空に浮かぶは大きい雲   作:あろえよーぐると

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・姉弟子
「アユター。お姉ちゃんと遊ぼうぜぃ」
 空になった酒瓶が大量に転がっている。嫌な予感しかない。
・ちびアユタ
「今日は疲れたから夕飯まで寝るんでまた今度にしてさ。姉弟子」
・姉弟子
「ウチの言うことが聞けないっていうのかぁい?ったく。こんなイイ女の誘いをドイツもコイツも断りやがって。ケッ!」
・ちびアユタ
「(うわ。クソめんどくせー)…お水持ってくるんで今日はもうお酒を控えましょ?少しだったら付き合うから」
・姉弟子
「おっ。何だかんだ言ってウチのこと好きなんだから可愛いやつだなぁ。ウチも一緒に夕飯まで寝てやんよ。ほらこっちへ来な」
・ちびアユタ
「いやいやなんで服脱ごうとしてんですか。ちょっとこっちまで脱がしにかからないでっ!正気に戻って姉弟子っ!いやほんとヤメて。パンツ脱がそうとしないでーーーっ!!」




あの頃は酷かった(第6話)

「記憶力は良い方なんだけどなぁ。覚えないとしたら姉弟子になんかされた(最終的に吐瀉物かけられた)時の印象が強すぎて他が何も思い出せないあの日に会ったとしか…」

「ちょっと待って」

 思い出そうとすると歩太の目がだんだん濁り始める。

「悪酔いした姉弟子と魔法ありありで1時間ほど場外乱闘の鬼ごっこ。最終的に尊厳(パンツ)だけは守り抜いた。まぁ、ゲロ浴びせられて身体は汚されたけど」

「うわぁ…」

 

 幼少時代。涙の数だけ強くなれることを実感することが多かった。弱いことは決して悪いことではない。弱いままでいることが悪いのだ。力が弱く、何度も煮え湯を飲まされたことか。年齢1桁で強くなりたい理由(あのドチビいつか泣かす!)ができるとは思わんかった。そんな理由欲しくなかった。ちょっとくらい、ちやほやされたかった。他の幼児みたいに。お陰様で強くなれたけど心の傷はまだ癒えない。

 だいたい可愛がり方がおかしいんだよ、死ぬわッ。あと、いいかげん魔力制御見直せ。

 

「あのできごとは忘れない。むしろあの日はそれしか覚えてない」

「ごめん、僕が悪かったから。もう思い出さなくていいから戻ってきてよ」

 歩太は自分が狂い出したのに気がついて昔話を打ち切る。

「おっと失礼した。じゃあ改めてよろしくだな」

「うん、こちらこそ。」

 こうして数年振りに再び友好関係を結ぶのであった。

 

 

 水面に一石を投じると波紋が生まれその波紋がまた新たな波紋を生み出すように本来ならば交わることがないものが加わることで史実(原作)とは異なる始まりを迎えることになる。

 

 

「ところで、どうやって剣技を磨いてきたの?」

「あまり誉められたことじゃないけど、名のある武人に果たし合いを挑んだり断られた時は辻斬り染みたことなんかも。あとは道場破りとか」

「えっ、こわ。『今宵は血を欲してたまらないっ!お前の血をよこせーッ!!』とか言ってたり?」

「そんな危ない人みたいな物騒なこと言ってないよっ!?」

「充分、物騒なことしてるからね?」

 

 

 

 季節は春を迎える。新入生だった者は真新しく着なれていなかった制服が馴染みだし、馴染んでいた者はやや解れが見え始めた。そう、新学期が来たのである。

 

 

『今年、十年に一人の天才騎士!ヴァーミリオン皇国第二皇女ステラ・ヴァーミリオン様(15)破軍学園に最高(・・)成績で首席入学!』

 

 

 ここ最近、新聞やニュースで話題が取り上げられている彼女だが僅かな不満があった。それは2年前に自身の全力を受け止められ敗北した相手の入試成績を越えることができなかったからだ。

 

若き超新星(スーパールーキー)!《水鏡(すいきょう)》出雲歩太(15)破軍学園に歴代最高(・・・・)成績で首席入学!』

 

 流石は自分が認めたライバルだ。簡単に越えることができないが、その背にわずかに触れている。ならば、あとは肩を掴んで振り向かせるだけ。あの保護者目線を鋭い眼光に変えてやるのだ。日本のハイスクールに行くといってパパがうるさかったが物理的に説得して最終的に認めてくれた。この機会をものにして伐刀者(ブレイザー)として国を守る騎士として、さらなる糧とするのだ。まだ新学期は始まったばかりで焦りは禁物。適度に肩の力を抜くことも忘れてはならない。それに今すべきことは他にある。

「寮に着いたらまずはシャワーね」

 約12時間かけて日本に来たから時差で少し眠気がある。さっぱりしてリセットしなくては。

 

 歩きながら考えていたためか気づけば彼女は今日から3年間を過ごす自身の寮の部屋へ着いた。鍵を差し込み扉のロックを外して扉を空ける。

 

「へっ?」

「えっ?」

 

そこには上半身裸の男が着替えの最中であった。大き過ぎずしかし鍛え抜かれたその肉体美を見つめる。

 先ほどまでシャワーを浴びていたのだろうか、湿りが残っている黒髪が艶やかに見えてどこか色気を感じるのは気のせいだろか。おもわず、喉を鳴らして唾を飲み込み凝視する。

 男は少し困惑した顔のまま口を開く。

 

「あー……えっち?」

「あぅっ!ごめんなさい。って普通逆でしょう!?」

 

 

 

紅髪皇女はムッツリすけべ。ハッキリわかんだねッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

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