なお、本作ではダイナボット達はG1シリーズのアニメと同様、サイバトロン星出身じゃないが故に、エネルゴン以外の物質も栄養源として摂取してエネルギーに変換できるという設定になっております。
メガトロナスの野望を打ち砕いて故郷である地球を守り切ったグリムロック達。彼らはプライム王朝より「ダイナボット」の名と自由を与えられ、自分たちの安息の地となる場所を求めて旅に出た。
あの戦いから何千年もの年月が流れた。ダイナボット達は自分たちの安息の地となる世界を求めて宇宙各地を巡り、ようやく理想的な惑星を見つけた。その惑星はかつて彼らが恐竜だった頃の地球をそのまま再現したかのような世界で、現住する生物たちも中生代当時の生物に酷似したものだった。
彼らはこの世界を気に入り、「ダイナボットプラネット」と名付け、移住することに決めた。無論、この惑星の現住生物に害とならないよう、共存の道を選んだ。
ダイナボットプラネットでの生活は暮らしは申し分なかった。かつて彼らが餌としていた動植物に似た生物も存在しており、更には石油や石炭といった天然資源も豊富であり、一般的なサイバトロン人と違ってエネルゴンなしでも生存できる彼らには最適な世界であった。生物たちもこの新たなる4体の住人達を恐れることなく、調和のとれた生活を送っていた。
だが、幸せは長くは続かなかった。
それからしばらくして、ダイナボットプラネットに一隻の巨大な宇宙船が飛来した。現住生物達には分からなかったが、ダイナボット達にはそれがサイバトロン星由来の者であることがすぐに分かった。
宇宙船から降りてきたのは、身長6.6mほどと、ダイナボット達から見れば小柄なサイズのトランスフォーマーだった。しかしダイナボット達は、このトランスフォーマーの体に刻まれた数々の古傷や装備した武装から、彼が歴戦の戦士であることをすぐ見抜いた。
「お前たちが伝説に名高いダイナボットどもだな。俺はロックダウンだ。お前たちの創造主の命令でお前たちを捕らえに来た。ともに来てもらおうか」
そう告げたこのロックダウンは、待機させていた自分の同型の部下や、地球でいう狼に似た姿のスチールジョー達に一斉に指示を出して襲い掛かった。
創造主、その言葉を聞いたグリムロック達の脳裏には、かつて自分たちを故郷から連れ去り改造したあの生物の姿がよぎった。
奴はまた、自分たちの幸せを奪うつもりなのか。今度はそうはさせない。
そして彼らは新たな故郷での暮らしを守るため、ロックダウンの軍勢に立ち向かった。
はじめは圧倒的な力を誇るダイナボット達が優勢だったが、戦闘が長引くにつれ、徐々に兵の数や武器の最新性など戦力で勝るロックダウン達に押されて劣勢に立たされていった。そして遂に、敵船が有する巨大なマグネットによって、彼らは4体とも捕らえられてしまう。
船へと連行された彼らはそれでも抵抗を試みたが、ロックダウンは彼らを嘲笑うように告げた。
「お前たちがサイバトロン星から去ってしばらくの間、オートボットとディセプティコンの連中は性懲りもなく戦争を続け、挙句の果てにサイバトロン星は滅んじまった。そればかりか地球を含めた宇宙全体にまで戦争を拡大する始末だ。今はディセプティコンが壊滅状態になってオートボットが優勢だが、創造主たちは駒であるお前達の所業にご立腹でな。崩壊した宇宙のバランスを立て直すために、すべての駒を一度自分の手に戻したいのさ。次は地球に行く。最期の標的、オートボット総司令官オプティマス・プライムを捕らえにな。逃げようなどとは考えないことだ。もし脱走を試みた際は、お前たちが移住した惑星を滅ぼしても構わないと、創造主からの許しを貰っているからな」
この言葉が嘘でない事はダイナボット達にはすぐ理解できた。彼らは恐竜だった頃より優れた五感により、この船にかつて自分たちの故郷を滅ぼしたあの卵のようなものがある事を感じ取っていた。このまま抵抗を続ければ、間違いなくこの惑星に甚大な被害がもたらされることを本能的に悟った。彼ら4体には、この惑星の種族の未来を犠牲にすることはできなかった。伝説の戦士たちは、屈辱を感じながらも降伏を受け入れざるを得なかった。
こうしてダイナボット達は囚われの身となり、望まない帰郷を果たすことになる。
グリムロックの脳裏は激しい怒りで満たされていた。かつて自分の番と子ども達を殺し、自分を異形へと変えたあの憎き創造主によって、再び平穏を奪われたのだから無理もない。窮屈な牢獄で宙づりに拘束されながらも、必ずやこの屈辱を晴らさんと怒りの炎を滾らせていた。
ふと監獄の中に懐かしき匂いが流れてきた。間違いない、生まれ故郷に戻ってきたのだ。然しこの臭いは何だ。空気には不愉快な悪臭が混じっており、何より驚いたのは、何千年も前に戻ってきた時に頂点捕食者に君臨していたあの二足歩行の哺乳類の臭いがするが、この臭いの強さから、かつて訪れた時とは比べ物にならない個体数が棲息しているのが分かった。
それからしばらくして、あの忌々しい卵の臭いがなくなったのと同時に、青と赤のカラーリングのトランスフォーマーが連行されているのが見えた。こいつが話に聞いた現在のプライムなのだろうか。グリムロックがそう考えているうちに、そのトランスフォーマーもまた宙吊りにされて牢に入れられた。
やがて騒がしい声が聞こえるとともに、また別のトランスフォーマー達が牢獄に入ってきた。彼らの話を聞く限り、やはりあの青と赤の巨漢がオプティマス・プライムらしい。
そう考えていると、プライムが部下に対して、この部屋は一隻の船になっており、本船から切り離して脱出が可能だと告げた。それを聞いてすぐ、彼の部下のでっぷり太ったトランスフォーマーが操縦を行い、言葉通り本船からの脱出を果たした。しかしグリムロックには、自分たちは自由になれるのかの不安がよぎっていた。
それからしばらくして、牢の外が騒がしくなったと思ったら、急に衝撃が走り、船全体が揺れ始めた。恐らく敵の攻撃を受けたのだろう。船はしばらく揺れた後、どこかに墜落したのか衝撃が走った。
グリムロックは耳を澄ました。どうやらプライムと部下2体が無事なようだが、他の部下2体とこの星の協力者たちが遭難したらしい。しばらくするとプライムが牢内に入ってきた。見事な剣を手に取り、彼の牢を壊すとこう告げた。
「伝説は本当に実在する」
何千年ぶりに聞いたサイバトロン語にグリムロックは懐かしさを感じた。その間にプライムは彼の拘束を外し、残る3体のダイナボット達も解放していった。
久々の緑の大地を踏み占めることに静香ながらも喜ぶダイナボット達に対し、オプティマス・プライムは語り掛けた。
「伝説の戦士達よ、我らの創造主達が今、我らを滅ぼそうとしている。共に戦おう。それとも永遠に創造主達の僕でいるか?今こそ共に立ち上がるのだ。それとも、私を敵に回すというのか?」
この若造は我らの助力を求めているのか、面白い。貴様が協力するに値するか、この俺に見せてみろ!
グリムロックは一声唸るとそのままドラゴントゥースメイスを振り下ろし、更には拳をモーニングスターへと変形させてオプティマスに殴りかかり、オプティマスはその攻撃を巧みにかわしていく。やがてオプティマスはグリムロックの顔面目掛けて飛び掛かり、強烈なパンチをお見舞いし叫んだ。
「力を合わせねば生き残れないぞ!私が導く!」
なるほど、この若きプライムは中々強い。だがまだだ。俺のもう一つの姿の攻撃に耐えられるか見せてもらおう。そう考えたグリムロックは両腕を地面に振り下ろすと、身体のパーツを折り畳み、瞬く間に巨大なティラノサウルスへと変身を遂げる。
近くで見物していたプライムの部下たちが驚愕する中、グリムロックはお構いなしに炎を吐き散らしながらオプティマスへと突進する。さあ若造、これをどうかわす?
「自由を与えると言っているのだ!」
そう告げるとオプティマスは左腕に装備した盾でグリムロックを殴りつけた。流石の彼も勢いがついてかわし切れず、そのまま地面に倒れこんだ。そこへオプティマスが近づき、背に跨りながらこう告げた。
「いいか、我が友を守るのだ。さもなくば死だ」
なるほど、我らを従えたい理由は守りたい奴らのためか。まるでプライム王朝のプライム達を思い出すな。いいだろう、我らダイナボット、再びオートボットに助太刀しよう!
そう告げるかのようにグリムロックは雄叫びを上げた。その声を聞き、残る3体も変形を始めた。彼らも不服はないようだ。スコーンは緑の小うるさい奴を、スラッグは青い寡黙な戦士を背中に乗せるのを許した。かくしてオートボットとダイナボットの連合軍は出陣した。
彼らは久々に大地を疾走した。本来の恐竜より身体能力が格段と上がっているが、彼らは瞬く間に人造トランスフォーマーたちの暴れ回る香港へと辿り着いた。
グリムロックは人造トランスフォーマーを見つけると、不快な臭いを嗅ぎつけた。どうやらこいつらの体には同族の亡骸や他のサイバトロン人の死体で出来ているらしい。しかし中身は空っぽで、生命としての精気がない。
そんな連中に対して、ダイナボットもオートボットも容赦はなかった。己の持てる全ての力を以て、切り裂き、撃ち抜き、噛み砕き、踏みつけ、焼き尽くした。人造トランスフォーマーは瞬く間に殲滅されていった。
戦いが一段落すると、オプティマスがあの地球の生き物たちの一団の一人に話しかけた。話を聞く限り、どうやらこいつが元凶の一人らしい。はっきりと反省の言葉を述べない事に苛立ったグリムロックはその男に大きく吠え掛かった。吠えられた男、ジョシュア・ジョイスはようやく反省の言葉を述べた。
どうやら紛い物共の狙いは、こいつがロックダウンから受け取ったあの卵が狙いだったらしい。これが爆発すれば、また多くの命が犠牲となる。グリムロック達は彼らごとその忌々しい兵器を安全な場所へ避難させるため、彼らの護衛についた。
厄介なことに、ロックダウンの軍勢が戻ってきた。恐らく牢ごと脱獄したことに気付いたのだろう。あの忌々しいマグネット兵器を起動し、周囲をお構いなしに破壊していく。再び捕まりかけたグリムロック達だったが、寸前のところでオプティマスが兵器を破壊したことで何とか危機を脱した。
オプティマスは単身ロックダウンとの決着を着けに向かった。グリムロック達もロックダウンに復讐したかったが、まだあの卵を狙って紛い物共が攻めて来るやもしれぬと言い聞かせ、大河を挟んで守りに徹する道を選んだ。先ほどの圧倒的な蹂躙もあって紛い物共も恐れをなしたのか、一切近づいては来なかった。
遠くで爆発音が響いた。どうやらオプティマスがロックダウンを討ち取ったようだ。奴の宇宙船も、この町の軍団によって追撃を受け、墜落も時間の問題だろう。ダイナボット達は自分たちの勝利を悟った。
戦いから戻ってきたオプティマスは、約束通りダイナボット達を自由の身とした。グリムロック達は再び手にした自由に歓喜し、各々が恐竜の姿へと戻ると、それぞれ去っていった。
グリムロック達は、これから自分たちに待ち受ける困難など知る由もない。彼らがかつて戻ってきたころと地球は大きく様変わりしてしまっていた。それに第2の故郷であるダイナボットプラネットには、恐らくもう戻れないだろう。
それでも彼らは、そんなことなどお構いなしと言わんばかりに、再び手にした自由をひたすらに謳歌していた。
ほぼ説明文に近くなっちゃった気がしますが、温かい目で見守って頂けると幸いです。
感想、評価お待ちしております。