聖杯戦争?どうでもいい。いちごタルトちょーだい?   作:エクソダス

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第3話

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 現れた教え子、遠坂凛の魔術である程度回復することに成功した零。そのまま全員家の中に入った。

 今思い返すとなぞの剣をもった『姫』と名乗る少女に、槍使いのあのランサーと名乗る男、遠坂が何か知っているのであればできるだけ情報が欲しい。

 

 

「これでよし」

 

 

 遠坂はランサーとの戦いで割れたガラスの破片に自身の血をつけ、3節の詠唱を唱えると、たちまち割れたガラスは元の姿に戻る。魔術の1種だろうか?

 

 

「すごいな遠坂…俺こんなことできないぞ」

 

「え?こんなのどこの流派でも初歩の初歩よ?」

 

 

 士郎の一言に遠坂は首を傾げた。意外、と言わんばかりの表情だ。それにしてもこの子、学校とはかなり性格が違うような……。

 

 

「じゃ、じゃあ零先生は?」

 

「私…、まだうまく、魔術使えない……」

 

「あ、あんな生成魔術つかっておいてですか?!」

 

 

 遠坂が零に向け驚愕の顔を見せる。それほど難しい魔術なのだろうか…。

 

 

「………よく…わからない」

 

 

 先ほどの戦闘を思い返してみると、自分が訳の分からないことを連発していたことを思い出す。

 帝国軍?特務分室?戦車のリィエル?とっさに出てきた言葉だが、正気に戻ってみると訳が分からない。

 

 

「なんで、衛宮くんにセイバーが呼び出されるのよ……。それに零先生もおかしいことこの上ないし…」

 

 

 そういっている遠坂はどこか呆れているようなため息をついているような。そんな何とも言えない表情をしていた。

 とりあえず3人とも座布団に座らせて、零はヤカンでお茶の用意をする。

 

 

「率直に言うとね。衛宮くんはマスターに選ばれたの」

 

 

 マスター、何を言っているのだろう遠坂は、だが声を聴く限りふざけている様子はなく、いたって真剣だ。そもそもこの子がふざけている所を見たことはないが…。

 

 

「どっちかの手に聖痕があるでしょ?令呪っていうんだけど、それがマスターとしての証よ」

 

「ああ…これか」

 

 

 不意に士郎の左手を見てみると、何か赤黒いやけどの痕跡のようなものが見える。

 しかし令呪とは…明らかに呪いの類を頭によぎらせるネーミングだ。

 

 

「令呪は三回限りの絶対命令権なの。それがある限りはサーヴァントを従えていられるわ」

 

「従える……?」

 

「要するにね、貴方はゲームに巻き込まれたのよ」

 

「ゲーム……?」

 

 

 ゲーム、そんなふざけた言葉に零は少し憤りを覚える。

 自分の生徒が危険な目にあったのだ。それがゲームだとでもいうのだろうか…、だとしたらふざけている。

 

 

「はい、聖杯戦争という。七人のマスターによる、魔術師同士の殺し合いに」

 

「………!」

 

「そうして他の六人を倒したマスターには、望みをかなえる聖杯が与えられるの」

 

 

 なるほど…、やはりふざけているようだ。零の思ったよりも格段に、自分の私利私欲のためならどんな犠牲も興味ない者たちの仕業だろう…。ふざけるな。

 

 それで、私の恩人(しろう)に怪我をさせようとするなど。

 

 

「待て、なんだそれ。いきなり何言ってんだお前!?」

 

 

 士郎は遠坂の言葉に待ったをかけようとする。それはそうだ。

 明らかにこんな話ふざけている。常人の人間が話す内容じゃない。だが、どこか納得してしまう零がいる。

 

 

「貴方の気持ちもわかるけど、私は真実を口にしているだけよ。それに貴方だって心の底では理解しているんじゃない?サーバーヴァントに零先生とあなたが殺されかけ、自分はもう逃げれない立場だって」

 

 

 そういうと、お茶を持ってきた零に遠坂は目を向ける。

 

 

「お茶、ありがとうございます。零先生」

 

「…一つ、聞いていい?」

 

「はい。どうぞ」

 

「貴方たちにとって…、私は()()()()()()()()()?」

 

「…さすがです、状況判断が早いですね」

 

 

 遠坂は素直に感心する。聖杯戦争やら、七人のサーヴァントやらが何かは全くわからないが、おそらくそれに該当するのは、セイバーというサーヴァントを召喚に成功した士郎であって、零ではない。

 つまり、零は完全に『部外者』ということだ。

 

 

「その件に関しては、後で話しましょう。まずは私の話を」

 

「……ん」

 

 

 遠坂のその言葉を聞き、零は軽く納得したように頭を下げ、自分の座布団へと座る。

 

 

「私もマスターに選ばれた一人なのよ。だからアーチャー。自分のサーヴァントと契約したわ」

 

 

 遠坂はお茶をで一息ついてから、話を続ける。

 

 

「貴方もセイバーと契約したでしょ?サーヴァントは聖杯戦争を勝ち取るために聖杯が与えた使い魔みたいなものと考えて」

 

「……セイバーは使い魔になんて見えないけど」

 

 

 士郎はセイバーをちらっと見てそう答える。

 確かにそうだ。召喚されたと仮定しても、明らかにその場にいるように感じる。とても先程までいなかったとは思えない。

 

 

「そりゃそうよ。使い魔の分類ではあるけどそこの彼女はね。受肉した過去の英雄、精霊に近い人間以上の存在なんだから」

 

「過去の……英雄」

 

 

 

 

 

 

 

 つまり、その場で生成された魂ではなく、死者の魂ということになるのだろうか。

 

 いや…それなら召喚というより。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………Project:Revive life」

 

「…零さん?」

 

「? 何でもない」

 

 

 今、勝手に自分の口から言葉が出てきた。Project:Revive life?どこで聞いた言葉だろうか…、

 小説の見すぎかな……、小説見ないけど。

 

 

 

 

───

 

 遠坂からある程度の情報を仕入れることに成功した零は、聖杯戦争の事に精通し、詳しく知っているという。隣町にいる神父のところへと、足を運ぶことになった。

 なお、セイバーは気配を消すことができないので、軽く布をかぶせているだけなのだが…、流石に罪悪感がひどい。

 因みに、セイバーがこの時代に呼び出されたのはこれが初めてではないらしい。

 

……何回も来てるのなら、ナンパされてそう……。

 

と、少しだけアホみたいな考えを零は巡らせた。

 

 

「マスター、気をつけて」

 

「ん、行ってくる」

 

 

 肌寒い夜中、見るからに怖そうな教会らしき物がそこにはそびえ立っていた。

 零は別に、ホラー系のあれやこれやは苦手ではないのだが…、流石に少し怖い。

 

「………」

 

 

 零は少し警戒しながらも、遠坂についていく。

 遠坂はゆっくりと協会のドアを開けると電気をつける。

 見たところ…、なんの変哲もない教会、といった雰囲気だ。

 

 

「ね、その神父様、名前は?」

 

「名前は言峰綺礼。お父さんの教え子でして、私の後継人で兄弟子って腐れ縁です」

 

「……ふ〜ん」

 

「ま、出来れば知り合いたく無かったけど」

 

 

 ボソッと小さな声で、遠坂がそんな事を言ったその時。

 

 

「同感だ。私も師を敬わぬ弟子など持ちたく無かった」

 

 

 そこにいたのはコートを着ている大人の雰囲気を醸し出している男性だった。

 しかしその目には光がない。よほど何かに絶望したのだろう、悲しい目をしている。

 

 

「再三の呼び出しにも応じぬと思えば、変わった客を連れてきたな。彼が七人目というわけか、凛」

 

「そ、あとこっちの女性は一応被害者に分類されると思うわ」

 

「……どうも」

 

 

 言峰が零をじっと見て来る。

 吸い込まれそうで、その目はどこか怖かったが、どうにかおびえずにお辞儀をする零。

 

 

「こんばんは、名前を聞いてもいいかな、ご婦人。そして、七人目のマスターよ」

 

「……理伊江 零(りいえ れい)

 

「衛宮士郎…。けど俺はマスターになった覚えはないからな」

 

 

 当然、士郎はこんな一件にはかかわりたくないので、マスターになった覚えはない、と断言する。

 

 

「衛宮…士郎」

 

 

 その名に聞き覚えでもあったのか、言峰はどこか不敵な笑みを浮かべた気がした。

 

 

「礼を言おう、ご婦人、少年。よく凛を連れてきてくれた。君達がいなければこれは最後まで訪れなかったであろう」

 

 

 どうやら、凛とこの神父は思った以上に腐れ縁らしい。

 まあ、こんな怖そうな人、自分から好んで会いにはいかないだろうが……。

 

 

「では始めよう。衛宮士郎、君はセイバーのマスターで間違いないか?」

 

 

 言峰にそんなことを問われ、士郎が答える。

 

 

「………確かに俺は、セイバーと契約した。けどマスターとか聖杯戦争とか言われてもテンでわからない」

 

 

 そう、ある程度のことは遠坂から聞いたとはいえ、それは常人には理解できない。できるはずがないおとぎ話のような話だ。

 巻き込まれるにしろ巻き込まれないにしろ。もっと情報が必要だ。

 

 

「マスターってのがちゃんとした魔術師がなるものなら選び直したほうがいい」

 

「……なるほど、これは重症だ。彼は本当に何も知らないのか、凛」

 

 

 いかにもこの状況を理解できていない士郎が異端だ。とでも言いたげな言い方だ。

 その言い方に、若干零は憤りを覚える。

 

 

「だから素人だって言ったじゃない。そのあたりイチからしつけてあげて」

 

 

 遠坂は近くの椅子に座って足を組み、言峰にそう言った。

 

 

「そういう追い込み得意でしょ、あんた」

 

「ほう………これはこれは。良かろう、お前が私を頼ったのはこれが初めてだ。衛宮士郎には感謝してもし足りないな」

 

 

 言峰はクックックと、何処かの異様に笑う。正直零はまだ信用しきれていない。

 いや、信用などする必要はない、どんな事があっても士郎は守る。それだけだ。

 

 

「いいか衛宮士郎、マスターと言うものは他人に譲れるものでは無いし、なってしまった以上やめられるものでもない」

 

 

 零は一旦遠坂の近くの椅子に腰掛け、言峰の話を聞く。

 

 

「その腕に令呪を刻まれた者は、たとえ何者だろうと辞める事はできん。まずその真実を受け入れろ」

 

 

 いい加減なことを言いやがるなこの男。

 見ず知らずのただの少年が聖杯戦争とかなんとかのマスター?

 しかも拒否権はないらしい。全く持って

 

 

 

 

 

 

ふざけている。

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