グリムロックは宇宙最強   作:オルペウス

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いつの間にかお気に入り登録数が100人以上になり、10000UAにも達していた事に、今でも驚きを隠せません。

まだまだ稚拙な文章の多い本作ですが、読者の方々に楽しんでもらえるよう、これからも頑張りたいです。


追記:ハジメのオタク魂が上手く書けていなかったので、少し訂正しました。


探索、そして…

「駄目だ、何処を探しても上に行く通路がない…」

「うん、やっぱり下へ行く階段しかないね…」

 

 

 亮牙とハジメが落ちてから暫く経った。二人は魔物の肉で腹を満たしながら、一帯を探索して地上へ戻る通路を探したものの、地上に繋がる出口は存在せず、逆に更に下へと続く下層の道が見つかっただけだった。

 

「こうなったらやっぱ、RPGゲームみたく、地下に潜って迷宮を攻略する以外、脱出する方法はないみたいだね」

「どうやらそのようだな…。俺は構わないが、ハジメは大丈夫か?」

「任せてよ!自慢じゃないけど、あれからかなり強くなったし、今じゃ武器も結構あるんだ。いつまでも亮牙に甘えるつもりはないよ!」

 

 そう言ってハジメはニッと笑う。魔物を食べてから、彼の肉体は地球にいた頃より遥かに逞しいものとなり、習得した固有魔法も鍛錬の末に使いこなせるようになっていた。

 それ以上に[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合]など、錬成の派生技能が大いに役立った。特にハジメが指導を受けた王国直属の鍛冶師達の中でも上位の者しか持っていない[+鉱物系鑑定]は、触れてさえいれば簡易の詠唱と魔法陣だけであらゆる鉱物を解析できる優れ技だった。

 これにより彼は周囲の鉱物を徹底的に調査し、親友と肩を並べて戦うための武器の材料を探した。そして遂に、天然の火薬とも言える「燃焼石」と、その一帯で最高の硬度を誇る「タウル鉱石」を発見、多大な労力と試行錯誤の末に、自身の纏雷により電磁加速するリボルバー式拳銃型のレールガン「ドンナー」を完成させた。その威力は、奈落に落ちる前に使用していたジャンゴを遥かに凌ぐものとなった。

 その他にも彼は様々な現代兵器を作成し、一帯の魔物も一人で仕留められるようになっており、最早「ありふれた職業」などとは馬鹿に出来ないレベルであった。

 弟のような存在だった親友が、いつの間にか逞しくなった事に感慨深くなりながらも、亮牙は決意を固めた。

 

「よし、じゃあ行こう。必ず二人でここを出るぞ!」

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まず二人が降りた階層は真っ暗だった。緑光石がないのか、常人なら目の前が一切見えない暗闇だった。

 しかし元々がティラノサウルスの亮牙には問題ない。地球史上最高とされる嗅覚を頼りに彼が前を行き、後ろからハジメが緑光石を用いた簡易なランタンを片手に、いつでも援護が出来るようもう片方の手にドンナーを構えていた。ふと亮牙が片手を上げ、ハジメが足を止めた。

 

「ハジメ、何かいる。俺が引きつけるから、援護を頼む」

「OK、気をつけてね」

 

 そう告げると亮牙は匂いの先へ近づいた。すると何かが光り、彼に向かってきた。正体は金色の瞳を持つ、全長2m程の灰色の蜥蜴だった。その瞳が光を帯び、光が亮牙に降りかかった。

 

「あ、何かしたかチビ?」

 

 しかし亮牙には何の変化もなかった。これには蜥蜴も驚いたのか、目をパチクリさせながら狼狽するような声を上げた。その隙にハジメがドンナーで蜥蜴の脳天を撃ち抜き仕留めた。

 二人は蜥蜴の皮を剥ぐと、亮牙のレーザーファイヤーで焼いて食べた。肉はチキンと魚の中間みたいな味だった。因みに食べた後、ハジメの技能に石化耐性が追加された。

 

「石化ってこいつ、バジリスクだったんだ…。亮牙大丈夫だったの?」

「バジリスク?ああ、確かそんな能力の幻獣いたな…。まあ俺金属生命体だから、今更石化なんて効くわけないだろ」

「…それもそうだね」

 

 暫くすると血の匂いに誘われたのか、フクロウや猫に似た魔物がやってきたが、何れも返り討ちされ二人の胃袋に収まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから彼らが探索したのは地面のそこかしこにタール状のものがある泥沼のような場所だった。ハジメは気になったのでこのタール「フラム鉱石」を調べ、顔を顰めた。

 

「亮牙、このタール発火性だ…。僕もドンナーとかはなるべく使わないようにするけど、間違ってもレーザーファイヤーは使わないでね」

「了解、にしてもこの姿じゃ歩きづらいな。ハジメ、元に戻るから肩に乗れ」

 

 そう言うと亮牙はグリムロックとしての姿になった。すると、ハジメが口を開いた。

 

「亮牙、最初にその姿見た時は気が動転してたのもあって言えなかったけど、ちょっと言わせて…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その姿、スッゲーカッコいいよ!!!」

 

 ハジメは目をキラキラと輝かせながらそう叫んだ。

 そう、彼は亮牙の本来の姿を初めて見た時から、オタク魂を大きく刺激されていた。そして親友から正体を聞かされた時など、まさか元恐竜でエイリアンかつロボットとか、SF設定てんこ盛り過ぎだろ!と、内心興奮しまくっていた。

 ただし、その時は状況が状況だったので、流石に空気を読んで抑えていた。今回再びその姿を見た事で、彼の興奮が再燃したのだ。

 グリムロックは最初はキョトンとしつつも、親友が自分の本来の姿を受け入れてくれている事が嬉しくて、少し照れ臭かった。

 ハジメが落ち着きを取り戻すと、グリムロックは彼を左肩に乗せ、タールの湿地を歩き始めた。ハジメはおっかなびっくりしつつも、初めての体験に興奮が冷め止まず、目を輝かせていた。

 二人が湿地を進んでいくと、突然鮫のような魔物がタールの中から飛び出し、グリムロックの片腕に噛みついた。しかし鮫にとっては不運な事に、噛み付いた相手の肌は頑強な金属で、何度噛みついても噛みちぎることは出来なかった。

 最初は驚いたハジメだったが、すぐに落ち着きを取り戻し、次第にこの無謀な挑戦者を哀れんだ目で見つめた。

 

「さっきから痒いんだよ、魚が」

 

 グリムロックはそうぼやくと、もう片方の腕で鮫の頭を握り潰した。鮫は物理衝撃を緩和する能力があったものの、何トンにも及ぶ握力には敵わなかった。

 こうして二人はタールの階層を抜けると、仕留めた鮫を味わった。魔物と地球の生き物は体の構造が違うからか、地球の鮫にあるようなアンモニア臭はなかった。食後のハジメの技能には気配遮断が追加された。

 

「魚食ったからか、久々に寿司が食いたくなったな…」

「分かる。早く日本に帰って、マグロやハマチでも食べたいな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 続く階層に進出しようとした時、亮牙が止まるようハジメに合図した。匂いを嗅ぐと、彼は顔を顰めた。

 

「ハジメ、次の場所はどうやら毒が充満してる。こっからでもかなり匂うぞ」

「嘘だろ…。どんだけこの迷宮の環境って出鱈目なのさ…」

 

 そうぼやきつつもハジメは薄い石で作った容器に神水を入れたものを二つ作り、一つは亮牙に、もう一つは自分用として奥歯に仕込んだ。

 そうして前準備をした二人はその階層に踏み入ると、やはり階層は全体が薄い毒霧で覆われていた。ハジメは肉体こそ強くなっていたが、気付いたらお陀仏という事にならないよう、常に神水を服用して備えていた。亮牙にはこの毒霧も効かないのか、平然と歩いていた。

 暫くするとアマゾンのヤドクガエルよりも派手な体色をした、全長2m程の虹色のカエルが現れた。更に頭上には某怪獣映画に登場しそうな巨大な蛾も現れた。

 

「ハジメはあの蛾を頼む。カエルは俺が仕留める」

「OK。多分大丈夫だろうけど気をつけてね」

 

 そう言うと二人はそれぞれ魔物に襲い掛かった。

 蛾の魔物は麻痺毒の鱗粉を撒き散らして攻撃し、ハジメも当初は苦戦したものの、ドンナーで正確に翅を撃ち抜いて仕留めた。

 カエルの方は悲惨だった。この魔物の必殺技は猛毒の痰を吐き飛ばすというものだったが、亮牙に痰を吐きかけたのが運の尽き、毒は効かなかった挙句、激怒した彼からお返しと言わんばかりにレーザーファイヤーをお見舞いされ、瞬時に丸焼きにされた。

 戦闘後は、ハジメが仕留めた蛾も焼いて食べる事になったが、当初はハジメも蛾など口に入れたくないため躊躇した。結局は亮牙から、昆虫の方が肉より高タンパクだなどと説得された事もあり渋々口にしたが、意外とカエルより美味しかった。

 

「…うん、さっきのカエルより美味い。何か悔しい…」

「…自分で仕留めたから美味いんじゃないか?にしてもあのカエル野郎、いきなり痰吐き散らすとは行儀の悪い野郎だったな。思い出したらまた腹が立ってきた」

 

 何処か悔しそうな親友を励ましながら、未だにカエルについて文句を言う亮牙であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の階層は地下なのに密林のように鬱蒼とした場所だった。物凄く蒸し暑かったため、ハジメは今までで一番不快な場所だと感じていたが、亮牙には恐竜時代を思い出したのか、何処か懐かしむようであった。

 この階層の魔物は巨大な百足と、トレントを彷彿とさせる樹であった。

 前者は密林を歩いている時に突然樹上から降ってきた上に、体の節ごとに分離して襲ってきた。その姿にハジメはゴキブリを思い出し、鳥肌が立っていた。数の多さに悪戦苦闘し、その体液を全身に浴びた事で、ドンナーを素早くリロードする技法と蹴り技を磨くことを決意した。一方の亮牙は特に嫌悪感も感じず、百足を叩いたりして応戦し、返り血を何事もないように舐めとっていた。

 後者は地中に潜らせた根で突いてきたり、ツルを鞭のようにしならせたりしてきたが、何より追い詰められると頭部を振って赤い果実を投げつけるという攻撃をしてくるのが特徴だった。これには全く攻撃力はなく、それどころか果実は食べてみると美味かった。

 

「美味しい!まるで西瓜みたいだ!」

「確かに美味いな。蜥蜴の尻尾切りみたいに、この果実で敵の気を引くって戦法なのかもな」

「それよりも久々の肉以外の食べ物だよ!もっと獲ろうよ!」

「ったく、さっきまでこの階層は最悪ってぼやいてた癖に、現金な奴だな」

 

 そう苦笑しつつも、息抜きにはいいだろうと、亮牙もハジメと共に果実の収穫に勤しんだ。二人がたらふく果実を食べ、ようやく迷宮攻略を再開した時には、既にトレント達は全滅状態だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな何処か呑気な感じで階層を突き進み、気がつけば二人は五十層に到達していたものの、未だ終わりが見える気配はなかった。ステータスは、亮牙は相変わらず変化なしだったが、ハジメのものはこうなっていた。

 

 南雲ハジメ 17歳 男 レベル:49

 天職:錬成師

 筋力:880

 体力:970

 耐性:860

 敏捷:1040

 魔力:760

 魔耐:760

 技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成] ・ダイナボットの祝福[+エネルギー吸収][+ダメージ緩和]・魔力操作・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・言語理解

 

 二人は直ぐに階下への階段を発見したが、同時に明らかに異質な場所も見つけていた。そこには高さ3m程の装飾付きの両開きの荘厳な扉があり、左右には単眼の巨人像が2体、壁に半分めり込みながら扉を挟むように立っていた。

 

「…何か、明らかに怪しいよね、これ。」

「ああ、とても出口とは思えんしな…。」

「取り敢えず、調べるだけ調べてみようか。」

 

 そう言って二人は警戒しつつも扉の前にまでやって来た。近くで見れば益々、見事な装飾が施されているのが分かり、中央には二つの窪みのある魔法陣が描かれていた。

 

「う〜ん。結構勉強したつもりだったけど、こんな術式見たことないや。相当古いのかな?」

 

 ハジメは無能と呼ばれていた頃、自らの能力の低さを補うために座学に力を入れていた。もちろん、全ての学習を終えたわけではないが、それでも、魔法陣の式を全く読み取れないというのは些かおかしい。

 古代のものかと推測しつつも、トラップを警戒して扉を調べてみたのだが、どうやら今のハジメ程度の知識では解読できるものではなかった。すると、亮牙が動いた。

 

「どいてろハジメ。ここは俺の出番だ」

「え、何か方法があるの」

「ああ、力づくでぶち破る」

 

 そう言うと亮牙は拳を握り締め、渾身のパンチで扉を突き破った。扉はそこそこ重量がありそうだったが、亮牙の怪力の前には貧弱であった。

 

「…亮牙って時々脳筋なところがあるよね」

「おい、俺をあの腰巾着ピテクスと一緒にするな」

「それって坂上君の事?まあ彼に比べれば亮牙の方が遥かにマシだけどね。それに案外これで良かったかも」

 

 呆れつつもそう言うハジメだが、この手の扉は魔力に反応して作動するトラップがあると彼は推測していた。まさか製作者も、純粋な腕力で破壊する奴がいるとは考えていなかっただろうから、そういった類のトラップは仕掛けられていないだろう。そう考えれば、親友のおかげで助かった。まあ、番人のような左右の像には罪悪感があったが…。 

 扉の奥は光一つなく真っ暗闇で、大きな空間が広がっているようだ。亮牙は嗅覚を頼りに、ハジメは夜目の技能を使いながらも、手前の部屋の明りで少しずつ全容が分かってきた。

 中は、聖教教会の大神殿で見た大理石のように艶やかな石造りとなっており、何本もの太い柱が規則正しく奥へ向かって二列に並んでいた。そして部屋の中央付近に巨大な立方体の石が置かれており、部屋に差し込んだ光に反射して、つるりとした光沢を放っていた。

 その立方体を注視していた二人は、何か光るものが立方体の前面の中央辺りから生えているのに気がついた。ハジメ一人だけなら閉じ込める系のトラップに警戒していただろうが、今の彼にはここの扉すらぶっ壊してしまう頼もしい味方が居るため、安心していた。

 

「…誰?」

「ッ、誰だ!」

 

 不意に、立方体から生えているものから声が聞こえた。かすれた、弱々しい女の子の声だ。それを聞いた亮牙が部屋の中央を睨みつけ、ハジメもギョッとしつつもそちらを凝視した。すると、先程の「生えている何か」がユラユラと動き出し、差し込んだ光がその正体を暴いた。

 

「女の子…なの?」

 

 そうハジメが口にした通り、「生えている何か」の正体は女の子だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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