前回の非ログインユーザーの方からの苦言に加えて、私生活でもトラブルに見舞われて心身ともに疲弊し、中々執筆の手が進まず、先週は誠に勝手ながら休載してしまいました。
自分のせいで原作キャラを穢してしまったのではと考え、打ち切るべきかとも考えたのですが、多くの読者の方々から励ましの言葉やアドバイスを頂いたおかげで、完結までしっかり執筆し続けようと決心する事が出来ました。皆様、誠にありがとうございました。
これからも『グリムロックは宇宙最強』を宜しくお願いします。
折角の感動のシーンをティオのせいで台無しにされながらも、取り敢えず落ち着きを取り戻した亮牙。頭上に大きなたんこぶをつくってピクピクと痙攣しているティオは、この際放っておく事にした。
「さてと、お前も加わってくれて、残るはアイツだけだな」
「ああ、スコーンか…」
それを聞いてストレイフも懐かしそうにその名を呟く。
シアはその名前を聞いた事はあったものの、詳しくは知らなかったので、隣に座る恋人に尋ねてみた。
「あの〜、そのスコーンさんってどんな方なんですか?なんか美味しそうなお名前ですけど…」
「ん?ああ、シアはアイツの事はまだ知らなかったな…」
亮牙は思い出したかのように呟くと、最後の仲間について語り始めた。
「スコーンは俺らの仲間の一人でな、図体だけなら俺よりデカいんだが、ワニみたいな顔に毛虫みたいに背中に大量のトゲが生えてる。そのくせ戦い方は俺らの中で一番トリッキーなんだよ」
「けど俺達の中では一番寡黙な奴でね。同じ肉食種族のグリムロックと比べて大人しい奴さ」
「へぇ〜」
「アイツ、今頃何してるんだろうな〜」
懐かしむようにスコーンについて語る亮牙とストレイフに、シアはふむふむと耳を傾けた。話を終えた亮牙は、現在の彼がどこで何をしているのか、思いを巡らせていた。
するとふと、ハジメから「念話」を通して連絡が入り、彼はそちらに耳を傾けた。
「どうしたハジメ、何があった?あ?兎に角来てくれ?分かった分かった。すぐ行く」
まるで電話でもするみたいな感覚でコミュニケーションを取り合うと、亮牙は席を立ち上がった。
「休憩は終わりだ。ハジメから急いで来てくれって言ってる」
「ハジメさん、一体何があったんでしょうか?」
「さあな。またスラッグが馬鹿な事でもやらかして手に負えなくなったんだろうよ…」
「ああ、スラッグの馬鹿ならあり得るな…。ほらお嬢、いつまで寝てるんだよ」
そして、四人はオープンカフェを後にすると、ハジメ達との待ち合わせ場所へと急ぐのであった。
なおティオは、亮牙からお姫様抱っこされるのを期待してわざと狸寝入りをしていたのだが、当の亮牙は面倒くさいので彼女の足を掴んで引き摺りながら連れて行った。無論、ティオは更に興奮していたが…。
そして四人が合流地点の裏通りに辿り着くと、待っていたのはハジメ、ユエ、スラッグの三人だけではなかった。
なんとハジメの腕には、エメラルドグリーンの髪色の幼い少女が抱き抱えられていたのだ。見た目は3〜4歳ぐらいの可愛らしい顔立ちをしている幼子だが、その耳は通常の人間の耳の代わりに扇状のヒレが付いているのである。更にハジメにしがみつく紅葉のような小さな手には、指の股に折りたたまれるようにして薄い膜がついている。
「………お前ら、もう子どもが生まれたのか?」
「そう、私とハジメの愛の結晶…♡」
「んなわけないでしょ!!?ユエも悪ノリしないでよ‼︎」
「…まさか、スラッグの馬鹿がどっかから攫ってきたのか?」
「俺スラッグ、お魚咥えたドラ猫じゃないやい!!!」
真剣なのか巫山戯ているのか、的外れな事を尋ねてくる亮牙に、ハジメは顔を真っ赤にして怒鳴り、ユエは悪ノリし、スラッグまで怒り出す始末。
ハジメに抱き抱えられた幼女は見慣れない大人が四人も来た事に、ビクッと身体を震わせながらハジメにギュ〜としがみつく。見かねたストレイフが仲裁に入った。
「ほらグリムロック、馬鹿な事抜かしてんじゃないよ。それに皆取り敢えず落ち着けって。その子が怯えてるから…」
「ん?ああ、悪りぃ悪りぃ」
「それでハジメさん、その子は一体どうしたんですか?」
「いや、実は…」
シアに尋ねられ、ハジメは抱き抱えている幼女と出会った経緯について語り始めた。
ハジメ達三人は、今後の装備を作るのに必要な材料の買い揃えなど終え、こちらも街を見て回っていた。スラッグが食材の買い出しに回らなかったのは、彼が買い食いやらで無駄遣いするのが目に見えていたから他の四人が却下したのだが、当のスラッグは不満タラタラだった。
すると、ハジメの気配感知にある反応が引っかかり、彼は足を止めた。
「…ハジメ?」
「どうしたハジメ?う○こでもしたくなったか?」
「んなわけないでしょ⁉︎いやさ、気配感知で人の気配を感知したんだけどさ…」
「俺スラッグ、人なんて周りに腐る程いる。感知もクソもないだろ」
「普通ならそうなんだけどさ…。僕が感知したのは下なんだよ」
そう言ってハジメは自分の足元、石畳の道に視線をやると、軽く足で叩いた。
「下水道なら、家無しの物乞いじゃないのか?」
「いや、それだったら気にしないんだけどさ。この気配、やたらと小さい上に弱いし、多分子供だと思う。それも明らかに弱っているよ」
その言葉に流石のユエとスラッグも顔を顰めた。子どもが弱り切った状態で下水道に居るとは、どう見ても遊び目的で入ってるとは思えなかった。
「二人とも、ちょっと調べてみていいかな?」
「ん、了解」
「俺スラッグ、分かった」
二人の了承を得ると、ハジメは待ってましたと言わんばかりに、地下をそれなりの速さで動いている気配、おそらくは下水に流されているであろう子供の気配を追い抜き、錬成で穴を開けて飛び込んだ。ユエとスラッグもすぐにその後に続いた。
そして、三人は空力や重力魔法を使って跳躍すると、下水道両サイドの通路に着地した。直ぐにハジメは錬成で格子を錬成して子供を受け止めた。その際に斜め向きに錬成してたので、子供はそのままハジメ達のほうに流れてきて、スラッグが汚れるのも構わず下水に入っていき子供を掴み、そのまま通路へと引き上げた。
「この子は…」
「まぁ、息はあるし、取り敢えずここから離れよう。臭いが酷い」
「俺スラッグ、鼻が曲がりそう」
引き上げられたその子は、明らかに人族ではなかった。ハジメも、その容姿を見て知識だけはあったので、内心では結構驚いていた。
しかし場所が場所だけに、肉体的にも精神的にも衛生上良くないと考えた三人は、その事を一旦脇に置いて場所を移動する事にした。毛布を取り出して子供を包むと、子供の素性からこのまま人通りのあるメインストリートに出るのは躊躇われた為、ハジメ達は最初の穴を塞いで壁に穴を開けると街の地理を思い出しながら移動を始めた
「この子、海人族…」
「俺スラッグ、なんでこんなばっちい所にいたんだ?」
「まぁ、まともな理由じゃないのは確かだね…」
海人族は、亜人族としてはかなり特殊な地位にある種族だ。西大陸の果、「グリューエン大砂漠」を超えた先の海、その沖合にある「海上の町エリセン」で生活している。彼等はその種族の特性を生かし、大陸に出回る海産物の八割を採って送り出しているのだ。
そのため亜人族でありながらシア達とは異なり、ハイリヒ王国から公に保護されている種族なのである。亮牙もそれを知った時に指摘していたが、人種差別国家のくせに使えるから保護するなど、つくづく身勝手で現金な話である。
そんな保護されているはずの海人族、それもこんな幼児が内陸にある大都市の下水を流れているなどありえない事だ。犯罪臭がぷんぷんしている。
するとその時、海人族の幼女の鼻がピクピクと動いたかと思うと、パチクリと目を開いた。そして、その大きく真ん丸な瞳でジーとハジメを見つめ始める。ハジメも何となく目が合ったまま逸らさずジーと見つめ返した。そしてそのまま数秒ほど無言の時間が続き、スラッグとユエが呆れて何か言おうと近づくと、海人族の幼女のお腹がクゥーと可愛らしい音を立てる。彼女は再び鼻をピクピクと動かし、ハジメから視線を逸らすと、スラッグが地上で購入していた菓子類の入った袋をその目でロックオンした。
嫌な予感がしたスラッグが、試しに菓子類の入った包みを背後に隠そうと動かすと、まるで磁石のように幼女の視線も彼の背後に揺れる。どうやら、相当空腹のようだ。
予感が的中したスラッグが、持っている菓子類を一気に平らげようとするのをユエと共に制止すると、ハジメは幼女に話しかけながら錬成を始めた。
「君、名前は?」
女の子は、スラッグの持つ菓子類に目を奪われていたところ、突如、地面から紅いスパークが走り始め、四角い箱状のものがせり上がってくる光景に驚いたように身を竦めた。そして再度、ハジメから名前を聞かれて、視線を彷徨わせた後、ポツリと囁くような声で自身の名前を告げた。
「…ミュウ」
「そうか。僕はハジメで、そっちはユエとスラッグだ。それでミュウ。あのお菓子が食べたいなら、まずは体の汚れを落とさないとね」
「!ちょっと待て!この菓子、俺スラッグ、なけなしの小遣いで買ったんだぞ⁉︎」
「「スラッグ!!!」」
「うぅ〜、俺スラッグ、分かったよ…」
無駄遣いするだろうからと僅かにしか与えられなかった小遣いで買ったお菓子をやるものかとごねるスラッグだったが、ハジメとユエに叱られ、渋々目の前の幼女、ミュウに譲ってやる事にした。とは言え、下水で汚れた体のまま食事をとるのは非常に危険だ。
ハジメは、完成した簡易の浴槽に「宝物庫」から綺麗な水を取り出し浴槽に貯め、更にフラム鉱石を利用した温石で水温を調整し即席のお風呂を作った。幾分か下水も飲んでしまっているだろうから、解毒作用や殺菌作用のある市販の薬も飲ませておく必要がある。
返事をする間もなく、毛布と下水をたっぷり含んだ汚れた衣服を脱がされ浴槽に落とされたミュウは、「ひぅ!」と怯えたように身を縮めたものの、体を包む暖かさに次第に目を細めだした。ハジメは、ユエとスラッグに薬やタオル、石鹸等を渡しミュウの世話を任せて、自らはミュウの衣服を買いに袋小路を出て行った。
しばらくしてハジメが、ミュウの服を揃えて袋小路に戻ってくると、彼女は既に湯船から上がっており、新しい毛布にくるまれてユエに抱っこされているところだった。抱っこされながら、スラッグが名残惜しそうに与える菓子をはぐはぐと小さな口を一生懸命動かして食べている。薄汚れていた髪は、本来のエメラルドグリーンの輝きを取り戻し、光を反射して天使の輪を作っていた。
「ただいま、調子はどう?」
「ん、見た限りは大丈夫そう…」
「俺スラッグ、神水はある程度飲ませた。食欲はある…」
ハジメが帰ってきた事に気がついたユエとスラッグが、ミュウの様態について報告した。一応神水を飲ませたし、食欲もあるみたいなので体調面に問題はないみたいだ。自分の菓子を泣く泣く与えたスラッグは悲しそうな顔をしていたが。
ミュウもそれでハジメの存在に気がついたのか、はぐはぐと口を動かしながら、再びジーとハジメを見つめ始めた。良い人か悪い人かの判断中なのだろう。
ハジメは買ってきた服を取り出した。本日シアが着ていた服に良く似た乳白色のフェミニンなワンピースだ。それに、グラディエーターサンダルっぽい履物、それと下着だ。子供用とは言え、店で買う時は店員の目が非常に気になった。
ミュウの下へ歩み寄ったハジメは、毛布を剥ぎ取りポスッと上からワンピースを着せ、次いでに下着もさっさと履かせる。そして彼女の前に跪いて片方ずつ靴を履かせていった。更に「宝物庫」から自作のドライヤーを取り出して、湿り気のあるミュウの髪を乾かしていく。ミュウはされるがままで、未だにジーとハジメを見ているが、温風の気持ちよさに次第に目を細めていった。
「俺スラッグ、ハジメは面倒見が良いな」
「何だよ、藪から棒に…」
「ん、きっと良い父親になる…♡」
ミュウの髪を乾かしている際のスラッグの言葉に眉をしかめるハジメだったが、その姿こそ文字通り面倒見がいい証拠、その様子にユエはニコニコと微笑みながら、また惚気始めた。
何となくばつが悪くなったハジメは話題を逸らす事にした。
「で、今後の事だが…」
「ん、ミュウをどうする…?」
三人が自分の事を話していると分かっているようで、上目遣いでハジメとユエ、そしてスラッグを交互に見るミュウ。
三人は取り敢えず、ミュウの事情を聞いてみることにした。結果、たどたどしいながらも話された内容は、ハジメが予想したものに近かった。すなわち、
そして、幾日もの辛い道程を経てフューレンに連れて来られたミュウは、薄暗い牢屋のような場所に入れられたのだという。そこには、他にも人間族の幼子たちが多くいたのだそうだ。そこで幾日か過ごす内、一緒にいた子供達は、毎日数人ずつ連れ出され、戻ってくることはなかったという。少し年齢が上の少年が見世物になって客に値段をつけられて売られるのだと言っていたらしい。
亜人はともかく、このトータスに置いても人間族の人身売買は違法だ。ただ迷子になっただけならまだ良くある話だが、その上そんな腐れ外道どもに捕まるとはなんとも災難な話である。
いよいよ、ミュウの番になったところで、その日たまたま下水施設の整備でもしていたのか、地下水路へと続く穴が開いており、懐かしき水音を聞いたミュウは咄嗟にそこへ飛び込んだ。三、四歳の幼女に何か出来るはずがないとタカをくくっていたのか、枷を付けられていなかったのは幸いだった。汚水への不快感を我慢して懸命に泳いだミュウ。幼いとは言え、海人族の子だ。通路をドタドタと走るしかない人間では流れに乗って逃げた彼女に追いつくことは出来なかった。
だが、慣れない長旅に、誘拐されるという過度のストレス、慣れていない粗末な食料しか与えられず、下水に長く浸かるという悪環境に、遂にミュウは肉体的にも精神的にも限界を迎え意識を喪失した。そして、身を包む暖かさに意識を薄ら取り戻し、気がつけばハジメの腕の中だったというわけだ。
「客が値段をつけるってことはオークションか…。それも人間族の子や海人族の子を出すってんなら非合法なモノなんだろうな…」
「…ハジメ、どうする?」
ユエの一言にハジメは少し考える。ユエ達の考えとしてはやっぱり自分達で親の元に連れて行きたいと言う所だろう。実際、ミュウの居る場所も目的地の一つではある為、寄り道ついでに連れて行く事は不可能では無い。だが、それには幾つか懸念事項がある。
「やっぱりここは、正規の手順に基づいて、保安所に預けるのが無難じゃないかな。海人族なら手厚く保護してくれるし、ミュウの存在を通じてその組織を摘発する動きがあれば、結果的に他の子供達の保護にも繋がる筈だ」
「…でも、せめてこの子だけでも、私達で親元に連れて言ってあげられない?」
「道筋だけ見れば不可能じゃないけどさ。そもそも僕達がこの子を連れて歩けば誘拐犯と間違われる可能性もあるし、大迷宮攻略時に人里に一人で留守番させていてもまた攫われるリスクはあるし、迷宮攻略に連れて行くのは論外だ。何せ次に目指すのはグリューエン大火山だし…」
つまり、自分達が誘拐犯等のレッテルを貼られる事無くミュウを連れて歩くには、どの道、事の次第を保安所に報告する必要がある。そして報告しにいけば自然な流れで保安所側で保護する、と言う流れになるだろう。それはミュウの事に時間を割くつもりは無いと言う事ではなく、連れて行く方がミュウにとって危険が多い事、そして何より迷子を見つけたら警察(=保安所)へ、と言うのは至極全うな行動なのだ。
それ以上の意見はユエから出ず、渋々ながらも納得している事を確認したハジメは屈んでミュウに視線を合わせると、ミュウが理解出来るようにゆっくりと話し始めた。
「いいかい、ミュウ。これから君を守ってくれる人達の所へ連れて行く。時間は掛かるだろうけど、必ずお母さんやお爺ちゃんの元に連れて行ってくれる筈だよ」
「…お兄ちゃんとお姉ちゃん達は?」
「悪いけど、そこでお別れだ」
「やっ!」
「いや、やっ!じゃなくてね…」
「お兄ちゃんとお姉ちゃん達がいいの!お兄ちゃん達といるの!」
思いのほか強い拒絶が返ってきてハジメが若干たじろぐ。今まで、割りかし大人しい感じの子だと思っていたが、どうやらそれは、ハジメ達の人柄を確認中だったからであり、信頼できる相手と判断したのか中々の駄々っ子ぶりを発揮している。元々は、結構明るい子なのかもしれない。とは言え、流石にこの我儘を聞く訳にはいかず、ミュウの説得を試みるも一向に納得する様子を見せなかった。
仕方なしにこのまま保安所に連れて行くべきかと考えたハジメとユエだったが、ここで沈黙を貫いていたスラッグが口を開いた。
「俺スラッグ、ここはグリムロック達と合流すべきだと思う」
「「スラッグ?」」
「俺スラッグ、この世界もこの町も権力者が腐り切ってる。そんな世界の警察じゃ、こいつを攫った連中と通じてる気がする。なら、俺達で連れてった方がマシな気がする」
「…言われてみると、確かに否定できないな」
「ん、我が故郷ながら、情けない…」
スラッグのその指摘に、ハジメもユエも確かに、と顔を顰めた。そもそもこのフューレンを訪れた際も、プーム・ミンとか言う誰がどう見ても悪徳貴族としか言いようのない輩に絡まれたのだ。
亮牙は最初、この町の冒険者ギルドが犯罪組織と通じてるかもしれないなどと言っていたが、イルワの対応からしてその疑いは晴れたが、警察組織や貴族は別だ。ミュウを攫った連中が幅を利かせているのも、そうした権力者が裏で内通している可能性もある。
そんな危険がある以上、このまま保安所に預けるのにも不安が残る。しかし自分達三人だけじゃどうしようもないので、他の仲間達の意見も聞くべきだろう。
「…仕方ない。なら亮牙達にも相談してから決めるとしようか」
「ん、その方がいい…」
「俺スラッグ、異議なし」
「ミュウ、今から僕達の仲間が来るから、その人達と話し合ってからどうするか決めるよ。だからまだちょっと一緒にいてあげるから安心して」
「んみゅ‼︎」
そう言われたミュウは、嬉しそうにハジメに抱きついた。そんな彼女にハジメは苦笑しつつも頭を優しく撫で、ユエとスラッグも微笑ましそうに見つめていた。
そうして四人は亮牙達と合流し、先程の場面へと繋がるのであった。
「…成る程な。スラッグにしてはまともな判断するじゃねえか」
「俺スラッグ、にしてはは余計だ!」
全てを聞き終えたストレイフが皮肉混じりに感心すると、スラッグが余計なお世話だとプンスカと怒った。
亮牙もふむ、と顎に手を当てると、ミュウをじーと見つめた。ミュウも目の前の男に最初はビクッとなりつつも、ハジメに宥められて落ち着きを取り戻し、同じくじーと亮牙を見つめ返した。
やがて、どうするか決心のついた亮牙は、皆を見渡して口を開いた。
「取り敢えず、冒険者ギルドに行ってチャングと話をつけるぞ。アイツとは折角コネが出来たし、この町じゃアイツが一番信用出来るからな。ギルドでなんとかするなら任せられるし、奴の依頼って事で俺達で送るって手もあるからな。お前らも構わないか?」
「私は大丈夫ですよ!こんな小さな子を一人には出来ません!」
「俺も構わんよ。これも何かの縁だ」
「妾も構わないのじゃ」
亮牙のその問いに、シア・ストレイフ・ティオも異議なしのようであり、ハジメは安堵した。
この過酷な世界では非情にならねばならない事は理解していたが、ウルの町で愛子に諭された事もあり、本来優しい性格の彼は目の前の幼女を放っておくことが出来なかったのだ。
ハジメの腕に抱かれたミュウを女性陣があやしている中、亮牙とストレイフはスラッグと三人で話し始めた。
「…お前ら、気づいたか?」
「ああ、僅かながらな…」
「俺スラッグ、だかかお前達呼んだ」
そう言いながら、三人はハジメに抱きつくミュウを眺めた。視線の先の幼女からは、彼らがよく知る者に似た雰囲気が僅かに感じられたのだ。スラッグが自分達でなんとかしようと提案したのも、その雰囲気が見過ごせなかったからだ。
「俺スラッグ、あのチビ、
「おいおい、
「…いや、まさかな」
スラッグのその一言に、亮牙とストレイフはそんな馬鹿な、と思いつつ、イルワに会いに冒険者ギルドへと向かうのであった。
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