グリムロックは宇宙最強   作:オルペウス

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二章最終話になります。いやぁ、遂に書きたいところまでエタらずに来れました(泣)

グリムロック(Grimlock)とは一度食らいついたら離さないという意味を込めて「恐ろしい錠前」という名前だそうです。今回、主人公の心の錠前が…⁉︎

最近、国立科学博物館や福井県立恐竜博物館でも展示されてるティラノサウルスの「スタン」の原標本が、オークションでまさかの33億7600万円で落札されたそうです。落札価格も衝撃だけど、一体誰が購入したのでしょうか…(汗)


心を解錠する一途な想い

 ミレディに寄って水洗便所の如く流された亮牙達は、激流で満たされた地下トンネルのような場所を猛スピードで流されていた。息継ぎができるような場所もなく、壁に激突して意識を失わないように必死に体をコントロールしながら、ひたすら水中を進むしかなかった。

 暫くすると、彼らの視界に自分達を追い越していく幾つもの魚の影が映った。どうやら流された場所は、他の川や湖とも繋がっている地下水脈らしい。ただ、流される亮牙達と違って魚達は激流の中を逞しく泳いでいるので、どんどん五人を追い越して行った。

 その内の一匹が、いつの間にか必死に息を止めているシアの顔のすぐ横を並走ならぬ並泳していた。何となく彼女はその魚に視線を向けると、()()()()()()()()()()

 しかしその魚の顔は明らかに人間、それも中年男性の顔だったのだ。どこかふてぶてしさと無気力さを感じさせるそのおっさん顔の魚は、どう見ても人面魚としか言いようがなかった。

 シアは驚愕のあまり大きく目を見開き、思わず息を吐きそうになって慌てて両手で口元を抑えたのだが、視線を逸らすことができなかった。彼女は人面魚と見つめ合ったまま激流の中を進んでいった。

 だが、永遠に続くかと思われたシアと人面魚の時間は、唐突に終わりを迎えた。急に人面魚の後ろから何かが猛スピードで泳いできたかたと思ったら、バクンッと人面魚を一口で捕食してしまったのだ。

 シアはそれに驚きつつも、人面魚を捕食した者の正体に更に驚愕した。犯人はエイだった。別に、エイには淡水にも生息する種類がいるのでおかしい事ではないのだが、そのエイの外見はマンタに近く、明らかに大海原を泳いでいるとしか思えないフォルムだったのだ。なんでこんな魚がこんな場違いな所にいるのか、と思うシアの頭に突如として声が響いた。

 

「い〜と〜まきまき、い〜と〜まきまき、引い〜て引い〜て、とんとんとん♫」

 

「ッ!!?ブフォア‼︎」

 

 何と、エイがそんな歌を歌っていたのだ。今度こそシアには耐えられず、水中で盛大に息を吐き出してしまった。もしかすると、このエイは魔物の一種で、念話のような固有魔法を持っているのかもしれない。

 だがそれを確かめる術はなく、エイは激流の中を華麗に舞う様に泳ぎ去ってしまった。後に残されたのは、白目を向いて力なく流されるシアだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 町と町、あるいは村々をつなぐ街道を数頭の馬と一台の馬車がのんびりと進んでいた。その馬上には冒険者風の出で立ちをした男が三人と女が一人乗り、馬車の方には御者台に15、6歳の少女と筋肉モリモリマッチョマンの変態が乗っていた。

 そう、ブルックの町で服飾店の店長を務めるクリスタルベルと、『マサカの宿』の看板娘ソーナ・マサカである。

 

「ソーナちゃぁ~ん、もうすぐ泉があるから其処で少し休憩にするわよぉ~」

「了解です、クリスタベルさん」

 

 この二人、現在、冒険者の護衛を付けながら、隣町からブルックへの帰還中なのである。クリスタベルはその巨漢からも分かる通り鬼強いので、服飾関係の素材を自分で取りに行く事が多く、今回も仕入れ等のために一時町を出たのだ。ソーナは今回、隣町の親戚が大怪我を負ったと聞き、宿を離れられない両親に代わって見舞いの品を届けるために便乗させてもらったのだ。冒険者達は元々ブルックの町の冒険者で任務帰りなので、ついでに護衛しているのである。

 

 ブルックの町まであと一日といったところ、彼らは街道の傍にある泉でお昼休憩を取ることにした。泉に到着すると、クリスタベル達は馬に水を飲ませながら泉の畔で昼食の準備にかかった。ソーナも水を汲みに泉の傍までやって来て、いざ水を汲もうと入れ物を泉に浸けた。

 

ゴポッ!ゴポゴポッゴバッ‼︎

 

 その瞬間、そんな音を立てながら泉の中央が泡立ち一気に水が噴き出始めた。

 

「きゃあ!」

「ソーナちゃん!」

 

 悲鳴を上げて尻餅をつくソーナに、クリスタベルが一瞬で駆け寄り庇うように抱き上げ他の冒険者達のもとへ後退した。その間にも、噴き上げる水は激しさを増していき、遂には高さ10m以上はありそうな水柱となった。

 この泉は街道沿いの休憩場所としては、よく知られた場所で、こんな現象は一度として報告されたことはなかった。故に、クリスタベルやソーナ、冒険者達も驚愕に口をポカンと開き、降り注ぐ雨の如き水滴も気にせず巨大な水柱を見上げた。すると、

 

「ヴェアアアアアアアアアー!!!」

「んっー!!!」

「ゴガァアアアアアアアアッ!!!」

「ギェエエエエエエエエエッ!!!」

「……………」

 

 噴き上がる水の勢いそのままに、五人、いや、四人の人間がやけに煩い絶叫を上げながら飛び出してきたのだ。

 そんな信じられない光景にクリスタルベル達は思わず「アイエエエー!!?」と叫びギャグ漫画の如く目が飛び出た。飛び出してきた五人は絶叫しながら10m近くまで吹き飛ばされると、そのままクリスタベル達の対岸側にドボンッ!と音を立てながら落下した。

 

「「「「「「……」」」」」」

「な、何なの一体…⁉︎」

 

 あまりにも理解不能な光景に冒険者達とクリスタベルは言葉もなく、ソーナは皆の気持ちを代弁するかのように呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲホッ、ガホッ!うう〜、酷い目にあった…。あいつ何時か絶対にスクラップにしてやる。みんな、大丈夫?」

「ケホッケホッ…!…ん、大丈夫」

「俺スラッグ、あのババア嫌い…」 

「俺も大丈夫だ。シアはどうだ………っておい、シア?」

 

 何とか水面に上がった四人は悪態を付きつつも、それぞれの安否を確認し合った。しかし、返ってきた返答にシアのものはなかった。

 辺りを見渡すも彼女の姿が見えず、嫌な予感がした亮牙は湖の方に目を向けると、予感は当たっていた。意識を失ったシアが、ドリュッケンの重さのせいで水底に沈もうとしていたのだ。

 その光景を目にし、亮牙の顔から一気に血の気が引いた。

 

「シアっ!!!」

 

 彼は叫びながら湖に飛び込むと一気に潜行し、シアを引き上げて岸に上がった。仰向けに寝かせるもその顔色は青くなっており、呼吸も止まっていた。

 亮牙は咄嗟に彼女の胸に耳を当て、心臓の鼓動を確認した。場所が場所だが緊急事態と言う事もあり、いつもように柔らかい感触を気にする余裕は無かった。最悪な事に心臓も止まっており、一刻を争う状態だった。

 

「駄目だシア!戻ってこい‼︎」

 

 迷っている暇はなかった。亮牙は直ぐさま、学校で習った手順を思い出しながら、シアに心肺蘇生を施し始めた。無論、心臓マッサージと人工呼吸だ。

 その様子にハジメとユエが「「あ…」」と呟き、スラッグが疑問を浮かべた顔となるが、今の彼はシアへの心肺蘇生に必死で気づいていなかった。

 

(頼む!これ以上大切な奴を失うのはもう沢山だ‼︎)

 

 幸いシアは心肺停止してから然程時間は経っていなかったらしく、何度目かの人工呼吸の後、遂に咳き込みながら水を吐き出した。亮牙は彼女の顔を横に向け、吐き出した水が気管に入らない様にした。体勢的には完全に覆いかぶさっている状態だ。

 

「良かった、一先ず安心だ…」

「ケホッ、ケホッ…!亮牙、さん?」

「シア、胸は痛むか?全く、水中で何があったが知らんが驚かさ……ムグッ!!?」

 

 むせながらもうっすらと目を開け、こちらに話しかけてくるシアに亮牙は安堵した。強く心臓マッサージをしたので、肋骨や胸骨にダメージがないか彼は尋ねようとしたが、それは突然彼女が彼の唇を塞ぐ事で止められた。

 

「んっ⁉︎んぐー!!!」

「あむっ、んちゅ♡」

 

 なんとシアは、地球で言うだいしゅきホールドで亮牙に抱きつき、そのままキスをしたのだ。御丁寧に身体強化込みで彼の頭を両手で抱え込み、両足を腰に回して完全に体を固定すると、遠慮容赦なく舌を彼の口内に絡ませた。流石の亮牙も、まさかの反応と距離の近さに避け損なった。

 実を言うと何度目かの人工呼吸の時、何故かシアには亮牙にキスされていることが分かっていたのだ。体は動かず意識もほとんどなかったが、水を飲んだ瞬間咄嗟に行った身体強化がそのような特異な状況をもたらしたのかもしれない。意中の人から何度もされるキスに彼女の感情メーターは振り切れてしまい、逃がすものかと亮牙の体をしっかりホールドすると、無我夢中で彼にキスを返した。

 その様子をハジメとユエは「「おー……」」と唖然とした様子で見ており、スラッグは頭上に?マークを浮かべていた。

 

「わっわっ、何⁉︎何ですか、この状況⁉︎す、すごい…!濡れ濡れで、あんなに絡みついて、は、激しい、お外なのに!ア、アブノーマルだわっ!」

「あら?あなたたち確か…」

 

 そして、更に不幸な事にそんなシアのディープキスを目撃している外野が居た。ハジメ達3人が声をした方に目を向けてハジメは内心ギョッとした。そこにいたのは妄想過多な宿の看板娘ソーナに、体をくねらせながらユエ・シア・スラッグを記憶から呼び起こすクリスタベル、そして嫉妬の炎を瞳に宿し、自然と剣にかかる手を必死に抑えている男の冒険者達とそんな男連中を冷めた目で見ている女冒険者だった。

 スラッグとユエも彼らを思い出し、声を上げた。

 

「あっ!アンタは()()()()()()()()!それに()()()のチビ!」

「だぁ~れが怪獣だ小僧ぉおおっ‼︎それにオバさんじゃなくてお姉さんって言わんかいぃぃっ!!!」

「ちょっ、お客さん‼︎発情期って何ですか⁉︎反抗期みたいに言わないでくださいよ〜!!!」

「「ごめんなさい!彼ちょっとおバカなんです‼︎」」

「俺スラッグ、バカとはなんだバカとは‼︎」

 

 またしても素で失礼な事を言うスラッグにクリスタルベルが怒号を飛ばし、ソーナも反抗期みたいに発情期と呼ばれてプンプンと怒り、前者に震え上がったハジメとユエが必死に頭を下げた。

 そんなカオスになりつつある状況の中でも、シアの亮牙への熱いキスは止まらなかった。

 

「ってか亮牙とシアは何時までキスしてるつもりなんだよ⁉︎ちょっとスラッグ、あのバカップル引き剥がして止めさせて‼︎」

「俺スラッグ、めんどくさいなぁ…」

「ん、文句言わない…」

 

 流石にいい加減にしろと感じたハジメに言われ、スラッグが面倒臭そうに亮牙とシアに近づいていき、その怪力で二人を引き剥がした。シアはなおも必死に亮牙にしがみつこうとしたが、スラッグの怪力には敵わず、思わず尻餅をついて「きゃうん‼︎」と叫び、恨めしそうにハジメとスラッグを睨んだ。

 

「うぅ~、何で邪魔するんですかぁ〜?折角亮牙さんの方からしてくれたのに~」

「俺スラッグ、何故口を付け合うことがそんなに嬉しいんだ?」

「スラッグ、あれは歴とした救命措置だから勘違いしないで…。ってかシア、意識あったの?」

「う~ん、なかったと思うんですけど…。何となく分かりました。亮牙さんにキスされているって、うへへ////」

「だからあれは救命措置だってば…。亮牙も何か言いなよ」

「……………亮牙?どうしたの?」

 

 ふと、未だに亮牙が一言も喋らない事にユエが気づいた。シアと引き剥がされてから、彼は両膝をついて膝立ちしたまま動かない。

 疑問に感じたユエが彼の肩を軽く叩いた。そして、直ぐさま手を押さえて飛び退いた。

 

「んっ!!?熱い!!!」

 

 そう彼女が叫ぶと共に、亮牙は仰向けにドスンと倒れた。その顔は燃え盛る炎の如く真っ赤に染まり、やかんのように湯気が立ち上っていた。

 

「大変だぁ‼︎俺たちのリーダー、グリムロック、死んだァ‼︎」

「んなわけないでしょ‼︎気絶してるだけだって!ってかキスされたら興奮のあまり真っ赤になって気絶って、ギャグ漫画かよ!!!」

「きゃあああああ!!?亮牙さん、しっかりしてください〜‼︎幾ら私の熱いキスが嬉しかったからって死んじゃいけませんよぉ〜!!!」

「ん、取り敢えず、亮牙を冷やさないと…!」

 

 新たな仲間達と共に二つ目の大迷宮の攻略を成し遂げた亮牙一行だったが、肝心のリーダーはクリア後にギャグ漫画みたいな気絶をするという、なんとも締まらない展開になってしまった。残る四人も、そんなリーダーの熱を必死に覚まそうと右往左往するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、ここは…?」

 

 亮牙はふと目を覚ました。辺りを見渡すと、自分は何処かの部屋のベッドで寝ていたようだ。日はすっかり落ちているらしく、窓から差し込む月明かりだけが部屋の中を照らしていた。

 確か自分はライセン大峡谷を攻略した後、何処かの泉に流された筈だが…。

 そう思う彼に、聞き慣れた声が掛けられた。

 

「亮牙さん!目が覚めたんですね!良かったですぅ〜!」

「シア?ここは一体…?」

「大丈夫です。此処はブルックの『マサカの宿』です。ハジメさん達も他の部屋で休んでいますよ」

「そうか。一体、あの後何が合ったんだ?どうも泉から出た後の記憶がぶっ飛んでてな…」

「あ〜…。実はあの後ですね…」

 

 シアは苦笑しながら、あの後の顛末を語り始めた。

 泉から出た後、意識を失った自分へ亮牙が心肺蘇生を施したのだが、口づけをされた事が嬉しくてそのまま熱いキスを返したら、興奮のあまり彼が高熱を出して気絶してしまったのだ。

 更にその場にブルックの住民であるクリスタルベルやソーナが居合わせたことから、自分達がブルックの町から一日ほどの場所に出たと判明し、彼らの好意に甘えて馬車に便乗させて貰い、ブルックに寄って行く事にした。

 その前に亮牙の熱を冷まそうと泉の水をかけまくったのだが、一向に熱が冷めなかったので、ユエの『凍柩』で彼を丸ごと凍り付けにして連れて行った。ブルックに着いた頃にはすっかり熱も冷めていたので解凍し、以前と同じ部屋割りでマサカの宿に泊まり、彼が目覚めるまで暫く看病していた、と。

 

「…そうか、そうだったな。我ながら面目ない…。ところでお前は、胸とかに痛むところはないか?強く心臓マッサージしたから、肋骨とかにダメージがあるかもしれんし…」

「アハハハ、大丈夫ですよ。…それよりも亮牙さん、聞きたい事があるんですが…」

「ん、どうし――」

 

 どうしたと尋ねようとして、シアに視線を向けた亮牙は一瞬硬直し、顔を赤らめた。

 今のシアは時間が時間なだけに寝巻き姿だったのだが、クリスタルベルの店で購入した、パステルカラーの緑色のベビードールにパンティという姿だったのだ*1。僅かな布面積のそれから覗かせる胸の谷間や滑らかな素肌が、その白髪の長髪と共に月明かりに照らされ、彼女の妖艶さを引き立てていた。

 そんな彼の様子にシアは嬉しそうに微笑みながら、話を続けた。

 

「お昼のことです。真っ赤になって気絶しちゃったのはびっくりしましたけど、亮牙さんの可愛い一面も知れて良かったです。興奮しちゃったって事は私とのキス、嬉しかったんですね?」

「………………………まあな、嬉しかったよ////」

 

 顔を真っ赤に染めながらも、誤魔化せないと悟った亮牙は照れ臭そうにそう答えた。それを聞いたシアはキューン♡となり嬉しそうに頬を赤らめた。

 

「むふふふふっ、遂に亮牙さんが私にデレてくれました!流石の歴戦の戦士も、絶世の美少女たる私の色気には敵わなかったみたいですねぇ〜。もうっ、照れちゃいますぅ〜」

「…だから調子に乗る癖を治せっての。此処からは俺も聞きたいことがあるんだが、いいか?」

「えっと、何でしょう?」

「………本当に、俺みたいな男で構わないのか?」

「えっ?」

 

 そう言われてキョトンとなるシア。対して亮牙は何時もとは違い、何処か不安げな様子であった。

 

「俺の過去は話したよな?俺にはかつて妻子がいた。だが夫として、父親として、肝心な時にあいつらを守る義務も果たせず、今もこうして自分だけ伸う伸うと生きている駄目な男だ。命を懸けてお前を守り抜いてきたカムとは違ってな…」

「亮牙さん…」

「それに俺の本来いた世界では、俺達のような金属生命体は『生物』ではなく『機械』、この世界でいうアーティファクトと同じ扱いで見られている。大抵の地球人はそういった目で見てくるだろうな。それこそ俺なんかと交際したら、そういった連中からお前まで嘲笑され、辛い目に遭わせてしまうかもしれん…」

「……」

「此処までの旅で、お前は俺の想像以上に頑張り、弱音も吐かず、遂には神代魔法まで獲得した。そんなお前の一途で真っ直ぐな姿に、今まで感じた事のないぐらい惹かれてるんだ。…だからこそ、俺みたいなのじゃかえってお前を不幸にさせるんじゃないかっていう不安が拭えないんだ。お前はまだ若いし、もっと良い出会いがあるんじゃ――」

「そんな事ないですよ」

 

 自嘲するかのようにポツポツと告げる亮牙の言葉をそう言って遮り、シアは両手で優しく彼の手を握った。

 

「私が貴方を好きになった理由は、前にも言いましたよね?あの日、貴方は私の命と心の両方を救ってくれた。そんな貴方の心優しさに、私は惹かれたんです」

 

 そう、あの運命の出会いの日、最早絶対絶命だった自分に救いの手を差し伸べてくれたのが彼だ。己に出来る全力を以って自分達を守り抜いてくれた。周囲と違うというコンプレックスに苦悩していた自分に、希望の光を照らしてくれた。

 だからこそ、今度は自分が彼を助ける番だ。苦しい時はそばに寄り添い、彼の心の支えになってあげたい。

 

「それに、未来はまだ何も決まってはいません。自分の幸せは自分で掴むものです。私は亮牙さんと出会えたことに後悔なんてありませんし、これから何が待ち受けていても立ち向かうまでです。ですから、そんなに自分を卑下しないでください…」

 

 優しく微笑みながらそう告げるシア。亮牙の瞳から、一雫の涙が流れた。

 

「すまん…。人間になってから、どうも涙脆くなっちまってな…」

「それは亮牙さんにちゃんと『心』があるからです。貴方が『物』なんかじゃない証拠ですよ」

 

 亮牙は涙を拭うと、目の前の少女に向き直った。

 

「…いいのか?俺はカムの何万倍も年上の老いぼれだぞ?」

「歳の差なんて私は気にしませんよ。それなら、ハジメさんとユエさんだってかなりの歳の差じゃあないですか?」

「フフッ、今思い返せばそうだな…」

 

 そう苦笑した後、彼はシアの目を真っ直ぐ見つめて口を開いた。

 

「昼間の件、俺はお前を失うと思ってとても怖かった。だがそのおかげで、漸く自分の想いに気づけた…。シア、俺もお前が好きだ。俺の方こそ、この先ずっとそばに寄り添ってほしい。…バツイチの駄目な男だから色々迷惑をかけるかもしれないが、構わないか?」

「はい、私で良いなら、喜んで!」

 

 そう答えたシアは嬉しそうに涙を流して抱きつき、亮牙も彼女を優しく抱き抱えた。それから二人は暫くの間抱き合うことで、お互いの想いを再確認したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暫くの抱き締め合った後、亮牙が顔を赤らめながらシアに話しかけた。

 

「シ、シア。そ、そろそろいいか?む、胸の感触が…////」

 

 それを聞いたシアは少し顔を赤らめつつも、悪戯っぽく微笑んだ。

 

「もうっ、亮牙さんたらおっぱいおっぱいって赤ちゃんみたいですよ。すっかり私の色気にメロメロですね?」

「ご、ごめん…////」

「フフフ、でしたらお詫びに身体で払ってもらいましょうか?私も亮牙さんと、したいですもん////」

 

 その言葉に遂に理性のタガが外れ、亮牙はシアを優しく押し倒し、彼女も逆らう事なくストンとベッドに横になった。

 

「これ以上誘惑されては、俺も我慢出来んな。いいかな?」

「勿論、いいですよ♡」

 

 その言葉を最後に、二人は口づけを交わし、静かに一つとなって愛を交わすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

*1
HMV購入特典のBlu-ray全巻収納BOXの書き下ろしイラストをイメージして下さい




本作を書き始めた理由は、実写グリムロックを主人公とした作品を書きたかったのに加え、ありふれ二次創作では大抵シアがハジメと結ばれていたので、オリ主と結ばれる作品がもっと増えたらいいなという想いから始めました。
最初はここまで来れるか心配でしたが、多くの読者の方々の応援もあり、遂にここまで来れました。誠にありがとうございます。

なお、本話で二章開始から始めたアンケートは締め切りとなります。多くの投票、誠にありがとうございます。

また、アンケートの結果を参考に三章以降のストーリー展開を考える為、暫く筆安めに入らせて頂きます。11月中には戻ってきますので、暫くの間お待ちして下さると幸いです。

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