イボンコとパレオトレックス買ったけど、両方とも最高です!
特にパレオトレックスはボルカニカスに装備させて楽しんでます。
そして本話で、主人公のチーム名が決まります。タイトルで既にネタバレしてますが(苦笑)
裏組織に誘拐されるも何とか逃げ出した幼女・ミュウを保護した亮牙一行は、イルワと話をつけるためにギルド支部に向かって移動していた。出来るだけ人通りの多いところを移動しているが、海人族故に耳が目立つミュウには、フード付きの上着を着させ、顔を隠して人目を誤魔化している。
亮牙としては、折角イルワとのコネを得た以上、ここはそれにあやかろうと考えていた。仮にギルドでミュウを送り返すにしてもイルワなら信頼できるし、もし自分達に依頼が回ったのなら引き受けても良いと考えていた。
恐竜時代は二児の父親だった事から、まだ幼いミュウにはそんな冷酷な真似はできなかったし、何より彼女からは何か気になる点がある。出来るならそれを突き止めたかった。
そして、前方にギルドが見えてきた時、亮牙が顔を顰めて足を止めた。他の面々も気づいたようで、同じく足を止めて周囲に視線を向けた。すると、周囲の人通りに紛れて、あの憎たらしい檜山率いる小悪党組に似た、柄の悪そうな男どもが亮牙達を伺っていた。
「おうお前ら、武器構えとけ。デカパイはそのちびっ子守っとけ」
「「「おう」」」
「ん」
「はいですぅ」
「承知したのじゃ」
「んみゅ?」
亮牙の一言に、ハジメはキョトンとなるミュウをティオに任せると、ユエやシアと同様に身構える。スラッグやストレイフは拳をゴキゴキと鳴らしながら、不敵な笑みを浮かべた。
そして亮牙達が数メートル進むと、周囲から幾人か男達が出てきて彼等を囲み、うちリーダー格と思われる二人が下卑た笑みを浮かべながら前に立ち塞がった。
「邪魔だ、どけ」
亮牙は害虫でも見るような目で睨むが、チンピラ達は聞こうとしなかった。
「よぉガキ共。早速だが、そこの女抱いてるガキは俺達のモンだ。返して貰うぞ」
そうチンピラの一人が偉そうな態度で告げる。どうやら、ミュウを攫った人身売買組織の連中のようだ。更にもう一人のチンピラがシア達女性陣を下卑た目で見ながら耳打ちすると、チンピラはニヤリと笑いながら言葉を続けた。
「ヒヒヒ、確かに上物揃いだな…。おいガキ、お前ら男どもは見逃してやるからよぉ、連れの女は全員置いて行け。そうすりゃ、命だけは助けてやる」
こうした悪党に取って、獲物となる相手の戦闘能力を見極めるのは重要な点だ。勝ち目のない相手に喧嘩を売るなど、文字通り自殺行為だからだ。
だが目の前のチンピラ達は、自分達がトータスにおいて三大裏組織としてその名を轟かせる「フリートホーフ」に所属している事に天狗になってしまった。今まで自分達に歯向かえる奴などいなかったし、ギルドや保安所も何度も出し抜いてきた。だから、目の前の青年達など容易い獲物だと見做してしまった。
だが、それは致命的なミスだった。そうした自惚れが、目の前の相手の力量を完全に見誤ってしまったのだ。
「おい…」
亮牙はそのまま目の前に立ち塞がるチンピラの前に近づいた。人間態でも身長192cmに達する巨体の亮牙に、背で負けるチンピラ達は一瞬ビクッとなる。
「ミランダを知っているか?」
「あぁ?何処の女だそりゃ──」
ミランダ、という聞き慣れない名前にチンピラは怪訝な顔を浮かべる。が、次の瞬間、亮牙の文字通りの鉄拳がチンピラの顔面に直撃した。手加減一切なしのその一撃は、チンピラの頭を一瞬で破壊し、脳漿やら眼球やらが周囲に飛び散った。
一瞬、チンピラ達は何が起きたのか分からず、ポカンとなる。だが、頭を失った仲間の死骸が崩れ落ちるように倒れ、野次馬として見て見ぬふりをしていた市民達から悲鳴を上がると、漸く事態を飲み込んだ。
「テ、テメェ⁉︎よくも──」
我に帰ったチンピラ達は、ナイフやら剣を取り出したり、魔法を詠唱しようとする。
だがそれより先に、目にも止まらぬ速さで、ハジメとストレイフが動いた。ハジメがドンナーを発砲し、ストレイフは剣を抜くとチンピラ達の間合いに入り込み斬り伏せていった。ある者は額や両足に穴を開けて倒れ、ある者はキョトンとした表情のまま頭が宙に舞い、ある者は手足を斬り落とされて「イギャアアアッ⁉︎」と悲鳴を上げた。
あっという間にチンピラ達は殲滅された。幸い、一般市民達は亮牙の鉄拳制裁を目の当たりにした瞬間、蜘蛛の子を散らすように逃げ出していたため、巻き添えになった者はいなかった。
「コイツら、本当に渡世人か?歯応えがなさすぎだろ…」
剣を納めるストレイフは、呆れた表情で倒れ伏すチンピラを見下ろした。
「良かったのかストレイフ?ゴミ屑とは言え人間に手を上げて?」
「相手がカタギならな。こんな腐れ外道どもに情けなんぞかけるつもりはねえよ」
「ま、当然だな」
「俺スラッグ、お前ら、俺にも獲物残しとけよ!」
ダイナボット三人が何事もなかったかのように談笑する中、ユエが恋人の異変に気づいた。
「…ハジメ、大丈夫?」
見ると、ハジメはドンナーを握りしめたまま、やや過呼吸となっていた。顔はやや青褪め、明らかに動揺していた。
「いや、ごめん…。いつかはこんな日が来るのは分かってたから、覚悟は決めてたんだけどね…。いざやるとやっぱキツいなぁ…」
そう、地球に帰るため、そして仲間を守るためには、いずれこの世界の住人達と戦い、命を奪う事になる事は明白であり、ハジメ自身も覚悟は決めていたつもりだった。
シア達を狙っていた帝国兵は亮牙が殲滅し、ウルの町で戦った魔人族・レイスは最早人間とは言えない化け物と成り果てていたので、実質今回が彼にとって初めての「殺人」となった。銃は刃物や鈍器などに比べて殺人への抵抗が少ないと言うものの、全く感じない訳ではない。
見れば、ハジメが倒したチンピラ達は、脳天を撃ち抜かれて即死したのは一人だけだ。後は両足を撃ち抜かれ、その場に倒れ込んで悶絶していた。最初の一人を殺した後は、無意識のうちに致命傷を避けて攻撃したのだろう。
そんな彼に、ユエは優しく手を握り締めた。
「大丈夫、ハジメのした事は間違いじゃない…」
「ユエ…」
「ハジメはミュウを守っただけ…。それに、そう思える事は、堕ちていない証拠…」
そう言いながら、彼女はミュウに視線を移す。流石に先程の惨劇はミュウには見せられないと、シアとティオが彼女の前に立ち塞がっていたので、今の彼女は何が起きたか分からずキョトンとしている。
そんな姿を見て、ハジメは気を取り直した。相手はこんな無垢な子どもを親から引き離して奴隷にしようとした屑どもだ。挙句ユエ達にまで手を出そうとしたのだ。情けなどかけてる場合じゃない。
「心配かけてごめん、もう大丈夫だよ」
そう言いながらハジメは自分の頬をパンッと叩き、気を引き締めた。
一方、亮牙は足を撃たれただけでまだ生きている数名のチンピラ達へと歩み寄っていった。
「テ、テメェ!俺らフリートホーフにこんな真似し──」
一人がそう喚き散らすが、亮牙は容赦なくその頭を踏み潰した。地面に血や脳漿が飛び散り、生き残りのチンピラ達がヒィ⁉︎と悲鳴をあげる。
「フリーズドライだが絹漉し豆腐だが知らねぇがな。俺らに喧嘩売るなんざ一億年早ぇんだよ。おいスラッグ、適当にボコって縛り上げろ」
「俺スラッグ、任せろ」
不完全燃焼だったスラッグは不敵な笑みを浮かべると、生き残りのチンピラに容赦なく叩きのめした。やがてチンピラ達の悲鳴が止むと、彼は魔物の皮で作ったロープでチンピラ共を縛り上げた。
「グリムロック、終わったぞ」
「ご苦労。チャングの野郎にはた〜っぷり言いたい事があるからな…」
若干怒りの混じった声色でそう言うと、亮牙一行は再びギルドへと進むのであった。今度はぶちのめされ縛り上げられたチンピラ共のおまけつきだが…。
ギルドに到着した亮牙一行は、再び注目の的となっていた。初めてフューレンに到着した際に一騒動起こした事があったし、今回は血だるまになった男達を縛り上げてズルズル引き摺っているのもあり、大半の人間が口をあんぐりと開け、驚いたような表情を浮かべていた。
だが、亮牙達はそんな視線を全く相手にせず、空いている受付に向かって歩いていくと、顔を青くした受付嬢に話しかけた。
「今すぐ支部長のイルワ・チャングを呼んでくれ。灘亮牙と言えばすぐ分かる」
「え、え〜と、本日はどのような…?」
怯えながら受付嬢が用件について尋ねようとした瞬間、亮牙は受付のカウンターにドンっと両腕を振り下ろし、カウンターを叩き壊した。
「お前じゃ話にならん‼︎今すぐチャングを呼んでこい!直接奴と話す!」
「は、はいぃぃぃっ!!!」
あまりの剣幕に受付嬢は涙目となりながら、猛ダッシュで奥へと駆け込んでいった。
そして数分後。イルワがドットを引き連れながら現れた。但し今回は、ウィルの父親であるグレイル伯爵も一緒にいた。恐らく、ウィルの起こした騒動の件で話をしていたのだろう。
「…ハァ。君達、一体今度はどんなトラブルに巻き込まれたんだい?」
ため息混じりに呆れた表情で問いかけるイルワだが、亮牙はふんと鼻を鳴らしながら彼を睨みつけた。
「よぉ、最初はちょっと相談に来たんだがな。この町の治安の悪さに観光客として苦情を言いに来たんだよ。おら、手土産だ」
そう言うと、亮牙は引き摺ってきたチンピラ共をイルワ達の足元へと蹴飛ばした。三人はギョッとなるが、代表してグレイル伯爵が問いかけた。
「亮牙殿、この者達は一体…?」
「あぁ、迷子を保護したんで此処に届けようとしたら、いきなりこの屑共が連れの女ごと寄越せとか抜かして絡んできやがったんだよ。フリーズ豆腐だがなんとか抜かしながらな…」
「ッまさか、フリートホーフか…⁉︎」
相変わらずまともに名前を覚えない亮牙だったが、イルワにはすぐチンピラ共の正体を悟ったらしく、表情が険しくなった。どうやら此奴らの組織は、相当悪名を轟かせているようだ。亮牙達には知った事じゃないが。
「はい、先ほど襲われたので、正当防衛として返り討ちにしました。此奴らは一応、生き残りです。それと件の迷子なんですが、どうも此奴らに故郷から攫われたみたいなので、イルワさんに相談に乗って頂きたくて…」
そう言いながら、ハジメは腕に抱き抱えたミュウに視線をやる。
「…事情は分かったよ。では取り敢えず其奴らの身柄は我々で預かるよ。ドット君、頼む」
「畏まりました」
イルワはドットにチンピラ達の身柄を拘束するよう指示を出すと、前回の応接室に亮牙達を案内した。今回はグレイル伯爵も、一貴族として事件の詳細を知りたいと参加する事になった。
「成程。奴等、海人族の子どもまで誘拐するとは…」
「こんな幼い子を…許せんな…」
亮牙達からミュウの素性とこの町に来た経緯を教えられたイルワとグレイル伯爵は、難しい表情になる。
だが、亮牙は机に足を乗せて、イルワに喧嘩腰の口調で問いかける。
「おいチャング、この町はどうなってんだ?貴族と高ランク冒険者がグルになった恐喝、挙げ句の果てには犯罪組織が白昼堂々と人攫いをしようとする。治安が悪過ぎるにも程がある」
「…何が言いたいのかな?」
「ハッキリ言わなきゃ分かんねぇのか?俺がこの町に最初に来た時に言ったけどよ、お前ら冒険者ギルドがそうした連中と癒着があるんじゃねえのか?だとしたらヨゴレ共が粋がるのにも納得がいくぞ」
そう侮蔑の籠った表情で主張する亮牙に、イルワは顔を顰めながら反論した。
「見くびらないでくれ、我々はそこまで堕ちちゃいない。…ただ、今回君達に絡んできたフリートホーフには手を焼いているのが現状でね。連中はこのフューレンにおける裏世界三大組織なんだが、明確な証拠は残さず、表向きはまっとうな商売をしているし、仮に現行犯で検挙してもトカゲの尻尾切り状態。恥ずかしながら奴等の根絶なんて夢物語というのが現状なんだ…」
「イルワ…」
悔しそうに拳をギュッと握り締めるイルワに、友人であるグレイル伯爵は心配そうに寄り添う。
そんな彼らをジッと見つめた後、亮牙は話を切り出した。
「グレイル伯爵、先日俺達に、いざって時は力になると言ってくれたな?」
「あ、あぁ…」
「チャング、本当にお前らはそのヨゴレ共と繋がりはねぇんだよな?」
「当然だよ、何度も言わせないでくれ」
「なら早速力になって貰おう。アンタら二人から直々の依頼って事で、そのフリーズ豆腐共を殲滅する依頼を俺達に出せ」
「…本気かね?」
「俺は冗談は言わん。仲間達もそのつもりだ」
確かめるようなイルワの視線に、亮牙は臆することなく頷いた。ハジメ達も同様で、真剣な表情となっている。
それを見て、イルワもグレイル伯爵も覚悟を決めたようだ。
「…確かに、君らならやりかねないな。そんな君らを敵に回したくは無いし、連中を見逃す理由も無いな。グレイル、構わないか?」
「ああ、彼らにはウィルを救って貰った恩があるからね。亮牙殿、イルワ・チャング支部長とこの私、グレイル・クデタ伯爵の権限で依頼を出す。内容は無論、フリートホーフの壊滅だ。出来る限り、市民や無関係の人に被害を及ぼさない範囲で頼む」
「上等だ。俺らは今後更に強大な敵と戦う事になるし、それだけの力がある。たかがヨゴレ風情が喧嘩を売ってきたことを後悔させてやる」
亮牙は不敵な笑みを浮かべて立ち上がると、ふと思い出したかのようにある事を伝えた。
「ああそうだ。今後俺達の名前を使う時は、このチーム名を使って欲しい」
「チーム名?どんな名前だい?」
「マキシマルだ。俺の育った地では「最大」を意味する単語だ。それと、終わるまでミュウの保護は任せるぞ」
「うむ、了解したよ」
イルワにそう約束させると、亮牙一行はカチコミの準備を始める。ハジメは抱き抱えていたミュウを降ろすと、優しく語りかけた。
「ミュウ、暫くの間、この人達と一緒に待っててくれる?」
「お兄ちゃん、どっか行っちゃうの…?」
「僕達はこれからミュウに酷い事した悪い奴らを懲らしめに行くからさ。この人達はいい人だから、安心して。それが終わったらすぐ戻ってくるからね」
「んみゅ」
こくりと頷くミュウの頭を優しく撫でると、ハジメは改めてイルワとグレイル伯爵に彼女の保護を頼んだ。二人とも、特に父親であるグレイル伯爵は改めて任せろと言ってくれた。
「よし、それじゃ三手に分かれて潰してくぞ。ストレイフとデカパイは此処を、ハジメとユエとスラッグは此処を、俺とシアは本拠地を潰す」
「「「「「「了解(ですぅ/なのじゃ)」」」」」」
「ああ、ユエとスラッグには話がある」
「「ん?」」
それぞれ別れて敵地に攻め入る準備をする中、亮牙はユエとスラッグにこっそり話しかけた。
「悪いが年長者としてハジメのサポートを頼むぞ。出来ればあいつにこんな汚れ仕事はさせたくなかったんだがな…」
「ん、私はハジメのパートナー。任せて」
「俺スラッグ、心配するな」
「頼むぞ…」
その日の騒動は、後に「マキシマルの怒り」と呼ばれるようになった。
亮牙一行ことマキシマルの面々は三手に分かれると、イルワから提供されたフリートホーフの物と思われる拠点を次々と襲撃し、容赦なく制圧していった。
フリートホーフは身の程知らずな事に、シア達女性陣を狙いに定めていたらしく、これを知ったスラッグ以外の男性陣の怒りが爆発したのが命取りとなった。
ある拠点は建物ごと破壊され、ある構成員達は全員丸焼きにされ、ある構成員達はギャアギャア見苦しく喚き散らした後に無残な肉塊にされ、フリートホーフはどんどん追い詰められていった。
そして現在、亮牙とシアはフリートホーフの本拠地にカチコみ、その場にいた構成員を皆殺しにした後、首領のハンセンを追い詰めていった。
圧倒的な蹂躙にすっかり怯えつつも、裏組織の首領としてのプライドからか、ハンセンは顔を青ざめさせながらも亮牙とシアに怒鳴り散らした。
「て、テメェ等!俺達フリートホーフに本拠地に手を出して生きて帰れるとは思っ……ガハッ!!?」
「誰にテメェなんてぬかしてやがる?貴方様だろうが!!!」
亮牙は容赦なくハンセンの頬を叩く。一撃でハンセンの歯が大量に飛び散ったが、亮牙は容赦なくハンセンの片耳に指を突き刺して壁に叩き付けた。そのまま亮牙はハンセンの片耳を引っ張り、鼓膜を破裂させる勢いで耳元で怒鳴り散らした。
「腐った耳の腐った穴を腐るほどかっぽじって、腐るほど聞きやがれ!俺達は天下のマキシマル、そして俺が大将の灘亮牙様だ!!!灘亮牙灘亮牙灘亮牙灘亮牙灘亮牙!!!どうだ、これで忘れねぇだろ⁉︎灘亮牙の名に死ぬまでうなされろ!!!」
そのまま亮牙は掴んでいたハンセンの耳を思い切り引き千切って床に叩き付けた。ハンセンがあまりの激痛に「アギャアアッ⁉︎」と悲鳴を上げる。
「大体テメェの面が気に食わねぇんだよ‼︎不細工な面しやがって‼︎」
亮牙は容赦なくガンガンとハンセンを蹴り飛ばした。最早ヤクザ顔負けである。
そんな恋人に呆れながら、シアが話しかけた。
「亮牙さ〜ん、そんな腐れ外道は放っておいて、これ見てくださいよ〜」
そう言いながら彼女が見せたのは、ミュウが売り捌かれる事になっていたオークション会場の見取り図と、顧客のリストだった。
会場はフューレンにある美術館、どうやら職員もフリートホーフのグルのようだ。更に顧客名簿には貴族らしい名前もちらほら見られた。恐らく、顧客の此奴等が、フリートホーフの悪事を今まで誤魔化していたのだろう。
「でかしたぞシア。よぅし、ハジメ達と合流して、最後は此処に殴り込むとするか」
「はいですぅ。で、そこで寝っ転がっているクズはどうします?」
「ああ、それなんだがお前は先にハジメ達と合流しててくれ。俺はちょっとコイツを見せしめにしてくる」
「は〜い!」
亮牙はそう言ってハジメ達に連絡を入れると、ボロボロになったハンセンを片手で摘み上げると重力魔法で飛び上がり、フューレンの大きな広場へと降り立った。
突然大の男を一人抱えた男が現れた事に通行人達はギョッとなるが、亮牙はそんなのお構いなしに、腕を金属化させると、鋭い爪でハンセンの背中を大きく引き裂いた。
「グギャアアアアアアッ!!?」
ハンセンが断末魔の悲鳴を上げ、通行人達も更に悲鳴を上げるが、亮牙は全く気にせず、鰻の背開きのように裂かれたハンセンの背中から肋骨を剥き出しにさせ、更に肺を体外へと引き摺り出して翼のように広げた。
これぞ、かつて北欧のヴァイキングが行っていたとされる処刑法「血の鷲」である。
作業を終えた亮牙は、息絶えたハンセンの死骸の前に、
と書かれた立て札を立てると、仲間達と合流するためにその場を去った。暫くすると血の匂いに誘われたカラス達が舞い降りて、ハンセンの死骸を啄み始めた。
フューレンにおける裏世界三大組織・フリートホーフは、こうして滅び去ったのであった。
〜用語集〜
・ミランダを知っているか
シュワちゃん主演の映画『レッドブル』にて、シュワちゃん演じる主人公が絡んできた浮浪者に言った台詞。相手が「何処の女だそりゃ?」と言った瞬間、容赦なくノックアウトしている。
ミランダとはアメリカの法手続きの一つ、ミランダ警告の事。警察が犯罪者を逮捕する際に、黙秘権があるなどのその後の裁判における権利が読み上げられる。
トランスフォーマーでもアメコミ『ケイオス・セオリー』にて、警官時代のオライオンパックスがホワール一味を逮捕する際にサイバトロン風のミランダ警告を述べている。
・マキシマル
ご存知、『ビーストウォーズ』シリーズにおけるサイバトロンの原語版名称。作者はビーストウォーズ世代なので、是非とも主人公のチーム名に使いたかった。
・血の鷲
かつて北欧のヴァイキング達が行ったとされる処刑方。うつ伏せに寝かせた罪人の背中の皮を剥ぎ、肋骨を剥いで両側に広げ、更に肺を引き出して鷲の翼に見立てた、とされている。
作者はハンセンの処刑方に、ファラリスの雄牛で蒸し焼きや、モズの早贄みたいに生きたまま串刺しなども考えていた。
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