どうやら吸血鬼になったみたいです   作:やきとり

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私ことソフィア・スカーレットが生まれてから5年ほど経った。

けれどこの体は成長が遅いのか未だに1歳児程度の大きさでしか無い。こうも成長が遅いと流石に心配になってくるが父親も母親も特に心配はしていないのでこういうものなのだろう。姉二人も15歳と10歳だそうだが贔屓目に見ても3歳児くらいの大きさだ。

「フラン、ソフィー、練習場に行くわよ!」

人形遊びに飽きたのか姉妹三人で遊んでいると突然レミねぇが宣言する。練習場というのはこの屋敷の地下にある魔法の練習場で魔法を当てるための的やなんかが置かれている。レミねぇは最近魔法の練習が解禁され先週も意気揚々(いきようよう)と私とフランねぇを連れて練習場でその成果を見せようとしたがものの見事に失敗したのだった。しょげたレミねぇはその日一日頭を抱えてうーうー(かりちゅま)言っていたが翌日には立ち直って練習に励んでいたようなので今回はリベンジというわけだ。しかし、人形の首をもぐのに夢中のフランねぇは乗り気ではないようだ。

「えー、またあのねーさまが変なのやるだけでしょー、やだー」

「へっ、変なのじゃ無いわ。魔法よマ、ホ、ウ、」

「あの(うな)ってたのが?」

フランねぇの言葉が突き刺さって泣きそうになるレミねぇ。相変わらず容赦の無いフランねぇがまたレミねぇを一日しょげさせるのが目に見えているので助け舟を出すことにする。

「レミねぇ、あたち魔法見てみちゃい」

うー、また噛んでしまった。一歳相当の体ではしょうがないのだが前世大人だったので恥ずかしい。

「フラン ソフィーもこう言ってるし行くわよ」

「しょうがないなー」

急に元気になったレミねぇにフランねぇも一応同意して三人で練習場に行くことになった。

「さあ ついてきなさい」

扉を開けて堂々と歩き出すレミねぇに世話係のメイドが言いにくそうに言う。

「あのー レミリアお嬢様。 練習場はこちらです。」

 

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メイドに案内されて地下の練習場に辿り着く。子供の足とはいえ屋敷内の移動に15分もかかるというのはいささか大きすぎる気がする。魔法が当たっても大丈夫なように頑丈に作られた重い鋼鉄の扉をメイドさんたちが二人がかりで開けてくれるとレミねぇは真っ先に入ると的を設置する。そして部屋の中にある色んな器具に珍しがっていたフランねぇと私に向き直る。

「さあ 私の魔法に驚きなさい」

そう言うや否や的の前に立ち仁王立ちになったレミねぇは自信満々に左手を前に突き出す。目を閉じると徐々に集中力を高めていく。

 

空気が変わった。何か体がゾワゾワするようなものが周囲からレミねぇの方に集まってくる。それは徐々に突き出された手の方に引き寄せられていく。

「スカーレット」

そして手の中に小さな光の球のようなものが作られていき

「ショットッ」

レミねぇの声とともに放たれる。光の球は何かでできた尾を引いて真っ直ぐ飛んでいき的の真ん中から少し外れたところに命中した。確かに威力は無いし精度も良くない。しかしそれは魔法だった。紛れもなく魔法だったのだ。

(ああ、違う世界なんだなぁ)

レミねぇの魔法を見て少し寂しくなったがそれ以上にワクワクしてきた。そしてようやく自分がソフィア・スカーレット(わたし)になったことを実感

したのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それから一週間、レミねぇがまた魔法を見せてくれるというので練習場に来ている。今回はフランねぇも積極的に見たがっていたのでレミねぇは姉の威厳(カリスマ)を取り戻してご満悦のようだ。前と同じように的に向かって手を突き出すが今度は片手ではなく両手だ。

「ふふん、一週間の私の成長を見なさい! スカーレットショット!」

一瞬で周囲から何かが集まって両手の前に光の球を作り高速で飛んでいく。

「ズバンッ」

見事に的の中央に命中し、当たったところから少し煙りが出ている。どうやら威力も大分上がっているようだ。

「ねーさますご〜い」

「すごーい」

自然とフランねぇと二人拍手をする。と後ろから明らかに私たちのと違う拍手が聞こえて来る。

「レミリア、随分上達したようだな」

そう言ってレミねぇを褒めながら練習場に入ってきたのはとーさまだった。

「おとーさま!」

「とーさま」

「とーしゃま」

「おおフランドールにソフィアもか、レミリアの魔法を見ていたのか」

そう言ってとーさまは左手にレミねぇを右手にフランねぇと私を抱えて頭を撫でてくれる。

「それにしてもレミリア。あそこまで速く撃てるなんて魔力を使うのが上手くなったな」

「えへへ」

褒められたレミねぇは楽しそうに背中の羽を揺らす。

「まりょく?」

一方でフランねぇは魔力なるものが気になったようだ。私も気になったのでとーさまの方に顔を向ける。

「ああ、お前たちにはまだ教えてなかったな。我々吸血鬼は妖力と魔力を持っている。そのうち魔力というのは魔素を魔法にして使うための力で、今レミリアがやったように魔素を集めて打ち出したり魔法陣を使って悪魔を召喚したりもすることが出来るんだ。」

「へー、あくまをしょーかん?」

「魔界に住んでいる悪魔を呼ぶことだな」

「あくまを呼べるの?」

「ああそうだ。例えば屋敷で働いているあの……

(魔力を集めて打ち出す?)

とーさまとフランねぇの会話をよそに私は魔力を集めて打ち出すというところが気になったいた。

(えーっと、魔力があの何か 〜魔素〜を集める力なんだっけ)

体を探っていくとお腹のあたりに何かあったかいものがある。はじめは固まっているようだったがすぐに溶けて体を周りはじめる。それを外に出して手のひらに向けて周りのものを集めていく。レミねぇがやっていたように腕を前に出してそこにどんどん集めていく。集まるに従って集めたものが暴れるので魔力でそれを押さえつけてもっと集めていく。

「ソフィアっつ」

とーさまが何か言っているけどあまり聞こえない。手の中の何かがどんどん膨らんで

「ハッ」

的に向かって何かを飛ばすようなイメージで今や光を放っているそれを打ち出す。

「ドゥォワォアン」

「ソフィア!」「「ソフィ」」

的に命中する魔法の音ととーさまと姉二人の声を聞きながら私は意識を失った

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