どうやら吸血鬼になったみたいです   作:やきとり

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「エレナ、よくやったぞ」

 

「あなた、この子を抱いてあげて」

 

「旦那様、こちらです。かわいらしいお嬢様ですよ」

 

「んぎゃー、んぎゃー」

 

うーん、頭がくらくらする。おまけにどこかで赤ちゃんが泣いているようだ。あれっ、何をしていたかの記憶がない。確か会社から……。いや、思い出せない。なぜか霧のようなものがかかっているかのようだ。何か話しているのは聞こえるが何を話しているかまではわからない。眼もぼやけていて見えにくい、手でこすろうと動かすもなぜか目の前にある手はまるで赤ん坊のもののように小さくしわしわだった。私はそのまま気を失った。

 

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ふと目が覚めると天井らしきものがぼやけて見えてくる。明かりは消えているようでかなり薄暗い。部屋の温度は熱くもなく寒くもない。体に痛いところもなく感じられる不調は無いようだ。とふと手を顔の前に持ってくるとやはり赤ん坊の手がそこにはある。現実逃避はここまでか。今確かなことはどうやら私は赤ん坊になっているこれだけである。記憶喪失かと考えたが記憶喪失で赤ん坊になるといったことはさすがにおかしいだろう。うーん、少し自分の記憶をあさってみよう。・・・・・・あれっ?記憶がない。もしかして本当に記憶喪失?正確に言うと常識や日常知識については覚えている。失ったのはいわゆるエピソード記憶といったものだけだ。もっと詳しく言うと何かどこかの会社に勤めていたようなことは覚えている。そのほかには漫画なんかも覚えているしその記憶が物語の途中で終わっていることからもそこまでは読んでいたようだ。そういえばあの漫画の続きはどうなったんだろう。うーん気になる。おそらく前の自分はその漫画が結構好きだったのだろう。好きなものと言えばシューティングゲームもそうか自分が巫女になって弾幕をよけつつ吸血鬼を倒すというゲームだったがボスである吸血鬼を何度やってもミスせず倒すことができなかったなぁ。ともかくそういうものは覚えているのに肝心の名前や家族については全く思い浮かばない。そうこう悩んでいると近くのメイドさんらしき人が私が起きたのに気付いたのかそのうち一人が私を抱き上げる。

 

「ソフィアお嬢様、目を覚まされたのですね。旦那様のもとにお連れしましょう。」

 

ソフィアお嬢様と言っているのでソフィアが私の名前なのだろう。それにしてもお嬢様とは聞きなれない言葉だ。記憶を失う前についてはわからないことだらけだがお嬢様ではなかったと身についた庶民根性が告げている。それにしても記憶を失ったもののお嬢様になるとはなかなかついているのかもしれない。

 

 

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両親との対面はある一つを除いては特に何もなく終わった。これが今の両親かーといった月並み以下の感想しか持てなかった。冷たいと思うかもしれないが考えても見てほしい。突然記憶を失ってはいこれがあなたの両親ですと言われて受け入れることのできる人がどれだけいるだろうか。しかし行ってしまえばそんなことは些細な問題である。最大の問題は彼彼女らではなくその背中にあったのだ。そうそこにはなんと翼があったのだ。父親のほうは蝙蝠に似たもので母親のほうは・・・なんとも奇妙としか言えない形をしていた。メイドにはそんなものはないので上流階級特有のファッションかとも思ったが話している間にもパタパタ動いていたのでおそらく自前だろう。そして部屋から出るときに偶然鏡に映った私の姿には確かに翼があったのだ。確かに背中に違和感を感じることがあったがまさか翼だとは思わなかった。

どうやら私はヒトっぽい何かになっていしまったらしい。

 

そんなことを考えつつメイドに抱かれていると子供の足音のようなものが聞こえてくる。

その足音がすぐ近くまで来て止まると私を抱いているメイドに子供特有の高い声で話しかける。

 

「ねぇねぇ、赤ちゃんいるんでしょ。 みせてー」

 

「あたちもいもーとみたい」

 

会話からするとどうやら足音の正体はこの体の姉たちで私のことを見に来たようだ。

メイドは私を抱きなおすと二人に見えるようにしゃがむ。

 

「レミリアお嬢様、フランドールお嬢様、こちらがソフィアお嬢様です。まだ生まれたばかりなのでそっと触れてあげて下さい。」

 

「「はーい」」

 

「さあどうぞ」

 

「うわー ちいさーい」

 

「かわいー」

 

そういって私の前に現れたのは青みのかかった銀髪に赤い目蝙蝠のような翼をもった女の子と明るい金髪に赤い目そして枯れ枝に宝石のようなものが付いた不思議な翼をもった女の子だった。言葉をしっかり話しているが2歳児くらいの体形だ。その4つの赤い目に見つめられるとなんだか・・・・・・ あれっ レミリア?

それに青っぽい銀髪ってあのシューティングゲームの敵役レミリア・スカーレットじゃん。いや間違いない。ゲームではレミリアは吸血鬼って設定だったからこの背中の翼も吸血鬼の翼なのだろう。それにこの真っ赤なお屋敷はゲームでも出てきた気がする。うーん、でもレミリアの妹なんてゲームにでてきてたかなぁ?門番と魔女とメイドは覚えているんだけど。まあ考えても仕方ないか。

 

生まれたての頭には少々ハードな考え事だったらしく姉たちに可愛がられながら私の瞼は閉じていった。

 

 

 

 

 

 

 

 




主人公はEXを未プレイのためフランの存在を知りません。赤ん坊回は書きにくいので次から少し飛ばします。
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