つからこそ、我々への同化か、滅亡かを提示しているのだ』
スフィアの言葉と共に小惑星の大地が震えだし、地面から無数の紫の水晶塊が突き出す
「ネクロヴァイス…⁉︎ まさか、この星そのものがネクロヴァイスの集合体だって言うの⁉︎」
ネクロヴァイス塊の露出が終わってもなお、大地の鳴動は続く
更に巨大な何かが、その姿を現そうとしていた
『別宇宙で滅んだ我々はこの墓場で目覚め、そしてこの結晶から記憶を得た』
『そして知った。人類が、その愚かさに不釣り合いなほど強大な文明と戦力を持ち得ることを』
フェニックスネストやウインガー、ローダーのモニターに様々な映像が映し出される
そこには、様々な制服を纏う防衛隊の隊員が、様々な戦闘機が怪獣や異星人を撃破していく様子が映し出されていた
怪獣や異星人の断末魔が機内に響く
『この星はお前たちの愚かさの結末。お前たちが言う意志と力で選択したその結末である』
「何をバカな……」
『……いえ、スフィアの言葉は本当です…』
剛の言葉を震える声で否定したのはケリスだった
大地の鳴動と共に周囲の地形の砂が崩れ、中の構造物がいくつか顕になる。新たに見えてきた構造物は、半ばから折れた2本のタワーとー
『あれは……スカイツリーに東京タワー……⁉︎』
「それにアレは……フェニックスネスト……⁉︎」
半ば以上崩壊した不死鳥の砦だった
その側には真っ二つに折れたウインガーや主翼だけ残ったローダー
コクピットが砕けたブレイバーに大きな穴が開いたバスターとシーウインガーが転がっていた
そして、ビルにめり込むようにして倒れたその巨体はー
「ウルトラマン……イカロス……⁉︎」
『ここは怪獣墓場。同時に、あらゆる宇宙と可能性における「終末」の保管庫。この惑星は、滅びた地球文明の結末の集積』
『そして、この遺物もまた、ある宇宙における誤った人類の終着である』
砂だらけの大地から現れたソレは巨大機械ーいや、戦艦だった
長い白銀の機体の各所からはネクロヴァイスの結晶が生えていた
「戦艦…⁉︎こんなものが……⁉︎」
『これは我々の作り出したものではない。これは、人類が生み出した産物である』
スフィアたちは現れた戦艦に付着、同化
戦艦の表面にスフィアと似た発光構造が浮かび上がる
【受け入れよ。これが人類が選び取る暗黒の未来である】
スフィアが同化した巨艦ー電脳巨艦プロメテウス改め合成巨艦プロメテウス・ネオの砲門がフェニックスネストへと向けられた
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「タイマーリアクターの損傷が、限界値になってる…⁉︎」
日向重工地下のドックで帰投したイカロスの分析と修復を行なっていた翼が診断結果に目を見開く
「タイマーリアクターって、確かイカロスのコアになっているパーツでしたよね…?」
アルミルが入院した分を補い修復作業を手伝う花が不安げな表情で問う
「……はい。タイマーリアクターは、僕の祖父…日向 昴が残された元々のイカロスのカラータイマーを元にして生み出したこのイカロスのコアとも言えるパーツです」
翼が他の損傷部位をチェックしていく
「他の部位はまだ修復が間に合う……でも、タイマーリアクターはこれ以上触れない……」
翼がイカロスを見上げる
その銀のボディは、ジャスキープと戦う時に見上げたあの時よりも傷だらけでボロボロになっていた
(イカロスは、もう限界なのか……)
翼がタブレットを握りしめる
その様子を見ていたコンもどこか悲しげにその背を見ていた
「ー修復箇所はわかったわ。あの訳わかんない球体ヤロウがいつ出てくるかわからないんだから、急ピッチでそれでも確実に修理するわよ‼︎ 私たちの意地、見せてやろうじゃない‼︎」
ーオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
コンがメガホン越しに社員たちに声をかける
社員たちもそれに大きな歓声で答える
「みんな…」
「翼社長‼︎ ここは私たちに任せてください‼︎」
『貴方が地球のために体を張っていることは、我々が一番理解しています。我々にこの会社という働き手をくれたことへの恩義もあります』
「社長が思ってるよりも、俺たちはたくさん社長からもらってるんですよ。今くらい、俺たちにその恩返しをさせてください‼︎」
思い思いの言葉を受け取り、翼は微笑んで頷く
「私たちも、NEXT GUYSも共にいます‼︎」
隣に立つ花が胸を張る
「ギマイラの時も、ノワール星人の時も、私のワガママを形にしてくれたのは、私に前に進ませてくれたのは、翼さんです。だから、力にならせてください‼︎」
「ーありがとうございます。花さん」
その言葉を受け取り、翼も作業を再開しようとタブレットを開く
『ー地球人類よ。再度通告する』
機械じみた声が響き渡る
「出やがったわね、あの球体ヤロウ……‼︎」
コンが忌々しげに天井を見上げる
東京、神戸、日本中
それだけじゃない。全世界の通信端末や映像機器にノイズに包まれたあの球体ースフィアの映像と声が再生されはじめる
『これ以上の誤った進化は宇宙全土への侵略と同義である』
『互いに争い、恐れから相手を傷つける。愚かで蒙昧な地球人類は愚かな歴史を何度でも繰り返す』
『我々と同化せよ。完全にして無欠の存在たる我々に回帰せよ』
スフィアの演説に人々は不安と恐怖の入り混じった表情で耳を傾ける
『お前たちの文明は既に感化できないほどに悪しき道を辿っている』
『その証左を見るがいい』
全世界への映像が変化する
映し出されたのは何かの設計図
描かれているのはウルトラマンに似た構造の機械
「なー」
映し出された設計図を見た翼とコン、日向重工の社員たちが凍りついた
『お前たちがウルトラマンイカロスと呼ぶモノ。それは、機械で作り出され、人の手により操るよう作られた兵器である』
スフィアの紡ぎ出した言葉に全世界の人々がにわかに騒ぎ出す
「あいつら…‼︎ よりにもよって‼︎」
コンが怒声を上げるが、構わずスフィアは言葉を紡ぐ
『我々がかつて在った宇宙でも酷似した兵器が存在した』
『無謀にも我々に抗い、その過程で人造の巨人を生み出した』
『だが、その巨人は我々に敵わなかった』
紡ぎ出される言葉、モニターを人々が見上げる
子供たちも不安そうに共にキャッチボールをしていたらしいミットとボールを持つ青年の袖を掴む
どこか行動服にも似た赤と白、黒の派手なカラーリングの服を着た青年の袖を
「イカロスって悪いヤツなの…?」
「ボウヤはどう思う?」
心細そうに問う少年に逆に青年は膝を突き、目線を合わせて問いかける
少年は答えに困っていたようだが、少し間を置いて首を振る
「イカロスは、ヒーローだよ。僕の友達を、助けてくれたもん」
「そっか」
その答えを聞き、青年は少年の頭を撫で微笑む
『光は必ず翳る』
『同様に、人類も必ず自滅へと行き着く』
『我々の介入無くとも、必ず』
ビーッ‼︎ ビーッ‼︎
言葉が終わるが早いか、日向重工地下ドックに警報が鳴り響く
社員の一人がモニターや計器を確認し、すぐに報告する
「地上部上空に異常反応‼︎ あの球状知性体です‼︎」
大型モニターにスフィアが2体浮遊してくる様子が映る
『我々と同化せよ。それを拒むのであれば』
スフィアはそれぞれ地表と地表を抉りながら地下へと突入、地表に残ったものは周囲の岩石を取り込みはじめる
『ー宇宙正義のために滅び果てよ。地球人類』
ーギャアァァァァァァァァウゥゥ!!!
ーグゥゥゥゥゥゥゥン!!!
岩石が集中し怪獣の巨体が形成され、岩石で形成された尖った造形の怪獣ーアースダランビアが立ち上がる
それに遅れてスフィアが潜航した穴からマグマと共にゴツゴツとした岩石を纏い体表をマグマが覆う怪獣ーグラレーンが姿を現す
「怪獣……2体も……⁉︎」
「こっちの居場所はわかってるってワケ…⁉︎」
ーギャアオオオオオオン!!!
場所は離れて東京の街並みの中からビルを粉砕しながら巨体が立ち上がる
頭部から手足が生えたような丸く低い体勢の怪獣ージオモスが咆哮を上げる
ーギャアオオオオオオン!!!
ジオモスの体が発光するとともにその体から蒼い稲光のような光線が放たれ、周囲を破壊する
ーきゃああああああああああああああ!!!
ーうわぁぁぁぁぁぁ!!!!
瓦礫の降り注ぐ音に混ざって人々の悲鳴がこだまする
唸りながら進軍するジオモスの頭上にスフィアたちが見下ろすように浮遊していた
進軍するジオモスに赤い光線と青い光線が飛来。それをジオモスは目前に展開したバリアーで反射する
「バリアーだって…⁉︎」
「このヤロウ…意外と頭脳派ってワケ?」
反撃とばかりに放たれた稲光をブレイバーとシーウインガーが回避し、追撃を加えるが悉くバリアーに阻まれ、ジオモスには届かない
「バリアーを突破しないと攻撃が届かないなんて……」
ブレイバーらからの映像を見ながら翼が唇を噛み締める
モニターに共に映し出されている日向重工の地表でも防衛装置による弾幕が怪獣の進行を食い止めようと攻撃しているが、似たようなバリアーで2体の怪獣は攻撃を防いでいる
ーギャアァァァァウゥゥ!!!
ーグゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!
アースダランビアが伸縮する腕を伸ばし、砲門を粉砕
同時にグラレーンが口からマグマ光線を放ち、残る防衛設備も破壊する
それを睨み、駆け出そうとする翼をコンが肘鉄で止める
「今はバカな無茶は許さないわよ。アンタの為にも、イカロスの為にも」
イカロスは今、徹底修復と整備が行われている
無理に起動すればいつシステムが壊れてしまってもおかしくないのだ
「私たちが、あの怪獣を止めます」
花がコンの隣に歩み出る
「私も、NEXT GUYSの隊員なんです。皆さんを守ることが、使命ですから‼︎」
「そういうこと。私も、アンタの凄腕敏腕秘書。有事の時に会社と社長を守るのが仕事ってワケ」
胸を張る花。悪戯っぽく笑うコン
2人の顔を見つめて翼は決心して頷く
「頼む。花さん、コン。僕もバリアーを分析する!翔真くん、華鈴さん、バリアーのスキャンデータを下さい‼︎」
『分かった‼︎』
『オーケイ‼︎ 任せといて‼︎』
翼の指示に従い、ブレイバーが攻撃。それを防ぐためにジオモスが展開したバリアーをシーウインガーの分析レーザーが読み込んでいく
読み込まれたデータは翼の端末へと送られてくる
それを受け取った翼は端末をタフブックに接続、分析を開始する
進軍を続けるアースダランビアとグラレーン
その足元にガンバスターからのバルカン砲が炸裂、その歩みを止める
「ここから先は、行かせません……‼︎ 絶対にッ‼︎」
飛んでいくガンバスターのすぐ下。半壊した防衛設備の屋上に立つ小柄な影が一つ、指を鳴らす
ーバサバサバサッ、ゴトゴトン!!!
そこに大小様々なアタッシュケースが転送されてくる
コンはそのケース2つを蹴り開け、メテオールショット二挺を取り出す
更に小さなアタッシュケースを蹴り開け、メモリーディスプレイを2つ飛び出させ、メテオールショットへそのまま装填させる
《メテオール・オーバードライブ》
「協賛社特権、今使わないでいつ使うって、ね‼︎」
コンが引き金を引く
二挺のメテオールショットから6条の光線が放たれ、正確に2体の怪獣へと降り注ぐ
2体の怪獣はそれをバリアーで防ぐが、コンはそこを更に狙い澄ませて引き金をもう一度引く
今度はそれぞれ3条の光線が収束、極太の光線となってそれぞれのバリアーと衝突しスパークする
ービシッ!!!
メテオールショットの威力にバリアーにヒビが入る
「へぇ?こっちのバリアーはまだ薄いのかしら?」
メテオールショットを投げ捨て、コンが手をかざす
新しいアタッシュケースが展開、左右三挺ずつトライガーショット取り出され、無理矢理にグリップを握り込む
「喰らいなさい‼︎ 6連バスターブレッド!!!」
六挺のトライガーショットから黄色い炸裂弾が放たれる
亀裂が入り、脆くなったバリアーがその直撃を受け、崩壊する
ーギャアァァァァウゥゥ!?!?
ーグゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!?!?
「花‼︎」
『はいッ‼︎ バリアブルレイザー‼︎』
バスターから放たれた重粒子砲がアースダランビアとグラレーンに直撃、その巨体を後退させる
『ー翔真くん‼︎ 華鈴さん‼︎ バスターの弱点がわかりました‼︎』
ブレイバーとシーウインガーの通信に翼からの通信が入る
『あの怪獣のバリアーは、メテオールで運用される高分子エネルギーミストとよく似た波形の粒子で形成されています。こちらからその波形に反する形の同質量のエネルギーをぶつければ相殺が可能です‼︎』
「なるほど、ということはやることは一つ。真田補佐官‼︎」
『分かりました。メテオール解禁‼︎』
「「バーミッション・トゥ・シフト、マニューバ‼︎」」
ブレイバーとシーウインガーがマニューバモードに変形、稲光を回避しながらブレイバーがその主砲をジオモスに向ける
『遠隔操作でブレイジングデトネイターの粒子波形を反転させました‼︎この状態のブレイジングデトネイターなら、バリアーを壊せます‼︎』
「了解‼︎ ブレイジングデトネイター!!!」
ブレイバーの主砲から重粒子光線が迸る
ジオモスはそれもバリアーを用いて防ぐ。が、その一撃は今度はバリアーを砕き、ジオモスの体を穿つ
ーギャアオオオオオオン!!!
ジオモスが苦悶の咆哮を上げる
「もう一発、食らえッ‼︎」
「こっちも、スペシウムトライデント‼︎」
ブレイバーからの重粒子光線、シーウインガーからの弾頭の雨
ジオモスの巨体が爆炎に包まれる
ーギャアオオオオオオ……‼︎
「バーミッション・トゥ・シフト、マニューバ‼︎」
ガンバスターがマニューバモードへと変形。履帯を大地に着陸させる
「特殊メテオールシェル、装填。ファイア‼︎」
ガンバスターの主砲から高分子エネルギーミストを大量に纏った砲弾が放たれる
腕を伸ばして防ごうとしたアースダランビアの腕をその砲弾は貫き、体ごと粉砕する
「こっちも終わらせてやる。喰らいな!!!」
脂汗を拭いながらコンがグラレーンに向けてメテオールショットとトライガーショットを構え放つ
グラレーンにメテオールショットの光線が命中、それと同時に頭上からキャプチャキューブが展開される
ーグゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!?!?
キャプチャキューブの内壁を乱反射したメテオールショットの光線が何度もグラレーンに直撃、その頑強な体皮を削り穿つ
限界を迎えたグラレーンはキャプチャキューブに包まれたまま爆散し、消滅した
「ハァーッ、ハァーッ……」
肩で息をし、膝をつくコン
苛立たし気にメテオールショットとトライガーショットを放り投げ、頭をかきむしるように押さえる
「………クソッ、やりすぎ、た……」
先程までのトライガーショットやメテオールショットの操作はコンの念能力をフルに使った操作が為せる技だった
連続した念能力の操作はコンの脳に焼き切れんばかりの負荷を与えていたのである
「……アイツの、手伝いに戻ら、ッんないと……」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ウルトラゾーン内部
「メテオール、解禁‼︎」
「「バーミッション・トゥ・シフト、マニューバ‼︎」」
プロメテウス・ネオから放たれる機銃をマニューバモードへ変形しながらウインガー、ローダーは回避。フェニックスネストは同じく機銃で反撃し、相殺する
ローダーの粒子砲とウインガーのスペシウム弾頭弾が連続して飛来するが、プロメテウス・ネオの周囲に張り巡らされたバリアーがそれを通さない
「デカい上にバリアー搭載とかなんだよそのトンデモ戦艦…‼︎」
悪態を吐きながら輝が機銃の雨を回避し、スペシウム弾頭弾を乱射する
その猛撃を受けてもバリアーはびくともしない
「あのバリアー……メテオールと似た粒子構造してる…?なら…」
ケリスが計器を操作して何かを調節し、もう一度重粒子砲を放つ
バリアーに着弾した光線はバリアー面を侵食、その一部に穴を開けた
「反対波長の光線ならやっぱり効く‼︎ 隊長‼︎」
『準備万端だ‼︎ フェニックスフェノメノン!!!』
プロメテウス・ネオのバリアーに開いた穴を狙ったフェニックスネストの主砲が放たれる。それに合わせ、プロメテウス・ネオは機体をずらして回避行動をとる
バリアーの隙間を通り、その一撃はプロメテウス・ネオの外装を一部抉りとる
「クソッ、避けられたか…‼︎」
プロメテウス・ネオは機体姿勢を直し、フェニックスネストのほうを向く
そしてその機首下方にある手法が展開、オレンジのエネルギーが充填されていく
「ーッ⁉︎ 総員、緊急離脱ッ!!!」
フェニックスネストの機体移動と共にウインガーとローダーも離脱行動を取る
プロメテウス・ネオの主砲ーネオマキシマ砲が放たれる
金色の粒子を圧縮した滅亡の光がフェニックスネストの主翼を掠めながらウルトラゾーンを切り裂く
後方に浮かぶ小惑星に光線が直撃。その惑星を粉々に粉砕した
「なんて威力だ……」
主翼を損傷しながらも機体姿勢をなんとか戻しつつ、剛が驚愕に目を見開く
【理解せよ。己が矮小さを。その者が辿る誤った文明を】
日向重工の側
マニューバモードからクルーズモードになったガンバスターが離陸しようとするが、その直下の地面が突如めくり上がり、尖った細長い何かが突き出し機体を貫く
「きゃああああああああああああああああ!!!!」
衝撃と機体に走るダメージからショートを起こすコクピット内で花が揉みくちゃにされる
「花ァッ!!!」
叫ぶコンに向けてガンバスターを貫いた何かは貫いたままのガンバスターを放り投げる
「しまッー」
ードガァァァァァァァン!!!!
ガンバスターが直撃し、半壊していた防衛設備が崩壊。回避が間に合うはずもなく、コンはその瓦礫に巻き込まれながら落下する
「コン!!花さんッッ!!!」
翼がモニターに映る惨状を見て悲痛な叫びを上げる
ーギャアオオオオオオン!!!
ガンバスターを投げ捨てた何かが現れた穴からその本体が現れる
ジオモスと似た体表の、それでいて体躯は細く強靭な恐竜じみた造形の長大な尻尾を持つ怪獣
ジオモスが進化した怪獣ーネオジオモスが日向重工を見据え、咆哮を上げた
『歩みを止めよ。どんな抵抗も、足掻きも、無為に消える』
「ー待った、翔真。怪獣の残骸がおかしい」
ジオモスを撃破した跡、そこには怪獣の質量にしては少ない残骸と地中に潜ったらしき大きな穴がぽっかりと開いていた
「まさか、地中に逃げたのか!?」
焦る翔真たちの目の前、空中から傍観していたスフィアたちが寄り集まり、新たな形を為していく
人に似た形を
「ーな、なんで…⁉︎」
スフィアたちが形成した「それ」は、誰しもが見覚えのある存在だった
黒い肌に赤い模様やプロテクターを纏う巨人
ウルトラマンがそこにいた
『その目に焼き付けよ。光は必ず翳る。人類はー』
『ー必ず滅び去る』
赤黒いウルトラマンの周囲に更に現れたスフィアたちがウルトラマンに取り憑き、その体をどんどん変貌させていく
醜い腫瘍じみた体表を形成し、その背から翼のような棘を伸ばし、肉腫に覆われたような顔に一筋の線が入り、ぱっくりと口を開く
まるで、愚かな人類を嘲笑するような口が
ーゴオォオォオァアアアァアアァ!!!!
歪んだ人間の咆哮のような不気味な声を雄叫びとして上げ、異形の巨人は側を飛ぶガンブレイバーに振り返り手刀を叩き込み、羽虫のように叩き落とした
「ぐぁああああああああああああああ!!!」
「翔真ァァァァ!!!」
シーウインガーの存在も察知した巨人は両手から赤い光を迸らせ、光刃として放ちシーウインガーの主翼を切り落とす
「くっ、そぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
ーゴオォオァアアアァアアァ!!!
墜落していくシーウインガーを見つめ、高らかに勝利の雄叫びを上げる異形の巨人は徐に両腕を交差。ウルトラマンたちが放つ必殺光線のような赤い極太の光線を放ちながら回転。周囲の街を焼き尽くしていく
ーゴオォオォオァアアアァアアァ!!!
まるで破壊を喜ぶかのように異形の巨人ーゼルガノイドは咆哮を上げた
フェニックスネストの目前に浮遊するプロメテウス・ネオがその機体を突如ブロック状に分解する
【再三の通告をする。地球人類よ、我々に同化せよ】
ブロック型に分解されたそれは徐々に新たな形を為していく
ハサミ状の武装を持つ右腕、ガトリング砲を装備した左腕
【互いに争い自滅する定め、宇宙悪として滅び去る未来、有限の命に囚われる宿命から解放されるための選択は今や唯それのみ】
黒いモニター状の顔面にスフィアと同様の網目パターンの砂嵐と顔に見えるパターンが映し出される
【完全にして無欠の我々こそが、全ての生命体の到達点であり、輝かしき未来である】
完全に人型を為したプロメテウス・ネオ。否、合成魔神デスフェイサー・ネオが惑星表面に着陸する
【その未来を、あくまで拒むのならばー】
【ー滅び去れ、地球人類よ】
スフィアの告げる暗黒の未来
翔真たちやコンが倒れた中、翼は1人立ち上がる
『守りたいものはあるのか?ウルトラマンイカロス』
翼に問いかける青年
『諦めるか……諦めてたまるものか!!!』
合成魔神へ相対する剛
『限界を超えたその先に、必ず光は現れる。そうだろ?』
次回ウルトラマンイカロス
『本当の戦い』