なおこの設定は、私が考えた実写版トランスフォーマーの独自設定です。
ありふれ本編開始までしばらくお持ちいただけると幸いです。
追記:1話と2話がそれぞれ短かったため、思い切って一話にまとめ直しました。
グリムロック・オリジン
6600万年前の白亜紀後期、地球は恐竜たちの黄金時代であった。後に出現する人類とは異なり、地球環境を破壊することなく彼らは、1億5000万年もの繁栄を遂げたが、その終焉は突如として宇宙から到来した…。
後にアメリカのサウスダコタ州となるある地域、そこに一頭の雄のティラノサウルスがいた。全長12mにもなるこの肉食恐竜は、その日獲物を仕留めた後、大きな肉塊を加えて巣へと戻ってきた。そこには彼の番となる雌と、彼らの子どもである2頭のまだ小さな幼体が待っていた。雄は肉塊を吐き出し、小さく噛みちぎったものを我が子らに与え、残りを子守に専念していた妻へと与えた。恐竜の中でも知能が高めとは言えティラノサウルスに、家族愛や幸福といった感情を持ち合わせているのかは分からない。しかし雄はこの家族の団欒を楽しむかのようであった。
突如として轟音とともに空が暗くなった。驚いたティラノサウルス達が空を見上げると、見たこともない巨大な巻貝のようなものの集団が空を覆っていた。一体これは何だと驚愕していると、遠くの巻貝達から細長い卵のようなものが落ちてきた。それは地表に近づくと、一部が突然割れたかと思いきや大爆発を起こし広範囲を金属へと変えていった。
ティラノサウルスの夫婦はこの光景に底知れぬ恐怖を感じ、我が子達を連れて急いで巣から逃げた。他の恐竜たちも我が身に迫る危険を感じ、押し合いになりながらも空中の巻貝達から逃れようとした。しかし巻貝達はお構いなしにその物体を次々と投下、逃げ惑う恐竜たちを容赦なく金属へと変えていった。
雄のティラノサウルスは、その爆発に巻き込まれながらも奇跡的に生きていた。何があったのか未だに状況が読めかったが、それでも必死に妻と我が子らを探した。ようやく見つけた時、妻と子ども達は物言わぬ金属の骸と化し、横たわっていた。彼はその無残な光景を目にし、怒りと哀しみの混ざったかのように咆哮した。周囲には同じく金属化した恐竜たちの死体も転がっていた。
一体、何故自分たちがこのような目に遭わなければならない。
雄がそう考えたのも束の間、巻貝達が触手のようなものを伸ばして、恐竜たちの死体を回収し始めた。その姿に抑えようのない怒りが湧き上がった彼はその触手に食らいつくが、触手は意に介さず彼ごと死体を抱え、本体へと戻っていった。やがて巻貝の群れは、一通り金属化した死骸を回収していくと、再び空高く飛び立ち、宇宙の彼方へと去っていった。地球からは恐竜たちが消え去り、静寂に包まれた。
これこそが、白亜紀末の地球に起きた恐竜絶滅の真相であった。
自分たちの平穏を突如として奪った巻貝にそのまま連れていかれたあの雄のティラノサウルスはどうなったのであろうか。
結論からいうと、彼は死んでいなかったが、その身体はかつてと違い大きく変化していた。まず体格だが、彼は多くの同族の成体と同じく全長12m程だったが、あの爆発に巻き込まれてからは急激に巨大化し、同族の3倍以上にもなる42.6mにまで大きくなっていた。さらに頭部からは、後に出現する人類の伝承に登場するドラゴンのような1対の角が生えていた。しかし何よりも急激に変化したのは肉体である。彼の体を構成するすべての有機物質は、すべてが金属に置き換わっていたのだ。
しかしティラノサウルスは自身の肉体の変化に全く気付いていなかった。彼の脳裏に遭ったのは、自身の家族を捕食するわけでもなく虐殺した巻貝どもに対する復讐しかなかった。巻貝の内部に引き込まれた彼は、すぐさま暴れ回り、せめてこの一頭だけでも身体中を食い千切って道連れにしてやろうとした。
「ほう、まさか生き残りが乗り込んでいたとは。しかしこれは凄いな」
聞いたことのない声が聞こえ、ティラノサウルスはその方向を見た。そこには見たことのない生物がいた。体格は自身よりはるかに小柄で、身体は恐竜のような鱗も羽毛もなく、見るからに弱弱しい生物だった。しかしティラノサウルスは本能的に、この生物の危険性を感じ取り悟った。こいつこそがこの巻貝の親玉だと。
彼はすぐさま口を開くと、その生物に噛み付こうとした。だが食らいつく寸前、その生き物が放った光が身体に纏わりつき、彼の動きを封じてしまう。
「いやはや野蛮な奴だ。だが貴様はまさに儂が生み出す新種族として相応しい。我が英知の力を以て、新たな種族へと進化させてやろう」
その生物はそう言うと、懐からキューブ状の物体を取り出した。するとそのキューブから謎の光がティラノサウルス目掛けて放たれた。突然のことにティラノサウルスはよけることもできず、その光を受けてしまった。
たちまち彼の肉体に異変が起きた。肉体が大きく作り変えられる感じが、ティラノサウルスにも感じることが出来た。だが不思議にも身体に激痛は起きなかった。しかし肉体が、自分の知らない何かに代わっていく様はただ恐ろしく、彼は咆哮した。
「グオアアアアァァァァ!!」
すると彼の肉体に文字通り変化が起きた。その巨体を支えていた2本の後肢は、逞しい2本の腕へと変化し、胴体や尾はまるでパーツが折りたたまれるように新たな足と胴体構成していき、巨大な頭は角が折りたたまれ左右に分かれて両肩に収まった。そして最後に頭が現れた。恐竜の時よりも小さいが、口には鋭い牙、額には長い1本の角、そして燃え盛る炎のように紅蓮に輝く瞳を備えた頭だ。
すべての変化が終わった後、ティラノサウルスは大きく変わった自分の姿にただ驚愕していた。そこへあの小さな生物が近づき、こう告げた。
「おめでとう、君は新たな種族へと進化した。今日から君の名はグリムロックだ。それでは君を新たな故郷へと連れていこう。サイバトロン星にね」
これが本作でのグリムロックのオリジンです。
彼を変えた存在とその力は、後々明かされていく予定です。
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