その1…固有霊装の形と能力
その2…魔力量Aランク最高(ステラを除いて)
その3…丈夫で健康な肉体
その4…頭脳明晰(学園都市一位の演算能力とかリリカルな世界のフェレット並の並列思考とか)
その5…能力と記憶を引き継いで転生(性別は男で)
その6…
その7…
昼食後。ある程度腹具合が落ち着くのを見計らい、散策のための班分けを行った。それぞれ二人一組の四組となり貴徳原カナタと一輝を拠点となる合宿場の建物に残り、他三組が巨人の捜索のために乗り出した。
班になった歩太とステラの二人は西側の山林を任される。その場所は
「ステラ、大丈夫か」
「……うん」
歩太は声をかけるがステラの返事はいつもより元気がない。そういえば昼食のカレーもかなり味が良く周りも杯が進んでいる中で五、六人前以上は余裕で平らげる彼女は1度もおかわりをしていなかった。あの食欲魔神が?どう考えてもおかしい。
引き返すことを提案するがステラはそれを拒否。仕方なく早く終わらせるために魔力を放出し知覚範囲を広げて捜索をすることにした。捜索中、次第に天気も悪くなり今にも雨が振りそうだ。あと暫く捜索して何もなければ一旦戻ることを考えた歩太だが、視線の先に妙なものを見つけた。
「これは…足跡か?」
何十本もの木々が倒れ、地面は巨大な何かが這い出てきたかのようで足跡のようなものがある。
「ステラ、これを見てくれ」
「はぁ、はぁ……」
「ステラ…?」
歩太はステラが荒い息を吐きながら木に寄りかかっていることに気がついた。側に駆け寄り状態を確認するが顔は赤く、額に汗が珠のように噴き出していた。首筋に指を当て能力でステラの状態を確認する。
「身体の状態はどうだ?」
「わ、わかんない…。ただ…さっきからなんだか身体がすごくだるくって…吐き気がとまらなくって…目眩がして……ッ」
ステラ自身の意見と能力で確認した結果。どういう症状か理解した。
「風邪だな。日本の気候は移り変わりが激しいから急な気候の変化で体調を崩した感じか」
「か・ぜ…?」
「え、その反応本気か…?まぁ
「…あぁ、これが噂に聞く『カゼ』なのね。子供の頃は学校が休めるのが羨ましかったけど…羨ましがるようなもんじゃないわね、これ」
ステラは苦笑いを浮かべるがやはり辛そうだ。
「このままじゃ調査の続行は無理だ。引き返そう」
「ちょ、ちょっとまってよ。せっかく手がかりを見つけたんだから……」
「初めての風邪を引いたんだ。身体も動きづらいだろ」
「そんなことないわっ。このくらい………あ、あれ?」
ステラの身体がふらりと揺れ、地面に崩れ落ちそうになる。歩太は素早く動き彼女の身体を抱き寄せるように支える。
「ほら言わんこっちゃない。それに息も上がってるし体温も高くなってる。安静第一だ」
「あぅ…」
「悪いがこのまま運んで帰るからな」
「…ぁ…ぅ」
歩太はステラを抱き上げて下山を決意するがぽつりぽつりと雨が降り出し、次第に豪雨となった。
「うわ、このタイミングでか」
豪雨に変わる直前に魔力を半円状に展開して雨から濡れるのを防いだ。激しい雨の中で病人を動かすのは不味いと考え、ここに来るまでに避難用の山小屋を見つけたことを思い出した。
『ステラさんが倒れられたのですか!?』
「はい。担いで近くの山小屋に避難したところです」
山小屋に着いてから気温がかなり下がっているため山小屋内の囲炉裏に火を起こして居留守組の貴徳原にこれまで得た情報とステラの状態を電話で説明した。
『わかりました。安静にして救援を待っていてくださいませ。多分1、2時間ほどで到着すると思います。外は寒くなっていますので濡れた身体を乾かすのを忘れずに』
「はい。よろしくお願いします」
歩太は能力を使って雨で濡れた自身とステラの服から水分を取り除いた。ステラの場合は発熱による汗もかいていたので着衣の状態で全身丸洗いをしたのが良かったのか少しスッキリした顔をしていた。
「ねぇ……あゆた」
「どうした、ステラ?」
「膝まくら」
「うん?」
「床に直接寝てるの…痛いの。だから…して?」
熱のせいか瞳を潤ませ弱々しい声でステラは懇願する。普段と違う様子に歩太は気遣いながら優しく持ち上げて自身の太股に頭を乗せた。
雨が降り続ける中、再び体温が上がったのか首筋から汗粒が浮き上がり弱くもどこか妖艶に聞こえるステラの声に日常では意識しないようにしていたステラの女の部分を感じて自身の男を強く実感してしまう。
気を紛らわすために左手の掌に程好く冷えた水を薄く形成してステラの額にそのまま当てる。
「あっ…冷たくて…ぃぃ…もっと…っ」
ステラは歩太の左手を両手で掴み自身の右頬へと移動させて甘えるように頬擦りをしながら抱きしめた。
「フフッ…」
下手に精神が大人のためか前世でヘタレてたのかは語らないがステラが歩太に対する好意は端から見ていれば誰でも気づくし、歩太の対応から見ても憎からず想っていることも読み取れるくらいなのだがまだ交際すらしていない。何故だ?why?
理由は長い付き合いの中で育んだ心の距離の近さに原因があったりする。ステラはあれ・それ・これで分かり合えるのが心地良さに。
ちなみにステラを膝枕しながら介抱してる歩太はというと…
「……フゥ」
今にも
「ン……アユタァ…」
時折甘く喘ぐような声を出しては機嫌良く自分の名前を呼ぶ声。左腕に感じる豊かな母性の象徴の柔らかさに男の性が今にも溢れそうになるのをぐっと堪える。『身体が若いから負けそう』とか心の中で呟いてたりするが流石に風邪を患ってる女性をドラゴンファングするのは常識的にあれなので今のところ理性が勝っている。しかし身体は正直と良く聞く台詞があるように一部が大変元気になっている。
ところで女性は匂いに敏感な人が多くいるらしい。交際してる異性の匂いは勿論好きな場合が基本だが本気で嫌いになった場合はその匂いが駄目になるのだとか。
では、生まれつき五感が他人より優れており付き合ってはいないが好いてる相手の脱いだ服の匂いをスーハーすることがあるご満悦に膝枕を堪能しているどこぞの
ステラは仰向けの状態から歩太の腹筋を経由してゆっくりとうつ伏せになる。
「ん?」
歩太はステラの行動に疑問を持つが次の瞬間、思わず驚愕の声を上げた。
「え──ちょっ、ステラさん!?」
「あ、すごい……」
「今スゴイことしてるの君だからね!?」
元気なっている歩太の雲龍に手を伸ばし触れてきた。その顔色は風邪のせいか興奮してるか赤く頬を染めて状上目遣いで見てくる。
「アユタ……しよ……?」
プッツン。糸が切れる音を歩太は聞いた。もう歩太は羊を前にした腹を空かせた狼と変わらない。その柔肌にかぶりつくことしか考えることができなくなっていた。
しかし突如、危険を感じて咄嗟にステラを抱えて山小屋から脱出した。山小屋は破壊されて少しでも遅れていたら歩太はともかく今のステラは危なかったかもしれない。
目の前には土でできた巨大なゴーレムがいた。
歩太はどう考えても巨人じゃないとか
「土塊如きが…消え去れ」
ラブコメ展開を邪魔するのは万死に値する。
本当は去年まで書き終える予定が延び延びと。申し訳ッ。