どうやら吸血鬼になったみたいです 作:やきとり
レミねぇ”カリスマ?”回
フランねぇとの熱いバトルを繰り広げた翌日、わたしとフランねぇはレミねぇに呼び出された。まあ呼び出されたと言っても昼食が終わった後に
「二人とも後で庭に来なさい。そしたらいいものを見せてあげるわ!」
とのことなので悪いものではなさそうだが、こういう時はレミねぇはかなり気合が入っているので(普段なら「フラン、ソフィア行くわよ」と言って引き連れていく。)こっちがびっくりしなかったりがっかりしたりするとめちゃくちゃしょげるのだ。
以前、同じような感じで呼び出されたときは物理障壁魔法を見せられてあっさりフランねぇに砕かれるという悲劇によって三日間ずっと下を向いていた。まあ、あの時の物理障壁魔法は放出系の魔法がメインで他はいまいちな僕から見てもわかるくらい素晴らしい出来だったのでしょげるのも仕方がないとも思う。最大の失敗は相手がフランねぇだったことだろう。それにしても少しあっさりと壊れすぎとは思うのだが・・・・・
何はともあれ行かなければそれはそれで大いにショックを受けるので昼食後少し時間を空けてフランねぇと一緒に庭に向かう。
「それにしてもお姉様がこうして私とソフィーを呼ぶのって珍しいと思わない?」
廊下を歩いているとフランねぇが聞いてくる。
たしかにそうなのだ。最近のレミねぇはお父様について紅魔館の運営について少しずつだが勉強をしており、それが忙しいのかはたまた気力をそっちに使ったのか以前は月一くらいで新しい魔法だのなんだのを私たちを呼んで見せていたのだがここ一二年はあまりそういうことをしなくなっているのだった。
「レミねぇも最近は忙しそうだもんね。」
「また障壁魔法だったら一瞬で壊しちゃおう!」
「練習場じゃなくて庭だから違うんじゃない? そしてもし障壁魔法だったらせめて一瞬では消さないで」
「えー ソフィーは優しいなぁ。でもしょげたお姉様、そろそろ見たくなってきたなぁー」
そう言ってフランねぇは私をなでる。なんかフランねぇがどんどん悪魔的になっている気がする。もともと悪魔だけど。
庭といっても四方を高い木で囲まれているので真夏の正午前後を除いては直接日光が当たることは無いという吸血鬼仕様の庭である。そんな庭の真ん中に簡易な造りの
そんな四阿の中には我らが姉であり偉大なる吸血鬼レミリア・スカーレットが優雅に紅茶を嗜んでいた。
まあ、そのカップを持っている指が震えているところを見るに私たちが来た時にかっこつけるためにずっとこの姿勢を維持していたのだろう。
そんなお姉様は私たちの姿を見るや否や嬉しそうな顔をしてすぐキリっとした顔を作ると口を開く。
「二人ともよく来たわ。今日は私のとっておきを見せてあげる」
そう言ってようやくカップを下ろす。指をプルプルさせながら早口で言っているので威厳を感じるどころか笑いをこらえるのに必死だ。それにしても見たところとっておきと思しきものは置いていないし、近くにいるメイドにもそのようなものを持っていそうなものはいない。なにしろ、こういう時レミねぇはメイドのほうに何度も目配せするのですぐにわかるはずだ。
そんなことを考えているとレミねぇは立ち上がってこっちに向かってくると両手を広げる。それと同時に普段はたたんでいる翼を大きく広げる。
そのまま翼を大きく羽ばたかせてレミねぇは地面を蹴り、四阿の屋根ほどの高さまで上昇するとそこで翼をはばたかせてとどまった。
「見なさい! フラン! ソフィー! 私ついに飛べるようになったのよー」
レミねぇの興奮した声が響く。さっきまでの威厳を保とうとするレミねぇはどこに行ったのか”カリスマ”モードは解除されたらしい。
当たり前だがゲーム内のレミリアは飛んでいたし両親も飛んでいる姿を見たことがあるので吸血鬼が生来飛ぶことが出来る種族であることは知っていた。だけど間近で見るからこそ分かる。なんであの翼で飛べるんだ?
「お姉様 すごーい!」
久々に聞くフランねぇの素直な賞賛によってどうでもよい思索から引き戻される。なんであれ飛んでいるのだからメカニズムは二の次だ。
「レミねぇ すごい!」
「ふふんっ 明日からフランもソフィーも練習しましょ。 私が教えてあげるわ」
レミねぇは絶好調だ。どもまあレミねぇに教わるかはともかく飛ぶ練習をするのはいかもしれない。空は人類のあこがれだ。吸血鬼が人類かどうかは怪しいが。
「うん、お姉様! ところでもっと高く飛べるの?」
フランねぇがレミねぇにもっと高く飛ぶよう促す。
よく見るとフランねぇの口元が少し笑っているので何か企んでいるのだろうと思っていると
「もちろんよ。ほらっ」
「レミリアお嬢様! 高く飛ぶのはお止め下さい!」
「大丈夫 大丈夫」
案の定あっさり載せられたレミねぇはメイドの静止も聞かずに高度を上げていく・・・
そして
「ぎゃーー 太陽!」
周りの木の影から出てしまったレミねぇは日光を直接浴び、焦ってはばたきを止め地上に向かって一直線に落下した。
後には大笑いするフランねぇ、慌てるメイド、反応に困る私、そして運悪く頭から地面に刺さったレミねぇだけが残されるのだった。
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あと数話でとりあえず幼少編を終わらせると思います。(断言はしていない)