グリムロックは宇宙最強   作:オルペウス

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もし500件突破したら、記念にR18作品で主人公とシアのイチャラブでも書いてみようかな。

MPサンダークラッカー、タカラトミーモール限定か…。ラクトナイトと一緒に買おうかな。


ドMとマザコン

 亮牙にペチャパイ呼ばわりされ、怒り狂ったユエと愛子が漸く落ち着きを取り戻すと、一行はウィルとティオから何があったのかを聞いた。

 

 まずは被害者であるウィルの方からだ。

 彼らは五日前、亮牙達と同じ山道に入り五合目の少し上辺りで、突然ブルタール10体と遭遇、流石にその数の連中と遭遇戦は勘弁だと撤退に移ったが、襲い来るブルタールを捌いているうちに数がどんどん増えていき、気がつけば六合目の例の川で囲まれてしまった。

 包囲網を脱出するために盾役と軽戦士の二人を犠牲にしつつも、追い立てられながらも川沿いに出るや否や、前方に現れた竜形態のティオが特大のブレスを吐き、その攻撃でウィルは吹き飛ばされ川に転落、流されるまま滝壺に落ち、偶然見つけた洞窟に進み空洞に身を隠していたらしい。

 彼が流されながら見た限りでは、そのブレスで一人が跡形もなく消え去り、残り二人も後門のブルタール、前門のティオに挟撃されていたという。

 

 次に下手人であるティオに話を聞くと、とある男に操られ、ウィル達を見つけて殺せと命じられ、亮牙達に牙を向いたのは本意ではないらしい。

 彼女は、異世界からの来訪者について調べると言う目的のため、竜人族の隠れ里から叔父と共にやって来たそうだ。詳細は省かれたが、竜人族の中には魔力感知に優れた者がおり、数ヶ月前に大魔力の放出と何かがこの世界にやって来たことを感知したとの事だ。

 竜人族は表舞台には関わらないという種族の掟があるらしいのだが、流石にこの未知の来訪者の件を何も知らないまま放置するのは、自分達にとっても不味いだろうと、議論の末に調査の決定がなされ、一族の中でも高い実力を持つティオと叔父が派遣された。

 本来なら、山脈を越えた後は人型で市井に紛れ込み、竜人族であることを秘匿して情報収集に励むつもりだった。だがその前に一度しっかり休息をと思い、叔父が偵察に出ている間にティオはこの一つ目の山脈と二つ目の山脈の中間辺りで、竜人族の代名詞たる固有魔法『竜化』により黒竜状態となって休んでいた。

 だが睡眠状態に入ったティオの前に、一人の黒いローブを頭からすっぽりと被った男が現れ、眠る彼女に洗脳や暗示などの闇系魔法を多用して徐々にその思考と精神を蝕んでいった。当然、そんな事をされれば起きて反撃するのが普通だが、例の諺の元にもなったように、竜化して睡眠状態に入ったら尻でも蹴飛ばさない限り起きないという竜人族の悪癖が仇となった。それでも竜人族は精神力においても強靭なタフネスを誇るので、そう簡単に操られたりはしない筈だった。だが、その男は闇系統の魔法に関して天才レベルで、丸一日かけて間断なく魔法を行使された結果、完全に洗脳されてしまったらしい。

 ティオはその失態に一生の不覚!と言った感じで悲痛そうな声を上げた。だが、「仕事ほっぽり出して丸一日爆睡していたバカに言われてもな」と亮牙に一蹴され、他の皆もバカを見るような目で見られ、彼女は視線を明後日の方向に向けると、何事もなかったように話を続けた。

 洗脳後は男に従い、二つ目の山脈以降で魔物の洗脳を手伝わされていた中、一つ目の山脈に移動させていたブルタールの群れが、山に調査依頼で訪れていたウィル達と遭遇し、目撃者は消せという命令を受けていたため、これを追いかけた。うち一匹が男に報告に向かい、万一、自分が魔物を洗脳して数を集めていると知られるのは不味いと万全を期して、ティオを差し向けたらしい。

 そして亮牙にフルボッコにされて洗脳が解けた彼女は、事情を説明しようとするも無視され、散々噛みつかれて焼かれ、身体を舐め回された挙げ句、滝壺へと吐き出されたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、今更ながら、何たる所業よ。妾、結構美人じゃと思うのに、人の姿になっても容赦せんし…。おまけにお主、妾の身体をいやらしく舐め回──あひぃぃぃぃぃぃん♡」

 

 捕食者の本能に目覚めて血の味を楽しんでただけなのに、性犯罪者みたいな言われ方をされてムカッとした亮牙は、此方を向いて話していたティオの背を自分に向けさせたかと思うと、思い切りバシィン!と彼女の尻を引っ叩いた。

 常人なら下半身が吹き飛ばされている亮牙の剛腕だが、耐久値が高い竜人族のティオにとっては普通に尻を引っ叩かれた程度で、嬉しそうに嬌声を上げた。そんな彼女を指差して、亮牙は仲間達に話しかけた。

 

「見ろよ皆。モノホンのマゾヒストだぜ」

「「ちょっ!!?堂々と指差すな(んじゃありません)!!!」」

「ん、マゾヒストって何?」

「俺スラッグ、確か痛めつけられるのが好きな奴のことだったと思う」

「確かにそんな感じですぅ…」

「ぶ、無礼者!妾にそんな趣味はない!大体竜人族は痛いと感じる経験もそもそも殆ど無いのだぞ!」

「五月蝿ぇ」

「ああ〜ん♡」

 

 再び尻を叩かれ、AV女優の若く嬌声を上げるティオ。仲間達がドン引きする中、亮牙は無視して話を続けた。

 

「取り敢えず下山するぞ。黒幕が何故魔物達を操ってるのか解らんし、こっちは足手纏いが二人もいるからな」

「ち、ちょっと待つのじゃ!まだ魔物の数とか、その男の事とか…」

「何だよ、覚えてるならさっさと言えよ」

「そ、そう言われてもの〜う。妾とて嫁入り前の乙女じゃと言うのに、こうも酷い目に遭わされて──」

「なら結構。元々俺達の仕事じゃねえからな」

「ま、待つのじゃ!ほら、さっきみたいに無理矢理拷問にかけたら、妾きっと教えるぞ!」

「俺は戦い好きだが拷問好きの変態じゃねぇ!さっさと街に戻──」

 

 そうキラキラと期待した目を向けてくるティオに対して、亮牙は巫山戯るなと一蹴する。遥か昔、メガトロナスの直属部隊に拷問大好きの部隊がいたが、あんな連中と同類扱いなど御免被る。

 彼はさっさと下山しようとするが、逃すものかとティオは彼の腕を掴んだ。

 

「な、ならば…」

「あ?またやんのか?」

「わ、妾の胸を揉ませてあげるのじゃ!いや、揉んでください!」

 

 そう言って掴んだ亮牙の手を、自身の豊満な乳房へと引っ張っていくティオだったが…

 

「私の恋人に卑猥な事するんじゃね〜ですぅ!!!」

「ぐふぅ〜‼︎」

 

 そうはさせるものかとシアが飛び出して、容赦なく飛び蹴りを喰らわせた。ティオは地面にめり込み、ビクンビクンと手足を痙攣させた。

 

「私よりおっぱいが大きいからって、調子に乗らないでください!亮牙さんには、私のおっぱいだけで充分ですぅ!」

 

 そう言ってプンプンと怒りながらシアは亮牙を抱きしめ、自慢の巨乳に彼の顔を埋めさせながら、ティオにべー!と舌を出した。

 一方の亮牙だが、ティオの爆乳を揉んでみたかったと言う残念な気持ちも少しあったが、今は恋人の巨乳の柔らかい感触を思う存分堪能していた。愛子は相変わらず「破廉恥です‼︎」と怒っていたが。

 

「…巫山戯てる場合ですか‼︎」

 

 すると、今まで蚊帳の外だったウィルの怒声が響いた。シアに蹴飛ばされてピクピクと痙攣するティオを、彼は怒りを込めた瞳で睨みつけていた。

 

「操られてたかどうか知らないけど、ゲイルさん、ナバルさん、レントさん、ワスリーさん、クルトさんは此奴に殺されたのは事実ですよ‼︎ゲイルさんは、この仕事が終わったらプロポーズするんだって…。彼らの無念を考えれば、今すぐこの場で殺すべきですよ‼︎」

 

 ウィルのその言葉に、愛子はどう言えば良いかオロオロするが、

 

「知るか。俺達にとっては赤の他人だ。それに連中もプロである以上、仕事中に殉職する覚悟は出来てただろうよ。テメェと違ってな」

 

 亮牙は容赦なくそう一蹴した。未だシアの谷間に顔を埋めたままという締まらない姿でだが。

 彼の言う通り、今回死んだ冒険者五人は、亮牙一行とは何の接点もなく、どんな奴だか知りようもない。とは言えイルワが選び、足手纏いであるウィルの命を守り切った点からして、冒険者としては相当優秀だったのは明白だ。当然、万が一の際は死も覚悟していただろう。

 ハジメ達四人も同じ考えのため、亮牙の主張に口出しするつもりはなかった。そのあまりにも正論だが冷酷な一言にウィルは固まり、それでも何か言おうとした。

 そんな態度に苛立った亮牙は、シアの谷間から顔を出すと、宝物庫のポーチからナイフを取り出し、ウィルの手を掴んで握らせた。

 

「そんなに憎けりゃテメェでケリつけろ。今ならテメェみてえなカスでも殺せるしな」

 

 そう言われたウィルだが、戸惑うように「え、あ…」と声を漏らし、握らされたナイフを青褪めた顔で見つめていた。

 愛子は止めさせようと叫ぼうとしたが、ハジメが制した。これは部外者が簡単に口出しして良い問題ではないのだ。

 

「さっさとしろよ。ソイツをぶっ殺したくて堪らないんだろ?まさか、獣だと思ってたら人の姿になったもんで、人殺しにはなりたくないとでも言う気か?」

「い、いや、私は…。も、もし反撃した時に備えて貴方が──ぐふっ!!?」

 

 貴方が代わりに殺してください、そう言おうとしたウィルの頬を亮牙はぶん殴った。無論、肉片にならないようか〜な〜り加減して。

 ウィルは口から血を流してナイフを落とすと、涙目で頬を押さえた。だが亮牙は容赦なく、彼の胸倉を片手で摘み上げた。

 

「貴族だからって誰もが言うこと聞いてくれると思ったら大間違いだぞ。散々粋がってたくせに力はねぇ、覚悟もねぇ、つくづく情けねぇ野郎だな」

「わ、私はただ…」

「確かにその五人を殺したのはコイツだが、連中が死んだのはテメェのせいでもあるだろ。支部長のチャングが厳選したってことは相当のプロだ。足手纏いのテメェさえいなけりゃ、全滅する事なく撤退できた筈だ」

「そ、そんな…」

「俺のモットーはな、『勝者達の間に弱者の割り込む余地はない』だ。だからテメェみたいに口だけ達者な弱者は大嫌いなんだよ。命を奪い合う覚悟もねえ腰抜けは、偉そうな事吐かさずただ怯えてろ」

 

 亮牙は心底侮蔑のこもった瞳でウィルを睨みながら、そのまま彼の胸倉を離してそう吐き捨てた。ウィルは何も言えず、その場に力なく座り込んだ。

 そんな彼に最早見向きもせず、亮牙は倒れたままのティオに声をかけた。

 

「おい、いつまで狸寝入りしてるんだ。このガキの報復も受け入れるつもりだったんだろ?」

「…うむ。その童の怒りも尤もじゃ。死ぬわけにはいかんが、一太刀ならば受け入れるつもりじゃった。だが、さっき話したのは真実じゃ。竜人族の誇りにかけて嘘偽りではない」

 

 ムクリと起き上がるとそう告げるティオを見つめながら、ユエが口を開いた。

 

「…なら、嘘じゃない。竜人族は高潔で清廉。私は皆よりずっと昔を生きた。竜人族の伝説も、より身近なもの。彼女は『己の誇りにかけて』と言った。なら、きっと嘘じゃない。それに嘘つきの目がどういうものか私はよく知っている」

「ふむ、この時代にも竜人族のあり方を知るものが未だいたとは…。いや、昔と言ったかの?」

「…ん。私は、吸血鬼族の生き残り。三百年前は、よく王族のあり方の見本に竜人族の話を聞かされた」

「何と、吸血鬼族の…。しかも三百年とは…。なるほど死んだと聞いていたが、主がかつての吸血姫か。確か名は…」

「…今はユエと名乗ってる。大切な人に貰った大切な名前だから、そっちを使ってくれると、今は嬉しい」

 

 薄らと頬を染めながら両手で何かを抱きしめるような仕草をするユエ。彼女にとって竜人族とは正しく見本のような存在だったらしく、話す言葉の端々に敬意が含まれていた。ティオの言葉を肯定したのも、その辺りの心情が絡んでいるのかもしれない。

 ここまで言われては最早ウィルには何も言える事などなかった。そんな様子に、ハジメは仕方ないと溜息を吐き、遺留品のペンダントを取り出した。

 

「ウィルさん、これはゲイルって人の持ち物ですか?せめてそれを遺族に渡してあげてください」

 

 そう言って彼は、取り出したロケットペンダントを放り投げた。ウィルはそれを受け取ると、マジマジと見つめ嬉しそうに相好を崩した。

 

「これ、僕のロケットじゃないですか⁉︎失くしたと思ってたのに、拾ってくれてたんですね!ありがとうございます!」

「あれ?君のだったの?」

「はい、ママの写真が入っているので間違いありません!」

「マ、ママ?」

 

 予想が見事に外れた挙句、斜め上を行く答えが返ってきて、ハジメは思わず頬が引き攣った。

 写真の女性は20代前半で、その事を尋ねると、「せっかくのママの写真なのですから若い頃の一番写りのいいものがいいじゃないですか」と素で答えられた。

 

「マゾヒストの次はマザコンかよ…」

 

 ドン引きした表情の亮牙の言葉は、その場の全員の総意であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 取り敢えずウィルも先ほどより落ち着いたので、下山の準備をしようとする亮牙だったが、愛子が待ったをかけた。

 

「ち、ちょっと待ってください灘君!ティオさんで宜しかったですか?そのローブの男について教えて頂いても宜しいでしょうか…?」

「うむ、そうじゃったな…」

 

 亮牙達にとっては依頼範囲ではないのだが、仕方ないのでそのままティオの話の続きを聞くことにした。黒ローブの男は群れの長だけを洗脳することで効率よく魔物の数を増やしていき、彼女が最後に見た限りでは千単位の魔物を洗脳し、その大群でもって町を襲うつもりらしい。

 最初、その黒ローブの男は魔人族かと思われたが、ティオによるとその正体は黒髪黒目の人間族で、まだ少年くらいの年齢だったというのだ。それに竜形態の彼女を配下にした際、「これで自分は勇者より上だ」等と口にしていたらしい。

 黒髪黒目の人間族の少年で、洗脳系の魔法が使える闇系統魔法に天賦の才がある者。ここまでヒントが出れば、流石に一人の男が容疑者に浮かび上がる。

 

「成る程、お探しの泥水とやらが、今回の騒動の黒幕だったか」

「清水君ですよ!でも、何で彼がそんな事…」

「無理もねえよ。唯でさえ神の使徒だと煽てられてた中、俺への殺人未遂が事故として片付けられたんだ。自分達は偉いんだから何をしても許される、なんて増長する輩が出てくるに決まってる」

「うっ、確かに、檜山君の件がありますからね…」

 

 愛子は本来なら生徒の仕業ではないと信じてあげたかったものの、亮牙にそう言われ、様々な状況証拠も重なり、否定する事が出来なかった。

 

「ふむ。妾が聞いた限りでは、其奴は勇者を毛嫌いしておるみたいじゃったが…」

「生憎、召喚された中で勇者の天職持ってたのは一人だけだ。だから一番贔屓されてたし、それを妬んだんだろうよ」

「あれほどの使い手が妬むとは…。その勇者は余程強いのか?」

「只のカカシだ。お前なら取り巻き諸共、瞬きする間に皆殺しに出来る」

「…そ、そんな弱者にこの世界が救えるのか?」

「さあな。道化みたいな奴だし、笑いで世界を救うんじゃねえか」

 

 そんな事を亮牙とティオが話していると、突然ハジメが遠くを見る目をして「おお、これはまた…」などと呟きを漏らした。ティオの話を聞いてから、彼はテラクサドン達を回して魔物の群れや黒ローブの男を探しており、遂に一体がとある場所に集合する魔物の大群を発見したのだ。

 

「事態はもっと深刻だよ。見た限りじゃあ、一万ってレベルだ…」

 

 ハジメの報告に全員が目を見開いた。しかもどうやら既に進軍を開始しているようで、間違いなくウルの町がある方向を目指している。このまま行けば、半日もしない内に山を下り、一日あれば町に到達するだろう。

 

「は、早く町に知らせないと!避難させて、王都から救援を呼んで、それから、それから…!」

 

 事態の深刻さに、愛子が混乱しながらも必死にすべきことを言葉に出して整理しようとした。いくら何でも数万の魔物の群れが相手では、チートスペックとは言え戦闘経験がほとんどない愛子、駆け出し冒険者のウィルに、まだ魔力が全快したわけではないティオでは相手どころか障害物にもならない。ウルで待機してるであろう優香達もトラウマを持っているので、戦力外なのは明白だ。

 なので彼女の言う通り、一刻も早く町に危急を知らせて、王都から救援が来るまで逃げ延びるのが最善だ。そんな中、ふとウィルが呟くように尋ねた。

 

「あの、亮牙殿なら何とか出来るのでは?」

 

 彼の言葉に愛子とティオが亮牙を見つめた。確かにティオを一方的にぶちのめした亮牙なら、例え万の魔物が相手だろうと殲滅できるだろう。更に一行には、同じ実力を誇るスラッグに、ハジメ・ユエ・シアも人類最強クラス、更には神水で完全復活したティオもいる。

 期待の籠もった瞳で見つめられる亮牙だったが…

 

「知るか。俺は命令されるのは嫌いだ」

「俺スラッグ、何でもかんでも嫌いだ」

 

 どこまでも我が道を行く、マイペースなダイナボット達であった。

 そんな中、思いつめたような表情の愛子がハジメに問い掛けた。

 

「南雲君、黒いローブの男というのは見つかりませんか?」

「ん?いえ、さっきから群れをチェックしているんですが、それらしき人影はないですね」

 

 返ってきた答えに、愛子はまた俯いた。そして、ここに残って黒いローブの男が本当に清水なのかどうかを確かめたいと言い出した。生徒思いの愛子の事だ。このような事態を引き起こしたのが自分の生徒なら放って置くことなどできないのだろう。

 そんな愛子を見て、亮牙は溜息を吐くと、彼女の額にデコピンを喰らわせた。

 

「あいたっ!!?何するんですか灘君‼︎」

「馬鹿な事言ってんじゃねえ。無力なアンタが残ったところで何が出来る?聖女マルタのタラスク退治みたいな真似が出来るとでも言うつもりか?」

「で、でもっ…!」

「取り敢えず落ち着け。一旦街に戻って伝えるのが先決だろ。宿のオーナーには一宿一飯の恩があるし、それくらいの義理は果たすさ」

「わ、分かりました…」

「まぁ、ご主じ……コホンッ、彼の言う通りじゃな。まずは町に危急を知らせるのが最優先じゃろ。妾も一日あれば、だいぶ回復するはずじゃしの」

 

 そう言われ、愛子は渋々ながらも納得した。清水への心配は一時的に押さえ込んで、まずは町への知らせと、そこで待っている優香達の安全の確保を優先することにした。

 それに後押しするようにティオが言葉を投げかけた。若干、亮牙に対して変な呼び方をしそうになっていた気が、敢えて皆スルーした。

 

「よし、じゃあ町に戻ろうか。パイロで飛ばせば何とかなるだろうし」

「いや、必要ねえよハジメ」

「え、どうするのさ亮牙?」

「俺とスラッグが飛んでく。その方が速いし、町の連中も危機感が増して避難も捗るだろ」

「俺スラッグ、グリムロック頭良い」

 

 そう言うと亮牙はグリムロックに戻り、スラッグもロボットモードになる。ティオやウィルはまたギョッとなっていたが、愛子は最早驚くのも疲れた様子だ。

 グリムロックが掌にシアと愛子を、スラッグが掌にハジメとユエを乗せ、何故かウィルはロープで縛られてスラッグの片足に繋がれていた。

 

「ち、ちょっと待って欲しいのじゃ!わ、妾はどうするつもりじゃ⁉︎」

「は?叔父と来てるんだろ?ならソイツと再開すれば良い話じゃねえか…」

「い、いや〜、出来れば妾も町まで連れてって欲しいのじゃが……って嫌そうな顔!!!」

 

 自分もウルまで連れて行って欲しいと言うティオに、凄く嫌そうな顔をするグリムロックだったが、シアや愛子の説得もあり、渋々ながらも連れて行くことにした。

 但し、スラッグの足に繋がれたウィルと同様に片足に彼女を繋いでだ。おまけに何故か、亀甲縛りでティオの肢体を強調する形で。

 

「ななな灘君!何であんな破廉恥な縛り方するんですか⁉︎」

「え?ハジメの読んでた本じゃ、女はああやって拘束するって書いてあったぞ」

「ちょっと亮牙⁉︎それエロ本だから‼︎ってか人の恥ずかしい秘密暴露しないでよ⁉︎」

「こ、この縛り方、凄く興奮するのじゃ…!でも何だか良い……じゃなかった、嫌な予感がするんじゃが…」

「よーし、行くぞスラッグ」

「俺スラッグ、分かった」

 

 ティオが何か嘆いていたが、グリムロックは相手にせず、スラッグと共に地面を蹴り上げて空へと飛び立った。今の二人は重力魔法のおかげで自在に身体を軽く出来るため、まるでオプティマスのように飛行も可能となったのだ。

 二人の掌に乗ったハジメ・ユエ・シア・愛子は大丈夫だが、足に繋がれたウィルとティオは堪ったものじゃない。

 

「マ、ママ〜!!?」

「のじゃぁあああ〜っ!!?」

 

 凄まじいスピードに、ウィルはまるでス○夫みたいな悲鳴を上げ、ティオも絶叫しつつも恍惚の表情を浮かべていた。そんな感じで一行は、背後に魔物の大群という暗雲を背負い、急ぎウルの町へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな彼らの様子を、金属で出来た小さな虫が密かに監視していた。虫は彼らが飛び去るのを確認すると、この事を主人に報告するために飛び立った。

 

 

 

 

 




〜用語集〜
・拷問大好きの部隊
元ネタはMTMTEに登場するディセプティコンの憲兵隊ことDJD。
狂信者&サイコキラーと言う、凄まじい軍団である。

・只のカカシだ、瞬きする間に皆殺しに出来る
シュワちゃん主演『コマンドー』の悪役ベネットの、素人丸出しの部下達に対しての評価。
因みにベネットの吹替は、『V』のデスザラスを演じた青野武氏や『アニメイテッド』のメガトロン役の若本規夫氏が担当している。

・嫌そうな顔
ONE PIECEにおけるおでん様の嫌そうな顔をイメージしてください。

・ダイナボットの飛行
G1でダイノボット達がロボットモードで飛行可能なことから、重力魔法を手にした本作では飛行可能としました。





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