タイトルは実写版ヴェノムの主題歌であるUVERworldの『Good and Evil』の歌詞からです。
さあ、本作でハウリア達はどうなったでしょうか?
亮牙に想いを伝え、旅の同行の許可をもらえた事に大喜びのシアは、鍛錬を開始してから十日間一度も会ってない父に報告しようと、両耳を可愛らしくピコピコと動かしながら意気揚々と駆けて行った。
だが、彼女の顔は直ぐに驚愕に染まった。
「御館様、只今戻りました」
「ふぇっ⁉︎」
何せ、カムは十日前とは打って変わって筋肉モリモリマッチョマンへと変貌し、顔つきも歴戦の軍人らしく威厳あるものへと変貌していたのだ。他のハウリア達も、以前とは見違える程に鍛えられ、凛々しい顔つきになっていた。
あんぐりと口を開けるシアを横目に亮牙が近づくと、カムは片膝をついて首を下げた。
「おう、お疲れさん。結果はどうだ?」
「はい。ご指示の通り、我々にとって因縁あるハイベリアを仕留めてきました。最初は二、三匹仕留めるはずだったのですが、血の匂いに興奮して仲間が集まってきたため、止むを得ず全て返り討ちにしました。その結果がこれです」
そう言ってカムは、ハイベリアの特徴とも言えるモーニングスター状の尾を差し出した。少なくとも十匹分近くはある量だ。
「そうか、よくやった。連中もこれに懲りたら、二度とお前らを餌にしようとは思わんはずだ。お疲れさん」
「ははっ、勿体なきお言葉です!」
「謙遜するな、お前らは充分強くなった。これで俺も一先ず安心だ」
『ありがとうございますっ!』
亮牙の称賛の言葉に、ハウリア達はまるで戦国時代の兵士か忍者の如く、片膝をつきながら頭を下げた。
ハジメとユエも無言ながらも、彼らの成長ぶりを喜んでいた。しかし、シアはそうはいかなかった。
「り、亮牙さん!一体みんなに何をしたんですか⁉︎すっかり別人じゃないですか!」
「ああ。最初のうちの此奴らときたら、お前と違ってウジウジしてばかりだったからな…。そんなんで何が守れたんだって糾弾した後、魔物の肉食わせて、心身ともに鍛え上げた。俺の技能のおかげで副作用はなかったから安心してくれ…」
「ええええええっ!!?」
そんな凄まじいぶっ飛んだ鍛錬を一族が受けていた事に、シアは絶叫するしかなかった。時間がないとは言え、流石にやり過ぎですよ、と…。
「父様、本当に父様なんですか⁉︎この十日間何があったんですかぁ⁉︎私の知ってるみんなじゃないですよぉっ!」
一族の変貌ぶりに驚愕した彼女は、思わずカムに掴みかかるが、一方のカムは優しく娘を宥めた
「安心しなさいシア。我々ハウリアは御館様の鍛錬で進化を遂げたのだよ。この残酷かつ理不尽な世界で、今までみたいに自分の身すら守れず怯えるだけの軟弱者から、大切な者たちを守り抜ける強者へとな…」
「だからって変わり過ぎですよぉ!確かにこの世界は生き辛いですけどぉ…」
シアはそれでも納得できず詰め寄るが、カムは彼女の頭を優しく撫でた。
「これで良いのだ、我が愛しき娘よ…。私は今まで、兎人族は弱いからただ逃げ隠れするしかないと思い、フェアベルゲンがお前を侮辱し処刑しようとした時も、諦めて死を受け入れるだけだった。父親として我が子を命懸けでも守らなくてはならないというのに、御館様のように長老どもに立ち向かう事すらできなかった…」
「父様、別に私はそれを責めるつもりは…」
「いや、分かってる。…それでも我々兎人族は元来の優しさを貫ければ良いと考えていたが、御館様に諭され、それでは何一つ守れないと気づいたのだ。それにモナも生前はよく、敵から大事な家族を守れるような英雄に憧れていた。だからこそ、私は今までの生き様を変えるべきだと悟ったのだよ…」
「母様がそんな事を…」
「怖がらせてすまないな、だが安心しなさい。どれだけ心や姿形が変わろうと、私はお前の父親だ。今まで親として情けない姿ばかりみせて不安にさせたが、私はお前が娘である事を誇りに思っている」
「父様…」
そう優しく告げるカムの姿に、シアは父の愛情は一切変わっていない事を悟り、嬉し涙を流していた。
すると、ハウリアの少年の一人パルがスタスタと亮牙の前まで歩み寄ると、先程のカム達のように片膝をついた。
「御館様、失礼します。ご報告したい事があるのですが宜しいでしょうか?」
「構わん、話せ」
「魔物を追跡中、完全武装した熊人族の集団を発見しました。場所は、大樹へのルート。おそらく我々に対する待ち伏せかと思われます」
「そうか、御苦労だったなパル。下がれ」
「ははっ!」
パルは頭を下げると、まるで忍者のように素早く下がった。
「ハイピストの言ったとおりか。十中八九、目的を目の前にして叩き潰そうって魂胆だろうな。如何にも性根の腐ったやり方からして、あの古狸の一族だろうな…。上等だ、地獄を味わってもらうとするか」
そう言いながら亮牙が両手をゴキゴキと鳴らしていると、カムが話しかけてきた。
「御館様、宜しければ今回の熊人族の排除、我々にお任せ下さいませんか?」
「ほう?出来るのか?」
「お任せ頂けるのなら是非。今の我々が奴らに何処まで通じるか、試してみたく思います。何より、私の娘を侮辱し処刑しようとした連中への怒りは、我々の方が深いので…」
そう告げるカムの身体には、魔物を食べた影響か、娘を愚弄された事への怒りからか、血管が浮き出ていた。
「いいだろう。お前らには連中に報復する資格があるからな。但し皆殺しにはせず、最低一人は生け捕りにしろ。見せしめにするためには生き証人がいるからな…。それに俺の育った地域の御伽噺には、賢い兎が卑劣な狸を成敗する話がある。今度はお前らが、井の中の蛙にも劣る狸どもに思い知らせてこい!二度と馬鹿な考えを起こさんようにな」
『ははっ!!!』
亮牙からそう指示を受けると、ハウリア達は一度首を垂れると、即座に散会していった。
「こ、これで良かったんでしょうか?亮牙さん…」
「これでいいのだ。どのみち衝突は避けられん」
「亮牙、つかぬ事を聞くけどさっきの御伽噺って…」
「ああ、もちろん『かちかち山』だ」
「…まあ実際のかちかち山も結構残酷な部分あるから、確かに当てはまるか…」
レギン・バントンは熊人族最大の一族であるバントン族の次期族長との噂も高い実力者だ。現長老の一人であるジン・バントンの右腕的な存在でもあり、ジンに心酔にも近い感情を抱いていた。
もっともそれはレギンに限ったことではなくバントン族全体に言えることで、特に若者衆の間でジンは絶大な人気を誇っていた。豪放磊落な性格と深い愛国心、そして亜人族の中でも最高クラスの実力を持っていることが最大の理由である。
だからこそ、ジンが一人の人間に為すすべもなく再起不能にされたという知らせを聞いた時、どの熊人族もタチの悪い冗談だと思った。だが現実は残酷で、駆け付けたレギン達が目にしたのは、部屋の隅で赤ん坊のように指をしゃぶるという醜態を晒すジンの姿だった。取り乱すレギン達に対して、
「おじさん達、だぁれ?僕ちゃんのお友達?」
などと赤ちゃん言葉で話し、蜥蜴や金属を見るたび失禁しながら泣き喚くその姿には、最早長老としての威厳など一片も残っていなかった。
当然レギンは激昂し、現場にいた長老達に詰め寄り一切の事情を聞くや、長老衆の忠告を無視して熊人族の全てに事実を伝え、報復へと乗り出した。長老衆や他の一族の説得(驚いたことに、ジンと一番仲の良かった土人族のグゼが一番強く引き止めていた)もあり、熊人族全員を駆り立てることはできなかったが、バントン族の若者を中心に特にジンを慕っていた五十人以上を募る事ができた。
仇の人間の目的が大樹であることを知ったレギン達は最も効果的な報復として、大樹へと至る寸前で襲撃し、目的を眼前に果てさせようと目論んだ。
敵は所詮、人間と兎人族のみ。例えジンを倒したのだとしても、どうせ不意打ちなど卑怯な手段を使ったに違いない。樹海の深い霧の中なら感覚の狂う人間や、まして脆弱な兎人族など恐るるに足らず。
普段のレギンならこんな光輝みたいなご都合主義など考えないのだが、憎悪に加えて亜人族最強種としての傲りが、危機管理能力を鈍らせてしまっていた。そしてその代償は、最悪の形で支払う事になってしまった。
「ば、馬鹿な馬鹿な、馬鹿なぁぁぁっ!!?」
現在、レギンは堪らず絶叫を上げていた。目の前で亜人族最弱と見下してきた兎人族が、最強種の一角に数えられる程戦闘に長けた自分達熊人族を蹂躙しているという有り得ない光景が広がっていたのだから無理もないだろう。
「くたばれ」
「地獄に堕ちろ」
ハウリア族達は嘲笑こそしてないものの、静かに怒りの表情を浮かべながら容赦なく襲いかかり、熊人族達の首を跳ね飛ばしたり、パンチやキックで肉の塊に変えていく事で討ち取っていった。そこには最早温和で平和的、争いが何より苦手な兎人族の面影など無く、必死に応戦する熊人族達は阿鼻叫喚となっていた。
「ちくしょう!何なんだよ!誰だよ、お前等⁉︎」
「こんなの兎人族じゃないだろっ!」
「うわぁああ!来るなっ!来るなぁあ!」
奇襲しようとしていたら逆に奇襲されたこと、亜人族の中でも格下のはずの兎人族の有り得ない強さ、どこからともなく飛来する正確無比な弓や石、認識を狂わせる巧みな気配の断ち方、高度な連携、そして何より容赦ない残忍な戦闘スタイル、その全てが激しい動揺を生み、スペックで上回っているはずの熊人族に窮地を与えていた。
実際、単純に一対一で戦ったのなら兎人族が熊人族に敵うことはまずないのだが、この十日間でハウリア族は亮牙の鍛錬により進化を遂げていた。
元々兎人族は他の亜人族に比べて低スペックだが、争いを避けつつ生き残るために磨かれた危機察知能力と隠密能力は、実に暗殺者向きの能力だったのだが、生来の性分がこれらの長所を全て潰してしまっていた。故に亮牙の自分語りを交えた叱責により、覚悟を決めて不要な部分の大半を捨てた彼等は、中々の戦闘力を発揮した。
一族全体を家族と称する絆の強い一族というだけあって連携は最初からかなり高く、更に気配の強弱の調整も上手いために絶大な効果を発揮した。更に、ハジメ製の小太刀やナイフ、スリングショットやクロスボウといった武器の数々も、ハウリア族の戦闘力が飛躍的に向上させていた。何れもオルクス大迷宮由来の鉱石や魔物の素材で作られており、その威力は絶大だった。
そんなわけで、パニック状態に陥っている熊人族では今のハウリア族に抗することなど出来る訳もなく、瞬く間にその数を減らし、既に当初の半分近くまで討ち取られていた。
「レギン殿! このままではっ!」
「一度撤退を!」
「殿は私が務めっクペッ⁉︎」
「トントォ⁉︎」
部下達は一時撤退を進言するも、当のレギンは部下まで殺られて腸が煮えくり返ってしまい、中々決断が出来ずにいた。その判断の遅さをハウリア達が見逃すわけもなく、殿を申し出て再度撤退を進言しようとしたトントと呼ばれた部下の頭が、飛んできた岩が直撃した事で無残に吹き飛ばされた。それに動揺して陣形が乱れるレギン達に、好機と見たカム達が一斉に襲いかかった。
霧の中から矢が飛来し、足首という実にいやらしい場所を驚くほど正確に狙い撃ち、それに気を取られると首を刈り取る鋭い斬撃が振るわれ、その斬撃を放った者の後ろから絶妙なタイミングでパンチが飛んできた。
だがそれも本命ではなかったのか、突然、背後から気配が現れ致命の一撃を放たれる。ハウリア達は、そのように連携と気配の強弱を利用してレギン達を翻弄した。レギン達は、これが本当にあのヘタレで惰弱な兎人族なのか、と戦慄するしかなかった。
しばらく抗戦は続けたものの、混乱から立ち直る前にレギン達は満身創痍となり武器を支えに何とか立っている状態だ。連携と絶妙な援護射撃を利用した波状攻撃に休む間もなく、全員が肩で息をしながら一箇所に固まり、大木を背後にして追い込まれたレギン達をカム達が取り囲んだ。
「どうした?散々最強種とか威張り腐ってたのにそれかよ」
「シアを化け物と侮辱して、私達を殺そうとした威勢はどこに行ったのかしら?」
兎人族と思えない冷たい目で容赦無い言葉を浴びせるハウリア達に、熊人族達は戦慄の表情を浮かべ、中には既に心が折られてしまい頭を抱えてプルプルと震えていた。大柄で毛むくじゃらの男が「もうイジメないで?」と涙目で訴える姿は、誰がどう見ても気色悪かった。
「何か言い残すことはあるか?性根の腐ったクソ餓鬼どもが」
心底汚い物でも見るような目でレギン達を睨みつけながら、カムが皮肉げな言葉を投げかけた。亮牙の叱責を受けた事で、改めて愛娘が受けた仕打ちに父として憤りを抱いていた彼は、今でも腸が煮えくり返っていた。
カムの物言いに悔しげにレギンは屈辱に顔を歪めつつも、何とか混乱から立ち直ったその瞳には本来の理性が戻ってきていた。ハウリア族の強襲に冷や水を浴びせかけられたというのもあるだろうが、ジンの件で怒りの炎は未だ燃え盛らせつつも、同族達を駆り立てこの窮地に陥らせた以上、今は少しでも生き残った部下を存命させる事に集中しなければならない責任感から正気に戻ったようだ。
「ぬぐぅっ…。…俺はどうなってもいい。煮るなり焼くなり好きにしろ。だが、部下は俺が無理やり連れてきたのだ。見逃して欲しい」
「なっ、レギン殿⁉︎」
「レギン殿!それはっ…」
自分の命と引き換えに部下達の存命を図ろうというレギンの言葉に、部下達が途端にざわつき始めた。動揺する部下達にレギンが一喝した。
「黙れっ!…頭に血が登り目を曇らせた私の責任だ。兎人…いや、ハウリア族の長殿。勝手は重々承知。だが、どうか、この者達の命だけは助けて欲しい!この通りだ」
武器を手放し跪いて頭を下げるレギン。部下達は、レギンの武に対する誇り高さを知っているため敵に頭を下げることがどれだけ覚悟のいることか嫌でもわかってしまうからこそ。言葉を詰まらせ立ち尽くすことしかできなかった。
その様子をカムは静かに見つめた末、口を開いた。
「散々我々を虐げ楽しんでいた癖に、自分達が同じ立場になった途端それか?…まあ良いだろう。我々はお前達程腐っていない。今後我らを排除しようと考えるものが出ないように今回の件はしっかり誇張なしにフェアベルゲンに伝え、二度と私の娘を忌み子などと呼ばぬよう呼びかけろ。それが我々ハウリアがお前らを見逃す条件だ」
「…解った。感謝する…」
最強種と名高い自分達が最弱種のハウリアに負けたと周知するのは屈辱だが、それで命が助かるのなら…。
そう考えてホッと胸をなで下ろしたレギンだが、カムが容赦無く胸ぐらを掴んだ。
「何を安堵している?まだ御館様達がいるだろうが」
「な⁉︎我等はもう要求を飲んだろう⁉︎」
「それはハウリア族からのものだ。御館様達の事も狙っておいて、何のお咎めもないと思ってるのか?」
「ぐっ…」
そう言われ悔しがるレギン達の前に、霧の中から亮牙が現れ、カム達が片膝をついた。
「お疲れさん、言われたとおり皆殺しにはしなかったようだな」
「はっ、今でも腸が煮えくり返っていますが、皆殺しにすれば此奴らと同類になってしまうので…」
「それでいい。むしろよく耐えた…。それだけでお前らはこのゴミ屑どもとは違うって証拠だ」
「有り難きお言葉」
カムとの話が終わると、亮牙もレギン達をゴミでも見るような目で睨みながら話しかけた。
「さてと、カム達が見逃してやると決めた以上、俺達もその意思を汲んでやりたいが、条件としてハイピスト達にこう伝えろ。貸し一つと」
「っ⁉︎そ、それは…⁉︎」
「何だ、嫌なのか?ならこうだ」
亮牙はそう言うと、レギンの隣でこちらを睨みつけていた熊人族の頭を片手で掴み、思い切り握り潰した。
まるで熟した果実を潰したかのように仲間の頭が簡単に握り潰され、目玉や脳味噌が飛び散った惨劇に、レギン達は改めて悲鳴を上げ震え上がった。
「どうやらお前ら、あの古狸の群れの狸どもみたいだな。敵討ちに来たつもりのようだが、あれはあの老害が先に仕掛けた挙句、俺が怒鳴っただけでビビってああなっただけだ。お前らの怒りはお門違いも甚だしいんだよ。文句があるなら、お前らの縄張りに赴いて一族皆殺しにしてやろうか?安心しろ、肉は保存食にしてやるから」
「ヒィッ!!?解った解った!我らは帰還を望む!その条件を飲む!」
レギンは恐怖に体を震わせながら叫んだ。生き残っている熊人族達も、同胞の頭を軽々しく握り潰した目の前の人間にすっかり戦意を失い、右に同じと言わんばかりに頭を縦に振った。
「貸一つ」ということは、襲撃者達の命を救うことの見返りに何時か借りを返せということだ。会議の決定を実質的に覆すという苦渋の選択をしてまで不干渉を結んだというのに、伝言すれば長老衆は無条件で亮牙の要請に応えなければならなくなるのだ。
しかし客観的に見ればジンもレギン達も、一方的に仕掛けておいて返り討ちにあっただけであり、その上命は見逃してもらったということになるので、長老会議の威信にかけて無下にはできない。無視してしまえば唯の無法者だし、今度こそ亮牙はフェアベルゲンの民を皆殺しにするだろう。
「結構。伝言を伝えたら、二度とそのアホ面見せるなよ。もし、取立てに行ったとき惚けでもしたら、もう容赦はせん。フェアベルゲンの民を皆殺しにして、国民全員を俺が喰らい尽くしてやる」
そう物騒なことを宣言する亮牙に、レギン達は顔を青ざめさせて頷くしかなかった。目の前の人間族の背後に鋼の巨獣の姿が見え、とても嘘とは思えなかったからだ。
霧の向こうへ熊人族達が消えていくのを見届けると、亮牙は改めてカムに話しかけた。
「よく耐えてくれたな、カム」
「いえ。連中はもう一生日陰者扱い、二度とフェアベルゲンで幅を利かせることは出来ません。私なりに、娘を虐げられた復讐は果たせたつもりです」
「やはりお前は良い父親だよ。我が子を守ってやれなかった俺とは違う…」
そう呟く亮牙の言葉は、何処か寂しげであった。
次回、遂に彼の登場です。
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