固有霊装:黒き隠者(ダークネスハーミット)
伐刀者ランク:D
伐刀絶技:日陰道(シャドーウォーク)
攻撃力E 防御力D 魔力量D 魔力制御C 身体能力C 運D
「黒鉄君、どうかご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いしますっ」
一輝は自身をつけ回していた女生徒。三年の
試合も終わり夕食まで各々が鍛練を行っていた。歩太は用事があると言って皆から離れた。
その用事とは姉弟子に鍛練に付き合って貰うことだ。
「よぉ。歩太ー、待ってたぜぃ」
「ああ。今日はありがとな、姉弟子」
同じ師から教えを受けた同門であり、魔導騎士達がその力を競い合うスポーツ競技『Knight Of Knights』通称『KOK』の世界ランキング3位。
東洋最強の魔女《夜叉姫》
「本格的な鍛練ってなるとヘタに一輝に見せると技を盗まれたり対策される可能性があるからどうしても体術関連は気軽にできないんだよなぁ」
「ウチは歩太の気にしすぎだと思うけどねぇ。てかあんなん見ただけで簡単に盗めるもんでもねぇだろ」
「それでもできないと言い切れないのが一輝なんだよ。アイツは七星剣舞祭で優勝しなければ卒業できない。でも俺は一輝と七星剣武祭で剣を交えたい。戦いたいんだ」
「その前に代表選抜戦で当たるかもしれねぇじゃん」
歩太は首を横に振りそれはないと言う。
「『勘』なんだけど、当たらない気がするんだ」
「ひょえぇぇ、そんなもんかねぇ」
「何となくなんだけどな」
「そういやぁ、歩太って
「未知ほど対処しずらいもんはないからな。あとハゲないし、ハゲても生やせるわっ。もういいだろ、始めようぜ」
そう言って、お互いに
「いっちょ、揉んでやんよ。来いよ
「いっちょ、頼むわ姉弟子」
《夜叉姫》と《七星剣王》がぶつかり合う。
一輝はあれから絢瀬に指導し、彼女の剣は鋭さを増した。そのことに喜びを
絢瀬に先程の他校の生徒との関係を聞こうとしたところ、電子生徒手帳から次の選抜戦の試合内容が届く。
『黒鉄一輝様の選抜戦第十一試合の相手は三年一組、綾辻絢瀬様に決定しました』
絢瀬も確認したようで血の気が失せ、青ざめた顔でこの場を去る旨を一輝に伝える。一輝も察して別れを告げると絢瀬は走り去った。
それから何日も鍛練に来ることはなく、試合前日に絢瀬からメールが来る。その内容は明日の深夜午前三時に屋上に来て欲しいとのことだった。一輝は約束通り来るがそれは絢瀬が仕掛けた罠だった。
剣を指南されている絢瀬では一輝に勝てないと判断してどうにか勝率を上げるためだ。絢瀬は自身の身を危険にさらし、一輝は絢瀬を助けるため一日一回しか使えない《一刀修羅》を使った。絢瀬の目的は達成してその場を去った。
刀華は部屋で眠っていたが扉の開く音が聞こえ目を覚ます。そこには疲れ切った一輝が倒れていた。
「黒鉄君っ!?しっかりしてください!」
一輝は息絶え絶えになっているが刀華の存在に気づいた。
『えーそれでは、お待たせしました!これより本日の第一試合を開始致します!!』
ボクは何がなんでも勝たなくちゃいけないんだ
『まず青コーナーから姿を見せたのは十戦十勝のパーフェクトゲームを続ける、今注目のFランク騎士!一年、黒鉄一輝選手です』
ボクは必ず、道場を取り戻す。たとえ黒鉄くんに二度と許してもらえなくなったとしても
『赤コーナーよりDランク騎士!三年、綾辻絢瀬選手です!』
怖い顔だ…好都合だよ。これだけ冷静さを失ってるなら今なら、あっさり罠に飛び込んでくるかも…
『それでは皆さんご唱和ください。
「来てくれ。《
「赤く染まれ!《
「何があったか説明してくださいッ」
刀華は黒鉄を介抱し、落ち着いたところ訪ねた。綾辻のこと、罠に嵌まって《一刀修羅》を使ったため、今日の試合では使えないこと。刀華は怒り絢瀬のところに行こうとするが、一輝が待ったをかける。
「このことは、誰にも言わないで下さい」
「どうしてですかっ!こんな、正々堂々と戦う他の生徒をコケにするようなことを黙っていろというんですか!」
「僕にはあれが彼女の本心とは思えないんです」
「こんなことされておいて貴方は何を…ッ!?」
「信じたいからです」
「黒鉄君…」
「綾辻さんとは短い付き合いですけど、それまで知った彼女の姿が嘘とは思えないんです。だから本当に最後の最後まで信じてみようと」
「………」
「それに僕は彼女との縁を切りたくない。何か追い詰められるあまり、自分を見失っているだけなんだと。
僕は彼女を助けたい。だから東堂さん、今夜のことは誰にも言わないで下さい」
「……ええ、分かりました。今回だけ無かったことにします。
ただし、勝ってください。それが条件です」
刀華は優しく微笑み、一輝に告げる。
「助けてあげてください。貴方の大切なお友達を」
一輝は先程から絢瀬の見えない斬撃にさらされている。彼女が屋上から落ちる際に自分の足場を能力で切り刻んでいた。そして今のことから空間に斬撃を配置して任意で発動させることができると分析しているが、如何せんまだ情報が足りないため不可視の攻撃を喰らい続ける。
「ハァァアアアアアアア!!」
膝をついた一輝に絢瀬は斬撃の雨を降らす。一輝は不安定な体勢ではあるが受けきる。そして立ち上がり反撃に出る。しかし、その攻撃は絢瀬は読んでおり受け流してがら空きの胴を目掛けて《緋爪》を振り抜く。
だが一輝はその刃を《陰鉄》の柄尻で受け止めた。
「…よかった」
黒鉄は安堵の言葉を漏らした。
「え?」
絢瀬は距離を置き、言葉の意味を考えながら警戒を緩めず構えた。
「やっぱり綾辻さんは僕が思っていた通りの人だった。間違ったことをして平然といられる人じゃなかった」
「…何を言い出すかと思えば、よくもまあそんな世迷い言を」
「世迷い言なんかじゃないさ」
絢瀬は思考が一瞬、真っ白になった。
「太刀筋も、踏み込みも、リズムも、呼吸も、何もかも滅茶苦茶だ。どれだけ自分を偽っても魂は欺けない、心技体揃ってこその剣術だ、迷ってる剣に本当の力は宿らない」
絢瀬は違う、そんなことないと心の中で否定する。
「綾辻さんは本人が思ってる以上に誇り高い人なんだよ」
「そんなことない!」
絢瀬は叫び語る。二年前にどれだけ誇り高くても負けてしまえば全て台無しになると思い知った。きれい事な何の意味はないと。だから自分は何をしてでも勝たなければならないと。必死になることで、自分の悲鳴に耳を閉ざしていた。
故に一輝は
「…なら、僕のやるべきことは一つだ」
《陰鉄》の切っ先を絢瀬に向けて告げる。
「僕の
一輝は突撃の構えをとり、そのまま走り出した。絢瀬は近づく一輝に設置している斬痕の罠を発動させるが一輝の加速が速すぎるため、不発を起こす。
今日はもう一刀修羅は使えないが、
間合いまで近づいた一輝に絢瀬は裂帛の気合いを込めて《
「第四秘剣『
直前で歩幅を変えることによって相手に残像を見せる技だ。絢瀬が晒した隙を逃さず一輝は《陰鉄》を振り抜いた。
勝負は一輝の勝利で幕を閉じた。そのあと、絢瀬から話を聞き出した。絢瀬の父親の道場が貪狼学園の生徒、
「…どうして。ボクは黒鉄くんを裏切ったのに…っ。あんなに、ひどいことをしたのに、なのに…っ…どうして助けようとするの?」
「友達の涙を拭うのに、理由なんていらないよ」
「ッ…黒鉄くん…ボクを…たすけて…」
「その一言が聞きたかった」
《綾辻 絢瀬》(あやつじ あやせ)
固有霊装:緋爪(ひずめ)
伐刀者ランク:D
伐刀絶技:風の爪痕
攻撃力C 防御力E 魔力量E 魔法制御D 身体能力D 運E