グリムロックは宇宙最強   作:オルペウス

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最後の騎士王編です。オリジナル設定がたくさんあります。


そして騎士は別世界へ

 グリムロック達ダイナボットが故郷に戻り、再び自由を手にしてから数年が過ぎた。

 

 あれからグリムロックは現在の故郷やトランスフォーマー達の状況を自分なりに調べた。どうやらかつて自分達に変身能力を与えたあの立方体「オールスパーク」が、激しい内戦の最中サイバトロン星から紆余曲折の末にこの星へと流れ着き、それを機に両軍のトランスフォーマー達が地球を訪れるようになったらしい。

 特にディセプティコンは地球を領土として支配することを目論み、何度も侵略を目論んだようだ。しかもその中には、かつて敗走した仇敵メガトロナスもいたらしい。だが、オプティマス・プライム率いるオートボットらの活躍その野望はことごとく潰えたらしい。

 だが、その戦いに巻き込まれ続けた現在の頂点捕食者「人類」どもは、そんな彼らを両軍問わず「外敵」とみなし始め、オートボット達すらもまるで害虫のように始末し始めたそうだ。かつて自分達が倒したあの紛い物どもは、そうして「駆除」された者達の亡骸を使っていたそうだ。

 

 かつては頂点捕食者として縄張りを持っていたグリムロックは、自分達の世界を外敵から守りたいという人類の防衛本能は僅かながらも共感できた。しかし、彼には人類を好きになれなかった。

 確かに故郷の内戦を他の惑星まで持ち込んだトランスフォーマー達は人類にとって気に食わない存在かもしれない。だがオートボット達はあくまで共存を望み、侵略を目論むディセプティコンを必死に食い止め人類を守ってきた。それなのに追い出すどころかその命を奪うのは、恩知らずにも程がある。

 それに人類の所業も気に入らなかった。数千年前と違い、膨大な数に増殖した人類は、自分達の文明の繁栄のため、この星の自然環境を大きく破壊していった。戻ってきた時に空気に悪臭が混じっていたのも、奴らかこの星を汚し続けたせいだと知った。

 かつて大地を闊歩していた頃、自分達はこの星の自然環境とうまく共存を図ることが出来ていた。しかし人類は、支配者面してこの星を穢し、自分達のことを棚に上げてオートボットを悪とみなしている。グリムロック達ダイナボットにはどうしてもそれが許せなかった。

 

 それでも、人類の中にも良いと思える者がいた。あのオプティマスと共に戦ったケイド・イェーガーだ。奴はトランスフォーマーを忌み嫌う連中から酷い目に遭わされながらも、怪我をしたオプティマスを助け続けた。何の見返りもないというのに。

 更にケイドにはテッサという娘がいた。彼は既に妻を亡くし、何度も厄介な目に遭いながらも娘を守り続けた。だからこそテッサもケイドを慕い、あの憎きロックダウンとの闘いにも力を貸してくれたそうだ。

 かつて我が子を守れなかったグリムロックには、我が子の傍に寄り添い続けたケイドが羨ましく思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくしてダイナボット達はそれぞれの故郷へと戻ることにした。もう自分達の知る世界ではなくなったが、それでも自分達の生まれ育った地に戻りたかった。

 スコーンは海を渡り別の大陸を目指した。聞いてみると、かつてメガトロナスと戦った地の近くが彼の故郷らしい。空を飛べるストレイフは南へと下って行った。

 

 グリムロックはスラッグと共に、かつての故郷サウスダコタへと戻った。大地は乾燥し、緑に生い茂った巨木は最早一本も生えておらず、何より同族は1頭残らず滅び去ってしまっていたが、懐かしの故郷を踏みしめることに彼らはただ喜んだ。

 驚いたことに、そこにはケイドや、オプティマスの部下のオートボットたちもいた。彼らによると、どうやらトランスフォーマーを嫌う連中から逃れるため、ここに隠れ住んでいるそうだ。

「お前達も一緒に暮らさないか?その方が安全だろう」

 自分達なら人類が何匹来ようが撃退できる自信があったグリムロックとスラッグだったが、同族もいない中、気に入っている存在のケイドの誘いは嬉しかった。

 

 彼らとの暮らしはいつも賑やかだった。バンブルビーはやや幼いところがあるものの勇敢な奴だし、太っちょのハウンドは気さくな奴だ。気難しいドリフトや皮肉屋のクロスヘアーズ、危うく踏んでしまいそうになるほど小さいのに口の悪いホィーリーも、一緒にいると面白い。

 時折美味そうにみえたものを見境なく食うと、ケイドからはすごく叱られた。やれこれを食うな、あれは踏み潰すなよと口うるさかったが、それでも不思議といやな気分にはならなかった。

 時たま隠れ家にはデイトレーダーという胡散臭い奴が来た。あまりこいつは好きにはなれなかったが、それでも「ある者たち」を連れて来てくれたことには感謝している。

 それは3匹の恐竜たちの雛だった。無論本来の姿ではなく、グリムロック達と同様に金属の肉体をしていた。デイトレーダーによると、どうやら撃墜されたロックダウンの宇宙船の奥深くに捕らわれていたのを見つけたらしい。

 そのうちの一匹はグリムロックと同じティラノサウルスだった。まだ小さくひ弱だが、口から勇ましそうに火を噴く姿には後の戦士の風格が漂っていた。

 この3匹を気に入ったケイドは彼らを引き取り、親代わりとなって育てた。グリムロックとスラッグも、まさか同族と会えるとは思わなかったたので、彼らを歓迎した。

 

 しばらくすると、ケイドはジミーという人間を仲間に加え、彼に留守を任せてバンブルビー達と共に出撃するようになった。

 ハウンドに聞いてみると、各地で隠れ住んでいるオートボット達を、トランスフォーマーの排除を目論む人間から助けに行くらしい。娘テッサとは、その戦いに巻き込まぬよう別々に暮らす道を選んだようだ。

 

 そうした日々が続く中、隠れ家に思わぬ客がやってきた。イザベラという人間の少女と、スクィークスという小柄なオートボットの少年だった。どうやら彼女達も居場所を追われ、ケイドに助けを求めたらしい。

 最初こそケイドは邪険にしていたが、次第に彼女らを受け入れていった。グリムロックも、トランスフォーマーを嫌悪することなく親身に接するイザベラを気に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある日、隠れ家にけたたましい騒音が響いた。ケイドが敵が攻めてきたと叫んだ。皆は急いで隠れ家から撤退していった。

 グリムロックとスラッグは地下に潜って身を隠した。匂うのは人間だけじゃなかった。エネルゴンと火薬の匂いに邪悪な声、ディセプティコンもいるようだ。

 

 なぜ人間がディセプティコンと協力している?あれだけトランスフォーマーを忌み嫌い、オートボットを追い立てたのに、何度もこの星に害をなしたディセプティコンの肩を持つ気なのか?

 

 グリムロックは久々に激しい怒りを覚えた。

 

 地下を掘り進んでいると、人間の軍団が近づいているのが感じられた。彼とスラッグは怒りのままに地上に飛び出し、瞬く間に敵を蹴散らしていった。

 だが風に漂う匂いから、ディセプティコン達がケイド達に迫っているのが分かった。グリムロックはスラッグに人間どもの足止めを任せると、全速力で彼らのもとへと向かった。

 

 グリムロックが駆けつけると、ケイドとイザベラが今まさにディセプティコンに撃たれそうになっていた。彼は長い尾で敵を薙ぎ払うと、2人が逃げられるよう立ち塞がった。

 そこからは一方的な蹂躙となった。グリムロックはその強靭な顎でディセプティコン達を徹底的に叩きのめした。そのうちの1人ドレッドボットは哀れにも、彼の鋭い牙でずたずたに噛み砕かれてしまった。

 他のディセプティコンも、待ち伏せしていたバンブルビー達の攻撃を受けて総崩れとなり、リーダーの指示のもと撤退していった。

 

 かつて戦ったメガトロナスやロックダウンと比べて遥かに弱かった敵に内心呆れながらも、グリムロックは勝利を喜んだ。

 すると彼らの前に、一体の人間程のトランスフォーマーが現れた。彼は何か色々と話した後、ケイドとバンブルビーを連れていった。

 イザベラやジミーは心配していたが、グリムロックはケイドやバンブルビーの強さを認めていたため、直ぐに帰ってくるだろうと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2人が去ってから暫くして、再び隠れ家に戻っていたグリムロック達の前に、見慣れた物が現れた。かつて彼らを幽閉していたロックダウンの宇宙船だ。どうやら人類に撃墜された後、デイトレーダーが回収・修理して、オートボットに売ったようだ。

 ハウンド達は、これでバンブルビー達を迎えに行くらしい。イザベラやジミーもケイドに逢いたいようで、ついていくそうだ。

 

 グリムロックとスラッグは同行したかったが、かつて自分達を幽閉していた牢獄には近づきたくなかった。何より、あれに乗るとまた故郷に戻れなくなってしまう気がしたのだ。

 2体は仕方なく留守番として残ることになった。オートボット達には悪いが、もうあのような辛い思いは味わいたくなかった。

 宇宙船が水平線の彼方に消えると、2体は何かで気を紛らわせられないか考えた。

 

 

 

 

 

 突如、グリムロックとスラッグの体に蒼白い電流が纏わりつき、彼らの全身を覆った

 2体にはこの光の正体がすぐに分かった。かつてメガトロナスの眷属の一人として敵対しながらも、後に和解し戦友となったジェットファイアが使っていた瞬間移動能力「スペースブリッジ」と同じエネルギーだ。

 しかし、この能力は自分たちが知る限りではジェットファイアぐらいしか使えないし、何より自分達の両方ともこの能力を持っていない。

 

 2体の頭の中が混乱している間も、エネルギーは強くなっていき、やがて大きな光が弾けた。光が消えた後には、巨体を誇った2体のダイナボットの姿はどこにもなかった。

 

 グリムロック達はまたしても、望まぬ形で故郷を去ることとなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本作では最後の騎士王でスコーンとストレイフが登場しなかったのは、アメリカ国外にいたため、という設定にしました。まあ伝説の騎士と謳われた戦士が、人間に倒されるとは思えませんし。

スコーンはスピノサウルスという事もあり故郷はエジプトに、ストレイフの故郷は本作では翼竜の化石が多く見つかるという事でブラジルにしました。

また、グリムロックとスラッグ程の最強戦力が最終決戦に加わらなかった理由として、本作ではかつての牢獄であるあの船が気に入らなかったから、という設定にしてみました。

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