「はわ、わ!?遅刻!!!」
朝の住宅街、ある集合住宅の一画から騒がしい声が響く
その部屋の住民、NEXT GUYS新人隊員の百瀬 花は急いで寝癖を直したり服を着替えたり慌ただしい朝を過ごしていた
「お姉ちゃん何回起こしても起きなかったじゃん。しかも机に突っ伏したまま寝ちゃって…」
「ごめん
リビングの食卓で朝ご飯のトーストを食べていた妹の樹が呆れ半分に花に声をかける
トーストだけ掴んで咥えた花はそのまま玄関に向かう
「いってきます!」
「いってらっしゃい」
慌ててかけていく花の背を見送り、樹はゆっくりとトーストを食べ終え、食器を片付けてカバンを手に戸締りをしっかりして高校へと足を向けた
『ウルトラマンすごいですよね!まさか生きて本物が見れるなんて』
『カッコいいよな……父さんが昔見たっての羨ましかったけど感激だ…』
『ウルトラマンがいるなら、怪獣もきっと倒してくれますよね!』
街頭テレビから流れるニュース番組がインタビューに答える人々を映していく。話題はもう最近はずっと新しく地球に現れたウルトラマンイカロスで持ちきりだ
樹は樹で姉の職場の関係上興味が全く無いというわけでは無いが、正直聞き飽きてもいた
姉がきっちり仕事をしている証左ではあるが、樹自身は未だ怪獣の被害に遭遇しておらず、平和な日々を過ごせているというのも話に現実味が湧かない原因だろう
『ウルトラマン……ちょっと怖いですね…』
ニュースの映像が切り替わり映されている人々が変わる
インタビューであることは変わらないが、画面に映る人間離れした容姿を見るに地球人から宇宙人にターゲットを変えたらしい
『犯罪者だったけど、昔同族がやられてるから気が気じゃないよ』
『地球は守ってくれるらしいけど、私たちって敵視されないかしら』
『悪いことしてるわけじゃないけど、なんか落ち着かないねぇ…』
街頭テレビを見ていた群衆がヒソヒソと声を上げる
「ウルトラマンかっこいいのに伝わらないもんだねぇ」
「宇宙人にはわからない価値観ってヤツだろうよ」
あまりにも露骨な物言いに流石の樹も少し嫌そうな顔を見せる
そうこうするうちに信号が青に変わり、周りに合わせて樹も歩き出す
ふと視線を動かすと、服は地球のものだが頭は人間離れしたもの、人間そっくりだが髪の色や肌の色が違うものがちらほら地球人に混ざって歩いている
樹と花の住む住宅地の近くには地球に移住してきた友好的な宇宙人たちが住む移住区画街の一つが立地しているため、なんとはない日常の光景だった。なんなら樹の通う高校にもこの星で生まれ育ったらしい宇宙人の生徒が何人か通ってるほどだ
そんな身でもある樹だが、正直なところ異星人たちとは距離を開けて生活している
差別しているというわけではない、頭の中では彼らもまた人間と変わらないというのはわかってるのだが…
「キャァァァァァァァァァァァ!!!!」
突然響く悲鳴、立ち止まった樹の前方で人が倒れた
倒れた地面に広がっていく赤、倒れた人の背後から現れたのは異星人らしい巨大な剣のようなものを構えた黒い服の人影
その手にした剣は血に濡れている
『地球人……‼︎このヤロウ!このヤロウ!!』
倒れた人を異星人が蹴りつける
(NEXT GUYS……お姉ちゃんに電話……ッ)
震える手でバッグから携帯を取り出すが、手を滑らせる
カチャン
『!!』
「ひっ」
黒い人影がこちらに気づく
『お前も地球人……だな……?』
迫り来る異星人がこちらに剣を振り上げる
あまりの恐怖に足がもつれて倒れ込む
『とーーーーう!!!』
突然横から割り込んできた別の人影が異星人を突き飛ばす
すっぽりとローブのようなものを纏った小柄なその人はすぐさま樹の手を掴み立たせる
『こっちに!』
闖入者に手を引かれ、樹は路地裏へと逃げ込む
『待て、地球人……‼︎』
「そこの異星種族、動くな!!」
そこにNEXT GUYS保安局の隊員が駆けつけ、異星人にトライガーショットNEXTを向ける
『けっ、あーばよ!』
「待て!!」
異星人は武器を収納するとそそくさと逃走する
保安局隊員の何名かはそれを追跡し、残る隊員は倒れた被害者の治療を始めた
『ここまで来れば多分大丈夫』
樹と人影は裏路地を突き進み、別の人通りが多い場所に移動していた
危険が去ったことで脱力した樹はへたり込みそうになり、それを人影が支える
『おっとと、とりあえずどこか座る?地球人の体の疲労具合はまだよくわかんなくて…全力で引っ張ってごめんなさい』
人影の発言に少し疑問を感じ、その姿に目を向ける
ローブに隠れているが、その奥にうっすら見える姿は何やら機械のような雰囲気がする
「……もしかして、異星種族の人?」
『……ごめん、黙ってるつもりじゃなかったんだけど…』
申し訳なさそうな様子を見せるその人は周囲を見渡し、近くのカフェを指差す
『ここで話すのもアレだしどこかで…あそこなら、お休みできるかな?』
「…まぁ一応?喫茶店だし…」
『キッサテン……‼︎ 本物だ…!』
何やら興奮した様子でローブの人が喫茶店を見つめる
なんだかその様子に毒気を抜かれた樹は、高校をサボることを覚悟してその人と喫茶店に入ることにした
『こほん、自己紹介が遅れてごめんなさい。私はミアダ星という星から来たレリア。侵略とか、そんなことで来たわけでは無いから安心して!』
「ミアダ星の…レリアさん…」
『さん…地球の敬称だっけ?そんなのはいいよ。呼び捨てで呼んで!』
席に座って対面に向かい合うレリアがそう告げる中、樹は携帯で友好種族同盟の登録リストを確認していた
(ミアダ星……グリーン、ってことは完全友好関係だよね)
どうやらレリアの言葉は本当らしいと警戒を少し緩める
「ミアダ星人……ロボットみたいな姿してるんだね」
『あ、これは生身じゃないの。私たちは生身だと色々不自由だから』
とグローブらしいものをレリアが外すそこから覗いたのは緑色のドロドロした塊
樹も思わずウッと唸る
『私たち、軟体生物なんだ…えへへ…』
恥ずかしそうに笑うレリア
「……そういえば、侵略とかでないってことは、レリアって移住しに来たの?」
『うーん、移住ではないかなぁ…家出してきたようなものだし。観光?』
家出、となんだか穏やかでない言葉が聞こえたような気がしたが…
『そうだ!えっと…』
「あ…私は樹。
『イツキ!ねぇイツキ、この辺りでいいから私に地球を紹介してくれない?』
「え、私が?」
『うん、よろしく!』
レリアがスーツのグローブを差し出す
樹はその手を渋々握り返した
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「す、すみません遅刻してしまいました!」
息を切らせながら花が指令室に走り込んでくる
無論定例会はすでに始まっており、全員の視線が花に集まる
花は恥ずかしそうにそそくさと自分のデスクに座った
「あー……コホン。すみません、少しバタついてしまって…ではそちらからの連絡の方お願いします」
『……ああ、わかった』
今日の定例会はモニターに翼以外にもう一窓通信が繋がっていた
そこに映っていたのは白い服を纏った綺麗な女性と、スーツを纏った異星人
友好種族同盟
異星人とも交流を始めた地球に異星人側の代表として地球人と異星人のあれこれを取り持つために訪れている友好的な種族で集まった異星人の同盟
その代表である女性ールパーツ星人リブラと次席であるミステラー星人リビオスの2人から通信が繋がっている
『連絡というのは他でもない。先日、我々の方でマークし追っていた宇宙犯罪者・フェイクブラザーズが太陽系方面に逃走したというものだ』
異星人が手にしたタブレットからデータを送信
送信されたデータがモニターに映し出され、赤と青のマスクをしたような顔の2人の異星人が映し出される
「ババルウ星人の2人組犯行グループでしたよね確か。こいつらまだ捕まってなかったんだ…」
ケリスが心当たりがあるらしく呟く
『耳が痛い話だが、連中の変身技術は巧妙でな。我々側の治安維持機構でも中々尻尾が掴めんのだ』
『ババルウ星種族は地球にも何度か侵略に来ているのを私どもも確認しています。もしかすると、彼らはまたこの星に狙いを定めている可能性もあるのかもと思い、皆様へも報告した次第です』
「なるほど…承知しました。こちらの方でも警戒を強めておきます」
『頼んだぞ。聞くところによると、第2移住区画街でも散発的な事件が見られているようだが…』
「……第2移住区画街……?」
思わず声を上げた花だがリビオスに睨まれ姿勢を正す
剛が咳払いで助け船を出しながら切り出す
「それに関してはご心配なく。先日まで別件故に本格的な調査が行えていませんでしたが本日より実地調査とパトロールを行おうと計画しています」
『その調査には僕も同行いたします。一応、協力者という関係ですが同盟とパイプのある僕なら何か力になれることもあるやもしれませんし』
『ふむ、了解した。調査の方は任せよう。異星種族側で何かトラブルが有れば我々の方でも協力できることがあるやもしれん。早急な連絡を頼む』
「承知しました。お任せください」
『ーこちらからの報告は以上だ。そろそろ失礼する』
『では皆さま、ご機嫌よう』
リビオスの言葉が終わると、リブラが手を振る映像を最後に通信が終了する
「…と、まぁ先の報告でも言った通りだ。ケリス、事件の分布図を」
剛の指示に従いケリスがマップを映し出す
「ここ一週間、第2移住区画街で軽犯罪や揉め事が多発している。犯人は異星種族、地球人どちらもで一貫性の無い犯罪ではあるが…いくらなんでも報告件数が異常だ。多い時には一日に数十件も見られる」
マップに表示される事件発生地点の赤点は異常な個数であることが嫌でもわかるほどマップを埋め尽くしていた
「本日、この報告会後すぐに実地の調査を始める。現地は異星人たちも居住する種族間交流もある。くれぐれ迂闊な行動は慎むように。とはいえ、よっぽどのことが無ければ大丈夫だとは思うが…」
『G.I.G!!』
報告会終わりにNEXT GUYSとの通信を切った翼はネクタイを締め直し用意していたNEXT GUYSタフブック他の調査用品を身につけ、社長室を後にしようと足を向ける
そのタイミングでスマホに着信が入り、応答する
「はい、もしもし」
『活躍は順調なようだな。日向 翼』
電話口から聞こえてきたのは厳格な男のような声
種族同盟次席のリビオスからのようだ
「リビオス次席も壮健そうで何よりです」
『わかりきった世辞はいい。回りくどい真似は好かんからな』
「……何かありましたか?先の報告会で言え無いことだとは思いますが…」
『…忠告、と地球では言うのだったか?一言伝えおくことがある』
リビオスが声を改める
『異星種族の中には、かつて同胞が地球に侵略行為に来た者もよく知るものが悪に落ちた者もいる。その中には……いや、その中で無くともウルトラマンを良く思わぬ者がいる。そのことは知っておくといい』
『どう受け取るかは、貴様次第だがな』
通話が終わる
リビオスが残した言葉が翼の耳に残る
それでも翼は頬を叩き、部屋を後にした
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
樹は移住区画街にある色んな店をレリアを連れて回って行った
喫茶店の次は小物屋に行った
レリアの星ではガラス加工が難しいらしく、地球産のガラス細工に興味津々だった
店を出たレリアがタピオカが飲みたそうにしてたから一緒に飲んだ
食べたこと無い感じで面白いとめちゃくちゃに喜んでくれた
何故かパトロールの途中だったNEXT GUYSにいきなり声かけた時は少し肝が冷えた
お姉ちゃんじゃない、若い男の隊員さんだったけど話のわかる人で助かった…
『地球って色んなものがあるんだねぇ〜私の星には無いものがいっぱいでびっくり!』
レリアが身振り手振りで興奮を伝えてくる
往来の真ん中でもあまりに素直なリアクションを見た樹は思わず顔を綻ばせた
『あ、あれ?私何か変なことしちゃった…?』
「ううん、なんでもない。次はどこ行こうか」
『?うーん……色んなとこ行きたいからなぁー』
「邪魔だよマヌケ!」
ドンッ!
突然、レリアが突き飛ばされ倒れる
「レリア!」
倒れたその体を助け起こしながら突き飛ばした男を睨む
スーツ姿の男。多分地球人だろう。どこか嫌味な目でむこうも樹たちを睨んでいた
「……ってよく見たら宇宙人かよ…邪魔なんだからさっさと星に帰れよな」
「ちょっと、いくらなんでもそれは言い過ぎでしょ!!」
思わず樹が反論する
「言い過ぎ?別にいいだろ。これは意見なんだから。俺は宇宙人なんかと生活するなんて前からウンザリしてたんだよ」
「そんな差別発言していいの?NEXT GUYSに通報してー」
「じゃあ、お前は思ったことねぇのかよ、気持ち悪いって」
スマホで連絡しようとした樹の手が止まる
『イツキはそんなこと思わない!』
反論したのはレリアだった
「なんだよ?宇宙人の癖に生意気な口ききやがって……」
『きゃっー』
男がレリアの袖口を掴み上げる
樹が止めようと手を伸ばすが空を切りー
「ーぐぅッ!?」
男が妙な声を上げ、うずくまった
「あらごめんなさい。あまりにもやかましいからつい」
その男の背後からスーツを着た小柄な女性が姿を表す
振り上げた脚の位置からどうやら男の急所を蹴り上げたらしい
「お、おま、おまえっ……」
「こんな往来で耳障り極まりない宇宙人差別が聞こえたから来てみたけど、大丈夫?そこのあんたら」
「あ、はい…」
女性が男を無視し(しかも通りすがりに脚を思いっきり踏んづけ)樹たちを助け起こす
「差別ぅ?ちげぇよ!コイツらが俺に突っかかってー」
「見てないと思った?この子にぶつかるとこからしっかり見てたわよ、私。今時当たり屋紛いって古臭い…」
「な、なんのことだよ!?」
「とぼけたって無駄よ。しっかり記録も撮ってるからね」
女性がスマホを見せびらかしながら男に告げる
『こんのヤロウ……ッてあっ』
怒りを露わにした男の姿が一瞬揺らぎ、別の姿になりかける
「……あんた、まさか異星種族?地球人に擬態して地球籍を偽証するのは同盟法でも重罪って常識なのにこうするってことはやましいことあるんじゃないの?」
女性の糾弾に対して男は俯く
が、次の瞬間周囲の人々に向けて大声を張り上げる
「みなさーーーーん!!聞きましたかぁ!?コイツ今俺のこと宇宙犯罪者扱いしようとしましたよーーー!?」
「なっ…」
「怖いですねーーーー!?やっぱり宇宙人は俺らに危害を加えようとしてるんですよーーー!?怖いですねーーーー!?」
男の声に野次馬がざわつき出す
疑惑の目が向けられたのは、樹たちのほう。明らかに地球人ではない見た目のレリアがいる分当然だ
「ーうちの秘書がどうかしましたか?」
そんな男に一人の青年がにこやかに声をかける
「あ?」
「そちらはうちの、日向重工の大事な社員です。何かあったなら責任者である僕が事情を聞きましょう」
スーツ姿の青年はよく見るとNEXT GUYSのマークが描かれたアタッシュケースのようなものを持っている
「あんたのとこの宇宙人か。コイツ俺のことを宇宙犯罪者扱いにしてきやがったんだ、とんでもねぇ。ロクなヤツ社員にしてやがらないな」
「なるほど、証拠はありますかね?」
「証拠だぁ?」
「彼女は、同盟の下で厳重な審査と観察期間を経て友好指定を得ているサイコキノ星人、更に彼女個人も元々同盟の議席持ちの方から保証され預かった正しい経歴を持っています。証拠無くしては彼女に罪を問うことは難しいのですよ」
「テメェ…宇宙人の肩持つのかよ?審査の外で何してるかわかんねぇだろ!?」
「あまり同盟の審査を舐めない方がよろしいかと。同盟の審査は地球人他数十の種族を交えた厳正なもの。付けいる隙はほとんど無いです。加えて僕自身保護監察官として彼女の側で5年は生活を共にし、3年は社員の一人として仕事を任せていますが、法から外れるような行いをしようとしたことすら見たこと無いですから」
男にしか見えないように、自分のスマホを取り出し青年が画面を見せる
そこには、男が宇宙人を差別的に罵倒する先程の一部始終が映っていた
「ー穏便に、というならここはどうか理解してもらえますかね?」
青年の真意を理解したであろう男は大きく舌打ちをすると、踵を返してどこかへと去っていった
「……災難だったわね。小競り合いみたいなのが頻発って聞いたけどまさかこんなにあっさり見つかるとはね。えっと…」
「あ……百瀬 樹です。私は地球人で…」
とレリアの方を見ると何故だかソワソワした様子を見せている
「ミアダ星人がここらにいるなんて珍しー待って。そのスーツって…」
『あ、あーあーあーあー!!』
何かに気づいたらしい女性の言葉を遮り、レリアが手を振る
『そ、その…ごめんなさい!家の小型艇で飛び出してそのまま墜落してしまって……パスポートは持ってるんですけど…』
おどおどと答えるレリアの様子をしばらく怪しげに眺め、女性は一つ大きなため息を吐く
「一つ貸しよ。ただし、この後話聞かせてもらって、その後は外交部まで来てもらうからね」
『わかりました。それで大丈夫です』
女性は一旦樹たちから離れると、スマホで何か連絡を取っている青年に声をかけ、改めて樹たちに向き合った
「NEXT GUYSにちょっと話付けてるから少し待ってくれるかしら。今事態が事態だから」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「離せ!離せよ!!」
「大人しくしろッ!」
第2移住区画街の別エリアをパトロールしていた翔真は暴れる地球人らしい男を押さえつけていた
その向かいではケリスが異星種族ーキュラソ星人らしい人物を押さえている
地球人の男が突然キュラソ星人に殴りかかり乱闘騒ぎになっていたところに遭遇、対処していたのだ
『私が何をしたというのだ!突然攻撃してきて訳も話さず!』
「どうどう、事情は保安局で聞くから大人しくしといて」
なだめるケリスたちの側にNEXT GUYS保安局の隊員が合流し、キュラソ星人と地球人をそれぞれ押さえて連行して行った
「宇宙人の肩なんか持ちやがって…‼︎ 侵略者どもはみんなウルトラマンに倒されちまえ!!」
男が残した捨て台詞に野次馬として集まっていた通行人たちー特に異星種族の人々がにわかに騒ぎだす
「ウルトラマンはそんなことしませんよ。皆さんはきちんとこの星に移住してきた移民ですから…」
『そんなこと、わからないだろ!?』
なだめるケリスの言葉を憔悴した声が遮る
野次馬の中から現れたのは異星、正確には異次元種族のギギ人
『かつて我々の同胞は、ただ次元の移住先を探そうとしただけであの巨人に殺されたことがある!私たちに意思がなくとも、向こうがそう捉えたら我々は倒されるしかないじゃないか!』
「いや、それはー」
「ご安心ください。そんなことは俺たちがさせません」
ケリスの前に歩み出た翔真が続ける
「地球、そしてあなたたち移民も、俺たちNEXT GUYSが守ります」
淡々と、それでいてどこか強い口調で告げた翔真の言葉にギギ人は渋々といった様子ながら引き下がった
それを合図にしたように、野次馬たちも散っていく
「ウルトラマンの出現が異星種族にとっては必ずしも良いことではないか……まぁわからないことはないけどね」
「あれだけの力がある存在なら、当たり前とも思います。でも、彼らは神じゃない。種族の生き死にを決める権利なんて無い」
「確かに。それは賛成だね」
ケリスが翔真の顔を覗き込む
「ー翔真少年はさ、なんでそう生き急ぐんだい?」
「……少年なんて呼び方はやめてください。俺はもう大人です」
問いを半ば振り切るかのように翔真が足早にその場を離れる
その様子をケリスはどこか怪訝そうに眺めていた
「ウルトラマンは神じゃない。神様なら、あんなことになるはずが無かったんだ……」
胸元を握りしめる翔真
その胸元からはペンダントのチェーンが僅かにのぞいていた
「ーはい、こちらケリス。……了解しました。すぐに向かいます」
誰かからの通信を受けたケリスが翔真の肩を叩く
「隊長から。翼さんが見つけた怪しい人間に付けたマーカーが報告とは別の人物から見られてるらしい」
「……ということは、その人物は何者かの変装…?」
「その可能性が高そうだねぇ。とにかく現場に急ごうか」
「G.I.G.」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「……なんか聞いたことのある名前と思ったらやっぱり百瀬隊員の妹だったのね…」
「あ、姉がいつもお世話になってます…‼︎」
話を聞きたいということで一旦レリアと青年ー翼と別れた二人は近場のベンチに腰掛けて世間話をしていた
「会ったことあると言っても、せいぜいガンドラグーンの初出撃の時にちょっと顔合わせしたくらいよ。社長として会議にも参加する翼と違って私は裏方だし」
ひらひらと手を振りながらコンが笑う
「……あんたはあの子…レリアとどういう関係?友達?」
「……それは…」
コンの問いかけに樹が言葉を濁す
「……仲良さそうだったけど、友達では無いって?」
「……友達だなんて……私には言えません」
「どうして?」
「私は……私は、初めてあの子の生身の体を見た時、ちょっと気持ち悪いって思っちゃってたんです…あの男の人と同じだ……レリアは、私のことを信じてくれたのに……」
俯く樹から一旦目を逸らし、コンが口を開く
「昔さ、ある地球人と出会った時の話なんだけどね。あの頃の私って今よりだいぶ捻くれ者でイタズラ好きだったし、地球人のこと正直あんまり好きじゃなかったのよね。自滅を繰り返すバカな種族って見下してもいた」
「…………」
「その地球人のことも見下してたよ。バカみたいにヘラヘラして、いっつも難しい本やらで勉強して……めちゃくちゃイタズラしてやったわ。本を取り上げたり、泥だらけにしてみたり。それでもヘラヘラ笑って軽く叱るだけ、張り合いが無いったら」
コンがどこからかテレポートさせたらしい紙パックのジュースにストローを刺し、樹の隣に置く
「ある日、あいつの部下の一人が酷い宇宙種族差別主義だったんだけど、そいつに一人でいるところを襲われてめちゃくちゃ殴られたことあってね。念能力で吹き飛ばしてやろうってしたのに、対念動装備みたいなのまで着てたせいでそれもできなくて、ヤバいって思った。そしたら、あいつがやってきて、その部下のこと思いっきり殴り飛ばして見たことない剣幕で」
自分用にもう一つ取り出したジュースに口をつけながらコンが少し照れた様子で続ける
「私はあいつを見下してたりしたのに、あいつはずっと私を大切に思ってくれてた。あん時やっと私は気づいたのよね。あの子にとってのあんたも、そういうものなんじゃない?」
「……そうなのかな」
「そこからは知らないわ。私はあの子じゃないし」
「信じたい方を信じたらいいんじゃない?今からでも遅いなんてこと無いと思うし」
コンの言葉を聞いていた樹は少し顔を上げて渡されたジュースに口をつけた
「樹!!」
と、そんな樹の元に駆け寄ってきたのは花だった
「お姉ちゃん!?」
「翼さんから話を聞いてこっちに来させてもらったの。良かった無事で…学校はどうしたの?」
「それは…その、異星人に襲われてたところをレリアに助けてもらって、そのお礼にレリアにこの星を案内してて…」
「なるほどね…」
二人が話しているところにちょうど翼とレリアも戻ってくる
「花さん、合流ありがとうございます。僕たちだけでは保護は難しかったので助かりました」
「いえ、こちらもありがとうございました…‼︎ えっと…」
花が翼の隣に立つレリアに視線を移す
「あなたがレリアさんですか?」
『えっと、はい、そうです!』
「妹を助けていただき、ありがとうございました!」
花が深々と頭を下げる
その様子を見たレリアがあわあわと手を動かしているのを樹もまた見ていた
「……あのさ、レリアー」
ズドォォォン!!!
突然の地震にその場にいた人々がよろめく
なんとか体勢を立て直した翼が見上げた先にその地震の主は立っていた
「……ウルトラマンメビウス…⁉︎」
街中に現れた巨体。それはかつて憧れと共に見たあの赤いウルトラマンの姿をしていた
突然の来訪、ウルトラマンメビウスはかつて見た映像資料のように堂々とそこに立っていた
そんな彼はこちらを見下ろし
ー腕のメビュームブレスから光弾を放ってきた
「ーッ!?」
咄嗟に翼がメモリーディスプレイにカプセルを装着、キャプチャーキューブを展開し光弾を弾く
そのおかげで被害はなかったが、周囲の住民はパニックになっていた
「ウルトラマンが、なんで!?」
『やっぱり俺たちは殺されるのかよ!』
「異星人に巻き込まれて死ぬなんてごめんだ!!」
『ふざけるな!俺たちが何したってんだ!!』
地球人も異星人も皆が皆罵声や悲鳴を上げ逃げ惑う
その中でコンたちを庇いながら翼はメビウスを睨む
「どうして、ウルトラマンが…⁉︎」
「ー違う。あれはメビウスなんかじゃない…」
花の言葉を翼が即座に否定する
「花さん。二人を連れて周辺の人の避難を頼みます」
「翼さんとコンさんは!?」
「同盟の方に連絡を取りながら逃げ遅れた人を探します。最低限のメテオールは装備してますからご安心を」
それだけ告げると翼はコンに目配せをし、破壊活動を続けるメビウスに向けて二人が駆け出す
花も樹とレリアを助け起こし、共に避難を始めた
「コン、遠隔出撃操作は!?」
「もう終わってる!すぐに来るわ」
コンの言葉通り、上空から飛来したイカロスがメビウスに飛び蹴りを喰らわせ翻り、翼たちの側に降り立った
それを確認したコンは翼を掴み、イカロスのコクピットにテレポートした
「コンは避難誘導の手伝いを頼む」
「テレポートは疲れるんだけど、ったく人使いが荒いんだから…」
愚痴をこぼしながらもテレポートで離脱したコンを見るが早いか、翼は胸元から起動キーとなるネックレスを取り出し、コンソールに装填、個人認証が完了しイカロスの瞳が輝く
「イカロス!テイクオフ!!」
ーシェアァァッ!
翼の動作に合わせてイカロスが立ち上がり、メビウスと相対する
よろめきながら立ち上がったメビウスは首を鳴らすような動作をすると、まるで笑っているかのように肩を震わせた
同時に腕のメビュームブレスから黒い光剣を展開、イカロスに斬りつける。それを腕を交差させ受け止めるイカロス、メビウスは剣の上からさらに力をかけ、イカロスを抑え込む
「お前は…何ものだ…ッ!?メビウスの姿を真似て何を企んでる!?」
コクピットの翼の声がまるで聞こえたかのようにメビウスの口端が歪む
イカロスはその足を払い、メビウスを転倒させ拳を打ち込む。が、素早くイカロスに蹴りをかましながらその反動でメビウスは立ち上がる
よろめくイカロス越しに、翼は奥歯を噛み締めながらメビウスを見据えた
『クッハハハ!!いいねいいね!!ウルトラマン同士の殺し合い!最ッ高の見せ物だァ!』
二人のウルトラマンが撃ち合うのをビルの上から見物していた人影が手を叩いて歓声を上げる
「そこまでだ!」
その背後に翔真とケリスが現れ、トライガーショットNEXTを突きつける。その声を聞き、振り向いた姿はゼットン星人の姿だった
「ゼットン星人なのにウルトラマンがお友達って、中々珍しいねキミ」
『皮肉はよせよ。宇宙工作員のガキンチョ。もう正体バレてんだろ?』
「はっ、それもそうか……それと、私は元・工作員だから」
『同じようなモンだろうが』
とゼットン星人が肩を回すような動作をすると、その姿がぐにゃりと歪み、真の姿が露わになる
棘の装飾が各所に目立つ黒いスーツを纏い、顔は特徴的な赤い仮面に覆われ、同じく赤く染めた髪からは左側が大きい不揃いな2本角が生えているその姿はかつて地球に侵略に現れたババルウ星人と酷似していた
「ババルウ星人・フェイクブラザーズの兄、ザーギス……指名手配書類の画像通りの人相だね」
『へぇ、こんな辺境の星でも俺らの顔って知られてるんだ。有名人は辛いなァ、ヒヒッ!』
ザーギスは下卑た笑いを浮かべながら余裕の姿勢を崩さない
「さしずめ、あそこで暴れてるメビウスはキミの弟、マズダスだね」
『どうだろうかな?本当にウルトラマンが異星人殺しに来たのかもしれないぜ?』
「安い言い訳だね。ウルトラマンがそんなことするわけない」
『なんでそう言い切れる?お前らは、ウルトラマンの何を知ってるんだ?』
ザーギスの言葉にケリスが答えあぐねる
『見てみろよ。絶景だぜ?地球人と異星人、互いが互いを罵り合って攻撃して、共存しようってのが聞いて呆れるぜ全く』
ザーギスが示したビルの下では今も人々が避難していたが、その中で大小のいざこざが起きているのが見える
どれも異星人と地球人の諍い。保安局員が制止しても聞いていないものが多くいる
「あんたらがやっといてよく言えるな…」
『俺たちがしたのはちょっと藪を突いただけだ。他の星でもやってきたようにな』
今までの小さな事件は自分たちが起こしたことを半ば認めながらもザーギスは余裕を崩さない
『この星も結局同じ。他の星と同じようにテメェらの手で勝手に自滅していく。いやぁ愉快なゲームだよなぁ!?ハッハッハァ!』
「そのゲームももう終わりだ!」
『どうかなッ!』
翔真の銃撃をジャンプしてかわして翻りながらザーギスは屋上から身を投げる
それと共に巨大化したザーギスが二人を見下ろす
『ハハハッ!俺たちがただ騙すだけで指名手配されてると思わねぇことだなァッ!!』
ザーギスが屋上を薙ぎ払い、二人を吹き飛ばす
『ケリス、翔真!今ガンフェニックレガシーとガンドラグーンで向かっている!一旦下がってこちらと合流を!』
「G.I.G!!」
「G.I.G……ッ!」
剛からの通信を聞き、流石に不利と判断した二人が屋上から退避する
メビウスと掴み合い、押し合いをしていたイカロスの目にザーギスが避難民に腕の光弾発射ブレスを向けているのが見える
「なっ!?」
『兄貴のアレがどういう意味か、わかるよな?』
メビウスーマズダスがイカロスにだけ聞こえるように耳元で囁く
『お前が変にオレに手をあげたら……ボンッ!って訳だ。クククッ』
「卑怯な……‼︎」
そう告げたマズダスがイカロスを突き飛ばし、光弾ーメビュームスラッシュをぶつける
イカロスも負けじと反撃を試みるが、ザーギスに人質を取られているために、その拳を握ることしかできない
一方的にやられていくイカロスを避難誘導をしながら花たちが見つめていた
『……何もしないってことは、やっぱりウルトラマンは俺たちを…』
避難していく異星種族の一人がぽつりとこぼす
それを聞いた樹が倒れふすイカロスを見つめる
『……私ね、実はウルトラマンに会ってみたかった』
「…え?」
レリアが呟いた言葉に樹が首を傾げる
『私たちの星は、色んな星と交流を持とうとしてるんだけど、私たちがこんな姿だから中々受け入れてもらえなくてね』
「……」
『そんな時に宇宙警備隊の、ウルトラマンのことを知ったの。地球っていう別の星を守る異星人。すごいなって思った。力があるから、じゃない、別の星の種族が別の星を愛して、その星の人からも愛されて。私たちの星もいつかそうなれたらって』
「……災難だったね。そんなウルトラマンが、こんなじゃ…」
『ううん。あの銀色のウルトラマンは私たちを守ってくれた。やっぱり私が会ってみたかったウルトラマンだよ』
レリアは真っ直ぐにイカロスを見つめてそう告げる
『ウルトラマンもこの星が、この星のみんなが大好きなんだって。噂で聞くだけだった私も知ってる。そう信じてるから』
そをな中、イカロスを吹き飛ばしたメビウスが花たちを見据えた
吹き飛ばされたイカロスのカラータイマーが点滅
エネルギーが僅かになったその身をどうにか起こそうとした翼の目にニセメビウスが花たちが誘導する避難民を見据えているのが映る
ニヤリ、と口角を上げたニセメビウスはメビュームブレスのオーブを回転、その手を高く掲げる
必殺光線ーメビュームシュートの構えだ
「やめろォォォォォ!!!」
咄嗟に起き上がろうとするが、間に合わない
花たち避難民が頭を押さえてうずくまる
黒い光線が彼女らを焼き尽くすー
と、その光線は空から降り注いだ空色の光線に相殺された
動揺を見せるニセメビウスと避難民の間に割り込むように、青い巨人が降り立った
「ウルトラマンヒカリ…‼︎」
現れたウルトラマンヒカリは避難民たちの無事を確認し、頷くとイカロスを助け起こす
『宇宙警備隊でもマークされていたフェイクブラザーズの宇宙船が地球に侵入したのを見たから駆けつけたが、間に合ったようだな』
「ありがとうございます…‼︎」
ヒカリの登場に両手を握りしめ、ニセメビウスは怒りを露わにする
「まだ未完成ですが、ここは僕が!」
一歩前に歩み出たイカロスのコクピットで翼がシステムコールを告げる
「転送!イカロスナイトソード!!」
その声を認証し、日向重工地下に収納されたイカロスナイトソードが外装と共に射出、イカロスの目前に着陸する
ソードを手にすると同時に外装が展開、左腕と腰に青い装甲が装着され、イカロスがセイバーカスタマイズへと換装される
ーシェアァァッ!
換装が終わるか早いか、イカロスは腰の外装から何かを素早く抜き放ちニセメビウスに踏み込み斬りを放った
『ぐぁぁぁぁぁぁ!?!?』
ダメージを受けたニセメビウスの体がぐらつき、ホログラムが剥がれるかのように青髪に右側が大きな角を持つババルウ星人、マズダスが姿を表す
『あいつ…ババルウ星人の変装だったのか!?』
「畜生、ウルトラマンを利用しやがったのか!!」
それを見た避難民たちが立ち上がり、マズダスに批難の声が集まる
マズダスが対峙するイカロスはその手に2振りの得物を握っていた
一つはセイバーカスタマイズの専用装備、イカロスナイトソード
もう一つは、ホムラザムシャーが残した折れた黒星丸
二刀を構え、イカロスは改めてマズダスへと対峙する
『テメェェッ…!そっちがその気なら!!』
ザーギスが怒り心頭に避難民に向けていた発射ブレスを突き出す
が、その胸にミサイルが数発直撃し、よろめく
「レーザーウインチ発射!!」
さらにその脚に光線ワイヤーが巻き付く
「よっこら、しょっと!!」
ワイヤーを射出したガンバスターが大きく回転、ザーギスの足を払いすっ転ばせる
「ウルトラマンばかりがそちらの敵と思わないでもらおうか?」
ザーギスの目前に現れたのはNEXT GUYSの隊員たちが乗る4機の戦闘機が飛行していた
「今だよ、イカロス、ヒカリ!避難民は私たちがカバーする!」
レガシーローダーに乗るケリスの言葉にイカロスとヒカリが頷きを返す
『舐めやがってぇ!!!』
刺又状の武器を取り出したマズダスがイカロスへと襲いかかる
イカロスはその攻撃を小振りな黒星丸で受け流し、ソードの柄を腹に叩きつけ突き飛ばすと、返す刀でマズダスに斬りかかり、その武器を切断、ガラ空きになった胸にさらに十字の斬撃が突き刺さる
『マズダスゥゥ!!!テメェらァァァァ!!!』
頭を抱えながら起き上がったザーギスがレガシーウインガーとガンブレイバーのレーザーを弾きながら撃ち落とそうと光弾を放つ。それすら回避されたザーギスは頭を掻きむしりながら再び避難民に銃口を向けるが、その手をヒカリが抑え、鋭い手刀を打ち込む
よろめいたザーギスに返す回し蹴りがクリーンヒットし、マズダスのほうへと吹き飛ばされる
『ぐぅあっ!?』
『あ、兄貴……‼︎』
背中合わせになってよろめくフェイクブラザーズを二人のウルトラマンが挟み撃ちにする
『かつてお前たちの同胞にも同じ言葉を告げたが、お前たちのような侵略者には何度でも告げてやろう』
『この星では、お前たちの好きにはさせない!!』
イカロスが二振りの剣を十字に構え、ソードの柄に輝く擬似タイマーリアクターを回転させ、ヒカリが右腕を掲げナイトブレスにエネルギーを集める
ーシェアァァッ!!
ーフゥアッ!!
イカロスが放つ光の斬撃とヒカリの放つナイトシュートが同時に着弾、兄弟の体をスパークさせ、大きな爆発が巻き起こる
「よぉしッ!!」
「大勝利ッ!!」
フェイクブラザーズの撃破を見届けた人々やNEXT GUYSの隊員が歓声を上げる
それを見たヒカリは人々に向けて安堵したように頷き空へと帰っていった
イカロスもそれを見届けると、後に続いて飛翔した
「………」
翔真はその姿を一人静かに睨んでいた
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「帰るんだ、やっぱり……」
『うん、家出同然で出てきたし、正式な手続きとか飛ばしちゃったから』
フェイクブラザーズが撃破された後、すぐにレリアと樹の元に友好種族同盟の異星人が迎えに現れた
「そっか…」
『楽しかったよ、イツキ。地球の文化も、ウルトラマンも見れたし!』
「ウルトラマンは完全に偶然だったけどね…」
吹き出した樹と共にレリアが笑う
『じゃあ、また会おうね。イツキ』
手を振るレリアが樹に背を向ける
「レリア!!」
その背に樹が声を張り上げる
立ち止まって振り返るレリアに追いつき、樹が告げる
「キエテ・コシ・キレキレテ。私たち、友達でいたい」
『………‼︎』
「レリアの姿、最初はびっくりしたし、宇宙人とか、よくわかんなかったけど、レリアと色々なことして、レリアたちも私たちと似てるんだって、この星や自分の星が好きで同じように生きてるんだって思えたし…それに私も、レリアのこと好きになれたから…‼︎」
樹がカバンからライオンのキーホルダーを取り外し、レリアに握らせる
「こんな私で、レリアの信じたような私じゃないけど…」
『……うん、うん!友達でいよう!イツキ!
樹から受け取ったキーホルダーをしまい、レリアが手を差し出そうとするが、樹が首を振る
「レリアが大丈夫なら、グローブ越しでなくてもいいよ」
『!!ありがとう!!』
それを聞くと、レリアはグローブを外し、スライムのような『素手』を差し出す
樹はその手を迷いなく両手で握った
「またいつか、できたらレリアの星にも行ってみたいな」
『うん!今度はぜひ招待するよ!またね、イツキ!』
姿形は全く違う、別の星の少女二人は共に眩しい笑顔で笑いあった
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第2移住区画街
フェイクブラザーズの攻撃で崩れた建造物の瓦礫をA.I.G.I.S.の隊員たちが撤去している
「怪我人を見つけた!ジャッキはまだか!?」
「生憎今持ってる隊員が近くにいない!もう少し耐えてくれ!」
瓦礫下の怪我人の救援に手間取っていた隊員たちの前に、ギギ人の移住民が現れ、手にした銃型のデバイスを構える
「何をしている!?」
『危害を加えるつもりは無い』
ギギ人のデバイスから放たれた光線は瓦礫だけを縮小化し、その中に取り残されていた怪我人はすぐさま助け出された
最初は困惑していた隊員たちだったが、ギギ人に向けて敬礼をする
「協力、感謝する!」
『……手伝えることがあれば、また手伝おう』
隊員たちが去り、一人残ったギギ人は避難の最中にある少女の言っていた言葉を思い返していた
『ウルトラマンもこの星が、この星のみんなが好きなんだって、信じてるから』
『……私も、この星が好きなのだな。ならば、同じ仲間、か…』
ギギ人は薄く微笑み、空を見上げた
『私も、そんな未来を信じたい。きっとそうなのだろうな』
仮想訓練に打ち込む翔真にどこか危うさを見出す翼
そんな中、謎の超空間が日向重工を覆う
電話の音ともに様子がおかしくなった社員たちから逃げる中
翼は石動と、そして翔真もある人物と対峙する
超空間に潜む怪獣の正体とは?
次回ウルトラマンイカロス
「女王の番外楽章」