ハッタリマスター閃乱カグラ New ninPOW! 作:鹿島 雄太郎
「あづい…」
時は2022年。
俺こと近藤 伊弦はやっとの思いでバイトからの帰路についていた。
上司は仕事を押し付けニコチン摂取に励んでる上に、さらに上の役職にいる人間にはいい顔をしているからタチが悪い。
そろそろ辞めるべきか…と思いながら自転車を漕いでいた。
自転車だから屋根がないのが悪いとこだな。
「はぁ…はぁ…」
あー…暑い、視界がフラフラしてきた…。
くっ…坂道だし体力持ってかれる…。
水…飲みてぇ…。
そして一瞬視界が回ったかと思うと、意識を手放した…。
───────
「う…ぅん…」
目が覚めると、俺は見知らぬ校舎?アリーナ?の前で倒れていた。
辺りにはさっきまでカゴに入れてた荷物が散乱し、乗っていた自転車のホイールはカラカラと音を立てていた。
「どこだ…ここ…ん?」
ふと、手元に硬い感触を感じる。見てみるとそこには、見知らぬ金色の瓢箪があった。
「なんだこれ…おれこんなのもってたっけ?…まぁいいや、持ち主に返しておこう。それまで持っておくか。」
散乱していた荷物をバッグに入れ、瓢箪を押し込む。そして自転車を起こしてバッグを前カゴに乗せる。
「マジでここどこだ…」
そうフワフワした意識のままボヤきながら、自転車を押した。
「あの…大丈夫ですか?」
ふと、横から声をかけられた。
見てみるとそこには制服を来た黒い長髪の少女がいた。
「あぁいえ、お構いなく。」
「今にも倒れそうじゃないですか!ほっておけません!」
彼女の言葉に、何も言い返せなかった。事実あんな環境にいたせいで、休みを貰っても休んだ気にならなかった。
その疲労が溜まったのだろう、そう解釈し納得した。
「あぁ、じゃあお願いします。」
言われるがままについていき、自転車を止められるところに愛機を置いていく。
建物の中に入ると、涼しい空気が正面から当たる。
「はー…生き返るー…そういえば、ここってどこなんだ?」
と聞いてみたが、少し首を傾げて答えた
「ここはシノビマスターズ会場があるビル屋上ですよ?」
なるほど、ビルの屋上か…って、
「ビルの屋上!?」
うっそだろ!?だって今まで自転車で坂道昇って倒れてたんだぞ!?
「あの…あなたは?」
「…え?あぁ…伊弦です。」
困惑のあまり返事が遅れてしまった。そんなんだから怒られるんだろうなぁ…と思っていると、その少女は怪訝にこちらを見る。
「あなたは…」
少女がそう口を開いた途端、周囲に破壊音が響いた。
「ヴヴヴゥゥゥ…」
そこに居たのは、紫の怪物だった。
至る所にドクロの装飾があり、両腕には熊手のような鉤爪がついている。
「なんだ…あれ…!?」
「下がっててください!」
その声が聞こえた途端、頭上を影が通過した。
そこにはさっきの少女が、身の程かそれ以上ある刀を持っていた。
さっきまで持っていなかったはず、と考える脳も今はなく。あるのは困惑のみだった。
「斑鳩、舞い忍びます!」
その言葉とともに斑鳩と名乗った少女は居合切りを放つ。
紫の怪物はその斬撃で後退していく。
それを後目に、俺は駆け出そうとした。
「がっ…!」
突然、何者かに首を掴まれた。薄く目を開けた先にいたのは、さっきの紫の怪物だった
「なっ、空蝉の術!?」
呼吸に詰まってバッグを落としてしまう。
「てやぁあ!」
紫の怪物に背中から攻撃が加わり、気道が自由になる。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「あの…大丈夫ですか?」
首を抑えて見上げるとそこには、日本の刀を持った少女がこちらを見ていた。
「斑鳩ちゃん、この人は?」
「分かりません、気分が優れていないようなので救護室に案内していたのですが…」
紫の怪物と戦いながら、そう答えた。
ふと真下には前にも見た金色の瓢箪があった。
「これは…」
思わず栓を開ける。
「くっ…避けて!」
目の前には、鉤爪を振り下ろす紫の怪物の姿があった。
咄嗟に体を大きくのけぞらすが、避けた拍子に瓢箪が手から滑り落ちる。
その瓢箪から蜂の羽音と共に、黄色い液体が腰に纏わりつく。
紫の怪物が再度振るった鉤爪も、手裏剣のようなものがついた板に防がれる。
纏わりついた液体は、黒いバックルとなって個体化した。
そのベルトからは小気味よい音が聞こえる。
「えっと…こうか!」
右手でその板を装着し、手裏剣の部分を回転させる
後ろには機械のような巨大蜂が現れ、尻から何かを吐き出す。
[フンダリ!ケッタリ!ハッタリ!仮面ライダー!ハッターリ!!]
吐き出されたものが体に装着される。
窓に写っていたのは、今までの俺の姿ではなかった。
黒と黄色の体。頭には黄色い3羽の手裏剣、その隙間から見える左目。後頭部にはハチマキのように、布が2本垂れ下がっている。背中には刀が1本、斜めに背負われている。
これが何かは分からないけど、やり方は一切知らないけど。
俺には妙な確信があった。
これなら、あれをどうにかできる。
背中の刀を抜いて、片足を下げる。
「…はぁっ!」
そのまま駆け出して見ると、素の状態では走れない速度で走っていた。
尋常じゃなく速い…!
「はぁ!」
抜いた刀で一閃二閃と斬る。
「すっごいな…これ。」
軽く上に投げて、逆手で構え斬る。
「ヴゥ…!」
負けじと紫の怪物が紫の竜巻を放つ。
「うぁああああ!?」
そのまま俺は風に巻き込まれ、背中が天井に強打する。そして竜巻が消えると同時に地面に叩きつけられる
結構痛い!
「だったら…」
忍者だったら…こうすればいいか!
そう思いながら刀を持ったまま、忍者がよくやる手を作って前に手のひらを突き出す。
[カーチコチ忍POW!]
手のひらから氷が放出され、紫の怪物を凍らせる。
すかさず刀で何回も斬っていく。
紫の怪物は、氷から解き放たれたと同時に膝をつく。
「チャンスだ!」
俺はベルトの手裏剣を勢いよく回す。
[ファンタスティック忍POW!]
「うぉぉぉぉぉぉ!」
紫の怪物の怪物へ刀を構えて斬りかかり…
当たる直前に消える。
「こっちだ!」
その声が聞こえたのか紫の怪物が振り向く。しかし振り向いた頃にはもう遅く、蹴りは紫の怪物に当たった。
「ヴゥゥゥァ…ムン!」
紫の怪物はよろよろと立ち上がると、そのまま影に潜って消えた。
そして俺はベルトの手裏剣を外すと、そのまま意識を失った。
とりあえず試しに1話です。