グリムロックは宇宙最強   作:オルペウス

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ようやく原作第一話に突入できました。お気に入りに登録して下さった方々も徐々に増え、嬉しい限りです。

本話では私が好きな映画の一つであるコマンドーのネタが少々あります。

また、皆の噛ませ犬こと光輝以外にもアンチがあります。ご注意下さい。


伝説は蘇る
またしても異世界へ


 グリムロックこと灘亮牙が人間の姿になって17年が経った。今の彼は身長192cmの引き締まった体型と、この年齢としては中々恵まれた体格へと成長していた。(といっても某アクション俳優みたく筋肉モリモリマッチョマンの変態というわけではない。)

 

 月曜日の午前5時、亮牙は目を覚ます。南雲家では一番の早起きだ。そして彼は家事をこなしていく。菫が漫画家として多忙であるが故にどうしても家事に手が回らない事が多いため、彼が殆ど引き受けるのだが、当の本人は彼女の負担を減らせるからと気にしていない。

 一通りの家事を終わらせ朝食を取り、自身の身支度を済ませて暫く経った後、彼はハジメを起こす。ハジメは時間があればバイトとして愁と菫の仕事を手伝っている分朝が弱く、亮牙もそれを理解しているため、なるべく学校に間に合えるよう登校出来る時間まで寝かせてやっている。起床したハジメが朝食を取り身支度を済ませた後、彼は愁と菫に声を掛けてから二人で高校へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 始業のチャイムが鳴るギリギリという訳ではないが、二人の登校時間は早い方ではない。彼らが教室に入ると同時に教室中の男子生徒の大半が二人を睨みつけてくる。一部の女子生徒も似たような感じだ。

 ハジメは努めて真っ直ぐに歩いていき、亮牙に至っては恐竜時代やトランスフォーマーだった頃に味わったものに比べると蚊ほども痒いと思わないため、どうでも良さそうに自分の席に着く。ここまで睨みつけていながら一切罵声や嘲笑が飛んでこないのは、亮牙の怒りを買えばどんな目に遭わされるかを分かっているからだ。

 

 そんな二人に女子生徒の一人、白崎香織が歩み寄ってくる。学校では二大女神と言われるほど男女問わず絶大な人気を誇る美少女だ。腰まで届くつややかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳は優し気であり、すっと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。更に非常に面倒見がよく責任感も強いため、学年問わずよく頼られながらも嫌な顔一つせずに真摯に受け止めるのだから人気も出る。

 

「おはよう南雲君、それに灘君も。今日もゆっくりだね。もっと早く来ようよ」

「あ、おはよう、白崎さん」

「遅刻はしてない。文句を言われる筋合いはない」

 

 そんな彼女は二人(というか殆どハジメだけ)によく構う。ハジメはオタク趣味や居眠りがやや多い事、亮牙はその厳しい外見とぶっきらぼうな態度から、クラスメイト達から快く思われていない。従来の面倒見のよさから香織が気にかけていると思われている。これで二人の態度が改善したりすれば許容できるかもしれないがそんな気配はない。亮牙に至っては露骨に彼女を嫌っている。

 更に言えばイケメンかと問われれば、ハジメはともかく亮牙は整っている方だが、そのぶっきらぼうな性格に加え、ある男子生徒が広めた悪評のせいで悪い印象を持たれている。平凡でオタクなハジメが香織に構われる事、不良同然の亮牙が香織を邪険に扱う事が男子達には我慢ならない。女子達は香織に面倒をかけながら改善しようとしてないと見做して二人を不快に感じているのだ。

 

「南雲君も灘君もおはよう。毎日大変ね」

「香織、また二人の世話を焼いているのか、全く、本当に香織は優しいな」

「全くだぜ。そんなやる気のない連中に何を言っても無駄だと思うけどな」

 

 その3人に話しかけてくる者たちが来る。

 ポニーテールの少女は八重樫雫。2大女神の一角を担う彼女は、香織の幼馴染かつ親友だ。この学校で数少ないハジメと亮牙の理解者とも言える人物で、先程二人に手を振ったのも彼女だ。

 平然と臭いセリフを吐いたのは天之河光輝。いかにも勇者っぽい名前かつ容姿端麗・成績優秀・スポーツ万能の完璧超人で、亮牙が辞退した新入生代表の挨拶を務めたあの少年だ。

 最後の投げやり気味な発言をした男子は坂上龍太郎。亮牙に似た体格の彼は良く言えば脳筋、悪く言えば木偶の坊を体現したような少年で、光輝の親友でもある。

 

「おはよう、八重樫さん、天之河君、坂上君…」

「…」

 ハジメは3人に挨拶するのだが、亮牙は無視を決め込む。その事に光輝はムッとして彼を睨みつける。

 

「おい灘、何で無視するんだ」

「鬱陶しいからに決まってるだろ、そんな事も分からんのか」

 

 呆れたように言う亮牙に、光輝と龍太郎が睨みつける。

 また始まった、とハジメは内心溜息をつく。亮牙は根は優しい奴だが、基本的に彼は南雲家以外の人間とは関わりを持とうとしない。特に嫌いな人間に対してははっきりと態度で示す。自分達のクラスでは殆どの連中が嫌悪の対象みたいだが、特に嫌っているのがこの幼馴染四人組だ。まあ、気持ちは分からないでもないが…。

 光輝と龍太郎が一方的に亮牙を睨みつけていると、雫が溜息を吐きながら仲裁に入る。

 

「三人ともこんなところでやめなさい。南雲君も困ってるわよ」

「先に絡んできたのはお前らだろうが。さっさと自分の席に戻れ」

「ちょ、亮牙やめなよ」

「何だと!」

「やめなさい光輝、もうすぐ授業が始まるから。香織も龍太郎も行くわよ」

 

 そう言って雫は三人を二人から離していく。それを見たハジメはホッとしながら亮牙に語りかける。

 

「亮牙も言い過ぎだよ。八重樫さんも困ってるじゃん」

「毎度しつこく絡んでくるのは向こうだ。我慢しろってのが無理だ。それに奴もお目付役のつもりならしっかり馬鹿どもの手綱を握って欲しいもんだ」

 

 親友に嗜められながらも亮牙はそう答える。彼がここまで光輝達四人を嫌っているのには訳があった。

 

 まず香織だが、亮牙は彼女を魅力的には感じなかった。世界中の人間が同じ物を好きでないように、誰もが同じ異性が好みとは限らない。それに彼女の行動が気に入らなかった。亮牙は嗅ぎ取ったフェロモンレベルから、香織がハジメに好意を抱いていること、そして光輝を含めたクラスの男子の大半から好意を抱かれている事を見抜いていた、しかし香織はそれをはっきりと宣言しない癖に、まるで自分がハジメの番であるかのようにしつこく付き纏う。おかげでハジメが目の敵にされてるというのに、一切気付こうともしない無神経さに腹が立つ。

 

 光輝は初めて見た時から本能的に歪さを感じ取ったが、その予感は当たっていた。この少年は自分こそが世界の中心だと思っており、呆れるほど傲慢で独善的な奴だ。良く二人に食って掛かるのも、成績が己より上の亮牙や、ハジメが香織に構われるのが気に食わなくて嫉妬しているだけなのだが、当人に自覚は一切ないのがたちが悪い。更に亮牙の悪評を流した張本人でもあるのだが、これはまた別の話である。

 

 龍太郎は光輝の親友を自称しているが、亮牙から言わせればただの腰巾着・木偶の坊にしか見えない。こいつは自分で物事を考えることが出来ず、常に光輝の言う事やる事全てに賛同するだけだ。己の暗愚さを棚に上げ、自分より成績の良い亮牙とハジメの事を見下すのも、親友の光輝が嫌うならダメな奴ら、と見做しているのだろう。

 

 最後に雫だが、彼女はまだ他の三人に比べるとマシだ。だが幼馴染として彼らのお目付役を務めているつもりのようだが、実際は本人達に遠慮して好き放題させ、その後始末をしているといった状態だ。目に余る三人の行動に自分だけでなくハジメまで迷惑してるのが我慢出来なくなった亮牙は、彼女に止めさせるよう忠告した事がある。しかし彼女は彼らに悪気はないから許してあげてと謝るだけだったので、亮牙も呆れ果てて以降は相手にしなくなった。

 

 あの四人はラノベとかで異世界転移しそうだと、前にハジメが冗談交じりに言ったことがある。それをふと思い出した亮牙は、そうなってくれたなら清々するんだがな、と考えながら授業を聞く。ハジメも眠そうな中必死に目を開けながらペンを動かしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時が過ぎて昼休み。ハジメも朝のうちは頑張って起きていたが、次第に瞼が重くなり、昼休み間近には既に夢の中であった。亮牙が二人分の弁当箱を持ちながらハジメのそばにやってきて、彼を軽く小突いて起こした。

 

「起きろハジメ、飯の時間だぞ。今日は俺特製サンドイッチだ」

「ん、また寝ちゃってたか、ごめん。中身は何かな?」

「知らない方がいいぜ。まあ食ってからのお楽しみだ」

 

 そう談笑しながら二人は教室から出ようとする。だが、またしても邪魔が入る。

 

「南雲君、もしよかったらお弁当一緒にどうかな?」

「香織、こっちで一緒に食べよう。南雲は灘と食べるみたいだし、まだ寝たりないみたいだ。せっかくの香織のおいしい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」

「え、なんで光輝君の許しがいるの?」

 

 香織と光輝の会話に雫が噴き出し、周囲の連中が性懲りもなくハジメを睨みつける。本当に迷惑な連中だと亮牙はほとほと辟易し、ハジメも同じ気持ちなのか溜息を吐く。

 

 その時、亮牙は悪寒を感じ取った。あの大絶滅の日や、この世界にスペースブリッジで飛ばされた時と同じ感覚だ。嫌な気配がする方向を見ると、光輝の足元に白銀に輝く円環と幾何学模様が現れた。

 その異常事態に亮牙だけでなく全員が気がつき、金縛りにあったように輝く紋様を注視する。その紋様が輝きを増して教室全体を満たすほどの大きさになると、ようやく硬直が解けた生徒達から悲鳴が上がる。

 

 またか、今度は一体なんだ⁉︎

 

 亮牙は心の中で毒付きながらも、素早くハジメを脇に抱え上げ、教室から出るため入り口まで跳躍した。

「皆、教室から出ええっ⁉︎」と見知った顔の教師が教室に入ってくるも、突然目の前に現れた二人に驚く。亮牙は仕方なく彼女も抱え上げて脱出しようとしたが、間に合わなかった。

 光が爆発したかのように教室が真っ白に塗り潰され、治まったと思うと、そこにはもう誰一人として残っていなかった。

 

 

 後に集団神隠しと呼ばれたこの事件は、灘亮牙ことグリムロックの新たな闘いのはじまりでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本作でのハジメは、原作同様両親の手伝いで居眠りはあるものの、親友であるグリムロック/亮牙が勉強を教えてくれることもあり、成績はクラスで3〜5位を行ったり来たりと上位に位置してます。因みに1位は亮牙、2位が光輝、龍太郎は(多分原作でもそうだろうけど)最下位から数えた方が早い順位です。

また、亮牙に頼りっぱなしじゃ駄目だという気持ちから、ハジメの授業態度は原作より良い設定です。それでも嫌われるのはやはり香織と光輝が元凶です。
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