グリムロックは宇宙最強   作:オルペウス

59 / 105
モンスターバース第4作『ゴジラVSコング』、遂に日本公開日が決定!
まさか自分の誕生日に近い日にやるとは思いもよりませんでした(笑)
個人的にはコングに勝ってほしいなぁ。

そしてお待たせしました!遂に彼の登場です!




操られし双頭竜

 ピンチの愛子のもとに間一髪のところでシアが駆けつけ、アックスモードとなったテラクサドンを投擲してレーザービークの右翼を斬り落とした。

 菅原に噛み付いていたラヴィッジは、仲間を助けようとシアに飛びかかったが、同じく駆けつけたスラッグがロボットモードに変身すると、文字通りの鉄拳を振り落とした。流石のラヴィッジも体格差には敵わず、一撃で撲殺されてしまった。

 レーザービークが痛みに悶絶する中、シアは愛子のもとへと駆け寄った。

 

「ボーとしないでください!死にたいんですか⁉︎」

「…………死なせてください」

 

 だが、当の愛子は力なくそう答えた。亮牙達に戦いを強要した挙句、この騒動が自分を殺害する為だったと聞かされて罪悪感が増していた中、司祭が殺され、清水やデビッド達も既に殺されていた事実を知ってしまい、耐えられなくなってしまったのだ。特に清水から裏切られていた事から、教師としての誇りを完全にへし折られてしまった。

 絶望して自暴自棄となる愛子だったが、シアは彼女の頬をパァン!と叩き、立ち上がらせた。

 

「勝手に何言ってるんですか⁉︎亮牙さんが今も貴方達を守る為に戦ってるのに、守られてる貴方がそんな事抜かすんじゃねーですぅ!!!」

「で、でも私のせいで…⁉︎」

「でもも糸瓜もありません!あの亮牙さんが貴方の事を認めてくれてるのに、そんな情けない事言って!戦いがおわったら、亮牙さんからきつ〜く叱ってもらいますからね!!!」

 

 シアにとって愛子は、亮牙から一目置かれており、おまけに幼馴染みたいに仲良く喧嘩する姿から、少しヤキモチを焼いていたのは事実だ。それでも、大切な恋人が「認めている」存在として、彼女自身もまた一目置いていた。だからこそ、戦って欲しいと彼に懇願した彼女がそんな発言をするなど、許せる筈もなかった。

 一方、右翼を切断されて痛みに悶絶していたレーザービークだったが、漸く落ち着きを取り戻すと、今も愛子を立たせようとしているしあを睨みつけた。その目は、激しい憎悪と殺意に満ちていた。

 

「この毛玉野郎がぁ‼︎ぶっ殺してやらぁ!!!」

 

 そう叫ぶと、彼は腹部から展開したアサルトライフルをシアに向けた。彼女に発砲しようとした次の瞬間、突如として彼の身体中に凄まじい圧迫感が襲いかかった。

 圧迫感の正体はスラッグだった。レーザービークがライフルを展開した瞬間、まるで羽虫でも摘むかのように右手の親指と人差し指で摘み上げたのだ。そのあまりの体格差から、まさに人間が小蝿を摘んでいるような光景だった。

 

「グゲェェェ…⁉︎ボ、ボス、助け──」

「俺スラッグ、黙れ」

 

 苦しみ悶えながらも直属の上官に助けを呼ぶレーザービークだったが、遅すぎた。スラッグは指に力を込めると、そのままこの小型ディセプティコンを押し潰してしまったのだ。彼のボディは羽虫のように潰されてバラバラとなり、そのまま地面にパラパラと落とされた。

 前世と同じく、何とも呆気ない最期であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、トータスの外気圏より更に上の宇宙空間。亮牙一行がフューレンに来た時に絡んできた悪徳貴族プーム・ミンの死骸がスペースデブリとして漂っている中に、何かがいた。

 一見すると人工衛星に見えるが、このトータスにそんな物ある筈がない。おまけに人工衛星にしては有機的なフォルムだし、極め付けに顔があるのだ。

 その正体は、レーザービークとラヴィッジの主人にして、ディセプティコン情報参謀・サウンドウェーブだ!

 彼こそレーザービークがボスと呼ぶ存在であり、山脈地帯でデビッド達を尋問した張本人だ。アストロトレイン達が奇襲の際に使用したスペースブリッジも、彼の仕業である。

 現在はこのサテライトモードとなって、宇宙からこの攻防の一部始終を見ていたのだが、たった今レーザービークからの救難信号が入ったかと思うと、彼とラヴィッジの生命反応が途切れた。どうやら二体とも、敵に討ち取られてしまったようだ。

 

「…………作戦変更。『切り札』を導入する」

 

 直属の部下達の死にショックを受けつつも、彼は任務遂行のため、ある存在を参戦させようとスペースブリッジを展開するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして地上、北の山脈地帯にて、その『切り札』は待機していた。目の前にサウンドウェーブが展開したスペースブリッジが開いたのを赤黒く濁った四つの瞳で確認すると、彼は巨大な翼を広げて中に飛び込んだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、ディセプティコンの手によって改造されたレイスから愛子を守るために立ち向かった優香達。だが奮闘虚しく、男子三人は一撃で戦闘不能となり、優香自身もレイスの剛腕に捕らえられ、今まさに捕食されようとしていた。

 

「肉ぅ〜!食ってやるぅ〜!!!」

 

 血走った目で鼻息を荒げながら優香に食らい付こうとするレイス。本来彼は愛子の暗殺の為にディセプティコン達と共に此処へ訪れ、其処で出会った清水を言葉巧みに唆し、ウルの町ごと彼女を抹殺しようと目論んでいた。例え清水が成功しても失敗しても、最後は自分の手で始末するつもりで。

 しかし彼にとっても不幸な事に、敵側にはアストロトレインも一目置いている存在が二人もいた。そう、亮牙とスラッグだ。その二体はアストロトレインと捕まえた「切り札」で応戦するにしても、戦力がもう少しいるだろうと見做したディセプティコン達は、仲間が開発した薬品をレイスに注入し、現在の醜い姿に変えてしまったのだ。変貌後は抑えようのない食欲に苛まれ、清水やデビッド達の死肉を食らったもののまだ満たされず、現在こうして目の前の優香を新たな獲物に見定めたのだ。

 自分の手を汚さず愛子を殺害しようと企んだ結果、自分が醜い怪物にされてしまうとは何とも皮肉ではあるが、そんな事誰も知る由もなかった。

 

(私、此処で死んじゃうの…?愛ちゃんに何の恩返しも出来ず、南雲や灘に軽蔑されたまま…)

 

 一方、今まさに捕食されそうになっている優香の脳裏に浮かんでいたのは、オルクス第迷宮で味わったような死の恐怖ではなく、後悔であった。

 地球では冴えない奴と見做していたハジメにオルクスで助けられたものの、彼が亮牙を追って奈落に落ちたことにより一時無気力状態に陥ったものの、雫の侍女・ニアに諭され、ハジメの犠牲を無駄にしないために、そして自分を変えたいという思いもあり、愛子の護衛を買って出た。そしてこのウルの町でハジメと再会し、彼が生きていた事に心の底から安堵した。

 

(これが「天罰」なのかな…)

 

 だが当のハジメは、自分達の事を心底軽蔑していた。無理もないだろう。あの日、彼が奈落に飛び込んだのは、奈落に突き落とされた亮牙を助ける為だ。そもそも亮牙が墜落した事に関して、クラスメイト達は誰一人として悲しんですらいなかった。寧ろ、死んでくれて清々したと言わんばかりだった。

 優香自身も亮牙に関しては、流石に清々したとは思っていなかったが、特に何とも思っていなかったので、ハジメのように悲しんではいなかった。しかし、ハジメがあの時迷いもなく飛び降りた事、そして何より再会後の自分達への嫌悪感から、彼にとって大切な存在である事を理解できた。そんな大切な人を侮辱されれば、ハジメが自分達を憎むのも理解出来る。

 

「ごめんね南雲……ごめんね灘…」

 

 優香は涙を浮かべながら、ただレイスの口に放り込まれるのを黙って待っていた。ハジメや亮牙を蔑ろにしてきた罰が当たったのだと受け入れ、二人への謝罪の言葉を述べながら…。

 だがそうはならなかった。ドパンドパンという音が響いたかと思うと、急に自分を掴む敵の握力が弱まり、優香はドスンと地面に落とされた。

 

「な、何が…?」

「グボォアアアアッ…⁉︎」

 

 見ると、レイスは両手で腹を押さえて、地面に蹲っていた。口からは血反吐を吐き、押さえている腹からも出血していた。

 

「魔人族ってダークエルフみたいなの想像してたけど、オークかトロールみたいだな」

「…な、南雲?」

 

 そう呑気な声が後ろから聞こえ、優香が振り返ると其処にいたのは、ドンナーとシュラークを構えたハジメだった。どうやら彼がレイスの腹を撃ち抜き、自分を助けてくれたのだ。両手に握られた銃の銃口から煙を漂わせた姿は、まるで西部劇に出てくるガンマンだった。

 しかしレイスには致命傷とはならなかったようで、殺気だった目でハジメを睨みつけた。

 

「ウグゥウウウッ!俺の肉ぅ〜‼︎」

「五月蝿い!弾でも喰らえ!」

 

 だがその程度の殺気は、より凶暴な魔物やトランスフォーマーと戦ってきたハジメにとって、蚊に刺された程度にしか感じなかった。彼は容赦なくドンナーとシュラークの引き鉄を引き、性格無比にレイスの脳天と胸を撃ち抜いた。

 脳と心臓を一瞬で破壊されたレイスは、そのまま仰反るように仰向けに倒れた。手足は暫くビクンビクンと痙攣していたものの、やがて完全に動かなくなり、遂に冷たい骸と化した。

 敵が死んだのを確認し、ハジメは銃を下ろした。彼にとって初めてとなる「殺人」だったが、相手が最早人間とは言えない怪物に成り果てていたので、特に感じる事はなかった。そんな彼に、へたり込んでいた優香が声をかけた。

 

「な、南雲、何で私を…?」

 

 そう、彼女にはハジメが自分を助けた理由が分からなかった。自分達がしてきた事や、先程のやり取りを考えれば、無理もないだろう。

 

「分からないよ。僕もまだまだ甘いって事かな…」

 

 そうぶっきらぼうに返答するハジメを、優香は黙ったままだが、顔を赤く染めながら見つめていた。

 だが次の瞬間、上空から凄まじい勢いで何かが降り立った。それを見て二人はハッとなる。

 

「こ、今度は何なの⁉︎」

「クソッ、また敵の援軍か⁉︎それにあっちは…!」

 

 またしても敵が参戦した事にハジメは苦虫を噛み潰したような表情となり、更にそれが降り立ったのは愛子の方である事に気づき、慌てて駆け出した。敵が何者であれ、明らかにアストロトレイン並の大きさだ。スラッグがいるとは言え、こんな町中じゃ巨体の彼には分が悪い。下手をすれば町の住民を巻き込んでしまうだろう。

 

「ま、待って南雲‼︎」

 

 呆気に取られていた優香も、慌ててハジメの後を追いかけた。再び得体の知れない敵が現れたかもしれない事に、彼女は内心震え上がっていた。しかしあちらには守ると決めた愛子、親友である宮崎と菅原もいる。大切な人達の安否を確認すべく、彼女は恐怖を押し殺して現場へと急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 再びシア達に場面を戻そう。ちょうど上空から「切り札」が降り立つ直前だ。

 愛子の無事を確認したシアは、ラヴィッジに襲われて負傷した宮崎と菅原の看病をしていた。幸い、宮崎は足を撃たれていたものの弾は貫通せずに掠めただけで、菅原も腕を噛まれたが命に別状はなかった。彼女は亮牙から預かっていた宝物庫のポーチから神水の入った試験管を取り出して、二人に簡単な応急処置を施していた。

 

「よし、と。これで大丈夫です!」

「あの、シアさん、スラッグさん、南雲君は…?」

「ハジメ、向こうの敵の方行った。今片付けたって連絡来た。死人は出てない」

「じ、じゃあ優香っち達は無事なの?」

「俺スラッグ、だからそう言ってる」

 

 今なお意気消沈しながらも愛子がハジメは何処かと問うと、スラッグがぶっきらぼうにそう答えた。死者は出てないと言う答えに、優香達の無事を確認した愛子達三人は一先ず安堵した。

 シアとスラッグも、取り敢えず問題は解決した事に、少し気が抜けたようだ。

 

「俺スラッグ、敵が小さ過ぎて話にならない。グリムロックの援護行こうかな…」

「も〜、スラッグさん。そんな文句言わないでくださいよぉ〜。確かに、亮牙さんの援護に行った方が良いか──」

 

 苦笑しつつもシアがそう言いかけた時、再び「未来視」が何かを感じ取った。上空から巨大な何かが襲来し、愛子を踏み潰す光景だ。

 油断した。まだ戦いは終わっていない。

 

「皆さん逃げて‼︎上です‼︎」

 

 シアはそう叫ぶと、動けなかった愛子達三人を抱えて、その場から飛び退いた。対してスラッグは不完全燃焼だった事から、却って上等だと言わんばかりに上空を睨みつけた。

 上空には、アストロトレイン達の襲来した時と同様、青い光が現れた。どうやらまたディセプティコンがスペースブリッジを用いて襲ってくるようだ。スラッグはまだまだ楽しめそうだと不敵な笑みを浮かべたが、出現した者の正体を見極めた次の瞬間、その顔は驚愕の表情へと変わった。

 襲撃してきたのは、文字通り竜であった。猫又の如く二又に別れた尾に巨大な翼、そして二つの頭を持った双頭竜だ。全長は30mはあるが、細長い尾を除けば精々16m程と、グリムロックやスラッグのビーストモードに比べれば小柄だ。とは言えティオの竜形態よりは遥かに大きく、翼開長も40m近くもあり、正に空の王者と称しても過言じゃないだろう。

 但し、竜人族や普通のドラゴンと決定的に違うのは、その双頭竜の全身は青みがかった金属で構成されている事だ。これは明らかに、金属生命体であるトランスフォーマーの特徴だ。

 

「「ギャオオオオオっ!!!」」

 

 瞳を赤黒く濁らせたまま、雷鳴のような唸り声を上げて飛来する双頭竜。その正体はダイナボットの一人、狙撃戦士ストレイフだ!

 

「ストレイフ!!?何でお前が!!?」

 

 スラッグは驚愕しつつも、上空から急降下してきた永年の盟友に呼び掛けた。しかし当のストレイフは一切答えず、彼に向けて鋭い鉤爪の生えた両足を伸ばすと、そのまま勢いよく彼へとのし掛かった。その光景は、まるで猛禽類の狩りのようだ。

 

ドゴォオオオオオオオオッ!!!

 

「グゥウウウウウッ!!?」

「スラッグさん!!?」

「お、俺スラッグ、気にするな!そいつら、避難させろ!」

「は、はい‼︎」

 

 衝撃の余波で周辺の建物が半壊し、のし掛かられたスラッグは仰向けに倒され、頑強な表皮もストレイフの鋭利な鉤爪によって切り裂かれた。痛みに悶えながらも彼は、シアに急いで愛子達を連れて撤退するよう叫んだ。

 だが、当のストレイフは容赦なく、細長い割に鋭い牙の並んだ二つの口を大きく開いて、スラッグに噛みつこうとした。対してスラッグは、両手でそれぞれの喉元を抑えて必死に抵抗した。

 

「ストレイフ、何する⁉︎俺スラッグ、お前の仲間!忘れたのか⁉︎」

 

 スラッグは何故ストレイフが自分を攻撃するのか、そもそも何故ディセプティコンなどに協力するのか分からず、必死に彼の名を呼んだ。喧嘩好きの彼でも、久々の再会を果たした盟友とこんな戦いなどしたくはなかった。

 しかし、ストレイフは答えなかった。本来オートボットらしい青い光を放っていた彼の瞳は、まるで血走ったかのように赤黒く染まっており、口からは野獣の如く唾を垂らしていた。とても正気とは言えない状態だ。

 足の鉤爪が更にスラッグのボディに食い込み、その痛みから腕の力が緩んでしまった。その隙をつき、ストレイフの二つの顎が彼の頭と喉元に食らいつこうとした。

 

「止めるですぅ‼︎」

「させるか‼︎」

「「グギャアアアアッ!!?」」

 

 だが間一髪のところで、愛子達を安全な場所に避難させて戻ってきたシアが、雷神トールの戦槌ミョルニルの如くドリュッケンを投げつけた。ドリュッケンはスラッグの喉元に食らいつこうとしていた方の頭部に勢い良く直撃した。

 更にハジメも駆けつけ、宝物庫から取り出したオルカンを発射し、もう片方の頭部に命中させた。ストレイフの姿を確認した瞬間は、以前亮牙が見せてくれたダイナボットのメンバーがいる事にギョッとなったが、直ぐに冷静さを取り戻すと、火薬量を抑えたもので応戦した。

 予期せぬ頭部への攻撃にストレイフは一瞬怯んだものの、手酷いダメージとはならなかったらしく、四つの瞳でギロリと周囲を睨みつけた。

 

「「ギャオオオオッ!!!」」

「うぐぅっ!!!」

「「スラッグ(さん)!!?」」

 

 彼は甲高い唸り声を上げると、巨大な翼を広げた。そして、足に掴んだスラッグを抱えて飛び上がったのだ。

 ハジメとシアは止めようとしたが、下手に攻撃を仕掛けたらスラッグを巻き込んでしまう。おまけに、もし墜落したらその衝撃で町に甚大な被害が出てしまうだろう。二人が迷っているうちに、ストレイフは町内の教会にスラッグを叩きつけ、そのままどんどん上空へと飛翔していった。

 

『スラッグ、重力魔法を使って反撃して!町の外にソイツを出すんだ!』

 

 二体が上空高くまで上がると、ハジメは念話でスラッグに重力魔法を使って飛ぶよう指示を出した。そしてストレイフを町の外まで誘導し、そこで地上に落として戦えば町の中よりは暴れられるだろうと考えたのだ。

 

「俺スラッグ、分かった!ストレイフ、痛いだろうけど、許してくれ…!」

 

 ハジメの指示を理解したスラッグは覚悟を決めた。理由は分からないがこれ以上ストレイフが暴れるなら、手荒な手段を使っても止めるしかないと。

 彼は左腕から愛刀トレイルカッターソードを展開した。そして、それをストレイフの右翼に思い切り突き刺した。

 

「「ッ!!?グギャアアアアッ⁉︎」」

 

 右翼を凄まじい激痛が遅い、堪らずストレイフは悲鳴を上げた。それと同時に足の握力が弱まった隙をつき、スラッグは拘束を振り解くと、すぐさま重力魔法を発動した。そしてストレイフに掴みかかると、ウルの町から数百m離れた地点、グリムロックとアストロトレインが戦っている方とは反対側へと飛んでいき、彼を地上へと叩き落とした。

 ストレイフは地面に叩きつけられながらも、やがて赤黒い瞳を苛立たしげに光らせながら変形し、騎士に似たロボットモードとなる。両翼はマント、双頭は肩当てのように配置されている。体格でこそスラッグに劣るが、それでも身長は17mは超えているだろう。

 

「俺スラッグ、ストレイフがおかしいの、()()のせいか…?」

 

 同じく地上に降り立ったスラッグは、ふとストレイフの胸部に、本来の彼にはなかった筈の見慣れない物体が装着されている事に気づいた。外見はクリエーション・マトリクスに似ているが、毒々しい緑色の光を放っている。

 恐らく、あの物体が彼を操っているのだろう。仮に魔法か何かで洗脳されているのなら、ここまで攻撃を加えれば普通なら、グリムロックにコテンパンにされたティオみたく、痛みで目を覚ます筈だ。

 

「俺スラッグ、そんな変な物、ぶっ壊してやる!!!」

 

 スラッグはそう叫ぶと、両手に愛刀である二振りのトレイルカッターソードを構え、操られている盟友と向き合った。

 

 

 

 




〜用語集〜
・情報参謀サウンドウェーブ
 シカゴの惨劇で討ち取られたディセプティコンの高官。現在は『リベンジ』でのエイリアンサテライトモードとなっている。
 『ダークサイド・ムーン』のアメコミ版リーフ付属の小説『Convergence』で明かされた設定によると、遺物に封印されたザ・フォールンを解放したりなど、全ての元凶的な活躍をしてたらしい。
 作者個人は『リベンジ』のCVである郷里大輔氏のファンだったので、彼の急逝は当時はショックだった。

・翼を剣で突き刺す
 『パシフィック・リム』にて、ジプシー・デンジャーがオオタチを倒したシーンのオマージュ。
 流石に翼を斬り落としたらストレイフが可哀想なので、突き刺す程度に留めたけど(苦笑)

今更だけど、レーザービーク&ラヴィッジのファンの皆様、すみません(汗)
劇中みたくあっさり退場させすぎちゃったかも(苦笑)



感想・評価お待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。