ウルトラマンイカロス   作:リョウギ

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後日譚「花が踏み出す一歩」

太陽系外宇宙

同盟管理航路24番付近の宙域

 

その空間にはポッカリと裂け目のような穴が開いていた

 

その空間ー異次元ゲートの中

 

ーギャォォォォォォォォォン!!!

 

咆哮を上げる漆黒の怪獣が青銀の刃を打ち合わせながら飛翔

目前に飛翔する小さな宇宙艇ーアイランドステップ号を追跡し、放つ光刃で追い詰めていく

 

「対象、まだ追ってきてる!距離もほとんど離れていない!!」

「艦速最大!これ以上の加速はムリです!!」

 

艦内操縦席に座る二人は頬に伝う汗に構わず計器と操縦桿の操作に集中する

 

操縦者の一人ー百瀬(ももせ) (はな)は半泣きになりながらも操縦桿を目一杯倒し最大速を維持する。それをもう一人ーギャシー星代表レジアがサポートしていく

 

ーギャォォォォォォォォォン!!!

 

追う怪獣ーカミソリデマーガが凶悪に咆哮し、光刃を更に放つ

アイランドステップ号は紙一重でそれを回避

 

だが、その斬撃の威力は想定を超えていた

 

ターゲットを失った光刃が異次元の空間に突き刺さり、そこに新たな穴を開けたのだ

 

「!花!!」

「わかりました!!」

 

レジアの意を汲み、花が船体を回転。空間の裂け目に向けて前進させ脱出する

 

そこを逃すまいと追うカミソリデマーガの腕刃をかわし、アイランドステップ号はなんとか裂け目に飛び込み脱出する

 

ーグルルルルルル……

 

凶悪な唸りを上げるカミソリデマーガ。その背後に宇宙艇が一隻飛来する

 

『……活きのいいターゲット…良いゲームになりそうじゃないか』

 

カミソリデマーガを引き連れる宇宙艇のコクピットで翠の目を光らせ、一人の男が顎を撫でて笑う

 

カミソリデマーガを先行させ、宇宙艇はアイランドステップを追って空間の裂け目へと突入した

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「う……ん……ッ」

 

痛む頭をさすりながら花が目を覚ます

 

アイランドステップ号はどこかの惑星の地表らしい場所に不時着していた。岩山が広がる景色の中、ぽつんとアイランドステップ号が取り残されたような形になっていた

 

「船体は……損傷多数……これじゃしばらくは身動きができない…」

 

落ち着いて船体のチェックをし、多数の損傷報告を見て花がため息を吐く

 

「…‼︎ レジアさん‼︎」

 

同乗者のことを思い出し、隣の座席を花が振り向く

シートに腰掛けたレジアは額から血を流し、ぐったりしていたが正常に息はしていた。気絶しているだけらしい

 

ーゴァァァァァァ!!!

 

ホッと安堵の息を漏らすのも束の間、大きな咆哮が轟く

 

岩山の隙間から巨大な影が現れ、唸りを上げながらこちらに近づいてきていたのだ

 

「怪獣…‼︎」

 

頭に黒い装甲皮を持つ恐竜に似たその怪獣は興奮した様子でこちらに歩みを進めていく

 

怪獣の歩調は思ったより早く、ブースターの点火に間に合わないと察した花はコクピットを離れ、トライガーショットを閃光弾のカートリッジに合わせて船体から出る

 

ーゴァァァァァァ!!

 

怪獣は船体の目前に迫りつつあった

 

「なんとか閃光弾で、注意だけでも逸らせば‼︎」

 

花が船体から離れた方にトライガーショットを向ける

 

が、それを放つ前に花の目の前に眩い何かが降り立った

 

それは黄金の翼を後光のように広げた女神のような巨人だった

 

その巨人は怪獣に優しく掌を向ける

怪獣はその意志を察したのか、歩みを止めた

 

「驚かせてすまない、ゴルメデ。この船は僕たちが調べるから安心してくれ!」

 

花の側から新たな人影が現れ、ゴルメデと呼ばれた怪獣に優しく声をかける

 

ークァァァ…

 

ゴルメデはその人影を見下ろすと、まるで返事をするように一声唸りを上げ、その場から去っていった

 

「怖い思いをさせてしまったかもしれないけど、あの怪獣…ゴルメデも住処に変なものが来たと混乱していたんだ。許してやって欲しい」

 

新たに現れた一人の青年は花の方にも声をかけてくる

 

「あ…はい。不時着してしまったのはこちらですから。私たちの方こそごめんなさい!」

 

ぺこりと頭を下げる花に青年は少し驚いたように目を丸くする

 

ーキュー!キュキュー!

ーキュキューキュー!

 

と、花の側に新たな気配が現れる

その小さな闖入者ー小さな丸っこい二匹の怪獣は彼女の周りを跳ね回っていた

 

「え、ええっ⁉︎ なに⁉︎」

 

目を白黒させて狼狽える花の様子に少し吹き出し、青年が小さな怪獣たちの肩を叩く

 

「ミーニン、珍しい人たちなのはわかるけど落ち着いて。この人驚いてるから」

 

ーキュキュー!

ーキューキュー!

 

ミーニンと呼ばれた小怪獣は元気に小さな手を振って返事をすると、青年の背後の方に移動する

 

まだ困惑した様子の花に青年が手を差し出す

 

「僕は春野(はるの) ムサシ。この星、遊星ジュランで怪獣たちと共に暮らしている人間の一人だ」

「春野 ムサシさん…」

「ムサシでいいよ。よろしく、えっと……」

「も、百瀬 花と言います!LGL、生命保護研究部隊の副隊長を務めています!」

 

花が緊張した様子ながら左胸のワッペンを示し、ムサシの手に握手を返す

 

「LGL…聞いたことのない名前だね…キミはもしかして…」

「あ、レジアさん‼︎」

 

艦内に残された仲間のことを思い出した花がムサシの言葉を遮る

 

「ムサシさん、どこかこの星に病院は、停留できるところはありますか⁉︎」

「他にも仲間がいるのかい?」

「はい…不時着した時にケガをしたみたいで、この宇宙艇の中で気絶していて…‼︎」

 

花の話を聞いたムサシは頷きを返す

 

「ひとまず僕たちのいるセンターにまで運ぼう。あそこなら医療設備もあるから」

「ありがとうございます!」

 

花は頭を深く下げ、ムサシをアイランドステップ号の中に案内した

その様子を心配そうにミーニンたちは見つめていた

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ムサシに案内される形で連れてこられたセンターは近未来的な丘陵地帯を抜けた森林地帯の開けた場所に位置する近未来的な建物だった

 

側に温室もあるその建物までたどり着いた花とレジアを抱えたムサシに続いて空から巨大な鳥のような怪獣が降り立つ

 

ーキュイィィィ‼︎

 

「ありがとうリドリアス!助かったよ」

 

リドリアスと呼ばれたその怪獣は抱えたアイランドステップ号を建物の前に置き、ムサシに嬉しそうに返事する

 

ーキュウゥゥ!

 

移動を始めたムサシたちの前にそのリドリアスは降り立ち、アイランドステップ号の運搬を手伝ってくれたのだ

 

「さぁ、こっちへ」

 

 

ムサシに案内され入ったセンターの医務室

しばらくスタッフたちがレジアの様子を見ていたが、命の別状はないことともうすぐ目を覚ますだろうことを伝えられ、花が安堵の息を漏らす

 

「ありがとうございました、ムサシさん!」

「仲間が無事でよかった。それにしても、まさかギャシー星の人にまた会うなんて思ってなかったよ」

「また…?」

「昔地球で別のギャシー星人たちにあったことがあったんだ。なんだか懐かしいよ」

 

ムサシが改めて花の方に向き直る

 

「花さん、キミたちはもしかして別の宇宙から来たのかい?」

「…はい、恐らくは。ある宇宙種族とそのコントロール下にある怪獣…カミソリデマーガに襲われて次元の狭間に入ってしまいまして…」

 

それを聞きムサシが頷く

 

「LGLという組織名は聞いたことが無いから、そうじゃないかなとは思ったけど。大変な目にあったんだね」

 

花も改めてムサシの方を見る

 

「あの…この星は一体どんな星なのですか?さっき怪獣たちと共に暮らしてるって……」

 

「この星は、遊星ジュラン。かつて文明があった惑星で、一度滅んでしまった星だったのだけど、僕たちこの宇宙の地球人で開拓し直して地球の怪獣たちと移り住んだ星なんだ」

 

近くのコンソールを操作し、複数あるモニターに様々な映像が映し出される

 

「うわぁ…‼︎」

 

そこに映っていたのは、先程あった怪獣たちも含む多くの怪獣たちがのびのびと暮らす光景だった

 

群れで飛行し、地上の巣では何匹かが子育てをしているリドリアス

体をぶつけ合って激しい縄張り争いをしているらしいゴルメデたち

 

海の中らしい映像には二枚貝のような殻を背負う怪獣ージェルガの群れとその側を遊泳するレイジャたちが映り

また別の映像にはミーニンたちを連れた人間の親子たちを興味深そうに見つめるモグラのような怪獣とゴツゴツした肌を持つ怪獣ーモグルドンとボルギルスの姿も見られた

 

映像に映った人々は怪獣を怖がることなく、楽しそうに手を振って挨拶すらしていた

 

「すごい…こんな星があるなんて…‼︎」

「カオスヘッダー、さっきの光の巨人が共に見守ってくれてやっとここまで来れたんだ。怪獣と共存していける星を作るネオユートピア計画。まだまだ色々と難しいことも多いけどね」

 

ムサシが苦笑する

 

「いいえ、それでもこの星はすごいです。私たちの夢も、こんな形で叶えられたら…」

「……花さんたちも、怪獣の保護や共存を目標にしているのかい?」

 

花が笑顔で頷く

 

「はい。まだまだ私たちの宇宙では理解されないことが多いことですけれど、一歩一歩できることを重ねています」

 

肩から下げたツールボックスを花が優しく撫でる

仕事に使う道具やガジェットと共に大切に仕舞われているグビラのスパークドールズが入ったそのボックスからタブレットを取り出し、ムサシに見せる

 

「ここに来る以前はディノゾールという怪獣の渡り航路の整備を行なっていたんです」

「渡り航路…そのディノゾールという怪獣は渡り鳥のような習性があるのかい?」

「はい。宇宙空間を渡る怪獣で、以前地球に迷い込んだ個体は何度か討伐されてしまいました」

 

花は一瞬悲しそうに目を伏せるが、もう一度胸を張る

 

「でもディノゾールたちはただ宇宙を渡る付き合い方を間違えなければ無害な怪獣だと私たちの研究で理解してからは、彼らがどこかの目的外の星に迷い込まないよう、宇宙ブイからの電磁波で誘導する計画を立てて実行していたんです。まだまだ実験段階の序盤も序盤ですが…」

 

饒舌に話し込んでしまったことに気づき、花が口を押さえる

 

「すみません…‼︎ 私だけ話し込んでしまって…」

「いや、大丈夫だよ。僕も興味深い話が聞けたから」

 

ムサシは穏やかに微笑みながら返答する

 

そんなムサシの顔をしばらく見つめていた花がおずおずと訊ねる

 

「……あの、ムサシさん。不躾なお願いになるかもしれないのですが、この星の怪獣たちを観察させてもらうことはできませんか?」

 

花の言葉にムサシが目を丸くする

 

「そ、その、突然やってきた私たちが警戒されるのは当たり前ですし、怪獣たちに何かあったりしたらまずいですし、ほんと、本当に不躾な話だとは承知しています…‼︎」

 

「……どうしてこの星の怪獣たちを見たいんだい?」

 

「………」

 

花は自分の胸に手を当て、胸を張って答える

 

「……私たちの宇宙では、怪獣はまだ怖い存在、害をなす存在としての認識が強いのです。私も、間近で怪獣たちを見るまで怖い存在だと思っていました」

 

苦しそうに花は胸に当てた手に力を込める

 

「間近で怪獣たちを見て、私はこの子たちも生きていると知りました。人々を守るだけでなく、私たちは怪獣たちの命にも向き合わないといけないと思ったんです」

 

「助けてあげられなかった怪獣が、何匹もいました。私たちが知らなかったから、倒すしかなかった怪獣たちが……」

 

決意を込めた目で花はムサシを見据えて答えを続ける

 

「今度こそ、そんな怪獣たちとも向き合えるように、私は怪獣たちのことを知りたい。一種類でも多く、向き合いたいんです」

 

「……そうか」

 

静かに花の言葉を聞いていたムサシが口を開く

 

「花さんはさっきゴルメデを前にしても、ゴルメデ自身には銃口を向けてはいなかった。本来なら、怪獣の方に銃口を向けるはずなのに」

 

花が見上げたムサシの顔は優しく微笑んでいた

 

「キミの言葉が嘘じゃないことはそれを見たらよくわかる。だから僕からも、この星に生きる怪獣たちを紹介させて欲しい」

「あ…‼︎ ありがとうございます!!」

 

承諾してくれたムサシに深々と花が頭を下げる

 

「隊長の私を差し置いて話を進めないように」

 

と、側のベッドからレジアが起き上がり花に指摘する

 

「レジアさん!無事でよかった……」

 

ベッドの側に駆け寄る花の頭をレジアが撫でる

 

「一応状況は聞いてたわ。あれだけ言ったのだから、怪獣たちのリサーチの方はよろしく。アイランドステップ号の修理は私がしておくわ」

「レジアさん…はい!レポートしっかりまとめてきます!」

 

話をつけた二人にムサシが声をかける

 

「今日はもう遅いから、明日また案内するよ。ここの部屋を貸すからそこでしっかり休んでくれ」

「わかりました。ありがとうございます!」

 

一礼をした花が荷物を取りに一旦外に出る

 

「春野 ムサシ……まさか本人に会えるとは思わなかった」

「え…?」

 

ムサシのことを見上げてレジアが微笑む

 

「私たちの宇宙のギャシー星に以前別の宇宙のギャシー星人が訪れたことがあった。その時、色々な話を聞いた中に貴方の名前があった」

 

レジアが懐かしむように胸に手を当てる

 

「どんな命も慈しみ、全力で向き合う地球人の青年がいたと。そのギャシー星人たちも助けられたかけがえのない恩人だと聞いた」

 

「私がLGLのような活動を目標にしたのも、その話を聞いてからなんだ。その地球人のように命に向き合い、それを助け支える存在になりたいと」

 

「そうだったんだね」

 

微笑むムサシに向き直り、レジアが口を開く

 

「明日は、うちの副隊長のことをよろしく頼む」

「うん、任せてくれ」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ーポキュウゥゥゥゥゥゥ!!!

 

森林地帯の中、開けた地表から顔を出したモグラに似た怪獣ーモグルドンが花を見つけ歩み寄ってくる

 

「わ、わ!」

 

あまりの勢いに花が思わずたじろぐが隣のムサシは大きく両手を振りながらモグルドンに声をかける

 

「モグルドン!こっちはこの星のお客さんの花さんだ。今日一日お前たちのことを観察させて欲しい!」

「よ、よろしくお願いしまーーーす!!」

 

ムサシに負けない声で花がモグルドンに挨拶する

 

ーポキュウゥゥゥ!!

 

モグルドンは了承するように頭を上下させ、嬉しそうな声を上げる

 

「モグルドンは好奇心旺盛な怪獣なんだ。人懐っこい性格でね。他の怪獣ともよく交流してたりするんだ。ほら」

 

ーゴァァァァァァ!!

 

ムサシが指す先から現れたゴツゴツした皮膚をした四足歩行の怪獣ーボルギルスが現れ、モグルドンに顔をすり寄せる

 

ーポキュ、ポキュウゥゥゥ!

ーゴァァァァァァ!!

 

合流した二匹はじゃれ合うように体をぶつけ合わせて手をバタつかせる

 

「ボルギルスのやつと仲がいいのは、地球にいた頃に初めて保護した個体からずっとなんだ。生息域も近いから仲良くなりやすいのかもしれないね」

「なるほど…怪獣同士にもやはりそういう関係性が生まれたりするものなのですね」

 

ムサシの話に頷きながら花はじゃれ合う二匹のことをスケッチし、更に情報をまとめていく

 

 

ークァァァ…

 

山岳地帯近くであくびのような声をあげていたのは筋肉の発達したマッシブな怪獣

厳つい見た目に似合わず、地面に座り込んでうとうとと体を揺らしている

 

「バデータはあんな感じでのんびりした性格の怪獣なんだ。向こうから暴れることは無いし、免疫能力も強いから滅多なことでは暴れない」

 

ムサシがバデータの方を見ているとムサシに気づいたバデータが手を振る。それに笑顔で手を振り返しながらムサシが続ける

 

「でも、一部の薬品はバデータにとっては猛毒になる。地球で初めて保護した時はその性で急成長した上に毒で暴れ出して大きな事件になったこともあったんだ」

「薬となるものが毒物になることもある…薬品を用いた保護とかはもっと注意がいるんですね…」

「この星にはいない地球の怪獣だけど、麻酔弾で逆に興奮して暴れる怪獣もいたからね。薬品系での鎮静はよりその怪獣を理解しないと危険なことが多い」

 

ムサシの話に度々質問しながらメモを終え、別の保護区へ移動を始める

 

去り際に花が振り返り、バデータにぺこりと頭を下げるとそれを真似してバデータも頭を揺らしていた

 

 

次に訪れた保護区は草原の広がる地区

 

この星で初めて花が遭遇したゴルメデが何匹かいる他に新たに目にする黒い表皮の怪獣もいた

 

「ゴルメデと一緒にいるあの怪獣はエリガル。身に危険を感じると肩の噴出口から神経毒のガスを放出してしまう怪獣なんだ」

「え⁉︎毒ガスを⁉︎」

 

驚く花の前でゴルメデと縄張り争いを始めたエリガルが両肩の噴出口からガスを噴き出す

 

ークァァァァァァ!!

ーゴァァァァ!!

 

「え、え⁉︎アレではゴルメデが危険なんじゃ⁉︎」

 

狼狽する花だが、当のゴルメデは煙たがりこそするが苦しむ様子は見せずに体をぶつけ合わせていた

 

「え…?なんともなってない?」

「ここのエリガルはこの草原に生えた特定の植物をたべているんだけど、その植物を主に食べたらガスが弱毒化してほとんど無害なものになることが後々わかったんだ。今のエリガルが吐き出すガスはほとんど無毒だから僕たちも大丈夫」

 

ムサシはそう告げると少し辛そうな顔を見せる

 

「……この対処法が見つかる前に、僕たちはエリガルの保護に何度も失敗して、時にはその命を救えないこともあった」

「……」

 

その言葉を花も真剣な表情で受け止める

 

「でも今はこうして、エリガルとも共生の道が見つかった。諦めずに向き合って見つけたんだ」

「諦めずに向き合う…」

 

ムサシは花の肩を叩く

 

「怪獣を保護して共生する。それはとても難しいことで、困難な壁もたくさんある。怪獣を優先するんじゃない。共に生きるためにどうしたらいいかを見つけなきゃならないから」

 

「でも、諦めずに向き合えば、必ず道は見つかるんだ。危険だとしか思われなかったエリガルやゴルメデたちとこうして共に過ごせるように」

 

ムサシの言葉を聞き、そこに共に生きるエリガルとゴルメデを見て花は優しく微笑む

それを見たムサシも優しい笑みを浮かべていた

 

 

保護区を一通り巡った花はムサシに案内されたセンター近くのリドリアスたちの巣の近くに来ていた

 

ークァァァ!!

 

巣の中のリドリアスの一匹が嬉しそうに声を上げる

 

「あのリドリアスは、地球から一緒にきた個体なんだ。僕たちが最初期に保護した怪獣の一匹で、僕にとっても大切な存在だ」

 

リドリアスのことを見下ろしながら花が微笑む

 

「ムサシさんは、色んな怪獣のことを知って、色んな怪獣と向き合っていてすごいです。私たちなんかまだまだで…」

「僕たちもまだまだだよ。今でこそ、ここで色んな怪獣と共に暮らしてるけど、ここまで来るには色々と苦労の方が多かった」

 

ムサシが花に向き直る

 

「仲間や、リドリアスたち怪獣たち、そしてかけがえのない恩人がいてくれたから僕はここまで飛べた。ここまで来れたんだ」

 

「花さんもきっと、望む未来へと飛んでいける。諦めない限り」

 

ムサシの言葉に花が強く頷く

 

ーグァァァァァァァァ!!!

 

と、リドリアスが今までに聞いたことのない声色の声を上げる

 

「この鳴き声は…?」

「…警戒している時の鳴き声だ。リドリアス、どうしたんだ⁉︎」

 

ムサシが訊ねるが早いか、保護区内のサイレンが鳴り響く

すぐにムサシと花の通信端末にも着信が入る

 

『ムサシさん!ジュラン内に未知の飛翔体が侵入しました‼︎』

 

『花、ヤツらだ‼︎ カミソリデマーガとヤツが追いついてきた‼︎』

 

それを聞いた二人はすぐにセンターの方へと向かう

 

ークァァァ…

 

それを見ていたリドリアスが不安そうな声を上げていた

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

大気圏内に侵入したカミソリデマーガは目下の光景を眺め、すぐにセンター前に停泊したアイランドステップ号を見つけて降り立つ

 

ーギャオオオオオオン!!!

 

アイランドステップ号の側でカミソリデマーガを睨むレジアの下に花たちが追いつく

 

「こんなところまで追ってくるとは、しつこいヤツだ…」

 

咆哮するカミソリデマーガを見据えていた花がレジアの方に問う

 

「アイランドステップ号の修復は⁉︎」

「損傷が少なかったからもう終わっている。だが、このまま離陸しても逃げ場所が…」

 

迫り来るカミソリデマーガを睨む花はその手にトライガーショットを取り出す

 

「ムサシさん、人々や怪獣のいない開けた場所はこの辺りにありますか?」

「引き付けるつもりか⁉︎ 無茶だ‼︎」

「死にに行くつもりはありません。このままでは、この星の環境もめちゃくちゃになってしまう…だからこそ、ここでカミソリデマーガを一時的にでも無力化しないと‼︎」

 

花の言葉を聞いていたムサシが頷く

 

「ここから北西の方向に開けた丘陵地がある。そこなら定住してる人々も怪獣もいないし場所も広い」

「わかりました‼︎」

 

駆け出していく花をレジアが呼び止める

 

「花!隊長命令だ。死ぬなよ‼︎すぐにアイランドステップ号を再起動して回収する‼︎」

「了解です!」

 

 

進撃するカミソリデマーガの首元に光弾が炸裂。鋭い眼光を巡らせ、カミソリデマーガは足元の花を見つける

 

「こっちよ!!」

 

ーギャオオオオオオン!!!

 

雄叫びを上げ、走る花の追跡を始める

それに追従する宇宙艇のコクピットからカミソリデマーガの視点を通して花を見据え、男が笑う

 

『そう来なくては、ゲームは面白くない』

 

時折放たれるカミソリデマーガの斬撃を回避しながら花は丘陵地へと抜け、更にその中央に走る

 

『お忘れかな?カミソリデマーガだけが敵ではないことを』

 

カミソリデマーガ後方の宇宙艇から赤いレーザーが放たれ、花の前方の地面を穿ち土煙を巻き上げる思わず足を止めた花にカミソリデマーガの斬撃が放たれ、辛くも体を転がしてそれを避ける

 

回避した花の手にトライガーショットは握られていなかった

代わりにあったものは、メモリーディスプレイと小さなカプセル

 

「翼さん、コンさん。またお借りします」

 

メモリーディスプレイにカプセルをセット。長い一本角を持つクジラのような怪獣のシルエットが画面に表示される

 

《REARISE》

 

トリガーを引いたメモリーディスプレイから放たれた緑の粒子が徐々に形を為し、もう一体の怪獣が現れる

 

ーゴァァァァァァァァ!!!

 

「グビラ!力を貸して!!」

 

スパークドールズの研究が進み、正規のマケット怪獣として一時的に出現できるようになったグビラは花の呼びかけに力強く頷き、鼻先の一本角を唸らせカミソリデマーガを睨む

 

『ほう?そちらも猟犬を使うか。面白い‼︎』

 

ーギャオオオオオオン!!!

 

咆哮し、こちらに駆けるカミソリデマーガ

グビラは一本角を地面に突き立て、大きな土煙を上げながら急速潜行

 

対象を見失ったカミソリデマーガの視線が泳ぐ

 

ーゴァァァァァァァァ!!

 

その背後の地面から飛び出したグビラの一撃がカミソリデマーガを吹き飛ばす

 

よろめくカミソリデマーガ

その足元の地面に亀裂が走り、大きく陥没。下半身が地面に沈み込む

 

『なんだと!?』

 

ーゴァァァァァァァァ!!!

 

吠えたグビラが地面を掘り返し、カミソリデマーガに土を被せてその体を更に埋め立てる

 

「よしッ!ありがとうグビラ!」

ーゴァァァァァァァァ!!

 

歓喜の雄叫びを上げるグビラに花が手を振る

が、その目前に赤い光線が炸裂。派手に土煙を巻き上げ、花が吹き飛ばされる

 

「きゃあああああああああッ!!」

「花さん!!」

「花!!」

 

ーゴァァァァァァァァ!?!?

 

花を案じてか悲痛な叫びを上げるグビラの横顔にも赤い光線が命中し、その体を倒す

 

『チッ、役に立たん猟犬だ…‼︎』

 

カミソリデマーガの側で浮遊していた宇宙艇の底部ハッチから一人の宇宙人が外部へと飛び降りる

 

地上に降り立ったのは白いスーツを纏う虫に似た顔形をした異星種族

頭部から伸びた一本の触覚の先は緑に光っている

 

『高い金払って改造したんだ。死ぬ気で働け!』

 

異星種族が手にしたデバイスを操作するとカミソリデマーガが突如苦しむように身を悶えさせ立ち上がる

 

ーギャオオオオオオオオン!!!

 

カミソリデマーガは悲痛な咆哮を上げると共に苛立たしげに全身を青くスパークさせ最大出力の斬撃をグビラに放つ

 

ーゴァァァァ……

 

直撃を受けたグビラは横たわると共に活動時間が終了。緑の粒子となり消滅してしまう

 

「グビラ……」

 

弱々しく呟く花の方に頭を押さえながらもカミソリデマーガが迫っていた

 

「花!!クソッー」

 

レジアがたまらず駆け出そうとするが、先に動いた人物がいた

 

「ムサシさん!?」

「ここは僕たちに任せてくれ!花さんも、あの怪獣も!」

 

レジアは危険だ、と止めようとする

が、何故かその青年の背中がとても大きく見えたレジアの口からは制止の言葉が出てこなかった

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ーギャオオオオオオオオン……‼︎

 

よろめきながら近づくカミソリデマーガを見上げる花

 

(……なんか、前にもこんなことあったっけ…)

 

脳裏に蘇ったのは、目前に迫るフランベルスの姿

あの時は怖くて怖くてたまらなくて、本当は何か訴えていただけかもしれなかったフランベルスを見る余裕なんてなかった

 

今の花は違った

近づくカミソリデマーガの姿が酷く悲痛に

絞り出す鳴き声がまるで泣いてるかのようにたしかに聞こえた

 

「……辛いんだね…ごめん……助けてあげられなくて…」

 

花へカミソリデマーガの腕から伸びる刃が振り上げられる

 

 

「コスモォォォォォス!!!」

 

 

凛とした声と、青い優しい光が花の目の前に広がり、花は思わずめを覆う

 

ーシュアッ!!

ーギャオオオオオオオオン!?

 

薄目を開けた花が見たのは、澄み渡る海を思わせる青い体を持つ巨人がカミソリデマーガの刃を押さえる姿

 

「ウルトラ……マン……?」

 

カミソリデマーガの刃をいなし、その胸に張り手を打ち込み退かせた青い巨人は振り返る

 

花にはその姿が不思議とある人物と重なって見えた

 

「ムサシさん…なの……⁉︎」

 

青い巨人ーウルトラマンコスモスはその言葉に頷いたように見えた

 

 

『ハハハッ!最高のエクストラターゲットが来てくれたじゃないか!!!』

 

カミソリデマーガを操っていた異星種族ームザン星人ガルミュラが高笑いを上げ、襟元を緩める

同時にその体は赤い光に包まれ巨大化、怪獣のようなシルエットの巨人へと変貌しカミソリデマーガと並ぶ

 

『私も直々に相手をしようじゃないか…‼︎』

 

居並ぶガルミュラとカミソリデマーガを相手にコスモスが構えを取る

 

ーギャオオオオオオオオン!!!

ーシュアッ!!!

 

同時に進軍し始めた2体とコスモス

振り回される刃、その隙を縫って放たれる光線

それらをコスモスはどこか柔術を思わせる動きでいなしながらカミソリデマーガに少しずつ打撃を与えていく

 

よろめき並んだガルミュラとカミソリデマーガに同時に張り手を打ち込み、吹き飛ばした隙にコスモスは新たな構えを取る

 

優しい光を纏うコスモスはゆっくりとその手のひらをカミソリデマーガへと向け、慈愛に満ちた光を放つ

 

「…暖かい光…」

 

花が見つめる中、光に包まれたカミソリデマーガは脱力し、先までの凶暴さが嘘のように大人しくなる

その腕も降ろされてー

 

ーギャオオオオオオオオン!?!?

 

が、カミソリデマーガは再びもがき苦しみ出すと体の各所からぷすぷすと肉の焦げるような匂いと共に煙を上げ、暴れ出す

 

驚くコスモスにガルミュラが襲いかかる

 

『ハハハハハハッ!!何をしたかはわからんが無駄なことだ。あの猟犬にはノワール星人のメカレーター処置が体内に仕込まれている!私の命令には死ぬまで従うしかないんだよ』

 

その言葉を聞いたコスモスは怒りを滲ませその拳を握る

ガルミュラを張り手で突き飛ばし、その握りしめた拳をコスモスが高く掲げる

 

掲げた腕から輝く赤い光が放たれる

腕を下ろすと共にコスモスの姿は慈愛を感じる青き姿から、熱き命の煌めきと力強さを感じる赤き姿ーコロナモードへと変身を遂げる

 

ーフッ、ハァッ!!!

 

力強い構えと共に赤いコスモスがガルミュラとカミソリデマーガへと突撃、カミソリデマーガの振り下ろす刃を受け止めその胴にチョップを炸裂させ、ガルミュラが放った光線にはバリアを張り対応。そのまま高く跳び上がりガルミュラへと鋭い蹴りを放つ

 

ーハァァァァッ!!!

『ごァッ!?』

 

直撃を受けたガルミュラはもんどりうって倒れ、カミソリデマーガの側に倒れ伏す

 

ーハァァァァ…‼︎

 

両手を高く掲げたコスモスに太陽を思わせるエネルギーが収束、それを円を描くかのように渦巻かせ、ガルミュラへと放つー

 

が、それは出来なかった

 

ーギャォォォォォォ……

 

ガルミュラが体から離脱させた長い首でカミソリデマーガの首を巻き取り引き寄せ、盾にしていたのだ

 

必殺のネイバスター光線の構えを解くコスモスを逃さず、ガルミュラは触角からの光線を放つ

防ぐ暇もなくコスモスの胸に光線が炸裂し、その巨体が吹き飛ばされる

 

『バカなウルトラマンもいたものだ。たかだか一匹の猟犬すら殺せんとは…そこのターゲットたちもそうだがそういう「優しい標的」は実に狩りやすい。少々物足りなくはあるがね…』

 

立ち上がろうとしたコスモスの肩口に再び光線が炸裂、コスモスはよろめき立ち上がれない

 

『終わりだ。面白いゲームだったよ、見知らぬウルトラマー』

 

と不敵な笑みを漏らすガルミュラの触角に銀色に煌めくエネルギー光弾が直撃し、その触角を折り砕いた

 

『ぐ、ぁああああああああああああああ!?!?』

 

たまらずうめいたガルミュラがカミソリデマーガから離れる

 

突然の加勢にコスモスが隣を見ると、花がその手にメモリーディスプレイを装着したトライガーショットを構えていた

 

「ムサシさん、今です!」

 

花の言葉にコスモスが頷き、両手を天高く掲げながら立ち上がる

 

それと共に金色の光に包まれ、更にコスモスの姿が変わる

 

優しさの青、力の赤、そこに奇跡の力の証たる金色を纏い、コスモス エクリプスモードがガルミュラに相対する

 

ーフゥン、へァッ!!!

 

『ち、調子に乗るなァッ!!!コイツを撃てないのはわかってるんだぞ!!!』

 

ガルミュラは性懲りも無くカミソリデマーガを引き寄せ盾にする

だが、それは奇跡の力を得たコスモスには意味の無い揺さぶりだった

 

ーフンッ!ハァァァァ……ッ!

 

コスモスが両腕をクロスさせ、黄金のエネルギーをその右手に収束させていく

 

ーヘァアァッ!!!

 

天高く掲げ、引いた腕を一歩踏み出すと共に突き出す

力強さと暖かさを共に持つ一条の光線はカミソリデマーガの体を捉えーだがその体にはダメージを与えることなく後方のガルミュラに直撃する

 

『ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?バカな、バカなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?』

 

断末魔の悲鳴を上げガルミュラが爆散する

その衝撃を受け、よろめいたカミソリデマーガをコスモスが抱き止める

 

弱ってはいるようだが生きている

その様子を見たコスモスは頷き、その体を優しく横たえさせる

 

奇跡の光線ーコズミューム光線はカミソリデマーガの体に埋め込まれた機械だけを破壊していたのだ

 

 

カミソリデマーガの元に駆け寄る花を見たコスモスは両の手を下ろし、その姿を縮小させていく

 

ムサシの姿に戻り、花と合流したところにアイランドステップ号も合流してくる

 

アイランドステップ号から降りてきたレジアが花の頭を軽く小突く

 

「無茶ばかりするんじゃない。肝が冷えたぞ…」

「あう…ごめんなさい…」

 

その様子を見ていたムサシが微笑み、同時に真剣な表情になり花に訊ねる

 

「この怪獣はキミたちの世界の怪獣だね?これから、この怪獣はどうするつもりなんだい?」

 

ムサシの言葉を聞いた花がぎゅっと掌を握りしめる

レジアはそんな花の肩を優しく叩き、言葉を促す

 

力強く頷いた花は前に一歩歩み出てしっかりと告げる

 

「私たちの拠点に連れて帰って、調査すると共に保護します」

 

花は横たわるカミソリデマーガの鼻先へと近づいていく

 

ーコァァァァァァァ…‼︎

 

近づく花に威嚇するように声を上げる

花はもう、怯みはしなかった

 

そっと、その鼻先を撫で微笑む

 

「……宇宙艇を襲う怪獣として恐れられているのは事実。実際、先程のムザン星種族のハンターのように猟犬として扱う宇宙種族も多くいます。でもー」

 

ムサシの方に花が向き直る

その目には確固たる意志の光があった

 

「きっと、この子たちとも傷つけ合わない道はあるはずです。私は、私たちはその道を見つけて一歩一歩進んでいきたい。だから、またここで一歩を踏み出す時なんです」

 

そう告げる花を見遣り、ムサシが微笑む

 

「ー花さんなら、きっとできるよ」

 

「ありがとうございます、ムサシさん!」

 

ーシェアァッ!!

 

その時、三人と一匹の頭上の空に大きな裂け目ができ、白銀の翼のような鎧を纏う鋭い目つきのウルトラマンが姿を現した

 

「ウルトラマンゼロ!」

『よう!久しぶりだな、コスモス。突然の来訪ですまない』

 

ゼロ、と呼ばれたウルトラマンはムサシの言葉に手を上げて返すと、花たちの方を見る

 

『パトロール中にそこの宇宙船がカミソリデマーガとムザン星の円盤に追われてゲートに入っちまうのを見たから、大急ぎで追いかけてきたんだ。遅くなってすまなかったな』

「えっと…それって、私たち帰れるってことですか!?」

『そういうことだ。オレの力があればひとっ飛びだ』

 

頷くウルトラマンゼロ

それを見た花はもう一度ムサシに向き直り、手を差し出す

 

「色々ありがとうございました。ムサシさん」

 

微笑む花を見、その手に握手を返すムサシ

 

「頑張ってね、花さん」

 

二人は微笑み、硬い握手を交わした

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ゼロに連れられ、アイランドステップ号はレーザーケージにカミソリデマーガを保護したまま、元の宇宙に帰ってきた

 

『到着っと、災難だったな。でももう大丈夫だろ』

「ありがとうございました、ゼロさん!」

『いいってことさ。これもオレたちの仕事だからな』

 

腕を組みながら自慢げにゼロが返す

 

『ーあんたたちの話は、オレたちもよく聞く。地球人と友好種族同盟が手を取り合って、この宇宙の常識を一つひっくり返そうとしてる、ってな』

 

ゼロの言葉に花とレジアが揃って目を丸くする

 

『銀十字軍隊長ーウルトラの母も興味深いって言ってるみたいだ。またどこかで会ったら、色々話を聞かせてくれよな』

 

楽しげにそう告げるとゼロが手を振る

 

『じゃあ、またな!』

 

左手でメロイックサインに似たサインをしたゼロはそのままアイランドステップ号に背を向けて飛び去っていった

 

 

ギャシー星LGL支部に向けて舵を取りながらレジアと花が言葉を交わす

 

「すごかったですね。ムサシさんたちの宇宙のあの惑星」

「ああ、とんでもなくすごい先輩に会ってしまったな…」

 

フフッ、と顔を見合わせて微笑む二人

 

「私たちも、負けてられないな」

「はい!私たちも、私たちなりの楽園を目指して次の一歩を踏み出していきましょう!」

 

花の力強い言葉にレジアが頷く

 

小さな、それでいて大きな一歩を踏み出した二人を乗せて、アイランドステップ号は青い海の星へと向けて進んでいった




登場怪獣・異星人紹介

・ムザン星人ガルミュラ
アイランドステップ号にカミソリデマーガをけしかけてきたレッドリスト登録済の危険種族
元々ムザン星種族は知的生命体をコマにした残虐なゲームを好んでいるが特にガルミュラは「猟犬」を用いたハンティングを好む
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