グリムロックは宇宙最強   作:オルペウス

26 / 105
はい、後編です。またもや原作崩壊です。

玩具シリーズなどを参考に設定しましたが、かなり無茶苦茶な設定になっているかもしれません(汗)

ご了承して頂けると幸いです。


最奥の真実・後編

『先程も述べたが、オスカー達は次の世代に希望を託す道を選び、大迷宮を創った。エヒトの暴虐な支配に抗う者がいつか現れることを信じてな。我々も彼らの意思を尊重するつもりであった…』

『しかしエヒトはこのトータスの創造神として多くの人々からの信仰を得ており、奴を狂信する教会の権威も相当なものであった。故に我々はただ未来を楽観視することは出来なかった。立ち上がってくれる者が現れるその日が来るまで、どれだけの生命がエヒトに弄ばれるか分からなかったからだ…』

『だからこそ、我々はもう一つの策を選んだ。エヒトを討つための援軍として、我々の種族を呼ぶという策をな』

 

 そう言ってプライム達は、グリムロックと仲間のダイナボットの映像を映し出した。

 その映像にはグリムロックだけでなく、肉食恐竜のような顔つきのトリケラトプス、背中に帆の代わりにヤマアラシのような刺を生やしたスピノサウルス、そして双頭の翼竜が映し出されており、ハジメとユエは目を奪われていた。

 しかし亮牙はまだ納得できず、プライム達を問いただした。

 

「成る程、あの時のスペースブリッジはアンタ達の仕業だったのか…。だがまだ納得がいかん。メガトロナスに対抗するなら、奴に引導を渡したオプティマス・プライムを召集した方が手っ取り早いだろうに、何故俺を選んだ?それに、何故俺は人間になった挙句、ハジメの時空に飛ばされたんだ?」

 

 確かにそうだと、ハジメやユエも不思議そうな顔でプライム達を見つめた。それに対し、彼らはすまなそうな表情で答えた。

 

『…確かにオプティマスを召集した方が良かったかもしれない。だが、君も知っての通り、元の時空においてトランスフォーマーという種族は絶滅の危機に瀕していた。多くの地球人から迫害され、サイバトロン星も荒廃している中、良き指導者であるオプティマスが不在となれば、更なる混乱を招き、たちまち絶滅してしまうだろう…』

『それに彼が勝利できたのは、メガトロナスが我々との戦いで負った傷が完全に癒えておらず、全盛期ほどの力を振るえなかったことも大きい。そんな奴を相手にオプティマス以外で戦える戦士は、かつて奴と戦い追い詰めた君達ダイナボットをおいて他にいない』

『エヒトもそうだ。奴はありとあらゆる悪事を思いつく鬼才ではあるものの、その複雑過ぎる知性が最大の短所であり弱点となり得る。奴に対抗するには、古の時代より生き抜き、知性など関係なく圧倒的な力を持つ君達の存在が必要不可欠だと考えたのだ』

「おい、それって遠回しに俺達のこと馬鹿だって言ってないか?」

「まあまあ亮牙。それだけ頼りにされてるってことじゃん」

 

 何か自分が馬鹿だと言われた気がしたのかイラッとする亮牙を、ハジメが苦笑しつつも宥めながら尋ねた。

 

「えっと、亮牙達を選んだ理由は分かりましたけど、どうして彼を人間の姿にして、それも僕の住む時空に送り込んだんですか?それに、君達って言ってましたけど、他のダイナボット達はどうしたんですか?」

「ッ、そうだ!彼奴らはどうしたんだ⁉︎スラッグ、スコーン、ストレイフの三人は⁉︎」

 

 ハジメのその質問にハッとなった亮牙は、三人の盟友の安否について尋ねた。あれから17年、彼ら三体の安否が気がかりであった。

 

『安心してくれ、彼ら三体は無事、このトータスへと来ている。しかし、少し厄介な事になっていてな…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『君達を人間へと変えた理由、それは君達を守るためだ』

 

 プライム達のその言葉に、三人は疑問に感じた。一体、人間になる事がどうしてダイナボット達を守る事に繋がるのだろうか?

 プライム達もそれを悟ったのか、その理由について語り始めた。

 

『確かに伝説の戦士である君達を、人間に変える事で守ると言われても意味が分からないだろう。だがこのトータスにおいて、我々金属生命体は異形の存在なのだ。我々が最初に解放者達と出逢った時も誤解されてしまったからね』

『そしてこれがエヒトにつけ込まれる機会を与えてしまった。金属の身体を持つ我々はトータス人達にとっては怪物も同然だ。一度歪と感じれば、そう簡単に受け入れられないのが人の性だ。故に皆エヒトが広めた「悪神」のレッテルを我々に貼り付け、解放者達にも多大な迷惑をかけてしまった…』

 

 そう語るプライム達の表情は、後悔と罪悪感で満たされていた。メガトロナスの一件やこの一件などから、解放者達の敗北は自分達にあると自責の念に駆られているのだろう。

 無論、この件は彼ら六体に何の非もない。悪いのはエヒトと、彼らを見た目で悪と決めつけた当時のトータス人達だ。亮牙は改めてこの世界の連中への怒りを募らせた。ハジメやユエも同様だ。

 

『君達は身体も大きく、オルトモードも恐竜であるが故に、間違いなくトータス人から魔物と同類扱いされていただろう…。だからこそ、君達までもが謂れのない迫害を受けぬよう、このトータスで活動するための生体装甲を造り上げた。我々の至高の力と、解放者の一人ヴァンドゥル・シュネーの力を以ってね』

『最強の七人の一人であったヴァンドゥルは、有機物に干渉する「変成魔法」の使い手でね。彼の助力もあり、君達四体のために初めて出逢った知的生命体に擬態出来る生体装甲を纏わせたのだ。この世界の人々に溶け込めるように』

「…つまり、亮牙が人族の姿になったのは、ハジメの世界には人族しかいなかったからで、もし私の種族と出逢ってたら吸血鬼族になってたの?」

『ああ、その通りだ』

 

 ユエの疑問に対し、プライム達は優しい口調で返答した。だが、次の言葉はまた罪悪感に満ちたものであった。

 

『後は君達四体をこのトータスに召喚するだけだった。我々プライムは、彼ら七人が生きているうちに君達を召集したかった。ただこの世界のためを思って戦い抜いた彼らが、大迷宮で一人寂しく死んでいくのは耐えられなかったからだ。しかし、その焦りが取り返しのつかない事態を招いてしまった…』

「どういう事だ?まさか…⁉︎」

『君の推測どおりだ。幽閉されたメガトロナスが我々への意趣返しとして、君達の転移に干渉してきたのだ。君達を自分のように次元の狭間へと幽閉してしまおうとね』

『我々もそれだけはさせまいと尽力し、何とか君達が次元の狭間に囚われるのだけは阻止出来た。しかしその争いの余波で、君はトランスフォーマーの存在しないハジメの世界へと転移してしまい、残る三体はトータスへと辿り着いたものの、それぞれ違う時代に転移してしまったのだ…』

「「そんな…‼︎」」

 

 話を聞いてハジメとユエは絶句した。亮牙がハジメの世界に来た理由は分かったが、彼の仲間達がそれぞれ異なる時代のトータスに飛ばされてしまった事にショックを受けた。

 亮牙も動揺を隠せなかったが、それでも先程の言葉を思い出し、プライム達を問いただした。

 

「俺がハジメの世界に飛ばされた理由は分かった。あいつらが、バラバラに飛ばされちまったことも…。でも、さっきアンタ達はあいつらは無事だと言ってたが、生きているんだろう?」

『ああ、安心してくれ、三体とも飛ばされた時代はバラバラだが、この時代でもまだ存命している。だが、一番古い時代に飛ばされた者でも、既に解放者達が亡くなって何百年も後の事だった…。これは結果を焦るあまり、無関係な君達を巻き込んだ我々への罰なのだろうな…』

 

 皆黙り込み。暫く沈黙が続いた。やがて、亮牙が口を開いた。

 

「事情は分かったよ。俺が何故人間になり、ハジメの世界に飛ばされたねかな…。確かに勝手に無関係な戦いに巻き込まれた事に思うところがないわけじゃない。だが、アンタ達は他者を救うために自身の命を犠牲に出来るほどの傑物だ。その解放者達を、黙って見殺しには出来なかったんだろ。それに、俺も人間になった時は最初のうちは混乱したが、お陰で良い家族や、ハジメという親友と出会えたんだ。そうした事には感謝してるし、アンタ達を恨む気にはなれねえよ」

『もったいない言葉だ…。かたじけない…』

 

 そう言って彼は優しく微笑んだ。確かに望んだ転移ではなかったものの、そのおかげで啓治、亮子、菫、愁、そしてハジメに出逢えたのも事実だからだ。隣にいるハジメは照れ臭そうにし、ユエはそんな二人を微笑ましげに見つめていた。

 そんな盟友の姿に、自己嫌悪に陥っていたプライム達の心は幾分か救われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ひと段落すると、ユエがプライム達に問いかけた。

 

「この世界の真実、そして亮牙の身に起きた事は分かった…。最後に聞かせて。何故貴方達は、私のかつての名前を知っていたの…?」

 

 それは、彼女には無視できない事だった。信じていた身内に裏切られたという辛い過去との決別のために捨てた、ハジメや亮牙にも教えてなかった本名、それを何故この六人が知っていたのだろうか?少なくとも、自分が封印されるまで、彼らトランスフォーマーとは会ったこともなかったし、そのような種族がいた事すら知らなかった。

 亮牙やハジメも同じ気持ちなのか、疑問に満ちた顔でプライム達を見つめた。プライム達は深刻そうな顔つきで答えた。

 

『そうだな。君達三人にも大きく関わる話だ。全ての元凶はエヒトにある。グリムロックにハジメ、何故奴が君達をこのトータスへと攫ったと思う?』

「…貴方方の話を聞いて、エヒトが相当な腐れ外道である事は理解しました。推測するに、トータスでの人々では遊び飽きたから、他人様の玩具で遊びたくなって、僕らを攫ったというところですか?」

「俺も同意見だな。まあ流石にメガトロナスが苦労してこの世界に来ないようにした俺まで召喚したのは、流石に計算外だった気もするがな…」

 

『それもある…。だが奴が君達を攫った最大の理由は、地上に降臨するための「憑代」を探すためだ』

「「「憑代?」」」

 

『ああ、そうだ。改めて教えるが、エヒトは元から神だったわけではない。奴の本名は「エヒトルジュエ」といい、このトータスとは別の世界に住まう知的生命体の一人だった。その中でも奴とその同士達は、世界の真理に至った「到達者」へと上り詰め、神にも等しい力を手にした。しかしその強大な力により自らの故郷を滅ぼしてしまい、このトータスへと転移した。そして創造主を自称すると、様々な種族を創造しては、退屈凌ぎの玩具として弄び続けた…』

『しかし元々が有機生命体故に、エネルゴンの摂取不足さえ無ければほぼ身体の朽ちない金属生命体と違い、我々や解放者達と戦った時には既に奴の肉体は失われていた。今の奴は、魂や残留思念がエネルギーの塊のようになった、エネルギー生命体とでも形容すべき存在となっている』

『そのため奴は自分達以外が踏み入れないよう「神域」を作り、更には自らの手足として「使徒」達を創造して操り、其処からトータスを支配している。だが、それ故に奴自身も神域からは出られず、完全に地上に干渉する事が出来ないのだ』

「…何か、思いっきり重要な秘密ネタバレしましたね。これが物語だったら、絶対終盤にエヒト本人の口から暴露されるまで分からない気がする…」

「「同感」」

 

 ハジメが呆れながら感想を述べ、亮牙やユエも同意した。もしエヒトがこの場にいたら涙目になって悔しがっただろう。

 プライム達もそれが分かるのか、苦笑しつつも話を続けた。

 

『話を戻そう。エヒトは様々な種族を創造したが、ただ玩具とするためだけではない。自らが憑依して完全にトータスに顕現し、更には宇宙全土を支配するという野望のために、憑代にふさわしい究極の生命体を創造しようとした。例として亜人族は肉体に特化、魔人族は魔法に特化と、品種改良して生まれた種族だ』

「…フン、胸糞悪い話だ」

 

 聞いていた亮牙は不快感を露わにした。6600万年前、恐竜を滅ぼし自分をトランスフォーマーへと変えたあの自称創造主を思い出したからだ。

 

『そうしてエヒトは試行錯誤を重ね続け、今から約300年前、遂に奴の待ち望んだ究極生命体が吸血鬼族の中から誕生した。それこそがアレーティア、君だ』

「嘘…!」

 

 プライム達から明かされた衝撃の事実に、ユエは驚きを隠せなかった。自分達吸血鬼族を含めたトータスの全種族がそのような理由で創造されたのも衝撃的だったが、まさか自分がエヒトの待ち望んだ究極生命体だとは、思いもよらなかった。

 

『宿敵である解放者達は既に滅んでいたが、エヒトは君を必ず手に入れようと、自らが持つ全ての力を駆使した。己を称えるカルト教団の権威を以って外堀を埋めていき、遂には君の両親も手中に収めてね…。後は君に憑依すれば奴の完全勝利となる筈だった…』

「……」

 

 次々と明かされたあまりにも衝撃的な事実に、ユエは混乱して頭が追いつかなかった。ハジメや亮牙もそれが分かるのか心配そうに彼女を見つめ、やがてハジメが何かを悟ったのか、口を開いた。

 

「…しかし、エヒトはユエを手に入れられなかった。ちょうど300年前、ユエの叔父が謀反を起こし、彼女をこの迷宮内に封印した。幾ら何でも偶然にしては出来過ぎてる…。まさか⁉︎」

『そうだハジメ。彼女の叔父、ディンリード・ガルディア・ウェスペリティリオ・アヴァタールは、エヒトの企みに気づき、それを阻止するために彼女をこの迷宮内に封印したのだ。姪を守るために…』

「ッ、嘘を言わないで‼︎幾ら亮牙の古い友達だからって許さない‼︎私は伯父様を信じてたのに、あの人は私を裏切り、私は300年間ずっと封印されてきた‼︎今更そんな事言われても信じられない…‼︎」

「ユエ!落ち着いて!」

 

 ユエはいつものクールな雰囲気からは想像も出来ないほど取り乱した。今にも創世のマトリクスを壊さんとし、ハジメが必死に宥めようとした。

 無理もないだろう。信じていた相手に裏切られ、ハジメと亮牙に助けられるまで300年間、彼女は孤独という地獄を味わったのだ。そんな目に遭わせた相手が、まさか自分を守るためにそのような真似をしたなんて、信じられる筈がなかった。

 やがてユエは蹲り泣き出した。ハジメは片膝をついて彼女に寄り添い、必死に慰めようとした。

 亮牙は心配そうに二人を見つめたが、まだ話は終わっていないと、プライム達から続きを聞く事にした。

 

「すまんな、ユエの奴はたった一人で孤独という地獄に苦しんだんだ。信じろっていう方が無理だ…」 

『いや、無理もないだろう…。話を戻そうか。エヒトの企みに気づいたディンリードだったが、自分では勝てないと悟っていた。奴はトータス中に影響を与えていたからな。だからこそ、彼は彼女を守ることの出来る唯一の手段を選んだ…』

「かつてエヒトに立ち向かった解放者達の住処に封印する、か?」

『ああ、彼はエヒトを欺くため、権力欲に目が眩んでアレーティアに謀反を起こし抹殺したと見せかけ、この大迷宮に彼女を封印したのだ。奴が彼女を見つけられないよう、150階層に隠蔽空間を作り上げて、彼女の気配を決して掴ませない封印を施してね』

「…そいつがユエに何も伝えなかったのは、エヒトから守るために念を入れてか?」

『ああ、エヒトはカルトだけではなく、使徒達を人々に紛れ込ませて洗脳していく。安易に事実を明かして、彼女が危機に晒されるのを防ぎたかったのだろう。それに彼は、自分への憎悪を彼女に抱かせる事で生きる活力とさせ、更に他人への警戒心を強めさせたかったのだろう。エヒトの配下たちの甘言に惑わされないように…』

「そうか…」

 

 そう言って亮牙は黙り込んだ。ユエの気持ちも分かるが、彼にはこの盟友達がそのような嘘をつく輩ではない事が分かっていた。それに、あの番人達の存在、エヒトの本性なども知った今、そう考えれば辻褄が合う。

 だとしたら、そのディンリードには感服する。普通そのような事、実父ですら中々出来ないだろう。かつて我が子を守れなかった亮牙にとっては、彼が眩しく感じられた。

 ハジメの方を見ると、彼もディンリードの覚悟に感服しているようだ。その胸に抱かれて今も涙を流すユエは、流石にまだ信じられないのか、顔を伏せていた。

 やがて、ハジメが恐る恐る尋ねた。

 

「…それで、ディンリードさんは、ユエの叔父さんはどうなったんですか?吸血鬼族は同じ時期に絶滅したと聞きましたが…」

『…ああ、ディンリードの作戦は成功し、エヒトはアレーティアが殺されたと思い込んだ。奴にとっては到底許せるものではなく、怒りのままに彼女達の国だけではなく、吸血鬼族そのものを滅ぼした…』

『ディンリード自身は死よりも辛い罰を受けた。彼はエヒトの腹心で、魔人族の神として君臨するアルヴヘイトの憑代にされてしまった…。今では彼自身の精神は消滅し、死んだも同然となった…』

「そんな、惨過ぎる…。」

「上司が上司なら、部下も部下だな。とんでもねえ腐れ外道共だ…」

「……」

 

 ディンリードのあまりにも悲惨な末路に、ハジメは怒りを露わにし、亮牙も顔を顰めた。ユエも思うところがあるのか、伏せていた顔を上げた。

 

「ユエについては分かった。じゃあエヒトが俺達を攫ったもう一つの理由ってのは、ユエに変わる憑代欲しさって事なんだな。ならなんでハジメの時空だったんだ?俺達が元いた時空の方が、人間達もトランスフォーマーと戦ってきた奴が大勢いるから、戦争のイロハも知らねえガキ共より憑代にふさわしい奴がいるだろうに…」

『ああ、エヒトが我々の元いた時空を選ばなかったのは、保身のためだ。彼方の世界は確かに強い人間が大勢いるが、トランスフォーマーとも互角に戦える者が多い分、歯向かう者も大勢いるだろうと懸念したからだ。その点君が飛ばされた時空は厄介な相手が少なく、何より世間知らずな子ども達の方が唆すのに都合が良いと考えたのだろう。まあ、君まで召喚してしまった事で、奴の目論見も失敗したが…』

「ハッ、ビビって保身に走った結果、とんでもねえ貧乏くじを引くとは、所詮は似非神だな。神が聞いて呆れるぜ」

 

 色々と悲惨な事も聞いたが、取り敢えずエヒトの目論見が失敗している事に、少しスカッとした亮牙だった。

 

『以上が我々が知り得るこの世界の全てだ。本来なら君達は無関係であり、被害者でもある。このトータスのために殉じてくれとは言わない。ただ、我々には命をかけて守りたいものがあった。それだけは知って欲しかった…』

『だが、エヒトは必ず君達の前に立ち塞がる事になる。本質的に奴は臆病であるから、自分に害となすものは徹底して排除にかかる。それにアレーティアの生存が分かれば、何としても彼女を手に入れようとする筈だ。戦いは避けられないだろう…』

『この際、エヒトと戦うか否かは関係ない。元の世界に帰るならば、そしてアレーティアを守りたいと思うのなら、七大迷宮全てを攻略し、七つの神代魔法を手に入れるのだ。そうする事で、「概念魔法」を手にする事が出来る。かつて解放者達はこの魔法で神域を突き止め、攻め入る事ができた。地球への帰還も可能となる』

『神代魔法の中でも、ラウス・バーンが遺した「魂魄魔法」は必ず手に入れた方が良い。この魔法は、魂を含めた生物が持つ非物質に干渉する事が出来る。オスカーが遺した、無機物に干渉する「生成魔法」と、創世のマトリクスの力を用いれば、エヒトの憑依を防ぐ事が出来る装置を造る事が出来る。現状、アレーティアをエヒトから守る手段はそれしかない…』

『どのような選択を下すかは君達三人の自由だ。だが、これだけは覚えておいてくれ。「運命」とは、時を選ばず訪れるものだ。どうか後悔のない選択を下してくれ…。我々から話すことは以上だ』

 

 そう言い終わると、プライム達の姿は創世のマトリクスの中へと消えてゆき、同時にオスカーの姿が現れて穏やかに微笑んだ。

 

「君が何者で何の目的でここに辿り着いたのかは分からない。君に神殺しを強要するつもりもない。ただ、知っておいて欲しかった。我々十三人が何のために立ち上がったのか…。君に私の力を授ける。どのように使うも君の自由だ。だが、願わくば悪しき心を満たすためには振るわないで欲しい。話は以上だ、聞いてくれてありがとう。君のこれからが自由な意志の下にあらんことを」

 

 そう締めくくるとオスカーの姿も消え、三人の脳裏に何かが侵入してきた。痛みはないが気持ち悪い感じがし、ハジメやユエは片膝をつき、亮牙も軽く体を震わせた。

 

「どうやらこれが生成魔法か…。簡単に言えば、ハジメやアルケミストみたいな技術者向けの魔法だな。俺には難しそうだ」

「成る程、確かに僕向けかも…。ユエはどう?」

「ん、私も亮牙と同じで、無理そう…」

「そうか…。それで亮牙、これからどうする?」

 

 そうハジメが問いかけた。亮牙は少し沈黙すると、口を開いた。

 

「取り敢えず、今は休もう。ユエも色々あって辛いだろうからな…。雰囲気からしてすぐに地上へ追い出されるわけでもなさそうだ。明日、ひと段落したら、今後について話し合おう」

「そうだね。流石に今すぐ決めるなんて、ユエも大変だろうし…」

「二人とも、ごめんなさい…」

「気にしなくていいよ、ユエ。…取り敢えず、オスカーの遺体はどうしようか?」

「墓でも作って弔ってやろう。こいつは裏切られてなお世界を恨まず、可能な限り世界を救おうとしたんだ。英雄として、敬意を払うに値する。二人もそれで構わないか?」

「「うん、それでいいよ」」

 

 そう決めた三人は、オスカーの遺体を畑の片隅に埋葬し、墓石や鉱石で作った花などを供え、出来る限り丁重に弔った。

 そして浴場でそれぞれ今までの汚れを落とすと、ハジメとユエをオスカーの寝室で休ませ、亮牙はリビングのソファに横になり、久々に満足な睡眠を取った。

 

 

 

 

 

 

 




元ネタ集
〜生体装甲〜
元ネタはプリテンダーとプライムアーマー。
IDWコミックにおいてプリテンダーは、ディセプティコンの科学者サンダーウイングが荒廃するサイバトロン星で生存するために、有機生命体の組織を用いた生体装甲としてを開発した。
また『パワーオブザプライム』シリーズでは、最初の13人の力を持つプライムマスターはデコイアーマーと呼ばれる外皮を持っているが、このアーマーのモデルはG1のプリテンダーのアウターシェルとなっている。

〜今のエヒトの状態〜
元ネタは『2010』の「原始の呼び声」に登場した創造主プリマクロンと、彼が創造したエネルギー生命体トルネドロン。全宇宙を滅ぼそうと目論んだが、グリムロックの活躍により阻止された。





今回はまさかのネタバレづくしで皆疲弊しているため、次回、亮牙達はこれからの方針を決めます
感想、評価お待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。