グリムロックは宇宙最強   作:オルペウス

73 / 105
スタジオシリーズ86のグリムロックとキングダムのサイクロナス、両方とも今年度最高の出来と言っても良い傑作でした。
丁度発売されたMTMTE邦訳版4巻でも、サイクロナスの活躍が格好良かったです。

本話のタイトルは、作者の好きな映画の一つである2018年の映画『ランペイジ〜巨獣大乱闘〜』が元ネタです。


巨獣大乱闘

「ぎ〜っちょんぎ〜っちょん!」

「邪魔だ!どけどけ!」

「助けてくれぇ!」

「何なんだよこの化け物は⁉︎俺達の武器や魔法が全然通用しねぇぞ!」

「勇者様は何処なんだ⁉︎何故助けに来ない!」

「ああっ、エヒト様!どうかお助けを〜!」

 

 ホルアドのメインストリートは現在、先程までの賑わいとは一転して大混乱となっていた。オルクス大迷宮から這い上がって来た蠍と蛇を組み合わせた魔物・クイックストライクが、不気味な唸り声を上げながら這い回っていたからだ。

 この町に住まう民衆や行商で訪れた商人達は、恐れをなして我先にと逃げ出そうと押し合いへし合いになりながら逃げてゆく。一部の者は哀れにも突き飛ばされて転倒し、後続の連中に容赦なく踏み潰された。

 中には建物の中に逃げ込んてやり過ごそうとした者もいた。だがクイックストライクはそれに気づいたのか、容赦なく長い尾を振るって人々が逃げ込んだ建物を次々と倒壊させた。とはいえ瓦礫の下敷きになった者はまだマシな方で、一部の建物は蛇の頭部となった尾の先端から撒き散らされた大量の毒液で、中に隠れた人々ごと容赦なく溶かされてしまった。

 冒険者達や傭兵、そしてハイリヒ王国の駐屯騎士達は、見たこともない姿と巨体を誇るこの魔物に対して、魔法や弓矢を放ったり、武器を手に取って飛び掛かり食い止めようとした。しかしその外骨格は非常に頑丈で、魔法は全く効いておらず、振り下ろした剣や突き出された槍は容易く砕け散ってしまった。

 そんな残酷な現実に、応戦しようとした者達から畜生!と悔しそうな叫びが上がる。中には緊急事態だというのに戦ってくれるどころか姿すら見せない勇者一行に呪詛の言葉を呟く者もいたが、クイックストライクは容赦しなかった。目障りな人間達を次々と、毒を撒き散らして生きたまま溶かしたり、顎のような鋏脚で真っ二つに両断したり、8本の脚を槍のように振り下ろして串刺しにしながら突き進んだ。

 中には自分達の神であるエヒトに救いを求めて叫ぶ者もいたが、実際は「他人の不幸は蜜の味」を座右の銘とするエヒトが、助けの手を差し伸べるはずもなかった。敬虔な信者は、哀れにもクイックストライクの巨大な顎に放り込まれ、生きたまま食べられてしまった。

 

「うわぁっ!!?」

「坊や!!?」

 

 建物に逃げ込んでも建物ごと破壊されてしまうので、人々はただ必死に走って逃げるしか生き残る道はなかった。その逃げ惑う民衆の中から、5歳くらいの男の子が一人、足がもつれて転んでしまった。隣で走っていた母親は慌てて立ち止まり、倒れた息子を抱き抱えて再び走り出そうとしたが、それより先に防衛網を突破したクイックストライクが追いついた。

 

「ぎ〜ちょんちょ〜ん!!!」

「「うわあああああっ!!!」」

 

 巨大な鋏脚が、まるで獲物に食らい付く大蛇の顎の如く母子に襲い掛かった。二人は最早逃げられない事を悟り、悲鳴を上げながらお互い抱きしめ合い、これから降り掛かる苦痛から目を逸らそうとした。

 

「俺スラッグ、どすこ〜い!!!」

「ぎちょ〜ん!!?」

 

 すると突然、その親子を巨大な何かが子どもっぽい声を上げながら飛び越え、クイックストライクに激突した。奇襲を受けたクイックストライクは、悲鳴らしき声を上げながら大きく突き進んで来た方向に吹き飛ばされ、ドスゥゥゥゥン!と仰向けに倒れ込んだ。

 二人は自分達を助けてくれた者が何者か確かめようと目を開くと、驚愕した。助けてくれたのはあの蠍と同じくらいの巨体を誇る、全身を金属で覆われた巨獣だった。外見はかつて勇者一行が倒したと言うベヒモスに似ているが、目の前の巨獣の前ではベヒモスなど小犬に思えるだろう。

 二人が呆気に取られている中、クイックストライクは身体をしならせて起き上がると、怒り狂ったように叫びながら再び突進して来た。

 

「ぎっちょんぎっちょん!」

「俺スラッグ、喧嘩は三度の飯より好きだ!」

 

 対する巨獣、ダイナボット火炎戦士スラッグは負けじと雄叫びを上げると、闘牛のようにクイックストライクへと突進していった。

 響き渡る唸り声と地響きに、呆気に取られていた母親は漸くハッとなると、大急ぎで我が子を抱き抱えるとその場から離れた。一方の息子は、先程転んだ時に擦りむいた膝の痛みや、ついさっきまで味わっていた死の恐怖などすっかり忘れて、自分達を助けてくれた巨獣の姿に見惚れていた。

 

「すっげぇ…」

 

 男の子がそう感じたように、スラッグとクイックストライクの死闘は苛烈を極めていた。2体の巨獣の死闘は周りの建物を容赦なく巻き込み、周囲はあっという間に瓦礫の山へと変えていった。クイックストライクの放つ溶解液で建物ごと溶かされては堪らないと、周囲の建物に逃げ込んだ一人もいなかったのは、不幸中の幸いであった。

 

「グオオオオオオッ!!!」

「ぎっちょんぎっちょん!!!」

 

 そんな事知ったことかと言わんばかりに、スラッグはビーストモードのままクイックストライクと取っ組み合いになっていた。彼は自慢の長い角でこのヘンテコな蠍を串刺しにしてやろうとしたが、対するクイックストライクもそうはさせるものかと、その鋏脚でスラッグの目の上の2本の角を掴み、抑え込んでいた。人間なら例え甲冑で武装した騎士ですら真っ二つに両断されていたが、スラッグの頑丈な頭は容易く砕かれたりなどはしなかった。

 拮抗状態となる両者だが、やがてクイックストライクがその状態を破った。毒蛇の顎のようになった尾の先端で、スラッグの背中に食らいつこうとしたのだ。

 

「俺スラッグ、その手は桑名の焼き蛤!!!」

「ぎちょん!!?」

 

 しかしスラッグは歴戦の戦士、そう易々と敵の思う壺にはまるような馬鹿ではなかった。彼はビーストモードから再び人間態に戻り、このまさに蛇蝎とでも形容すべき魔獣の攻撃をかわした。

 クイックストライクは目の前の敵が突如として縮んだことで鋏脚が緩んでしまい、更に尾の先端は勢い余って地面にめり込んでしまった。その一瞬の隙を見逃すほど、目の前の敵は甘くなかった。

 

「ウォリャアアアッ!!!」

「ぎちょ〜ん!!?」

 

 スラッグはすかさずトレイルカッターソードを展開すると、地面にめり込んでしまった尾の先端を斬り落とした。痛みのあまり間の抜けた悲鳴を上げるクイックストライク。

 もう毒は使えない、そうスラッグは確信したが、あまりの激痛に怒り狂ったクイックストライクは鋏脚を振り回した。彼は避けようとするも突き飛ばされ、近くの商店に突っ込んだ。

 それでも起き上がるスラッグだが、クイックストライクは予想外の攻撃をしてきた。「ぎちょ〜ん!」と唸りながら、口から自分とそっくりな幼虫を何十匹も吐き出したのだ。親よりは小さいが、それでも全長2mはあるだろう。

 

「「「「「ぎっちょんぎっちょんぎっちょんちょん!!!」」」」」

「のわぁあああっ!!?」」」」」

 

 何十匹ものクイックストライクの幼虫達は、まるで獲物に襲いかかるグンタイアリの如くスラッグに飛びかかると、そのまま彼を覆い尽くしてしまった。それを見て親玉である成虫は、「ぎ〜ちょんぎ〜ちょん」と唸り声を上げながらゆっくりと近づいてゆく。口から唾液を滴らせ、尾の先端を切り落とされた仕返しをしてやらんと…。

 

「ザッケンナコラ〜!!!」

「「「「「グワー!!?」」」」」

 

 だがそうはいかなかった。幼虫軍団に纏わりつかれてしまったスラッグだったが、彼の頑丈な肌には毒牙など通用せず、身体に電気を纏いながらロボットモードへと変身したのだ。何十匹もの幼虫達は堪らず黒焦げになり、断末魔の悲鳴を上げながら吹き飛ばされた。

 幼虫軍団が一瞬で全滅した事に、ゆっくり近づいていたクイックストライクは動揺して立ち止まってしまう。それが命取りとなった。

 

「ワッショイ!!!」

「ぎっちょ〜ん!!?」

 

 スラッグはロボットモードのまま突進すると、硬直していたクイックストライクを思い切り蹴り上げた。何十トンもの巨体はそのまま勢いよく宙へと舞い上がり、ホルアド全体を見渡せる高さまで打ち上げられると、再び重力の法則によって地上へと墜落していった。

 敵が落ちてくる前にスラッグはビーストモードに変形すると、その三本角の中心に電気を集中して溜め込んでいく。やがて角の中心に電気の

槍を作り出した彼は、頭上に落ちて来たクイックストライクを思い切り貫いた。

 

雷槍角刺(ライトニングスラスト)!!!」

「ぎちょちょちょちょん!!?」

 

 まるでモズの早贄のように、電撃の槍で串刺しにされたクイックストライクは、身体中に大量の電気を注ぎ込まれて断末魔の叫びを上げた。やがて電気が収まり、スラッグが頭を振るうと、丸焦げになったクイックストライクの死骸がドスゥン!とメインストリートに転がり落ちた。脚はピクリとも動かず、まるで海老を焼いたような香ばしい香りを若干漂わせている。

 

「ワハハハ!俺スラッグ、雷の王者!」

 

 一方、戦いに勝利したスラッグはロボットモードになると、まるでゴリラのドラミングのように胸をドンドンと叩きながら、勝利の雄叫びをあげるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同じく地獄絵図とでも形容すべき凄惨な光景は、ホルアドの住宅密集地帯でも繰り広げられていた。オルクス大迷宮に向かう冒険者や傭兵を相手とした商売で発展したこの町は、ハイリヒ王国の王都には劣るものの、多くの人々が暮らしていた。

 そんな多くの人々が暮らす住宅街は現在、迷宮から這い上がってきた魔物・ジェットストームの餌場となっていた。この怪物はその巨体を活かし、力任せに家屋を次々と倒壊させ、中から逃げ出して来た住民達を貪り食っていた。その光景はさながら、熊やアリクイが蟻塚を破壊して這い出た蟻を捕食するようであった。

 

「クソッタレが!よくも俺達の町を!」

「俺の家壊しやがって!ローンがまだ残ってるんだぞ!」

 

 多くの人間達が逃げ惑う中、勇敢にもこの魔獣に立ち向かおうとする者達もいた。手っ取り早く稼ぐことのできる大迷宮のおかげで安定した収入を得て、この町に住宅を構えて定住した冒険者や傭兵だ。その多くは自分の実力に自信を持っており、この招かれざる客に対して命をもって償わせようと挑みかかった。

 しかし、ジェットストームもまたクイックストライクと同様、一般的なトータス人が挑むには強過ぎた。怒り狂う冒険者達が多くの魔法をぶつけても、致命傷どころか擦り傷すら負わせる事が出来なかった。寧ろ、この怪物を怒らせただけであった。

 

「チャクバラ〜イ!」

「「「「「ギャアアアッ!!?」」」」」

 

 獲物達の鬱陶しい反撃に苛立ったジェットストームは、背中から尾にかけて生えている羽毛を逆立てると、大きく吠えながら尾を振るった。すると逆立っていた羽毛が、まるで投げナイフの如く射出されて降り注いだ。一枚一枚が人間の背丈程もあるその羽毛は刃のように硬く鋭利であり、ギロチンのように直撃した人間達を切り裂いた。

 冒険者達の悪夢はまだ終わらなかった。放たれた羽毛と共に、ジェットストームの身体から更なる怪物か放たれたのだ。それはこの怪物に寄生していたダニだ。但し、全長20mもの巨体に寄生していただけあって、その大きさはカラスぐらいはあるだろう。

 

「うわぁぁぁっ!!?何だよ此奴ら⁉︎」

「クソっ!離れ…が、かはっ…」

 

 そのダニ達は応戦する冒険者達や逃げ遅れた住民達に取り付き、首元まで這い上がっていくと、鋭い口吻を突き刺して吸血し始めた。襲われた者達は振り解こうとするが、それより先にあっという間に全身の血を吸い取られ、忽ちミイラのように干からびてゆく。しかし、彼らは只では死なせて貰えなかった。

 

「ガアアア…」

「ウウウウ…」

「な⁉︎こ、降霊術か⁉︎」

「違う!あのダニみてぇな魔物に操られてやがる!」

「そ、そんな…ギャアアアッ!!?」

 

 襲われた犠牲者達は既に事切れながらも、未だ首に喰らい付いているダニに肉体を支配され、さながらゾンビ兵のように成り果てて、生きている人間達に次々と襲い掛かった。

 そんな惨状に、応戦していた者達はパニックに陥った。共に暮らして来た家族や仲間たちが見るも無惨な姿に成り果てただけではなく、その亡骸を辱められる形で自分達に襲い掛かってくるのだから、無理もないだろう。一人、また一人と犠牲者が増えてゆき、ジェットストームは嘲笑うかのようにそんな犠牲者達を貪り食っていった。

 

「アアアアア…」

「ひっ…!や、やめてくれ兄貴!俺だよ!アンタの弟だよ…!」

 

 その内の一人、まだ若い冒険者の青年は、変わり果てた実の兄に対して必死に語りかけていた。彼ら兄弟は冒険者としてそれなりの成果を上げ、収入も安定したこともあり、このホルアドに家を買って暮らし始めたばかりだった。しかし幸せも束の間、突如現れた怪物達によって自宅は破壊され、兄は無惨な姿に変わり果て、今まさに弟を殺そうとしている。

 

「ウォアアアアア…!」

「あああああっ!」

 

 呼びかけに応じるわけもなく、飛びかかってくる兄に、青年は死を覚悟した。何故、自分達兄弟がこんな目に遭わなければならないのかと、運命を呪いながら…。

 

 

ズダダダダダダッ!

 

「え…?」

 

 死の恐怖から咄嗟に目を閉じた青年の耳に、突如として聞きなれない音が響き渡った。彼が恐る恐る目を開けると、死兵へと変わり果てた兄は取り付いたダニごと、木っ端微塵に吹き飛ばされていた。

 

「ボーっとするな!早く逃げろ!」

 

 そんな怒声がした方へ青年が振り向くと、和服に似た服装の男が見たことない武器を手にしながら此方へ近づいて来た。彼はその武器を使い、青年が聞いた音を立てながら、次々と死兵と化した民衆を倒していった。

 そう、男の正体は人間態のストレイフだ。今はハジメから借りたメツィライを片手に、次々と死兵達を仕留めている。

 

「生き残ってる奴は撤退しろ!此奴は俺が倒す!」

 

 彼の叫びに、生き残っていた人々は戸惑った。この男が駆けつけてくれたおかげで命拾いしたが、襲いくる化け物の強さを見にしみて味わっているが故に、信用して良いのか迷っているのだ。おまけに既に殆ど倒されたものの、死兵達は元々自分達の家族や友人だ。そんな大切な人々の亡骸を、飢えた肉食獣どもの前に放置して逃げる事にも、罪悪感を感じているのだ。

 

「チャクバラーイ!」

 

 だが、ストレイフの攻撃に苛立ったジェットストームの唸り声を聞いてハッとなった彼らは、死にたくないという感情には勝てず、その場を急いで撤退した。ここは最早、この戦士が仇を取ってくれるのを願うしかないだろう。

 

「さっきから着払い着払い五月蝿ぇよ!」

「チャクバライッ⁉︎」

 

 意味不明な唸り声に苛立っていたストレイフは、最後の死兵を仕留めると、武器をメツィライからブリッツウィングボウに切り替え、ジェットストームの顔目掛けて発射した。放たれた矢は致命傷とはならなかったものの鼻先に貫通し、狂犬は思わず悲鳴を上げた。

 ジェットストームは目の前の敵が唯の人間ではない事を本能的に悟った。思う存分人間を喰らったは良いが、瓦礫だらけの狭い場所で此奴と戦うには、自分の巨体では不利になるだろう。そう考えた怪物はストレイフに背を向けると、地面を強く蹴って跳び上がった。そして両肩に生えた翼を広げ、その場から飛び去ろうとした。

 

「逃がすか!ストレイフ、変身!」

 

 対するストレイフも黙ってはいない。彼もまた本来の姿、ビーストモードになると、鋼の翼を広げて飛び立ち、ジェットストームを追いかけ始めた。

 そのまま2体の巨獣は、お互いに相手の身体を鋭い鉤爪で引っ掻きながら、空中での死闘を繰り広げた。しかし形勢はストレイフが有利だった。何せ彼は6600万年前の地球において空の王者として君臨した、歴戦の狩人だ。こうして戦っているうちも、ジェットストームをホルアド郊外へと誘導して、これ以上町への被害を出さないようにしているのだ。

 

「「そろそろ終わらせるぞ!朋鋼翼撃(メタルウィング)!」」

 

 そう叫ぶと、ストレイフは一旦ジェットストームから距離を取ると、再び勢いよく突進、その大剣のように鋭利な鋼の翼で、この怪物の左の翼を斬り落としたのだ。切断された翼は、そのまま地上へ墜落していった。

 

「チャクバライッ!!?」

 

 凄まじい苦痛に悲鳴を上げたジェットストームは、片方の翼を失った事でバランスが取れなくなり、そのままヨロヨロと地上へと墜落しそうになる。しかし、空の王者は容赦なかった。

 

「「まだまだぁ!」」

 

 そう叫ぶとストレイフは、二つの口から大きく息を吐き出した。するとその吐息は忽ちハリケーンへと変わり、地上へゆっくり墜落しかけていたジェットストームを捕らえた。怪物が動揺する中、彼は猛禽のように鋭い鉤爪の生えた強靭な脚で、連続蹴りをお見舞いした。

 

「「暴風乱打(ハリケーンビート)!!!」」

「グボボボボッ!!?」

 

 まるで何本もの槍で何度も串刺しにされるかのように、ストレイフの蹴りがジェットストームの身体に突き刺さった。肉が裂け骨の砕ける音が風に混じって響き渡り、羽毛と血が空中に飛び散ってゆく。

 そしてストレイフが止めの一撃としてサマーソルトキックをお見舞いすると、ジェットストームの肉体は大きく仰け反った。怪物は既に全身の骨を砕かれ内臓も破裂しており、そのまま叫び声すら上げずに力なく地上へと落下、町の外れに轟音を立てて墜落すると、そのまま二度と起き上がる事はなかった。

 

「さてと。スラッグと合流して、後片付けでもするか」

 

 そう呟くとストレイフは、まだ地上に残っている可能性の高いダニや死兵を掃討するべく、スラッグのもとへと飛んでいった。

 勇者一行の不始末が原因で引き起こされたホルアドの町の危機は、こうして終息したのであった。

 

 

 

 

 

 




〜用語集〜
・砂漠獣クイックストライク
 ショックウェーブが自身の科学技術と「とある力」を用いて生み出した生物兵器。尾と鋏脚が蛇の頭となった蠍の姿をしており、全長は30mに達する。
 その外骨格は一般的なトータス人の武器や魔法ではダメージを与えられないほど頑強で、顎のような鋏脚は甲冑ごと敵を切断できる。そして最大の武器は尾の先端の蛇で、強力な溶解能力のある毒を吐き散らす。
 モチーフは『ビーストウォーズメタルス』に登場した、デストロン砂漠戦指揮官クイックストライク。戦闘スタイルの一部は、『ゴッド・オブ・ウォーIII』のジャイアントスコーピオンも参考にした。

・クイックストライクJr.
 クイックストライクが口から吐き出す形で産み落とす幼虫。成虫より毒性は弱いが、それでも全長2mはあるので、常人が敵う相手ではない。
 モデルは『ゴッド・オブ・ウォーIII』のジャイアントスコーピオンの幼虫。サイズは劇中におけるクイックストライクの全長を参考とした。

・追跡獣ジェットストーム
 クイックストライクと同じ手法でショックウェーブが生み出した生物兵器。猛禽の翼を生やし、前足も猛禽の鉤爪となった狼の姿をしており、全長26m・体高14mに達する。
 狼と同様に肉食性で気性が荒く、その翼を用いた空中戦も得意とする他、刃物のような羽毛を射出して敵を切り裂く能力も兼ね備える。
 モデルは『ビーストウォーズメタルス』に登場した、サイバトロン追跡員シルバーボルトで、名前は続編『ビーストウォーズリターンズ』でビーストメガトロンに改造された際の名前に由来する。
 また、戦闘スタイルは『ランペイジ』に登場した滑空餓狼ラルフを参考とした。
 なお、唸り声を「チャクバライ」としたのは、シルバーボルトを演じた岩田光央氏が、『トランスフォーマープライム』にてハードシェルを演じた際、矢鱈とアドリブで着払いについて熱弁していたから。

・寄生獣ミニトロン
 ジェットストームに寄生・吸血したダニが、その血液の副作用により変貌して誕生した魔物。宿主から離れるとすぐに新たな獲物に襲いかかり、人間なら瞬時に全ての血液を吸い取って殺してしまう。更に恐ろしいのは、ミイラ化したその亡骸に取り憑き、ゾンビ兵のように操って新たな獲物を襲う能力も持ち合わせている事。
 名前は『トランスフォーマーアドベンチャー』に登場したダニ型ディセプティコンのミニトロンから。能力は『ゴッド・オブ・ウォー:アセンション』に登場した、嫉妬の女神メガエラの使役する寄生虫を参考にした。





感想、評価お待ちしてます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。