空に浮かぶは大きい雲   作:あろえよーぐると

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・桐原 静矢(きりはら しずや)
伐刀者ランク:C
伐刀絶技:狩人の森(エリア・インビジブル)
二つ名:狩人(かりうど)
攻撃力E 防御力D 魔力量D 魔法制御B 身体能力D 運B



ジャンケンしよう、最初はグーな?(第13話)

 珠雫(しずく)も歩太にお仕置きされてから兄である一輝との接し方を幾分か落ち着きを見せた。一輝の同室の相手(刀華)と珠雫が一方的に問題を起こしかけたが一輝が宥めて有耶無耶になったりとあったが。珠雫に映画を誘われ、歩太とステラも呼んで一緒に行った。その際、紹介されたオカマの有栖院 凪(ありすいん なぎ)(『通称、アリスって呼んでくれると嬉しいわ♪』)に紹介され少し尻が引き締まったが問題なく友好を深めたりと平和な日々を過ごしていた。ショッピングモールが解放軍(リベリオン)に襲われる前までは。

 占拠されたもののAランク騎士2人(歩太とステラ)Bランク騎士(珠雫)が人質の中にいてFランク騎士(規格外)がその輪の外で控えていて解決できない事などなく、人質に被害なく鎮圧される。

 お互い労いながら帰ろうとすると、後ろから声をかけられる。

 

「フフフ。念のために控えていたけど、そのメンツならやっぱり問題なかったね」

「ひさしぶりだね、桐原君」

「ああ。ひさしぶりだね、黒鉄一輝君。君、まだ学校にいたんだ」

 

 桐原は嘲りの視線を向けながら一輝に言った。

 

「君はまだ、その惨めったらしい力で騎士道を歩み続ける気かい?」

「うん。そのために努力を続けてきたからね」

「かつてボクと戦うのが怖くて逃げ出した臆病者がよくいうよ。今度も逃げるんじゃないのかい?」

「どういうことかな、桐原君」

「生徒手帳の電源、切っているんだろ?入れてみなよ」

 

 一輝は促されるままに電子生徒手帳の電源を入れる。すると選抜戦実行委員会よりメールが送られてきた。

 

『黒鉄一輝様の選抜戦第一試合の相手は、二年三組・桐原静矢に決定しました』

 

「確認できたようだね。そう、君の一戦目の相手は去年の七星剣武祭代表であるこのボク。《狩人(かりうど)》の異名を持つ桐原静矢なんだよ」

「そうか…。良い試合をしよう」

 

 桐原は一輝の言葉に顔を歪め不愉快さを隠さぬまま告げる。

 

「はんっ!そんな粗末な力でボクの前に立つというなら、相応の覚悟をしてくることだね。なにしろ選抜戦は模擬戦とは違う実戦なのだから。殺されないように精々頑張ってくれよ」

 

 捨て台詞吐きながら桐原は去っていった。

 

 

 

 ついに七星剣舞祭に向けての選抜戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 誰もがこの試合は桐原の圧勝だと思っていた。

 

「やぁ。来たんだね」

「やっと来た機会なんだ。来て当然さ」

「もしかして本気でこのボクに勝てるとでも思ってるの?

 不快だね。ああ、実に不愉快だよ。君みたいな落ちこぼれがボクに勝てなんて思われてる事が実に気に入らないねえ!」

 

「いいよ、ああ、いいともさ!格の違いを見せてあげるよッ!」

 

 

『それでは試合開始っ!』

 

 

「来てくれ。《陰鉄(いんてつ)》」

「さあ狩りの時間だ。《朧月(おぼろづき)》」

 

 桐原は直ぐ様、伐刀絶技(ノウブルアーツ)狩人の森(エリア・インビジブル)》を発動させて自分の存在を隠した。

 

「『さあ、ボクを見つけて捕まえてごらんよ!まあ、その前にボクの攻撃を潜り抜けなきゃイケないんだけどねッ!』」

 

 能力により自身をステルスさせた状態で一輝の後ろに回り、矢をつがえて一矢放つ。

 

「分かってたよ」

 

 一輝は振り返りながら矢を刃で斬り裂いた。

 

「『はっ…?』」

 

「こんなものかい?だったらこの試合、すぐ終わることになるよ」

 

「『くっ、…どうやら少しはやるようだね。でも今のは小手調べってヤツさ。マグレで対処したからって調子に乗らないで欲しいね』」

 

 桐原は苛立ちを含んだ声で話し、今度は連続で矢をつがえて撃ち放つ。その中の何本か特別製だ。しかし、一輝は難なく対応する。

 

「確かに見えないし気配も感じない。けど、歩太の攻撃の方が何倍も厄介だった」

 

「『ふ、ふ、ふざけんな!何で見えない(・・・・)矢にも対応できてんだよっ!アリえねえだろうがッ!?』」

 

 桐原はあまりにものできごとに驚き三歩程後ろに下がった。

 

「今、三歩下がったね」

「『~~~~っっ!?』」

 

 あっさり言い放つ一輝に桐原は身も凍るような恐怖を感じ、声にならない悲鳴を漏らす。それは一輝が言ったことが、紛れもない事実だから。

 人間、全ての行動の根幹を司る『理』がある。価値観と言っても言い。それをその人の行動や趣向、言葉の端々から辿り理解すれば、その人が今何を考えているか、自分がどう動けば、どういう手をこえじてくるか、ありとあらゆる行動全てが手に取るようにわかると一輝は説明する。

 そして見えないはずの桐原はしっかりと見据える。

 

「もう君の位置は確認できてるよ。もう逃がさない。勝負だ、桐原君。僕の最弱(さいきょう)をもって君の最強を捕まえる!」

 

 一輝は確実に仕留めるために《一刀修羅》を発動させた。

 

「で、デタラメを言うなッ!ボクの《狩人の森(エリア・インビジブル)》は無敵だ!こんなFランクのクズに見破られるはずがない!」

 

「君の器はもう見切った。この勝負は僕の勝ちだ!!」

 

「くるなあああああ!!!!」

 

 桐原は迫りくる一輝に向けて矢を放ち続ける。一輝は自分に当たる矢のみ斬り飛ばし速度を緩めず桐原の方に進む。

 

「まて、待て!とまれ!止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれって言ってるのがきこえねぇのかよぉおぉぉお!!ふざけんなふざけるな!」

 

 ならばとありったけの魔力を矢に込めて上空に撃ち放つ。撃ち放たれた矢は中空で爆ぜ、百を超える不可視の光の鏃となる無差別範囲攻撃。だが、それすらも一輝は当たらない。

 

「お、おい!冗談だろ!?なあ!やめようよ!そんな、それ、刃物だぞ!?そんなんで人を斬ったら、大変なことになるだろ!?普通じゃないってこんなの!どうかしてるって!!だからやめよう!そ、そうだ!ジャンケンで決めよう!!それがいいよ!なあ黒鉄君!ボクたちは元クラスメート、友達じゃないかッ!!」

 

 為す術がない桐原はその場でへたり込み一輝に懇願する。

 

「ひ、ヒィィィィイィィイイイ!や、ヤメロオオォォオォオオオ!!わかった!ボクの負けでいい!ボクの負けでいいから痛いのはいやだああああああ!!」

 

 一輝の刃は桐原を目前とし地面に刺して止める。

 

『桐原静矢、戦闘不能!勝者、黒鉄一輝!!』

 

 場内は唖然となる。去年、七星剣舞祭代表に選ばれた桐原が負け。無名のFランク騎士が勝利を納めたからだ。歩太達と一輝のクラスメイト達は拍手を持って一輝の勝利を称えた。

 一輝は七星剣舞祭に優勝すれば卒業できるようになる。そう理事長である神宮寺黒乃と約束を交わした。その一歩を今日進んだのだ。親からも学校からも友達から見放され続けた日々だった。歩太がもしあの時、自分を助けてくれなかったらもっと辛い思いをしただろう。歩太が裏で手を回してくれたことは知っている。ならば、一輝はこんな所で立ち止まるわけにはいかないと思っているし、何よりも…

 

「君に勝ちたいからね」

 

 一輝が目指す七星剣王は誰か?一番の親友である出雲歩太である。いずれ超えなければならない最大にして最強の壁だ。

 

「僕は勝ち続けるよ。君にも勝って優勝してみせる」

 

 

 

 

 この日を境に一輝は《落第騎士(ワーストワン)》から《無冠の剣王(アナザーワン)》と後に呼ばれ始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




・黒鉄一輝が桐原にしたもの
《完全掌握》(パーフェクト・ビジョン)
相手の言動、性格、行動、さらに趣味趣向の情報を元に相手の全てを把握するトンでもな洞察力が必要な伐刀絶技。
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