聖杯戦争?どうでもいい。いちごタルトちょーだい?   作:エクソダス

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第2話

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「…はぁ……はぁ」

 

 

 士郎はどうにか零の努力もあり、家までは帰ることに成功していた。士郎は壁に背をつけて落ち着きを取り戻した。

 

 

「零さん……、だいじょうぶかな」

 

 

 零がどうなるか、最悪な状況が嫌でもよぎる。

 一体あの二人が何者で、どんな理由があって戦っていたかはわからない。しかし、確実に見られた自分たちは無事では済まされないだろう。

 

 

「…うまく逃げきれてるといいが……いやっ」

 

 

 士郎は立ち上がった。この部屋に、何か武器がないか探し回る。

 

 

「ここで俺が…助けなくてどうする!」

 

 

 零は大切な人であり、そして士郎は正義を志す者。いったいどれだけ絶望的な状況でも、助けに行かなきゃ。そんな感情がふつふつと湧き上がる。

 

 

「…よしっ」

 

 

 士郎が手に持ったのは、鉄が入っているぐるぐる巻きのポスターだ。

 

 

「こいつがあれば───トレース・オン!」

 

 

 士郎が決心し、士郎の使用できる魔術を発動させる。

 

………しかし。

 

すたっ……。

 

 

「っ!!!」

 

 

 突如として士郎の後ろに、あの時の青い青年がいた。鋭い目で士郎を睨んでいる。

 そしてその槍には血が付いていた。

 

 

「お、、おま…え」

 

「わりいな。あの姉ちゃんの次は、悪いがお前だ」

 

「っ!」

 

 

 あの姉ちゃん。おそらく…。いや、確実に零の事であろう。士郎は悔しそうに歯ぎしりをする。

 

 

「ふんっ!!」

 

「ぐぁ!!」

 

 

 突然の青い青年の攻撃に、士郎はどうにか反応しどうにか避けることに成功した。

 

 

「よくも…零さんを…!!」

 

「悪いが坊主、次はお前なんだよ」

 

 刹那───。

 青い青年の槍は瞬く間に士郎に接近する。

 

 

「っ!」

 

 

 どうにか防ごうとするが、そのスピードは士郎の防ぐスピードよりはるかに速い。

 

 

「っ!!!ぐぁぁ──!!!」

 

 

 士郎の声がこだまする。肩をカスッた程度だが、それでもかなりの激痛に士郎は膝をつく。

 

 

「ほう。こいつは驚いた。微弱だが魔力を感じる。お前、魔術師か」

 

 

 そう言いながら、青い青年は不敵に笑う。まるでこのゲームを楽しんでいるかのように、不敵に………。

 

 

「………っ!」

 

 

 士郎は『自分では無理だ』そんな一種の走馬灯を感じながらも、命からがらに自分の家にある道場に駆け込む。

 

 

「ほう、鬼ごっこか?」

 

 

 青い青年は不敵に笑いながら、この鬼ごっこという名のデスゲームを楽しむかの如く、士郎を追った。

 

 

 

 

 

 

─────

───

 

「ぐ………はぁ…はぁ…」

 

 

 逃げれたのは、ほんの数分、いや1分も持たなかったかもしれない。こんな化け物に、ただの少年がかなうわけがないのだ。

 

 

「すじは悪くねえんだがな」

 

 

 そう言って、青い青年は槍をくるりと回し、士郎に向ける。

 

 

「もしかすると、お前が()()()だったのかもな」

 

 

 やりに力が入っている。この男は次の一撃で決める気だ。その手の力には明らかな殺意がある。常人では考えられないほどの殺意が……。

 

「……くそっ!」

 

「……じゃあな坊主、今度は迷うなよ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

ごめん、零さん………俺は………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……間に合った」

 

「…ほう」

 

 

 士郎は死んだと悟った。それほどまでに()()()()()の状況は絶望的だった。しかし……生きている。

 

 

「まさか、生きてたとはな。姉ちゃん」

 

「ん、生きてる」

 

 

 士郎の目の前にいるのは、まさしく先程の状況を救った救世主。そして、士郎を逃がしてくれた張本人。

 

 

「零さん…!!」

 

 

 そう、大剣を持った零が目の前に、士郎の目の前に存在していたのだ。

 士郎は零が生きていたことへの安堵か、それとも助けてくれたことへの安堵か。その場にへたりと座り込んだ。

 

 

「ごめ、遅くなった」

 

 

 零は眠たそうだが、とても安心するやさしい目で士郎に微笑みかける。

 

 

「ほう、その大剣…魔力を感じる。あんたも魔術師だったか」

 

「ん、ちがう。()()()

 

「魔導士だと?」

 

 

 零は前にかかっていた後ろ髪を後ろにさっと戻してから、言葉をつづける。

 

 

「改めて挨拶。

私は…。帝国軍が一翼、帝国軍宮廷魔導士団特務分室。執行官No.7………」

 

 

 

 

 

 

 

「《戦車》のリィエル」

 

「リィ……エル?」

 

 

 零のはずなのに、零ではない。士郎の目の前にいるのは明らかに零だ。しかし決定的に何か違う。まるで人形のように無表情だ。

 

 

「帝国軍宮廷魔導士団……ねえ」

 

 

 青い男は嬉しそうに目を細めた。

 

 

「姉ちゃんが名乗ったんなら、こっちも名乗るのが礼儀だよな。俺はランサーだ」

 

「…なんだ、ある程度、常識はあるんだね」

 

 

 零はやさしく、そして冷たい目でランサーを見つめる。

 

 

「さ、わたしを、殺す?やってみろ」

 

「言われなくても──」

 

 

 刹那───

 ランサーの槍は容赦なく零に向かって突進してくる。女性に対して向けるスピードでは明らかにない。

 

 

「零さんっ!!」

 

 

 士郎は声を荒げる。あんなもの、零が受け止めれる訳がない。不可能だ。そう思った、士郎は駆け出そうとするが───。

 

 

「…ん」

 

「なっ!!」

 

 

 ランサーは驚きの声を上げる。あのスピードをよけられたのではない。かといって、大剣によってかち合ったわけでもない。零はとてもめんどくさそうに。

 

 

 軽々と槍を()()()()()()

 

 

 明らかに常人ではない零の力に、ランサーは1、2歩後ずさる。

 

 

「ね、姉ちゃんよぉ。あんた馬鹿力すぎやしねえか」

 

「そ?」

 

 

 その言葉に、ランサーは冷やせを掻く。

 この女、明らかに只者ではない。しかし先ほどやりあったときはそんな素振り見せることはなかった。

 

 

「馬鹿力がお好みじゃない、なら、こっちで」

 

 

 零は大剣を投げ捨て、ランサーの前に手を構えて何かの詠唱を開始する。

 

 

「《紅蓮の獅子よ・憤怒のままに・吼え狂え》」

 

 

 灼熱───

 まさにそう呼ぶにふさわしい炎がまるで、獅子のように駆け、ランサーを追い詰めていく。

 

 

「くっ、今度は炎か…」

 

 

 この技の名は『ブレイズ・バースト』零の過去の相方がよく使っていた魔術だ。

 ランサーは槍を回転させ、『ブレイズ・バースト』の炎をはじくが。

 

 

「ぐぁっ!」

 

 

 弾幕が多すぎる。

 ランサーの肩にかすり、ランサーは炎をはじきながら背後を奇襲する。

 

 

「でぇやぁ───!!」

 

「……《大気の壁よ・我を守れ》」

 

 

 零がそう詠唱した瞬間。零の周りに風でできた壁が巻き起こり、ランサーの槍は一歩のところで届かない。

 

 

「ほう、今度は風か、自由自在だな」

 

「さっきのは《エア・スクリーン》。いい技だよ?」

 

 

 零はそう言って《エア・スクリーン》を解除する。

 敵に技の正体を教えるのは、塩をおくるようなもの。自殺行為だ。だがそれと同時に。

 ()()()()()()()()と言っていることにもなる。

 

 

「…は、ちと俺も。本気を出さなきゃいけねーかな」

 

「なる、まだ奥の手は隠してるのね」

 

 

 零は大剣に力を入れ、ランサーをじっと見る。

 

「見せてみて、遊んであげるから」

 

 

 

─────

───

 

 

「………くそっ……」

 

 

 士郎はこの状況を傍観しかできず、歯がゆい気持ちを心から抑えていた。

 

 

「どうにかして…助けないと……!」

 

 

 自分が行っても足手まといになる可能性は高い、いや。むしろその可能性しかない。だが、そうだとしても何かしてあげたい。心の底から正義の味方になりたいと願っているのだから。

 

 

「どうすれば……、どうすれば…!!」

 

 

 その場の物をかきわけ、何か使えるものがないか必死に探し、そして士郎がやれる事を全力で模索する。

 

 

「ここで逃げるわけにはいかないんだ…!俺は……零さんを救わなきゃ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 偶然か、奇跡か。それとも必然か。

 

 

「な、なんだ!?」

 

 

 士郎の叫びによって、士郎の腕が光り始める。みるみるうちに魔方陣が展開され…、何かが風と共に現れる。

 

 

「………」

 

 

 その少女はとても可憐で、見る人をすべて魅了しそうな美しい顔。実際士郎も、その美貌に言葉を失っていた。そして、その少女は士郎に対し、 問う。

 

 

 

 

 

 

 

「……………問おう。貴方が私のマスターか?」

 

 

 

 

 

 

 

──────

───

 

「いいぃやぁぁぁ!!!」

 

「でぇぇやぁあ!!」

 

 

 零とランサーは、真っ暗な夜の光が照らす庭で一進一退の攻防を繰り広げていた。

 時にはランサーの連撃が零を圧倒し、時には零の圧倒的攻撃力がランサーを苦しめた。

 

 

「《吠えよ》──!!」

 

「くっ!」

 

 

 零の詠唱した炎がランサーに直撃したが、ランサーはそれでも突進をやめず、零に槍を突き立てる。

 

「でぃやあぁ!!」

 

「っ!」

 

 

 零の腕に激痛が走る。

 零は追撃が来ることを予測し、さらなる攻撃を大剣で受け流し、零は1歩だけ距離をとる。

 

 

「…やるね」

 

「へっ、姉ちゃんもな」

 

 

 二人は互いに笑いあう、まるでゲームを楽しむ子供のように。

 零もランサーも何処かイカれている。普通の人間だったらこんな状況で笑えるなんて、正気を疑うだろう。

 

 

「けど、わりぃ、そろそろ終わらせるわ。あんたに敬意をこめて、一発でな」

 

「…!」

 

 

 刹那───

 ランサーの槍は、零の直前まで突き立てられる。

 しかし、零は見切っていたのか、大剣でガードをする……が。

 

 

「──ッッ!!!があぁ!!!」

 

 

 その槍は、まるで奇妙に曲がったかのように零の心臓あたりに直撃する。

 

 

「いっちょ…上がりだな」

 

「……どんな……てじなだ……!」

 

「俺の槍はな、因果の理を捻じ曲げる事ができるんだよ」

 

「な……に…?」

 

 

 そのランサーの言葉に、零は驚愕の声を上げる。

 

 

「つまり、『心臓を穿つ』という結果を、『槍を放つ』という原因より先に生じさせちまうのさ」

 

「っ!!!」

 

 

 零は心臓部分を抑えながら、見開いた眼をランサーに向ける。

 

 

「ゆえに、放てば必ず敵の心臓をとらえ、避けることは不可能なんだわ。残念だったな、姉ちゃん」

 

「っ……が……!」

 

 

 

 

 

 そして、零の体はなすすべなく、地面にひれ伏───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんてね」

 

「っ!!!」

 

 

 一瞬の出来事だった。

 零は瞬時にランサーの懐まで入り込み、腹部を攻撃。その攻撃は直撃する。

 

 

「ぐっ…!!!なぜ……生きて…!!」

 

 

 その言葉を聞いて、零は無表情だが、何処か勝ち誇った表情だ。

 

 

「ん、確かに。あなたの力は驚異的。でも、それは………」

 

 

 

()()()()()()()()()》の話」

 

「どういう……意味だ」

 

 

 零の言っている意味が分からず、ランサーはただただ困惑する。いや、頭では理解している。理解はしているがあり得ない。何故ならこの女が言うには。

 

 

 

零には『心臓が存在していない』という事になる。

 

 

「零さん……!」

 

 

 すると、遠くから2人の人間が駆け寄ってくる。

 一人は士郎で、もう一人は見たことが無い女性だ。

 

 

「せやっ!!!」

 

 

 刹那──── 

 その女性は間髪入れず、何も持たずに突進している。

 

 

「何も持ってない……。いや…!」

 

 

 ある、確実に何か得物を持っている。それは零には直感的に理解できた。見えない得物だ。そんなものが存在していたとは、零も知らなかった。

 

 

「ふっ…、姉ちゃん。今日はここまでにしようぜ、またな」

 

 

 そう言って、軽く女性の攻撃を受け流したランサーは去っていった。

 

 

「零さん!大丈夫か!?」

 

「う……うん」

 

 

 零の声を聞いて落ち着いたのか、士郎は安堵の息を漏らす。

 士郎の安否を確認出来たら、何処か力が抜け、零はその場に座りこむ。

 

 

「士郎…、この…人は?それに…あいつは…一体……」

 

 

 アホ毛が特徴的な金髪の女性を見ながら、零は疑問の声を上げる。戦いが終わって見れば、零はこの状況は何もわからない。

 

 

「私はセイバー。サーヴァントです」

 

 

 そう言って、セイバーは自己紹介?をした。名前ももちろん知りたいのだが、それ以上に知りたいことが山ほどある。

 

 

「……あなたは、この状況、原因わかるの?」

 

 

 零は恐怖で震える声を必死で抑えながら、セイバーに質問を投げかける。

 

 

「マスターではないあなたに答える義理はありません」

 

 

 そうバッサリとセイバーは言い切った。めんどくさい。

 

 

「っ…」

 

「! 零さん!」

 

 

 零が突然膝をつく、先ほどの戦いで少々やりすぎてしまったようだ。まだじんじんと痛みがやってくる。

 

 

「っ…もう白魔術を使えるほど…マナが…」

 

 

 零は魔術が使える、勿論回復系もだ。だが零の魔力、マナはもうそこまで残っていない。

 

 

「私が直します、零先生」

 

 

 すると、何処からか聞き覚えのある少女の声が聞こえる。

 その姿は黒髪のツインテールで、赤い服を着た。どこか優等生のような目つきの少女。

 

 

「お、おまえ…!」

 

「遠坂…さん?」

 

「こんばんは、衛宮君、そして零先生」

 

 

 零の教え子の一人、遠坂凛だ。

 

 

 

 

 

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