新たな敵・スカージのビークルモードがDOTMメガトロンに似てると感じたのは私だけでしょうか?
前回は投稿が遅れてすみませんでした(>人<;)
今話で登場するオリキャラについての設定や、仕事疲れなどもあり、急遽休載してしまいました。
何の前触れもなく、突如、上空より投下された大量のミサイルは、今まさに最後のマグマ蛇に止めを刺そうとしていた亮牙に絶妙なタイミングで襲い掛かり、凄絶な熱量と衝撃を以て彼を破壊の嵐の中へと呑み込んだ。
「り、亮牙さぁん!!!」
シアの悲痛な叫び声が響き渡った。亮牙が爆撃に飲み込まれる光景を、少し離れた場所から呆然と見ていることしか出来なかった他の面々も、ハッと我を取り戻した。
轟音と共に上空から亮牙に降り注いだ大量のミサイルは、そのまま最後のマグマ蛇をも呑み込んで灼熱の海に着弾し、盛大に周囲を吹き飛ばしながら一時的に海の底を曝け出した。やがて爆風が収まっていくと、中からなお空中に留まっている亮牙の姿が現れた。ミサイルが降り注いだ瞬間、彼は間一髪身体を捻ってミサイルに対して正面を向き、エネルゴンの盾を展開して防御態勢を取った。そのおかげで、彼自身の並外れた耐久性や特殊な魔物の革を使った衣服を着ていた事もあり、爆発に呑まれながらも奇跡的に無事だった。
「俺は大丈夫だ!それより気ぃ抜くな!」
亮牙が自身の無事と共に警戒するよう叫ぶが、それと同時に無数のミサイルが豪雨の如く降り注いだ。先程の攻撃と同じ威力と規模、一発一発が確実にその身を滅ぼす死の光だ。
「
咄嗟にスラッグが電撃を放ち、ミサイルが墜落する前に破壊していくが、数があまりにも多過ぎる。おまけに幾つかは完全にマキシマル一行に狙いを定めた誘導ミサイルらしく、さながら獲物の反撃を巧みにかわす捕食者の如く、六人目掛けて襲いかかった。
「ユエ!俺に構わず皆を守れ!」
「ん!聖絶!」
亮牙の指示に従い、ユエは防御魔法を発動した。本来なら「絶禍」を展開したかった彼女だが、いくら熟練度が上がり発動時間を短く出来るようになってきたとは言え、重力魔法の構築・発動は、他の属性魔法の比ではなく、咄嗟に発動出来る上級レベルの防御魔法としては「聖絶」が適当だった。
ユエが掲げた手の先に燦然と輝く光の障壁が出現し、半球状に仲間達のいる範囲を覆う。直後、スラッグの電撃から逃れた誘導ミサイルの群れは、勢い良くその下に展開されていた光の障壁に殺到した。
まるで一つの都市を焼き払うかのような爆発が、マキシマル一行を吹き飛ばさんと間断なく襲い掛かり、ユエの「聖絶」を軋ませる。想像以上の威力に、このままでは押し切られると判断した彼女は、展開中の「聖絶」を守護する範囲を狭めて強固にするため、全体を覆うバリア状から頭上のみを守るシールド状に変形させた。
周囲はミサイルの余波で荒れ狂い破壊し尽くされた。この爆撃はどうやら、集中的に亮牙を狙っているらしく、既に彼のいる場所以外の足場は粉微塵にされてマグマの海へと沈んでいった。少し離れたところにいる五人には足止め程度にしか降り注いでいないようだが、それでも彼らが足止めされる程度には、威力も密度もある爆撃であり、尋常な攻撃でないことは確かぁ。
「亮牙さん!亮牙さぁん!」
「落ち着いてシア!この爆撃の中出ていったら不味い!」
「でもぉ!亮牙さんが!」
泣きそうな表情で爆撃の中に飛び出そうとするシアを、ハジメが必死に諌める。流石の彼も親友が心配だし、シアの気持ちは痛い程分かるが、これ程の爆撃の最中に無防備で飛び出させるわけには行かなかった。片手で彼女の首根っこを掴みながら、爆撃が止むのを待つしかなかった。
十秒か、それとも一分か。永遠に続くかと思われた爆撃の嵐は最後に一際激しく降り注いだ後、ようやく終わりを見せた。周囲は見るも無残な状態になっており、あちこちから黒煙が上がっていた。
流石のユエも魔力を使いきり、肩で息をしながら魔晶石にストックしてあった魔力を取り出して充填した。
と、同時に上空から、感嘆半分呆れ半分の、三人の男の声が降ってきた。
「おいおいスタスクよぉ!幾ら下等生物が相手だからって手ェ抜き過ぎじゃねぇの?一匹も死んでねぇじゃん!」
「あぁ⁉︎喧嘩売ってんのかニトロ⁉︎お前の射撃が下手なんだよ!」
「…いや、あれほどの攻撃で殺しきれんとは、看過できない実力だ。やはり、ここで待ち伏せていて正解だった。奴等は危険過ぎる。特に、あの銀髪の男は…」
五人はその声がした天井付近に視線を向けると、驚愕に目を見開いた。何故ならいつの間にか、そこには夥しい数の竜とそれらとは比べ物にならないくらいの巨体を誇る純白の竜が飛んでおり、その白竜の背に魔人族の男がいたからだ。しかもそれだけではなく、魔人族を乗せた白竜の両隣には、2体のトランスフォーマーが飛んでいたのだ。体格でこそダイナボット達には遥かに劣るものの、醸し出す雰囲気は周囲の竜達より遥かに凶悪そのものだ。
片方は身長9m程、カメムシにも似た逆三角形の体型で、足は猛禽類のような逆関節となっている。背中の翼と胸部のコックピットから察するに飛行機に変形するようだが、身体中にタトゥーのような黒い模様が施されている。そう、ディセプティコン航空参謀・スタースクリームだ!
もう片方は身長7m程で、右腕にボウガンと盾を組み合わせたような武器を、左腕には背中から伸びるケーブルに接続されたカノン砲で武装し、両肩のジェットパックらしき部分にもミサイルを装備している。首にはネックレスらしきチェーンをかけ、腕にもタトゥーらしきペイントを施した姿はさながらストリートギャングのようだが、頭部はあのショックウェーブに酷似している。そう、ディセプティコン航空電撃兵・ニトロゼウスだ!
「まさか彼ら三人の一斉攻撃を浴びせられても殺しきれんとは…。おまけに報告にあった強力にして未知の武器、女共もだ。我々魔人族でさえひとたまりもない攻撃を耐えきるなど、有り得んことだ。貴様等、一体何者だ?いくつの神代魔法を修得している?」
ティオに似た黄金色の眼を剣呑に細め、上空より睥睨する魔人族の男は、警戒心をあらわにしつつ睨み返す五人に、そんな質問をした。マキシマル一行の力が、何処かの大迷宮をクリアして手に入れた神代魔法のおかげだと考えたようだ。
「格好つけてる暇があんなら、質問より先に名前くらい名乗れよ。折角気に入ってた服汚しやがって…」
そんな魔人族の男に答えたのは、何事もないように上空を睨みつける亮牙だった。魔人族の男が眉を顰めるが、彼が口を開く前に、シア達の声が響き渡った。
「亮牙さん!」
「「亮牙!」」
「無事か!ご主人様よ!」
「俺スラッグ、心配なんてしてなかったぞ!」
五人は残り僅かな足場に飛び移って寄り添った。亮牙は、心配そうな眼差しで自分を見つめる仲間達に大丈夫だと笑みを見せると、視線を上空の敵達に転じると、不敵な笑みを見せた。
「…これから死にゆく者に名乗りが必要とは思えんな」
「全く同感だな。そもそも、ディセプティコンの家畜に過ぎない魔人族の名前なんぞ知る価値もない。そんなチンピラ共に使役されてる時点で器が知れてるぜ」
「「アァ⁉︎何だとゴルァアアア!!!」」
魔人族の挑発じみた態度に、亮牙は皮肉たっぷりの挑発で返した。ディセプティコンが加わっているとはいえ、見た限りアストロトレインやショックウェーブのような幹部格ではなさそうだ。一人は前にぶちのめした事がある相手だし、もう一人は確かケイドが買ったスクラップの中に紛れていた奴だった気がする程度だ。
その挑発に、ディセプティコン2体は怒りを露わにする。魔人族の男も眉を一瞬ピクリと動かし、先程より幾分低くなった声音で答えた。
「気が変わった。貴様は、私の名を骨身に刻め。私の名はフリード・バグアー。異教徒共に神罰を下す忠実なる神の使徒である」
「成る程な、オルクスであの女が言ってた攻略者ってのがテメェか…。そこで飛び回ってる蝿ども含めた配下の魔物どもは、変成魔法を手に入れた産物ってとこか?」
「その通りだ。神代の力を手に入れた私に『アルヴ様』は直接語りかけて下さった。『我が使徒』と。故に、私は、己の全てを賭けて主の望みを叶える。その障碍と成りうる貴様等の存在を、私は全力で否定する」
どこかカルト教団の首領たるあの老害イシュタルを彷彿とさせるフリード・バグアーと名乗った魔人族は、真っ向からマキシマル一行の存在そのものを否定した。だが亮牙は、その苛烈な物言いに不敵に笑った。
「ハッ!何が否定するだ!フル○ン・バカボンなんて巫山戯た名前の分際で、俺たちマキシマルに勝てると思ってるのか⁉︎」
そう雄叫びを上げると亮牙は、スルトを振り抜いて炎の斬撃をフリードに向けて飛ばした。それと同時に、ハジメがドンナーとシュラークを、ユエが雷龍を、ティオがブレスを、シアが炸裂スラッグ弾を、スラッグが電撃を放つ。
しかし、灰竜と呼ばれた体長3〜4m程の竜が数頭ひらりと射線上に入ると、直後、正三角形が無数に組み合わさった赤黒い障壁が出現し、六人の攻撃を全て受け止めてしまった。その障壁は、マキシマルの攻撃力が絶大であるために数秒程で直ぐに亀裂が入って砕けそうになるのだが、後から更に他の灰竜が射線上に入ると同じように障壁が何重にも展開されていき、思ったように突破が出来ない。よく見れば、竜の背中には亀型の魔物が張り付いているようだ。甲羅が赤黒く発光しているので、おそらく、障壁は亀型の魔物の固有魔法なのだろう。
「私の連れている魔物が竜だけだと思ったか?この守りはそう簡単には抜けんよ。さぁ、見せてやろう。私が手にしたもう一つの力を。神代の力を!」
「カッコつけてないでさっさとやれ馬鹿!おいニトロ!あの虫ケラ共に最高のショーを見せてやるぞ!」
「お!いいね〜!やってやろうじゃん!」
スタースクリームにヤジを飛ばされながらも、フリードは極度の集中状態に入り、微動だにせずにブツブツと詠唱を唱え始めた。手には、何やら大きな布が持たれており、複雑怪奇な魔法陣が描かれているようだ。新たに手に入れた神代の力と言っていた事から、おそらく、このグリューエン大火山で手に入れた神代魔法なのだろう。神代魔法の絶大な効果を知っているマキシマル一行は、詠唱などさせるものかと、更に苛烈に攻撃を加え始めた。
しかし敵も黙ってはいなかった。スタースクリームはニトロゼウスに合図を送ると、ギゴガゴゴと瞬時に変形していく。ビークルモードに変身したのを見た瞬間、ハジメの顔は青褪めた。スタースクリームが変形したのはF-22ラプター、ニトロゼウスが変形したのはJAS-39グリペンだ。どちらもオタクの彼はよく知っている、恐るべき戦闘機だ。
2体はそのまま勢いよく、さながら獲物に飛びかかる猛禽の如くマキシマル一行目掛けて急降下すると、機関砲を乱射した。亮牙は舌打ちすると、重力魔法を使ってそのまま勢い良く飛び上がった。
「あのバカボンとペット共は俺が蹴散らしてくる!お前らはあの2体に集中しろ!」
仲間達にそう指示を出すと、亮牙はフリードを直接叩きに突っ込んでいく。スタースクリームとニトロゼウスはそうはさせまいと集中砲火を浴びせるが、彼の頑丈過ぎる身体には全く効果がなく、そのままロボットモードへと変形する。
「ゲェッ⁉︎まさかのテメェかよ⁉︎」
「此奴が、ザ・フォールン様の仰っていた…!」
生意気な人間だと思っていた相手の正体に、前世で一戦交えた事のあるニトロゼウスも、初めてその姿を見たスタースクリームも驚愕の声を漏らす。それを無視して突進するグリムロックの姿を見て、本能的な恐怖から固まっていた灰竜達はハッとなり、慌てて障壁を展開していくが、少し遅かった。
「オラァッ!!!」
「「「「「ギャアアアッ!!?」」」」」
障壁の間近まで接近したグリムロックは、右腕をモーニングスターナックルに変形させると、強烈なアッパーカットを繰り出した。チェーンが展開した鉄球型の拳は、さながら解体用のクレーンのように障壁を突き破ると、近くを飛んでいた灰竜達を一気に20頭も道連れにして肉塊へと変えていく。後続の灰竜達が慌てて詰めて新たな障壁を展開しようとするが、それより先にグリムロックは鯉の滝登りの如く突破すると、未だ詠唱を続けるフリードと白竜に狙いを定めた。
「遅えんだよフル○ン野郎!」
「何⁉︎グワァアアアッ!!?」
そう嘲笑いながらグリムロックは、フリードの詠唱が完成する前に、モーニングスターナックルでの左ストレートをお見舞いする。まさかこうも容易く突破されるとは思っていなかった彼は、詠唱を諦めて亀型の魔物に障壁を展開させたが、強靭な腕力で振るわれた鉄球に障壁は容易く破壊されてしまう。亀型の魔物が盾となった事でフリードと白竜は無事だったが、衝撃のあまり大きく吹き飛ばされ、魔法陣の描かれた布を落としてしまった。布はそのまま真っ逆さまにマグマの海へと消えていった。
「いくら強大な力を手にしても、使う奴がテメェみたいな馬鹿じゃ宝の持ち腐れなんだよ!バカ田大学にでも通ってろ!」
「くっ!おのれぇ!」
苦虫を噛み潰したような表情のフリードを嘲笑いながら、スルトを展開したグリムロックは、そのまま彼を白竜ごと叩き斬ろうと振りかぶった。
「ッ!ダメです亮牙さん!上です!」
「何──グワァアアアッ!!?」
だがその時、『未来視』が発動したシアが叫んだ。次の瞬間、上空から再び大量のミサイルが襲い掛かり、フリード達に斬りかかろうとしたグリムロックに着弾した。攻撃の瞬間という無防備な状態を襲われた彼は、避け切る事が出来ずに被弾して怯み、その隙にフリードと白竜は更に上空へと退避する。
「クソが…!誰だ…⁉︎」
重傷という程ではないがダメージを受けた事に変わりはなく、グリムロックは忌々しそうに上空を睨みつける。その怒りは攻撃してきた犯人は勿論、ディセプティコンは2体だけだと勘違いしていた自分自身にも向けられていた。
犯人は、上空から凄まじい勢いで降下してきた。ビークルモードはスタースクリームやニトロゼウスと同じく戦闘機のようだが、遥かに大きい。全幅42m・全長44mに達するであろう巨体で、可変翼となった両翼に、流線型のフォルムで突進してくる姿は、さながらランスを手に突撃する槍騎兵のようだ。その正体は、アメリカ空軍の可変翼超音速戦略爆撃機・B-1ランサーだ。
ランサーはやはり、ギゴガゴゴとお馴染みの音を立てて変形し始めた。やがて現れたのは、ビークルモードの原型を留めない、禍々しい姿のロボットだった。燻銀のカラーリングに刺々しいフォルムで、体格はグリムロックには劣るが、ストレイフよりは大柄でがっしりしている。鉤爪を備えた両腕には、左にガトリング、右に巨大なブラスターを装備している。古代の兜のような頭部には、山羊のような一対の角が生えており、その禍々しい見た目からさながら悪魔のようだ。
「偉大なるメガトロナス・プライムの右腕、爆撃参謀サイクロナス、押して参る!」
新たなるディセプティコン、爆撃参謀サイクロナスはそう叫ぶと、背中に背負った妖しく光る大剣を引き抜くと、グリムロックへと飛び掛かった。
「アストロトレインの次は、テメェかよ!」
グリムロックは忌々しげにそう告げると、スルトを構え直して、サイクロナスが振り下ろした剣を受け止める。そのまま左腕で殴りかかろうとするも、サイクロナスはすかさず後退してその攻撃を交わすと、左腕のガトリングを連射する。並みのディセプティコンの射撃なら怯まず突進するグリムロックだが、武器の威力が桁違いに強いため、エネルゴンの盾を展開して防御するのがやっとであった。
そもそもサイクロナスは彼にとって、アストロトレインと並び因縁のある敵の一人であった。このディセプティコンは「シーカー」の隊長として高い実力を誇る歴戦の戦士であり、自他ともに認めるメガトロナスの右腕である。あの地球での戦いで自分達が勝利した後は、仲間達と共に逃走して消息不明となり、既に死んだとばかり思っていた。まさか、このトータスに来ていたとは、思いもしなかった。
銃撃が止むと、サイクロナスの背後に白竜に乗ったフリードが現れた。どうやら先程のお返しをしに来たようだ。だがそんな彼を、サイクロナスは片手で制した。
「手を出すなバグアー。奴は俺の敵だ」
「くっ!だがサイクロナス…!」
「奴は貴様如きが勝てる相手ではない。手伝いがしたいなら、下に行ってあの二人の手助けでもしろ」
「…分かった。行くぞウラノス」
足手纏い扱いされた事に顔を顰めるフリードだったが、先程の戦闘でグリムロックとの実力差を思い知らされた事もあり、渋々ながらも白竜・ウラノスを促して、下で戦っている2体のディセプティコン達の援護へと向かった。
邪魔者はいなくなり、睨み合う両者。お互い剣を抜くと、そのまま勢い良く突っ込んでゆき、剣と剣がぶつかり合う。
鍔迫り合いとなる両者。その後も互いの剣をぶつけ合い死闘を繰り広げるが、体格では若干劣るサイクロナスの方が、若干優勢であった。対するグリムロックは、慣れない空中戦もあってか、中々決定打を放つことが出来ずにいた。
「呆れたな。昔と比べて随分弱くなったな?」
「何ィ⁉︎」
「まあいい。冥土の土産に見せてやろう。この大迷宮とやらで手にした力をな!」
そう告げるとサイクロナスは大きく後退したかと思うと、剣を一振りして光り輝く膜のようなものを出現させ、それに飛び込んだのだ。
一体何処に⁉︎驚愕に目を見開くグリムロックだったが、背後から強烈な殺気を感じ取り振り返ると、横なぎに剣を振り抜こうとするサイクロナスがいた。間一髪、彼はスルトを盾にして防御するが、敵はすぐ様新たな膜を出現させては飛び込み、また死角から襲いかかってくる。
グリムロックは持ち前の野性の勘から、敵の殺気を感じ取っては対処するものの、予測し難いトリッキーな戦法に顔を顰めた。地上でならビーストモードに変形できるので、力押しで何とかなるのだが、生憎今は空中戦。飛行機に変形する上に空中戦を得意とするサイクロナスに分があるのは明白だ。
「ほう、中々良い剣だな」
「そりゃどうもな…!俺の親友が鍛えた業物だ…!」
「だが!偉大なるメガトロナス様より授かった、我がダークマターカリバーの前では、所詮は鈍よ!」
そう勇ましく叫ぶと共に、サイクロナスの斬撃はより一層強力になってゆく。グリムロックも負けじとスルトを振るうも、最初に受けた爆撃のダメージもあってか、徐々に押されていく。
そして遂に、サイクロナスのダークマターカリバーが大きく振り下ろされ、スルトの刃に激突した瞬間、その刀身はガキィン!と音を立てて折れてしまった。
「そんなっ⁉︎」
「終わりだ!ディセプティコンの栄光への礎となれ!」
ハジメから与えられ、これまでの戦いでも大いに役立ってきた愛刀を折られて動揺するグリムロック。その一瞬の隙を、サイクロナスは見逃さなかった。グリムロックが咄嗟に盾を展開しようとした瞬間、サイクロナスはダークマターカリバーで彼の胴体を袈裟斬りにした。
「グオオオオオオッ!!?」
グリムロックの苦悶に満ちた叫びが周囲に響き渡る。頑丈な身体故に真っ二つに両断されはしなかったものの、深く切り裂かれた傷口から返り血のようにエネルゴンが吹き出した。そこに更に追い討ちをかけるように、サイクロナスの右腕のブラスターが発射され、彼に直撃する。
深傷を負わされ、意識が朦朧とするグリムロックは、次第に重量魔法を維持できずに身体がふらつき、遂に、そのまま真っ逆さまに下へと墜落し始めた。意識が薄れゆく中、彼は最後の力を振り絞り、今もなお下で戦っている仲間達を下敷きにせぬようにと、人間態へと姿を変えた。
そしてグリムロックはそのまま、仲間達の目の前で、煮えたぎるマグマの海の中へと墜落し、沈んでいった。
〜用語集〜
・航空参謀スタースクリーム
シカゴの惨劇で戦死した、ディセプティコンのNo.2で、これまで何度も人類とオートボットを追い詰めた歴戦の戦士。ビークルモードはF-22ラプターで、オールスパークのタトゥーを入れている。
カメムシにも見える逆三角形の体型とは対照的に、空中戦では高い戦闘力を誇り、その残忍な性格もあって敵としては非常に厄介。メガトロンも何だかんだで信頼を置いていた。
ちなみに『最後の騎士王』で彼の生首をデイトレーダーがケイドに売却していたが、彼の頭部はサムによって吹き飛ばされているので、本物だったかは不明。
・航空電撃兵ニトロゼウス
『最後の騎士王』で活躍した元囚人で、JAS-39グリペンに変形する。チャラい性格だが、頭部はショックウェーブそっくりで、公式設定でも彼と面識があったらしい。
『ロストエイジ』で登場した人造機KSIボスに似ており、KSIはニトロゼウスの同型個体をベースに製作された可能性がある。
ちなみに玩具はややこしい事に、『最後の騎士王』公開時のものはコンセプトアートのデザインとなっている上に、パッケージの絵がKSIボスとなっている。逆にスタジオシリーズでリデコとしてKSIボスが発売された時は、ニトロゼウスがパッケージの絵に描かれている。
・爆撃参謀サイクロナス
アストロトレインに続く、本作オリジナルキャラクターとなるディセプティコン。身長65フィート(約19.8m)。ロックウェルB-1ランサーに変形する。右腕のブラスターと左腕のガトリング、そしてダークマターカリバーを武器とする他、「ある能力」も持ち合わせている。
メガトロナス・プライム直属の部隊「シーカー」の隊長であり、彼の右腕として高い実力と忠誠心の持ち主。かつてのマトリクスを巡る戦いでも、多くの敵を討ち取り、悪名を轟かせた。任務では卑劣な手段も辞さないが、基本的に武人気質な性格で「戦士とは戦って死ぬべき」と考えている。
モデルはG1の航空参謀サイクロナス。本作での役職はスタースクリームとの差別化を図るため、ビークルモードのランサーが爆撃機ということもあり、『プライム』のドレッドウィングの役職にした。ビークルモードは最初はエイリアンジェットも考えていたものの、最終的にランサーを選んだ。
なおサイクロナスを選んだ理由は、作者がIDW版のサイクロナスがお気に入りな事と、『ロストエイジ』のコンセプトアートでサイクロナスらしきキャラの設定画(ガルバトロンかロックダウンの初期設定の可能性有り)を見て、是非本作で活躍させたいと考えたから。
・ダークマターカリバー
かつてサイクロナスがメガトロナスより授かった両刃剣。ディセプティコンだけにしか扱えない強大な力を秘めており、この宇宙に斬れないものはないと恐れられた妖刀。サイクロナスはマトリクスを巡る戦いにおいて、この剣で多くの敵を斬り捨てた。
元ネタは『プライム』アームズマイクロンのスーパーコンボウェポン・ダークマターカリバー。
感想、評価お待ちしてます。
本作での雫について現在検討中なのですが、読者の皆様はどんな展開が良いですか?
-
光輝の被害者だし救済してあげて(泣)
-
取り敢えず主要メンバーのヒロイン入り
-
救済する必要なし。悲惨な末路にしろ