グリムロックは宇宙最強   作:オルペウス

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暇つぶしに書き始めた本作も、多くの方々の応援もあり、遂に第二章に突入出来ました。

そして、満を持して本作のヒロイン登場です。


ウサ耳の恋人と三本角の盟友
運命の出会い


 魔法陣の光が満ち、何も見えなくとも空気が変わるのを亮牙達は実感した。奈落の底の澱んだ空気とは明らかに異なる、どこか新鮮さを感じる空気にハジメは頬を緩ませた。

 やがて光が収まり目を開けた三人の視界に、岩に囲まれた洞窟が写った。

 

「…なんでやねん」

 

 ハジメは魔法陣の向こうは地上だと無条件に信じていたために、代わり映えしない光景に正直ガッカリし、思わず半眼になってツッコんだ。

 ユエはそんな恋人の服の片方の裾を引っ張り、亮牙は反対側の肩を叩いて励ました。

 

「元々隠れ家なんだ。戦略的に考えて、剥き出しにしてるわけねえよ」

「同感。秘密の通路、隠すのが普通」

 

 どうやら浮かれていたのは自分だけだったと悟ったハジメ。彼は気を取り直すように咳払いをすると、先走った自分を誤魔化すように宝物庫から緑鉱石を使ったライトを取り出し、そんな姿にユエと亮牙は口元を緩めた。

 

 「ん?あれは…」

 

 岸壁をライトで照らしていると、その一角に綺麗な縦線が刻まれていた。更にハジメの目線ぐらいのところに手のひら大の七角形が描かれており、頂点の一角にオスカー・オルクスの紋章が刻まれている。

 その壁に歩み寄ったハジメが宝物庫から攻略の証の指輪を取り出してかざしてみると、鈍い音と共に壁が左右に開いて通路が現れた。三人は一度顔を見合わせると一度頷き、通路に踏み出した。

 途中、幾つか封印が施された扉やトラップがあったが、ハジメが拝借したオスカーの指輪が反応し、尽く勝手に解除されていった。一応警戒していた亮牙達だったが、拍子抜けするほど何事もなく洞窟内を進んでいき、遂に光を見つけた。光の柔らかさから、人工物ではない自然の光だと分かる。ハジメと亮牙はこの数ヶ月、ユエに至っては三百年間、求めてやまなかった光だ。

 ハジメとユエはそれを見つけた瞬間、思わず立ち止まりお互いに顔を見合わせると、互いにニッと笑みを浮かべ、同時に求めた光に向かって駆け出した。はしゃぐ二人に苦笑しつつ、亮牙もその後をゆっくりと追っていった。

 近づくにつれ徐々に光は大きくなり、外から風も吹き込んできた。奈落のような澱んだ空気ではなく、ずっと清涼で新鮮な風だ。ハジメは空気が旨いという感覚を、この時ほど実感したことはなかった。そしてハジメとユエは同時に光に飛び込み、待望の地上へ出た。

 

 そこは地上の人間にとって、地獄にして処刑場だ。断崖の下はほとんど魔法が使えず、にもかかわらず多数の強力にして凶悪な魔物が生息する。深さの平均は1.2km、幅は900mから最大8km、西の「グリューエン大砂漠」から東の「ハルツィナ樹海」まで大陸を南北に分断する大地の傷跡、「ライセン大峡谷」である。

 亮牙達は、そのライセン大峡谷の谷底にある洞窟の入口にいた。地の底とはいえ頭上の太陽は燦々と暖かな光を降り注ぎ、大地の匂いが混じった風が彼らの鼻腔をくすぐった。

 たとえどんな場所だろうと、確かにそこは地上だった。呆然と頭上の太陽を仰ぎ見ていたハジメとユエの表情が次第に笑みを作る。無表情がデフォルトのユエでさえ誰が見てもわかるほど頬がほころんでいた。

 

「…戻って来たんだね…」

「…んっ」

「だな…」

 

 二人は、ようやく実感が湧いたのか、太陽から視線を逸らすとお互い見つめ合い、そして思いっきり抱きしめ合った。

 

「よっしゃぁああい‼︎遂に戻ってきたぞぉおー!」

「んっー‼︎」

 

 ハジメとユエは抱き合ったままくるくると廻り、しばらくの間、人々が地獄と呼ぶ場所には似つかわしくない笑い声が響き渡っていた。途中、地面の出っ張りに躓き転到するも、そんな失敗でさえ無性に可笑しく、二人してケラケラ、クスクスと笑い合った。

 亮牙は親友達を微笑ましげに見ながら、自分達のいる場所を今まで学んだ知識から推測していた。

 

「見たところ、本で読んだライセン大峡谷だな…。近くにあるのは確か…ヘナチョコ帝国…だったか?あとは大迷宮の一つがあるハルツィナ樹海があった筈…」

 

 突如、亮牙は自分達三人、正確にはユエを舐め回すような視線に気づき、空を睨みつけた。瞬間、その視線は亮牙のことも値踏みするかのように覗き込もうとしてきた。

 気色悪い感じに苛立った亮牙は低く唸った。恐らく、これが似非神エヒトなのだろう。暫くすると気配は消え、彼は鼻を鳴らした。

 

「…今は様子見ってところか。上等だ、必ずテメエを八つ裂きにしてやるから、精々怯えて待ってろ」

 

 そう呟くと亮牙はハジメとユエに向き直った。二人ともどうやらエヒトの視線に気づかなかったようだ。

 まあ、今は向こうも仕掛けてくる様子は無さそうだし、変に二人の不安を煽る必要もないだろう。そう考えて彼はハジメとユエに声をかけた。

 

「ほら二人共、そろそろ切り替えな。招かれざる客のお出ましだ」

 

 亮牙にそう言われ、ハジメとユエは起き上がり周りを見渡した。すると、無数の魔物が3人を取り囲んでいた。

 

「ったく、無粋だねぇ…。もう少し余韻に浸らせてくれたっていいじゃん…」

 

 ハジメは溜息をつきながらドンナーとシュラークを抜き、首を傾げる。彼もここがライセン大峡谷であると理解していた。

 

「そう言えばここって魔法は使えないんだっけ?ユエ、大丈夫?」

「…分解される。でも問題ない、力ずくで行ける」

 

 ここライセン大峡谷では、魔法に込められた魔力が分解・散らされてしまうために魔法が使えない。そのためユエは、瞬時には分解しきれないほどの大威力で魔法を放つ事で殲滅するつもりのようだ。

 しかしその効率は通常の十倍、幾ら彼女でも明らかに燃費が悪過ぎる。流石に魔法使いには厳しいと考えたハジメが自分が出ようとした時、亮牙が動いた。

 

「必要ねえよ二人共、此処は俺に任せな。取り敢えず耳塞いでろ」

「「え?」」

 

 ハジメとユエが疑問に思う中、亮牙は前に出て息を軽く吸うと、凄まじい雄叫びを上げた。

 

「グルォオオオオオオオオッ!!!」

 

 並の野獣など目じゃない、まるで映画に登場する怪獣のような咆哮が峡谷に響き渡り、流石のハジメとユエも思わず耳を塞いだ。

 一方、魔物たちは先程までの威勢が嘘のように、小犬のように震え上がっていた。亮牙が追い討ちを掛けるように片足をドスンと踏み鳴らすと、そのまま蜘蛛の子を散らすように逃げ去って行った。

 魔物が全て逃げ去ったのを確認すると、亮牙は鼻を鳴らして二人に向き直った。

 

「よし二人共、片付いたぞ」

「…びっくりした…」

「亮牙。別にそんなことせずに、僕らの事も頼ってよ…」

 

 ハジメは肩慣らしが出来なかったからか、少し不満げに亮牙に語りかけた。しかし、亮牙は嗜めるように答えた。

 

「相手は野生動物だ。危機管理能力はそこら辺の人間より遥かに上だから、少し威嚇すりゃ簡単に追っ払える。その分時間や物資だって節約出来るし、無闇に殺し回る必要もねえだろ」

「…確かにそうだね、ごめん。少し調子に乗ってたかも…」

 

 そう言われたハジメは小さく呻きながら頷いた。生きて親友と日本に帰るため、そして大切な恋人を守るために、いざと言う時は非情になる覚悟は決めた。だが、些細な積み重ねから何処かで道を踏み外す事になってしまうかもしれない。この先そんな余裕があるか分からないが、自分を見失わないよう心掛けた方が良いだろう。

 ふう、と小さく息を吐いて気を取り直したハジメは、峡谷の絶壁を見上げると、二人に話しかけた。

 

「ねえ、今の僕らならこの絶壁も登れるだろうけど、二人はどうする?ライセン大峡谷なら確か七大迷宮がある筈だから、せっかくだし樹海側に向けて探索でもしながら進まない?」

「…なぜ、樹海側?」

「いやいやユエ、峡谷抜けていきなり砂漠横断は流石に嫌でしょ?樹海側なら、町にも近そうだしさ」

「…確かに」

「俺はそれで良いぞ。寧ろ、そうさせてくれないか?」

 

 そう答えた亮牙は、頭を少し押さえながら樹海側を見つめていた。その姿を不思議に感じたハジメとユエは、少し心配そうに尋ねた。

 

「どうしたの亮牙?頭が痛むの?」

「いや、頭痛がするわけじゃないんだが、さっきから頭に声が響いてるんだよ…」

「ん、さっきの魔物達の声じゃなくて?」

「いや、さっきの連中の声は『スッゾコラー!』とか『ガンバルゾー!』とかで、最後は皆『アイエエエ‼︎サヨナラ‼︎』だったんだが…」

「…ねえ、この世界って本当はネオサイタマじゃない?若しくは全ての魔物はヨロシサン製薬が創ったとか…」

「…ネオサイタマ?ヨロシサンセイヤク?」

 

 改めて直訳された魔物達の言葉を聞いたハジメは、この世界は神の遊技場じゃなくてサイバーパンク・ニンジャ活劇の世界じゃないかと、本気で考えた。一方ユエは恋人の言ってる事が分からなくて、少々混乱していた。

 話が脱線したと感じた亮牙は、最初の話題に戻ることにした。

 

「…話を戻そう。聞こえてくるのは女の声で、『早く来て』とか『助けて』とかだ。魔物達の声みたいに無視しようにも、今も頭に響いてきてしょうがねえんだ…。大迷宮探すついでにその声の正体を突き止めたいんだが、二人とも構わないか?」

「僕は構わないよ。ユエは?」

「ん、私も異議なし」

「すまんな。じゃあ二人とも、俺に乗ってけ。グリムロック、変身!」

 

 そう言うと亮牙はグリムロックの姿に戻り、更にティラノサウルスへと変形する。

 その光景に見慣れた筈だが、ハジメはオタク魂を刺激されて興奮し、ユエもやはり驚きを隠せない。

 

「やっぱいつ見ても、亮牙の変形って迫力あってカッコいいな‼︎あ〜、僕も早くアイアンフィストを実戦で試したいなぁ〜」

「ん、確かに…。竜人族の変身みたいなのに、亮牙のそれは魔力を一切使っていないなんて…」

「俺グリムロック、少し照れ臭い…」

 

 そう言って照れ臭そうにしつつも、グリムロックはうつ伏せになり、額の上にハジメとユエを乗せた。

 正史ならここはハジメ作の魔力駆動二輪「シュタイフ」で移動するのだが、ただでさえ魔力効率が悪過ぎるライセン大峡谷では、魔力量次第なシュタイフをあまり長時間は使えないだろう。

 その点、グリムロックの変形などには魔力は関係ない。彼らの種族における普通の機能だからだ。

 

「よいしょと、OKだよ亮牙!」

「俺グリムロック、分かった」

「…亮牙、スカート覗かないでね」

「俺グリムロック、ユエは友達。だから全くムラムラしない」

「…なんか、少しムカつく」

 

 少々ユエの怒りを買いつつ、グリムロック達はハルツィナ樹海へ向けて出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここライセン大峡谷は、基本的に東西に真っ直ぐ伸びた断崖であり、脇道などはほとんどない。そのため道なりに進んでいけば、迷うことなくハルツィナ樹海に到着する事ができる。

 迷う心配が無いものの、グリムロック達は迷宮への入口らしき場所がないか注意しつつ、谷底を踏み締めて進んでいった。

 谷底は悪路のため、頭上のハジメとユエに気を使ってゆっくり進むグリムロックだったが、元々全長40mを超える巨体だと一歩ずつの歩幅が大きいため、二人ともスピードは気にしていなかった。更に道中の魔物達も、グリムロックの姿に恐れをなしたのか一切襲って来なかったため、三人は順調に進んでいった。

 

 (俺グリムロック、やっぱり声の主、近づいてる…)

 

 樹海側へと進むに連れて声の正体が近づいてる事を悟るグリムロック。同時に何か、初めて嗅ぐ生き物の匂いもしてきた。

 すると、それほど遠くない場所で魔物の咆哮が聞こえてきた。声の威圧からして、彼の威嚇で逃げ出した連中よりは強そうだ。

 そのまま彼は突き出した崖を回り込み、しゃがんで向こう側を覗き見ると、二種類の生き物が今まさに命の攻防を繰り広げていた。

 一方はグリムロックの元々の種族であるティラノサウルスに酷似した魔物で、オルクス大迷宮の時のように一瞬同族かと期待したグリムロックだったが、直ぐに落胆した。何せその魔物「ダイヘドア」は双頭であり、明らかに本来のティラノサウルスとは異なる種族であった。

 もう一方は人間の少女のようだが、ハジメ達とは違い、頭上にウサギの耳らしきものが生えていた。彼女は今にも喰らいつこうとするダイヘドアの足元をぴょんぴょんと跳ね回りながら、半泣きで逃げ惑っていた。

 

「…俺グリムロック、あれバニーガールか?」.

「いやいや亮牙、んなわけないでしょ…。多分亜人族の一種、兎人族だよ」

「…バニーガール?」

「俺グリムロック。人間の男が興奮する格好の一つ。地球着いたらハジメに見せてやれ」

「今言う事じゃないからねそれ!…にしてもなんでこんなとこに?ユエ、兎人族って谷底が住処なのかな?」

「…聞いたことない」

「じゃあ、犯罪者として落とされたとかかな?確か処刑の方法としてあったよね?」

「悪ウサギ?」

「俺グリムロック。その処刑法、とっくの昔に廃れたはず。それにウサギ、岩場にも住むぞ」

「成る程…。てか亮牙、あれ一応ウサギじゃなくて人だからね…」

 

 一見呑気に会話してるように見えるが、これでも三人なりに彼女をどうすべきか相談しているつもりだ。人として助けるべきかもしれないが、ユエの推測どおり犯罪者の可能性も捨てきれないし、亮牙の言うとおりこの大峡谷に住んでおり、今の状況も何か伝統的な儀式の真っ最中なのかもしれない。

 すると、少女のほうが此方に気付いたようだ。彼女は四つん這いになりながらほうほうのていで逃げ出し、その格好のままグリムロックの頭上にいるハジメとユエを凝視している。

 そして、ダイヘドアが爪を振ったことで隠れた岩ごと吹き飛ばされ、ゴロゴロと地面を転がった少女は、その勢いを殺さず猛然と三人の方へと逃げ出した。それなりの距離があるのだが、彼女の必死の叫びが峡谷に木霊し、グリムロック達にも届いた。

 

「だずげでぐだざ~い!ひっ〜、死んじゃう!死んじゃうよぉ!だずけてぇ~、おねがいじますぅ~!」

「!俺グリムロック、あいつの声、頭に響いてたのと同じ声だ!」

 

 そう言ってグリムロックはしゃがんだ状態から立ち上がると、少女とダイヘドアの前に躍り出た。頭に響いていた声は、間違いなく彼女と同じ声だ。話を聞いてみる価値はありそうだ。

 しかし彼が現れた瞬間、少女もダイヘドアも硬直した。何せ岩だと思ったら、自分達より遥かに巨大な生き物が現れたのだ。しかも口には無数の乱杭歯が並んでおり、捕食動物であるのは明白だ。

 グリムロックは取り敢えずダイヘドアにのみ、威嚇のつもりで軽く唸った。

 

「グルルル…!」

「ッ⁉︎キャインキャイ〜ン!」

 

 恐怖で固まっていたダイヘドアはそれを聴くや踵を返し、犬のように鳴きながら全速力で逃げ出してしまった。野生の本能が、食欲よりも己の命を優先するよう命じたのだ。

 

「びゃあああ〜⁉︎ぞ、ぞんな〜⁉︎」

 

 一方、ウサ耳少女の方は驚きの余り腰が抜けてしまい、その場に座りこんでしまった。

 無理もないだろう。彼女の目に写っていたのはハジメとユエの二人だけで、彼らが乗っていたグリムロックはしゃがんでいたために、周囲の岩と勘違いしていたのだ。まさか、ダイヘドアよりも巨大な捕食動物が隠れていたとは思いもしなかったのだ。

 

 (こんな場面、未来視では見えてなかったのに〜‼︎)

 

 彼女が自身の能力で知った情報では、あの魔物の頭上にいる二人の他にもう一人、銀髪の青年がいる筈なのだ。だがその人物はおらず、代わりに巨大な魔物が今まさに此方へと近づいてくる。

 もう駄目だ、食べられる。彼女が身構えたその時だ。

 

「俺グリムロック、お前、大丈夫か?」

 

 

「………ふぇ?」

 

 急に、何処か愛嬌のある片言な口調の男の声が聞こえた。

 余りにも場違いなその声に、ウサ耳少女は一瞬キョトンとなる。暫く沈黙した後、彼女は目をキョロキョロさせながら声の主を探した。

 

「だ、誰ですか⁉︎もしかして、そこに乗っかってる貴方ですか⁉︎」

「…俺グリムロック、何故俺を無視する?」

「亮牙さんやい、今の姿じゃ流石に君が喋ったとは思わないって…」

「あ、そっか。俺グリムロック、人間態になる。二人共降りろ」

「はいはい。それじゃユエ、降りよっか」

「ん、ハジメ、抱っこしてくれなきゃヤダ」

「も〜、甘えん坊さんだなぁ。分かったよ」

 

 ハジメがユエをお姫様抱っこし、イチャつきながら親友の頭上から降りると、グリムロックはビーストモードからロボットモードに戻り、更に人間態へと姿を変えた。

 その一部始終を呆気に取られながら眺めていたウサ耳少女は、やがて亮牙の姿が現れると、彼の変身を初めて見た時のハジメのように、驚きの声を響かせた。

 

「え、ええええええぇぇっ!!?」

 

 やがて少女の絶叫が止むと、亮牙か彼女に語りかけた。

 取り敢えず、話を聞くだけ聞いてみよう。どうするかはそれから考えれば良い。

 

「びっくりさせて悪かったな。まあ捕って食ったりはしねえから安心しろ。にしても、此処に住んで「み……」……あ?」

 

「みづげだぁ!やっどみづげまじだよぉ~!だずげでぐれでありがどうございまずぅ〜‼︎」

 

「っておい、落ち着け!取り敢えず涙と鼻水を拭け!ってかハジメとユエもイチャついてないで何とかしてくれ!」

 

 ウサ耳少女は亮牙の質問を遮って立ち上がると、涙声で礼を言いながら彼に抱きついてきた。顔中涙と鼻水まみれで、亮牙の服が汚れるのもお構いなしにだ。

 少女の突然の行動に一瞬びっくりした亮牙だったが、直ぐに落ち着きを取り戻すと、しがみつく彼女を引き離そうとした。だが、見た目に反して彼女は強い力でしがみついてくる。

 これが男だったならぶん殴って引き剥がす亮牙だが、育ての母・亮子から女の子に暴力を振るっちゃ駄目よ、と教わってきたので、乱暴に扱うことも出来ない。

 

 仕方なくハジメとユエに助けを求めるが、二人は降りてからまた自分達の世界に入ってイチャついており、此方に気付いていなかった。所構わず交わらないだけマシだが、いくら何でも自重して欲しい。

 やがてウサ耳少女は落ち着いたのか、亮牙から離れると改めて口を開いた。

 

「助けて頂きありがとうございました!私は兎人族ハウリアの一人、シア・ハウリアと言います!取り敢えず、私の仲間も助けてください!」

「………はい?」

 

 余りにも図々しい言葉に、マイペースな亮牙も流石に呆気に取られてしまう。

 これが、灘亮牙ことグリムロックと兎人族の少女シア・ハウリアの、最初にして運命の出会いとなる。

 

 

 

 

 

 




初めてシアを見た時、ミーガン・フォックス演じるミカエラを思い出しました。
どちらも見てるとさ、ムラムラします(`・ω・´)キリッ
 




地上に出た時のハジメの歓声は『プライム』のスカイクエイク、亮牙が唸り声と足踏みで魔物を蹴散らすのは『ザ・ムービー』のグリムロック対シャークトロンのオマージュのつもりです。

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