空に浮かぶは大きい雲   作:あろえよーぐると

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《東堂 刀華》(とうどう とうか)
固有霊装:鳴神(なるかみ)
伐刀者ランク:B
伐刀絶技:雷切(らいきり)
攻撃力A 防御力C 魔力量B 魔力制御B 身体能力A 運D


あり得た未来(第10話)

「私は出雲君が優勝した瞬間を客席から見ていて嬉しく思いました。破軍学園の悲願が叶ったのですから」

 刀華は語るように話し始めた。

「でも、1人の騎士として途轍もなく悔しかった。あの時、準決勝に勝ち進むことがてきていたら貴方と決勝を争うことができたから」

 感情が昂り身体中から雷が迸る。

「先程の黒鉄君とステラさんの試合を見て思いました。私もこのままではいけない。先に進むんだと。

 ですのでこの燻った心をどうか今日ッ!ここでッ!晴らさせてもらいますッ!!」

 

 一輝とステラの試合を見てお互いに昂った気持ちを晴らすつもりで刀華が試合を申し込んだと思っていた歩太はおもわず面喰らった。しかしすぐに戦意を漲らせ獰猛な表情を浮かべた。

「幻の決勝戦ってとこですかね。まぁ仮に決勝戦で当たっても勝ったのは俺でしょうけど」

 

 刀華から何か太いヒモが切れるような音がした。

 

「何を言ってるんですか…私の刃が出雲君を斬り裂いていたに決まってるじゃないですか?」

「えっ。誰が誰を?はははっ、ご冗談を」

 

 刀華から完全に切れ(キレ)た音がした。

 

 

 

「アユタの煽りってなんか腹立つのよね」

 

 会場の客席には一輝とステラの姿があった。この2人、気絶し運ばれて医務室の扉を歩太が開けようとしたと同時に意識を戻したのだ。そして歩太と刀華の試合があると聞けば、休息を欲する身体を引き摺って観戦しに来るのは当然だ。

 

「あはは。あれは歩太なりのパフォーマンスでもあるから。僕はそうでもなかったけど。」

 

 いや一輝にはしないからな?お前にそれやると、どの切り口からでも悪口みたいになるからな?俺の良心が痛むわッ!

 

 どうやら彼は対象外だった。

 

「イッキはこの試合どう見る?」

「そうだね…東堂さんが如何にして歩太の懐に潜り込めるかが勝利のカギだと思う」

「でもアユタって…」

「そう、凄く守りが堅いんだ。Aランクの潤沢な魔力と卓越した魔力制御でもって他者を寄せ付けない」

「それに剣技も鍛えてあるから隙が見当たらないのよね」

「僕なんて『誰が好き好んでお前と接近戦なんてするかっ!』って言ってよく水に流されたよ」

「うわ、相変わらず容赦がないわね」

「一度、懐まで近づけたこともあるんだけど『ほれ、お代わりだ』ってまた流されたんだけどね」

「もう鬼畜じゃない、それ」

「でも凄く勉強になってるよ。歩太に一太刀浴びさせるのが当面の目標なんだ」

 

 歩太が鬼畜と否定しないところ、一輝もそうだと思っているようだ。

 

 

 

(とど)け。《鳴神(なるかみ)》」

揺蕩(たゆた)え。《雲龍(うんりゅう)》」

 

『LET's GO AHEAD!!』

 

 開幕早々、刀華は電磁力による反発を利用して刀を鞘から抜き放つ超電磁抜刀術《雷切(らいきり)》を繰り出した。決して怒りで我を忘れたわけではない。これは開始の位置から離れられるのを嫌ったためだ。刀華とて歩太の魔法による攻守の高さを把握している。しかし、この距離なら自身の最強の技である《雷切》で防御ごと歩太を斬り裂くことができると考えていた。

 

 実に浅はかである。その証拠に刀華の身体は水に覆われさらに氷で固められて身動きを封じられた。

 

「ッ!?」

 

 すぐさま身体から雷を発して水と氷でできた檻から抜け出すも歩太は充分な距離を取っていた。

 

「や~びっくり。開幕早々に斬りかかられるとは思わなかったっす」

「完璧に封じておいてよく言いますね」

「驚いたからといって反応できないわけじゃないですし」

 

 刀華は目の前にいる頂点(七星剣王)の力を改めて認識した。

 

 彼の魔法による攻守の高さを把握している?挑む立場で何を考えていた?七星剣王の称号はそんな甘いものではない。自分は何様だッ!

 

 刀華は自身に活を入れ直し、歩太に立ち向かう。歩太はすでに水を作り出し周りに展開している。しかも周りの水は純度100%だ。不純物が混じっていない水は電気を通さない絶縁体となる。先程の刀華を閉じ込めた檻にも純粋が使われており、最初から対策を怠らなかった。それともう1つ。

 

 彼の考えが全く読めないッ!?

 

 刀華には相手の脳の電気信号を読んで、行動を先読みする《閃理眼(リバースサイト)》という技を持っている。歩太は刀華のこの技を知らないが魔力制御の訓練のために常に身体に純水を薄く纏わせているため電気信号を外に漏らしていないのだ。水をここまで自在に変化させることができるのも魔力制御Aと評価される精密操作を持っているためだ。

 以前に歩太がステラと初めて対峙した時、彼女の魔力を魔力量特Aランクと評したが今の彼は魔力制御が特Aランクと言えるほどに常軌を逸している。しかし現在、実情を知っているのは親代わりである師と姉弟子のみ。

 歩太は基本的に自身の情報が勝手に知られることを嫌う。知らない第3者に教えてもいない自分のことをペラペラと話されるとイライラするからだ。それに特典持ちの転生者だ。秘密にしたいことはたくさんある。その姿勢は戦闘スタイルにも影響し今の彼があるのだ。

 

 刀華は近付こうとするが、歩太の周りに展開している複数の水球から放たれる強力な水のレーザーにより近づくことができない。少しでも立ち止まるものなら、あのレーザーの餌食になってしまう。こちらも雷を飛ばす技《雷鷗(らいおう)》で応戦するが水のレーザーに打ち負けた。そのため無駄な魔力は使わず捕まらないように動き回り歩太の隙を虎視眈々と狙う。

 

 どうすればいい?どうすれば近づける?どうすればこの騎士に勝つことができる?違う、そうじゃない!

 

 何を弱気になっているッ!私にできることは最初から1つだろッ!?

 

 刀華はステージの端まで下がる。距離が離れたため、歩太は一旦攻撃の手を止めた。

 

「私はこの一撃に全てをかけるッ!」

 

 そういって稲妻を走らせながら居合いの構えをとった。今から放つのは正真正銘、全力の《雷切》だ。これが通じなければ刀華には勝ち目がない。雷を纏って刀華は走り出した。歩太は水のレーザーを放つが彼女を目前に蒸発してしまう。ならばと水球を集め水龍を作り出す。水龍は先程のレーザーの数十倍の威力であろう息吹(ブレス)を刀華に向けて放つ。

 刀華は真っ直ぐと歩太に向けて走り続ける。攻撃を受けながらも突き破りながら最短距離を駆け抜ける。

 

 

 そしてついに

 

 

 

 

 

「ーーー《雷切》ッッ!!!」

 

 

 

 

 彼の身体を斬り裂いた。

 

 

 




~歩太と姉弟子~
歩太「もう許さねぇ。覚悟しろや姉弟子ッ!」
姉弟子「ウチに喧嘩を売るなんざ10年早いぜ、歩太」
歩太「はっ!行き遅れの女がいう10年は重みが違うな~」
姉弟子「ムカッ!てめぇー言っちゃあイケねぇこと言いやがったな。空き缶みたいにペチャンコにすんぞ、コラァ!?」
歩太「ペチャンコなのは姉弟子の胸じゃボケェ!?」
姉弟子「表出ろやコラァ!ブッ潰してやる!!」
歩太「日本沈めれる技持ってんのはアンタだけじゃないって教えてやんよぉ!!」

このあとメチャクチャ日本を気遣った。

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