帝国編ですが、原作と同じになるので省きます。
翌朝、ハジメとユエは目を覚ました。二人は亮牙の勧めでオスカーの寝室で久々に満足な休息を取る事が出来た。もし正史なら積極的なユエが迫りハジメは童貞卒業する事になるのだが、当の彼女は昨日明かされた自身の過去の真実に驚愕するあまりそんな気分にはなれなかった。
ハジメもそれが分かるため、昨晩はユエの手を握り、出来るだけ彼女が落ち着きを取り戻せるよう努めた。
「おはようユエ、調子はどう?」
「…ん、おはよう。少しは落ち着いた…。ハジメ、ありがとう」
「良かった…。じゃあ亮牙も起きてるだろうから、リビングに行こうか」
そう言うと二人は寝室を出てリビングへと向かった。すると、何か食欲をそそる良い匂いがしてきた。気になった二人がリビングに着くと、既に起きていた亮牙が朝食を用意していた。
「おう、二人ともお早う。ゆっくり休めたか?」
「お早う亮牙、まあ何とかね。…にしてもその料理どうしたの?」
「昨日ここに辿り着いて一通り調べたろ。台所はあったし、農作物や家畜こそもうなかったが、近くの川に魚はたくさんいたから朝起きて直ぐに捕まえてきた。後は近くの森で食えそうなハーブやベリー、野生の芋とかも見つけてきたから、それで簡単な朝食作っといたよ」
「相変わらずサバイバル技術高いね…。でも助かったよ、ありがとう」
「亮牙、意外と女子力高い…。…私も負けられない」
ハジメは親友のサバイバル技術に改めて感心し、ユエはこの男友達の女子力の高さに僅かながら対抗心を抱いていた。そして三人は久々にまともな朝食にありついた。
料理はハーブをまぶした川魚の塩焼きに、ポテトサラダのようにペースト状にした野生の芋、そして水洗いされた摘みたてのベリー類だった。流石に調味料や食用油などなく、亮牙が近くで採取した岩塩を軽くまぶした程度だったので、彼本人としては満足いく料理ではなかった。それでも暫く魔物の焼肉しか口にしていなかったハジメとユエにとっては、高級レストラン並みのご馳走に感じられ、美味しそうに完食した。
三人が朝食を食べ終わり一息つくと、亮牙が真剣な顔つきで口を開いた。
「二人とも落ち着いたな。じゃあ、今後の方針について話し合うか…」
そう言われ、ハジメとユエも顔を引き締めた。昨日は怒涛の展開で心身共に疲れて話せなかったが、いつまでも休んでるわけにもいかないからだ。
「単刀直入に言う。俺自身は外に出て、他の迷宮に向かうつもりだ」
亮牙のその言葉に、二人は目を見開いた。
「誤解するなよ、別にトータス人どもを助ける気は一切ない。連中はエヒトに踊らされるがままに解放者やプライム達を迫害し、攫われた俺たちに自分達の問題を罪悪感もなく押し付けるような屑どもだからな…。だがな、俺は好き放題やって多くの生命を弄んできたくせに、いざそれを非難されたら被害者面するエヒトのクソッタレ風情が、この俺を駒扱いしようとした事が気に食わねぇ!それにメガトロナスもこのまま黙って異次元に幽閉されてるとは思えん…。奴等も、奴等を狂信する馬鹿共も、この手でぶち殺さねぇと俺の気がすまねえ‼︎」
そう声を荒げる亮牙の瞳には。強い決意と激しい怒りが宿っていた。ユエとハジメは息を飲むが、彼は直ぐに落ち着きを取り戻し、いつものように穏やかな口調に戻った。
「それに、他のダイナボット三体もこの世界にいるらしい。彼奴らと再び会いたいって気持ちもある。……それで、二人はどうする?」
「「え?」」
亮牙にそう問われて、一瞬戸惑う。てっきり自分達も同行するかと思っていたからだ。
亮牙もそれを察したのか、優しく諭すように答えた。
「これは俺個人がやりたいことだ。あの迷惑カルテットが俺たち全員を参戦に巻き込んだみたく、お前らに無理強いするつもりはないよ…。それに戦いとなれば、エヒトはかつてのように己を狂信する人間どもを差し向けて来る筈だ。俺は何千万年と戦い慣れてるから、今更トータス人どもを殺す事に戸惑ったりしない。だがハジメは本来暴力の嫌いな優しい奴だ。俺についていけば、嫌でも暴力の世界に身を投じなけりゃならない。それにユエも、かつて死んだと思ってた憑代が生きていると知れば、エヒトが黙っているとは思えないしな…」
「「……」」
「だから、俺に気を使って無理に付き合わなくて良い。幸いここなら当分の間暮らす事ができるんだ。お前達は俺の大切な友人だから、お前達の意志を尊重する。どんな決断を下しても構わない」
そう言い終わると、亮牙は口を閉じた。
ハジメとユエは、これが亮牙の優しさである事に気づいた。ここから先、彼は想像を絶するほど苛烈な戦いに身を投じるが故に、自分達を巻き込まないようそう言っているのだ。
二人は暫く黙っていたが、やがて決心した顔つきで答えた。
「亮牙。その旅、僕も付き合うよ」
「ん、私もついて行く」
「…本当にいいのか?命懸けの辛い旅になるかもしれんし、俺が常に守ってやれる訳じゃない。それでも来る気か?」
「うん、覚悟はしてる。僕だってトータス人達の救済より、早く生きて地球に帰還したい…。だけど、エヒトがこのまま僕らを放っておくとは思えないし、何よりユエが一番狙われているのなら、手を出される前に倒したい!それに、この中で唯一生成魔法を使いこなせる僕がついて行った方が亮牙も助かるでしょ?遠慮せずに頼ってよ」
「…そうか、ユエはどうしてだ?」
「亮牙、悪いけど私は昨日聞いた事は、今でも信じる事は出来ない…。でも、貴方が深い信頼を寄せる彼らが、嘘をついているとも思えない。だから、私自身の目で真実を確かめたい!それに、まだ私は貴方やハジメに助けられた恩を返し切れてない。私は全魔法に適性があるから、神代魔法を集めるのに力になれる。だから、協力させて」
「……」
亮牙は黙り込んだ。あの時の迷惑カルテットみたいに、自分の我儘で親友達を血みどろの戦いに巻き込みたくはなかった。下手をすれば、誰かが命を落とすことになるかもしれないからだ。
しかし二人の瞳には、あの時流されるまま参戦を決意したクラスメイト共とは違い、強い決意が籠もっているのが感じられた。この先どんな困難が待ち受けていようと、逃げずに立ち向かう覚悟のようだ。
どうやら余計なお節介だったかなと思いつつ、亮牙は改めて口を開いた。
「分かった。二人がそこまで言った以上、俺も腹を括る。お前達の命は俺が預かる!俺の命も、お前達に預けるぞ!」
「了解!」
「ん、任せて!」
「ああ、だが今すぐ出発はしない。モンストラクターみたいなトランスフォーマーと戦うことになる可能性もある以上、俺がお前達を鍛え上げる。それにオスカーは優秀な技術者だったみたいだから、彼の遺産を基に装備とかも充実させた方がいいだろう。二人ともそれでいいか?」
「ん、私は大丈夫」
「僕もOKだよ。あれだけの技術力、必ず僕も習得してしてみせるよ!」
こうして三人の目的は定まった。そして彼らはここを拠点に、2ヶ月かけて装備の充実と鍛錬に集中した。
それから2ヶ月後、三人は出発の準備を整えていた。
亮牙は対トランスフォーマー戦に備え、グリムロックとしての姿に戻りハジメやユエに訓練を行いつつ、自身も17年間変形していなかったブランクを埋めるべく鍛錬を重ねた。
幸い、ハジメは迷宮でのサバイバル生活で身体能力が極端に向上し、ユエも元々吸血鬼族でも屈指の実力者だった事から、亮牙も訓練に苦労する事もなく、自身も万全の状態に戻す事ができた。
ちなみに、これが現在の亮牙のステータスである。
灘亮牙/グリムロック 66000047歳 男 レベル:測定不能
天職:ダイナボット指揮官
筋力:測定不能
体力:測定不能
耐性:測定不能
敏捷:測定不能
魔力:測定不能
魔耐:測定不能
技能:言語理解[+獣語理解]・騎士化[+
元からぶっ飛んだステータスだったが、完全に力を取り戻したことで、最早光輝達など敵わないものと化していた。これにはハジメやユエも改めて口をあんぐりとさせて驚いていた。
最初に確認した時、唯一文字化けしていた技能はやはり変形だったらしい。騎士化は人間からトランスフォーマーに戻れる技能だが、ハジメ達との訓練で新たに加わった[+
一方、ハジメはオスカーの技術を習得するため、彼が生前使用していた書斎や工房、さらに貯蔵庫を徹底的に捜索した。
案の定、それらの部屋にはオスカーの発明品やその設計図が多数あり、ハジメは狂喜乱舞し、それらを基に様々な装備を作り上げた。
しかし、彼が一番驚愕したのは貯蔵庫の内部だった。この部屋の入り口はまるで創世のマトリクスが鍵となるかのような鍵穴があり、亮牙に頼んでマトリクスを鍵穴に挿入すると、最後の門のようにサイバトロン式で扉が開いた。
その中にはなんと、六体のトランスフォーマーの遺体や、それらを解析図、更にはオスカーが書いたと思われるモンストラクターをはじめとするトランスフォーマーの設計図などがあった。見たことある姿にハジメは驚愕しながらも亮牙に聞いてみると、遺体はやはり初代プライムの六体らしい。彼らの言った通り、その身体を譲り受けたオスカーはこれらを解析・研究し、あのモンストラクターを作り出したらしい。
亮牙の自分語りで、彼の時空の地球ではとあるIT企業がトランスフォーマーの亡骸を解析し人造トランスフォーマーを製作したと聞いた事がある。だが、ここトータスは今でも技術力で現代の地球よりかなり遅れている。解放者達の時代は千年近くも昔で、地球の技術力も同じレベルだった筈だ。だというのに、ここまで精巧な人造トランスフォーマーを作り上げたオスカーの才能には感服するしかない。
これを見たハジメは、生成魔法を手に入れた今なら、自分もオスカーのような人造トランスフォーマーを製作できるのではと悟り、亮牙の助力も得て徹底的に研究・調査に励み、自作の人造トランスフォーマーの製作に取り掛かった。そして試行錯誤の末、試作機一号となる「アイアンフィスト」の完成にまでこぎつけた。
アイアンフィストはバンブルビー程の身長で、正確にはハジメが内部に入って操作するパワードスーツに近いものとなっており、ビークルモードはハマーを意識した四輪駆動車とした。車輪には弾力性抜群のタールザメの革を用い、各パーツはタウル鉱石、工房に保管されていたトータス最高硬度を誇るアザンチウム鉱石、そしてモンストラクターの遺体から回収した生体金属「サイバーマター」を融合させた合金で構成されている。更に車底に仕掛けがしてあり、魔力を注ぐと錬成魔法が発動し地面を整地することで、ほとんどの悪路を走破することもできる。
変形に関してはプライム達の遺体にあった変形を司る器官「トランスフォームコグ」を解析して自作した。更に全身には、工房の宝物庫にあったオスカー作の義手を解析して参考とした擬似的な神経機構が備わっており、魔力を通すことで触った感触もきちんと脳に伝わる様にした。更にロボットモードには、亮牙が習得した部分武装化を参考に、様々な仕掛けが施されている。
動力源としてハジメの魔力や神結晶の欠片に蓄えられた魔力の直接操作に加え、貯蔵庫で見つけたある物質を加えた。それは貯蔵庫にあった、淡い紫色の大量のキューブだった。気になって亮牙に見てもらうと、彼は驚愕していた。なんと、このキューブはトランスフォーマーのエネルギー源「エネルゴン」とそっくりなのだそうだ。本来は太陽みたいな恒星を破壊することでしか得られない物質のため、これには亮牙も驚愕していた。
貯蔵庫にあった書物を調べてみると、このキューブはオスカーが生前、プライム達の知識や彼らに流れるエネルゴンを参考に作り上げた人工エネルゴン「オーア」というらしい。オスカーはこのオーアも大量に生成する事で、生前のプライム達の食料にした他、自作のトランスフォーマーの動力源としていたらしい。亮牙が試しに液状化したものを飲んでみると、味や成分ともに本物のエネルゴンと同質らしい。これを聞いたハジメは、アイアンフィストの動力源だけでなく様々な装備の燃料になると大いに歓喜した。
それだけに留まらず、ハジメは様々な装備を発明・製作していった。例としてドンナーと対をなすリボルバー式電磁加速銃シュラークがあったが、何よりも右目に片眼鏡のように装着したスコープ「パーセプター」が特徴的だ。
モンストラクターとの戦いで顔の右半面に深傷を負い、辛うじて失明は免れたものの、ハジメの右目の視力は格段に下がってしまった。このままでは戦いにも何れ不利になるかもしれないと、ユエの提案で義眼に近いものを製作することになった。そこでハジメは生成魔法を使い、神結晶でレンズを作製すると、魔力感知・先読を付与することで通常とは異なる特殊な視界を得ることができるようにした。これにより、右目の視力が向上しただけでなく、魔力の流れや強弱、属性を色で認識できるようになった上、ユエでも知らなかった魔法の発動を維持・操作するための核が見えるようにもなった。
こうした数々の発明品や、オスカーが製作した数々のアーティファクトなどを集められるだけ回収し、オスカーの持つアーティファクト「宝物庫」にしまい込んだ。この宝物庫は二つあり、一つは指輪型のものでオスカーの遺体が身につけていたが、なんか役に立つかもと考えたハジメが埋葬前に密かに回収していた。もう一つは何故かショルダーポーチとなっていたが、オスカー謹製のアザンチウムの金属糸で編まれており、見た目に反して頑丈な作りとなっており、これを気に入った亮牙が持ち運ぶ事になった。
しかし装備の充実に反して、神水だけは神結晶が蓄えた魔力を枯渇させたため、試験管型保管容器十五本分のみとなってしまった。ハジメやユエが神結晶に再び魔力を込めてみたのだが、神水は抽出できなかった。やはり長い年月をかけて濃縮でもしないといけないのかもしれない。
そう二人の推測を聞いた亮牙は、試しに長い年月生きてきた自分の魔力を注いでみた。すると、さっきまでのが嘘のように神水が吹き出してきた。あまりにも無茶苦茶な光景に、慣れてきた筈のハジメやユエもエ○ル顔になって驚愕していた。結局、ハジメが用意した容器には入りきらない量の神水が流れたため、宝物庫にそれぞれ分けて収納していった。
またオスカーの宝物庫には、ハジメが手に入れた物より一回り小さいが、神結晶もあった。異空間に放り込まれていたからか魔力はたまっていなかったが、手記を見るにオスカーは神結晶を手作りしたらしい。これを知ったユエは壊れたように笑みを浮かべ、戻すのに少し苦労した。
捨てるのも勿体ないと考えたハジメは、神結晶の膨大な魔力を内包するという特性を利用し、一部を錬成で様々なアクセサリーに加工してユエに贈った。彼女は強力な魔法を行使できるが、最上級魔法等は魔力消費が激しく、一発で魔力枯渇に追い込まれる。だが電池のように外部に魔力をストックしておけば、最上級魔法でも連発出来るし、魔力枯渇で動けなくなるということもなくなるだろう。
そう思って、ユエに魔晶石シリーズと名付けたアクセサリー一式を贈ったのだが、彼女はプロポーズと感じたらしく、そのぶっ飛んだ第一声にハジメは久々にツッコみを入れた。
しかしハジメも満更ではなかった。実はこの二人、神大魔法を探す旅に同行すると決意した後、結婚を前提に交際する事になったのだ。ユエにとってハジメは自分を封印から解放してくれただけでなく、真実を知って苦しむ自分に寄り添ってくれた事で、完全に虜となった。ハジメ自身、同世代(?)の女性として初めて自分を認めてくれた上、ここに辿り着くまでに支えてくれたユエに心を許すようになっていたのだ。
亮牙は親友に春が来た事を喜び、ユエならハジメをお互いに支え合えると、心の底から祝福してくれた。
ただ困ったことに、ハジメとユエは恋人同士となってから、発情期の野獣みたく所構わず交わるようになった。最初はユエの方から迫っていたが、近頃ではハジメの方から彼女を抱く事の方が多くなった。
ハジメにも知る由はなかったが、これは亮牙の本来の姿、モンストラクターという強敵、これからの旅に待ち受けるだろう敵の存在に、密かに保存本能を刺激されていたのだ。ユエと恋仲になってからは、彼女を奪われたくないという想いも重なり、DNAに刻まれた「遺伝子の保存」という生物として当然の本能が、どちらかと言えば草食系男子だった彼が生殖行為に及ぶ結果となった。
ユエ自身はハジメの方から自分を求めてくれる事が嬉しくて、拒むどころか積極的に彼に抱かれた。亮牙は別に生物の本能だからと気にもせず欲情もしなかったが、流石に頻度が頻度なので、
「少しは控えろよ。地球に帰って、愁さんと菫さんに嫁だけでなく孫の顔まで拝ませるつもりか」
とツッコみを入れたら、流石にハジメも自重するようにはなった。逆にユエは本気か冗談なのか、1ダースぐらいハジメの子どもを産んであげると豪語していた。
ちなみにハジメとユエが交わる度、地上では香織が原因不明の怒りと苛立ちに苛まれ、雫を怯えさせていたのは、また別の話である。
そして三人は、アザンチウムの金属糸と魔物の素材を合わせ、防具としても通用する特性の服を着込み、出発の準備をした。
ハジメは赤いコートと黒いズボン、コートの下には黒いシャツにカッターシャツ、首元に黒のスカーフをネクタイのように巻いている。左袖は肩口あたりに吸着性のある魔物の皮が使われており、着脱可能になっている。何故黒づくめじゃないかというと、ハジメ自身なんか厨二っぽく感じたのと、某スタイリッシュアクションゲームの主人公みたいに赤のコートを着てみたかったのが理由である。
ユエは前面にフリルのあしらわれた純白のドレスシャツにフリル付きの黒色ミニスカートの上から、純白に青のラインが入ったロングコートを羽織っている。足元はショートブーツにニーソだ。
亮牙は一転、地球でもよく好んで着ていたような、現代風の服装となっている*1。本人曰く着慣れていた服の方が動きやすいらしく、彼とハジメからデザインを聞いたユエが頑張って製作してくれたのだ。肩にはあのショルダーポーチの宝物庫をかけている。
三階にある魔法陣を起動させながら、ハジメは亮牙とユエに話しかけた。
「亮牙、ユエ。僕らの力や武器は地上では異端だ。聖教教会や各国が黙っているとは思えないね」
「…ん」
「だろうな、あのゴミ屑どもなら充分有り得る」
「兵器類やアーティファクトを要求されたり、戦争参加を強制される可能性も極めて大きい筈だ」
「ん…」
「俺としてはあんな害虫どもなんぞ敵じゃない。むしろ、メガトロナスの方が厄介だ。俺たちの転移に干渉してきた以上、奴がこのまま黙っているとは思えねえし、俺たち以外のトランスフォーマーがトータスに来ている可能性もある…。確かに俺は強いが無敵じゃないし、奴の協力者であるエヒトの力も未知数だ。最悪の結末となる可能性も高い…。色々と不幸に見舞われ続けたお前達がようやく得た幸せも、理不尽に奪われるかもしれない。…それでも、本当についてくるか?俺に命を預けられるか?」
「くどいよ、亮牙」
「ん、ハジメの言う通り」
ハジメとユエは不適な笑みを浮かべながら、亮牙を見上げて頷いた。特にハジメは、地球にいた頃とは比べ物にならないくらい、逞しい顔つきとなっていた。
「どんな奴らが立ち塞がろうが、僕らは君と共に戦う!僕ら三人なら、何者にだって負けないさ!」
「…ありがとよ。それじゃあ、行くぞ!」
そして転移の魔法陣が光り輝き、亮牙達を包み込んでいった。
同じ頃、このトータスではハルツィナ樹海と呼ばれる場所。鬱蒼とした樹海は遥か彼方まで続き、中には数十mを超える樹木が密集している地点もある。
そこに彼はいた。外見はトータスでも屈指の強さを誇る魔物・ベヒモスに酷似しているが、体高は12m以上とベヒモスより更に大きい。頭部には三本の立派な角が生え、口には鋭い牙が並び、背中や尾にも鋭い棘を生やしている。彼と比べると、ベヒモスが子犬のように見えるだろう。
彼は元々別の世界に住んでいたが、偶然流れ着いたこの場所を気に入っていた。緑が生い茂り空気も澄んでいて、遥か昔の故郷を思い出し、中々住み心地がいい。この森にも人間らしい生物がいるが、故郷の連中とは違い特に何もしてこないので、放っておいて良さそうだ。
数ヶ月前、何か変な気配を感じたが、森には何の変化もなかったため、彼も直ぐにどうでもよくなり、忘れかけていた。
この気配の存在が、彼の運命にも大きく関わってくるとは、彼自身予想だにしなかった。
更に同時刻、トータスでは「ライセン大渓谷」と呼ばれる渓谷に一つの人影があった。
その人影は女性で、青みがかった白髪のロングヘアーに、並大抵のグラビアアイドルなど目じゃないぐらいのナイスバディであり、ビキニにも下着にも見える露出度の高い服装がそのスタイルの良さを強調していた。しかし、彼女の頭には兎の耳、お尻には兎の尻尾が生えており、まるでバニーガールのような風貌だ。
「うぅ、まだですかぁ~?早く来てくださいよぉ~」
彼女は、亮牙たちを待っていた。
用語解説
〜アイアンフィスト〜
本作でハジメが左腕を失わなかった代わりに、対トランスフォーマー用に製作した人造トランスフォーマー第一号。原作でのブリーゼにも相当し、魔力とオーアを動力源とするハイブリッド四輪駆動車に変形する。色は黒ではなく軍用ハマーのようなカーキ色。
ロボットモードはハジメが内部に乗り込んで操作するパワードスーツ仕様となっており、G1シリーズのゴッドマスターに近い。
両腕からは魔力を込める事で、ブラスターとハンマーが展開する仕組みとなっている。
モデルはアメコミ『ラスト・スタンド・オブ・レッカーズ 』に登場したオートボットの兵器スペシャリスト・アイアンフィスト。彼もまたハジメと同様、根っからのオタク気質かつ天才的な技術者である。
〜オーア〜
オスカーがプライム達の体内を循環するエネルゴンを解析し、自身の生成魔法を用いて生成したトータス産人工エネルゴン。通常のエネルゴンとは異なり、色は淡い紫色。
オスカーはプライム達のエネルギー源や、モンストラクターなど自作のトランスフォーマーの動力源に使用していた。亮牙達が入手した後は、宝物庫に回収され、亮牙の食料の他、ハジメ作の装備の燃料として使用する事になった。
名前はIDWコミックでショックウェーブが生成したエネルゴン「オーア」から。
〜パーセプター〜
本作でハジメが右目を失明しなかったため、魔眼石の代わりに作製した片眼鏡型のアーティファクト。
名前はG1のサイバトロン戦士で、絶叫要員として有名な科学者パーセプターから。IDWコミックでパーセプターは、右目にスコープを装着し、A級スナイパーへと転身しており、ハジメと絡ませてみました。
ハジメのコートを赤にしたのも、デビルメイクライのダンテの他、パーセプターへのオマージュでもある。
〜ハジメとユエの肉体関係〜
ハジメの方から積極的にユエを抱いたのは、『ケンガンアシュラ』で主人公・王馬に初めて出会った時の公式ヒロイン・山下一夫のオマージュ。
まあ色々重大な事実が判明しているため、生存本能や独占欲を刺激されてもおかしくない気がします(笑)
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