どうやら吸血鬼になったみたいです 作:やきとり
あれからチルノはときどき私に挑みに来ては負けて帰るということを繰り返している。最初のほうは直線的で避けやすかったチルノの弾幕も徐々に強化されて最近はひやりとすることも多くなった。チルノの話によるとどうやら妖精同士で訓練をしているらしいので私も負けじと新しい技を習得すべく地下の魔法練習場に来ていた。
「はぁーーーっ」
精神を統一し、ゆっくりと術式をくみ上げて右手に火、左手に水の魔素から弾幕を生み出し正面に放つ。
はじめは放たれたとおりまっすぐ飛んでいくが徐々に二つの間が近づき
「ボンッ 」
接触して弾幕から四方八方に多くの小さな弾幕が生み出される。成功したようだ。一見初めてのチルノとの弾幕ごっこで使ったものと変わらないが実は全くの別物である。あの時に放ったのは本当に純粋な火と水の魔素であってこちらで正確に狙いを定めてやらないと使い物にならない。一方、今回のものはこちらで多少似たような方向放ってやれば引力によって勝手に接触するのだ。弾幕ごっこ中はお互いかなりの速度で動いているので正確な狙いをつけるのは難しいがこれならある程度大雑把に狙いをつければよいので大変便利だ。実はこの弾幕を作るのにはかなりの苦労をしたのだ。はじめは自分で操ればいいと思ったがそのためにかなり意識を割いてしまうので実戦としては使えず、試行錯誤ののちに水と火の他にいくつかの魔素を強引に溶かし込むことで引き合わせている。
「リリー、しばらくこの魔法の練習しているから私の魔法書持ってきておいて」
「分かりました。お嬢様」
リリーが部屋を出たのを確認してから素早く丈夫な的をセットし少し離れて的に向かって腕を伸ばす。実は湖での魔法の暴発以降私が強力な魔法を使うとリリーのお小言を頂くことになるのだ。今からやる魔法は先ほどの魔法にさらに多くの属性をつけるとどうなるかを確かめるための実験なのだが、少々音と光が出ると思われるのでリリーにはちょっと外してもらったのだ。
さっきよりも深く集中して魔素を集め
「はぁーーーっ」
打ち出したその時、
「あれっ ソフィアここにいたの?」
ドカァァァァーーーン
ちょうどフランねぇが練習場に入ってきた。そして放たれた魔法は的の近くで複数の魔素が混ざって爆発を起こす。
うーん、このタイミングの悪さは前にもあったような・・・ フランねぇ大丈夫?と顔を向ける
「うわっ びっくりした―」
がさすがフランねぇ。すこし驚いたようだが全くダメージは無いようだ。
「フランねぇ ごめん。ところでどうしてここに?」
「あー それはねっ」
そういうとフランねぇはわきに抱えている包みから何かを取り出す。出てきたのは細長い ・・・剣?」
「そう、ソフィアたちが作ってくれた鍛冶場で打ったんだけどようやく満足がいくものが出来たから試し切りしようかと思って」
そういうとフランねぇは剣を竿から抜き、両手で正面にそれを構える。柄のあたりはいかにも西洋の剣といった感じだが先端が少し反っており刀身のフォルムだけ見ると日本刀に近い。
「そうだ! ねぇソフィア、私の剣の練習に付き合ってくれない?」
「えっ 私剣とか持ったことないよ」
いやっちょっと考えよう。練習というのはつまりフランねぇと切り合うということだろうか?いかに再生能力の高い吸血鬼と言えど切られるのは勘弁してほしい。それにフランねぇは少々手加減が苦手なので興奮して私が真っ二つなんてこともあり得る。
「いやー 私そういうのじゃなくて魔法で動く標的を作り出すとかそういうのを想像していたんだけど」
フランねぇは私に誤解されていることに気が付いたようで頭を手で掻きながら魔法での手伝いだと訂正する。それならこちらとしても望むところだ。すぐに了承し水の魔素で作り上げた大き目の弾幕をフランねぇのほうに飛ばしていく。
「よっ っと」
フランねぇはそれを身軽にかわしながらあるものは剣で弾き、またあるものはたたききることで弾幕を消滅させる。どうやら対魔法性をもつ金属との合金らしく魔素を消滅させることが出来るようだ。
「それなら もっと行くよー」
そうとくればもう少し難しいのにしてみよう。
まず、今まで右手からしか出していなかった弾幕を今度は右手からも出し、さらに左手からのものはさっきと同じ火の魔素だが大きさや速さがバラバラなものを出す。
しかしそうしてもなおフランねぇはきれいに剣で次々にさばいていく。
「こうなったらっ」
やはり今のままの速さではフランねぇには通じないようだ。だからもっと魔素を圧縮して針のようにしてから射ちだす。
ダンッ ダンッ
すると思わぬ副効果が表れた。フランねぇは相変わらず弾幕をさばいているが剣のほうがそれに耐えられずに砕け始めたのだ。
「あっ 剣が!」
それを見たフランねぇはなんと剣に魔力を流し込んで弾幕の魔素から守ろうとした。しかし、それは悪手だ。
「フランねぇ 剣から手を離して!」
「えっ?」
ドゴォォォン
私の言葉にとっさに手を離したフランねぇの目の前でさっきまで持っていた剣が魔力に耐え切らずに爆発する。
「フランねぇ 大丈夫?」
「うん、ちょっと手に破片が刺さっただけ、すぐ回復するよ」
良かったと胸をなでおろしたのもつかの間、運悪く本を取りに行ったリリーが帰ってきてしまった。
「今すごい爆発がありましたけど大丈夫ですかお嬢様!」
私もフランねぇも軽いけがをしただけでそれもすぐに治ったのだが危ないことをしたということで私たちはハンスとリリーから長いお説教を頂くことになるのだった。
リアルが忙しくなるのでちょっとしばらく投稿遅くなります。