どうやら吸血鬼になったみたいです   作:やきとり

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相変わらずの不定期更新!


十三

「ご、ごめんなさい」

 

「いいのよ。こっちこそ驚かせてごめんなさいね。」

 

うう、恥ずかしい。私が胡散臭いと思っていた客人、八雲紫さんはお父様の古くからの友人だそうでお父様をだまそうとしていたわけでは全くもって無かったのだそうだ。そしてあのただならぬ気配は以前うちにいる妖精メイドに悪戯されたため今度は驚かせてやろうとして出したもので、それを私が勘違いしてしまったということだそうだ。それにしても八雲って日本の名前だと思うんだけどどうしてイギリスまで来ているのだろうか。

 

「ところで八雲さんはどのようなご用でいらしたんですか?」

 

「八雲だと藍、私の式神ね、と区別できないから紫と呼んでちょうだい。ゆかりんでもいいわ。ここに来たようだけど この子に教えてもいいのかしら?」

 

「ああ、いずれにしても近く伝えるつもりだったから構わないよ。」

 

紫さんはお父様に確認を取ってから語り始めた。

 

「実はね、私はあなたのお父様とこっちで妖怪たちの楽園を作るために来ているのよ。人間はここ数百年着々と進歩を続けている。いつかはその科学とやらのみを信じて私たちの存在など忘れてしまうはず。だからそうなったときのために私の境界を操る程度の能力とあなたのお父様の忘却を司る程度の能力で人間にその土地の存在を忘れさせて忘れられた者たちだけが住む楽園を作ろうとしているの。」

 

ちょ、ちょっと待って と言いたいくらいにとんでもないことが判明したような気がする。確かあのシューティングゲームの舞台となるのが『忘れられた者たちの楽園』だったはず、名前は確か・・・紅魔郷 だったかな?そんな感じだったはず。今まで全くゲームとのつながりを見いだせなかったけどこれでようやく分かった。あのゲームの舞台を紫さんとお父様は作ろうとしているんだ。うーん、これはどうしたらいいんだ?やっぱり紅魔郷が作られるのを妨害するべきなのかな。

なぜか上機嫌な紫さんは私が悩んでいる間にも話を進める。

 

「だけどね。あなたのお父様ったらその楽園を紅魔郷って名付けようっていうのよ。どう思う」

 

「紅魔郷。 いいじゃないか。というか幻想郷よりよっぽどいい名前だぞ」

 

紅魔郷! 

やはり予想は正しかったみたいだ。その紅魔郷こそがゲームの舞台なのだろう。

 

「ほら、ソフィアちゃんもあなたのネーミングセンスのひどさに驚いているじゃない」

 

どうやら驚きが顔に出ていたようだ。

 

「いや、素晴らしさに感動しているんだろう。 なぁ、ソフィー」

 

「う、うん。 すごくいいと思う!」

 

普段からレミねぇのネーミングセンス(笑)を聞きなれてる私からしたらどんなものでも素晴らしく感じるので嘘ではない。というか結構いいと思うし。

 

「あらそう。まあいいわ。 じゃあ私そろそろ帰るわね。」

 

そう言って紫さんは突然目の前の空間に穴のようなものを開けてそのままそこに入っていった。

 

お父様に後で聞いたところ紫さんの能力の応用でスキマと呼んでいるものだそうだ。なんでもテレポートのようなことも可能らしい。ずいぶん便利な能力だなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋に帰った私は紅魔郷について考えていた。私の元居た世界でも20世紀に入るころから急速に科学が進歩して妖怪の実在は信じられなくなっていった。きっとこの世界でも人類は同じように妖怪を忘れ、否定する。お父様は人間に忘れられるまではここにとどまると考えているそうなので今すぐではないけどそのうち行くはずだ。以前聞いた話では今のイングランド王はヘンリー八世ということだから今は大体16世紀くらいなんだろう。ということは後400年か500年くらいしたら紅魔郷に行くことになるのかな。あれ?400年って全然すぐじゃ無いな。どうやら私の頭が吸血鬼的になってきているようだ。まあ、ノーレッジ先生とお父様の付き合いが300年とかいうのを日常的に聞くのでそうなるのも仕方が無いのかもしれない。紅魔郷についてはまた今度考えることにしよう。今はそんなはるか先のことよりも目の前の暑さのほうが問題だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、ようやくそれっぽい道具が完成した。

まず、私がこの魔素タンクに水の魔素をいっぱいに詰め込む。そうすると魔素は空間に広がろうという性質があるためタンクから出ていこうとする。その力によって魔素はタンクからパイプで複雑な魔法式の組まれた回路に入る。魔素によって駆動された魔法式が最終的に冷気を放出するというわけだ。

細かいパイプと大量の魔術的な材料を使って魔法式を組んだのだがこれが意外と大変で材料が足りなくなって取りに行ったり(リリーが)少しの変形で動かなくなったりするのだ。今回は単純な魔法だったからよかったもののもっと複雑なものになったら……考えないようにしよう。

何はともあれ今日からはぐっすりと眠れそうだ。

 

というわけでおやすみー。

 

 

 




一応書いておきますが「紅魔郷」は日本にある幻想郷で起きた事件をゲーム化したときのタイトルであって原作にそういう名前の場所があるわけではありません。……ありませんよね(にわか臭)

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