どうやら吸血鬼になったみたいです 作:やきとり
ドグオォオオオオオオォオオオオン
あたり一帯に猛烈な光と共にすさまじい音が響き渡る。一瞬ののち光が弱まり見えたのは空に輝く火の玉だった。何とかとっさのところで目標を上に向けることが出来たらしい。そしてそのせいでバランスが崩れ多くなった火の魔素が日の魔素を排除した結果があの光と音のようで見た目のインパクトに対して衝撃は少なく閃光弾のようになったらしい。この様子だと女の子らしき人影も大丈夫だろうと思ってしたを見るとフラフラと飛びながらこっちにゆっくり近づいてくるのが見える。良かった無事だったようだ。振り返ってみるとルーミアちゃんも無事みたいだ。
「ごめんねルーミアちゃん。大丈夫?」
「ちょっと目がまぶしいけどそれだけなのだー。それよりあれって・・・」
ルーミアちゃんは何か心当たりがあるようだ。よく見てみると水色の髪に同じ色のリボンとワンピース、そして極め付きで背中にある10枚の氷の羽根。あれはゲームにも出てきた氷の妖精、チルノだ。
チルノは見る見るうちに高度を下げながら私たちのほうに向かって落ちてくる。慌てて受け止めると目が座っており何やらぶつぶつと言っている。
「あたいはさいきょーじゃない。あたいはさいきょー。あたいは・・・」
「チルノ― 大丈夫か―」
ルーミアちゃんが声をかけるも反応しない。うーん、謝りたかったんだけどこの様子では無理そうだ。
「ソフィアー チルノどーするー」
「さっきの魔法のせいみたいだし紅魔館に連れて帰って治療するよ」
そう言って私は黄色い光弾を打ち上げる。これはノーレッジ先生への連絡手段でこうしておけば後のことはノーレッジ先生がやってくれるだろう。
「うーん ここはどこだ?」
どうやらチルノが目覚めたようだ。あのあと錯乱したチルノを屋敷に連れて帰りそのまま客室のベッドに寝かせたのだ。両親には事情を話すと魔法については周りをもっと気を付けたほうがいいと少し注意されるだけで終わった。危うく人というか妖精を殺すところだったのにずいぶん軽いなと思ったがそもそも吸血鬼はあの程度の魔法ならすぐ回復するのでそんなに怒ることでもないとのことだったが我ながら吸血鬼は基準がずれているなと思う。まあ、チルノは妖精なのでそのうち復活するというのも理由の一つなのかもしれないけど。
「ここは紅魔館です。チルノさん。先ほどは私の魔法がごめんなさい。」
まだ混乱しているチルノに謝罪し事情を話す。しかし、説明しているとだんだん興奮していく。
「お お おまえがあれを ソフィア! アタイとサイキョーを賭けて勝負しろ!」
「勝負ですか? チルノさん」
「チルノでいい。ぞっそんなことより勝負だ!」
どうやら収まってくれそうにない。興奮させたのはこっちだし殺しかけた負い目もあるので何の勝負かよくわからないが受けるしかなさそうだ。チルノに了承を伝えると早速勝負だと言い出した。ルールは弾幕ごっこというものらしく殺傷能力のない光の玉を当てあって先に当たったら負けというものだそうだ。チルノも最近知ったらしくなんでも九尾の狐に教えてもらって以降妖精の中でちょっとしたブームになっているのだとか。ともかく部屋の中ではできないので地下の魔法の練習場に行くことになった。
赤すぎる屋敷に驚いた様子のチルノとともに練習場に着くと、いつからかついてきていたリリーに壊れそうなものをしまってもらい部屋の中央でチルノと相対する。弾幕ごっこというのはおそらくあのゲームの中のものと同じようなものなのだろう。ゲームの中の世界に入り込んだという実感はなかったがこうして実際にゲームの登場人物と向かい合うというのは少し感じるものがある。お互い準備はできているのでリリーに合図をしてもらう。
「それでは はじめ!」
一瞬の静寂のあとチルノが先手を取って弾幕を放つ。青い弾幕が連続してチルノの周囲に輪になって生み出され上下に蛇行しながら迫ってくる。しかし、この程度は小手調べだ。吸血鬼の身体能力と動体視力で瞬時に穴を見つけて回避し、お返しとばかりに左手から直線状にチルノに向かって黄色い土の魔素で作った弾幕を打ち出す。もちろん速さはそれなりだが威力は全くない。しかし、チルノもさるもので素早く横方向に動くと速さの不揃いな大き目の弾幕を撃ってくる。
「いけぇーー!」
さっきまでの規則的な弾幕と違いバラバラゆえによけにくい。けどそれがどうした。私は持ち前の脚力で飛び上がると回転させて火と水の魔素を大きめの球して打ち出す。チルノは少し驚いたが冷静に小さな動きでかわし反撃しようと構える。チルノの目が完全に私に向いた瞬間チルノの真横で二つの魔素が接触、魔法力学に従って分裂して跳ね返る。意識がこっちに向いていたチルノは完全に反応が遅れ分裂したうちの一つをかわし切れずに命中する。
「あっ」「やった!」
勝負ありだ。初めての弾幕ごっこだったがなかなか楽しめたと思いつつチルノのほうを見ると何やら様子がおかしい。
「アタイハサイキョー … じゃなかった。 うわぁぁぁぁん」
どうやら私に負けたことがよっぽど悔しかったらしく泣きだされてしまった。
慰めてるうちにチルノから聞き出したところによると私の魔法をみてかなわないとは思ったもののいつも妖精の仲間とやっていて得意な弾幕ごっこでは勝てると踏んで勝負をしかけたんだそうだ。そうこうしながらやさしい言葉で慰めているとだんだんもとの調子を取り戻していき
「今日は調子が悪かっただけだからね。やっぱりアタイはサイキョーってところを明日見せてあげる!」
と言って帰っていった。どうやらチルノは明日も弾幕ごっこをやるつもりのようだがインドア派の私にとってはかなりきつい運動なのだ。元気になって何よりだが元気になりすぎるのも困ったもんだと私はごちるのだった。
うーん、戦闘描写って難しい。他がうまく書けるわけではないが......