今年は色々とトラブルがあり、中々思うように執筆が進みませんでしたが、多くの方々に愛読・応援して頂き、誠にありがとうございます。
今年の『グリムロックは宇宙最強』はここまでとなる予定ですが、後書きにて重大な発表があります。
ティオが飛び立ってから、周囲のマグマは益々荒々しさを増し、既に中央の島以外の足場はマグマの海に沈んでしまった。五分もしない内に中央の島も呑み込まれるだろう。
中央の島には、最初に見たマグマのドームはなくなっていて、代わりに漆黒の建造物がその姿を見せていた。その傍らには、地面から数cmほど浮遊している円盤がある。真上が出口だったので、本来はこれに乗って地上に出るのだろう。
仲間達を肩に乗せたグリムロックは、噴出するマグマ柱の回避しながら中央の島に上陸すると、漆黒の建造物へと近づいた。
一見、扉などない唯の長方体に見えるが、壁の一部に毎度お馴染みの七大迷宮を示す文様が刻まれている場所があった。グリムロックの肩から降りた四人がその前に立つと、スっと音もなく壁がスライドし、中に入ることが出来た。最後にビーストモードに変形したグリムロックが中に入るのと、遂にマグマが中央の島をも呑み込もうと流れ込んできたのは同時だった。再び、スっと音もなく閉まる扉が、流れ込んできたマグマを間一髪でせき止めた。
マキシマル一行は暫く扉を見つめていたが、扉が溶かされてマグマが流れ込むということもないようなので、ホッと安堵の吐息を漏らした。こんな場所にある住処なのだから、万一に備えて、十中八九、マグマに耐えるだろうと予想はしていたが、いざ、その結果が示されるとやはり安堵してしまうものだ。
「一先ず、安心だね…。それにしても、この部屋は振動も遮断するのか…」
「ん、皆、あれ」
「魔法陣ですね」
「俺スラッグ、やっとか…」
未だふらついているスラッグに肩を貸すハジメは、部屋に入った途端、大地震クラスの振動を感じなくなったことに驚いていた。その呟きに応じながら、同じくスラッグを支えていたユエが指を差す。その先には、複雑にして精緻な魔法陣があった。神代魔法の魔法陣だ。マキシマル一行は互いに頷き合い、その中へ踏み込んだ。
オルクス大迷宮の時と同じように、記憶が勝手に溢れ出し迷宮攻略の軌跡が脳内を駆け巡る。そして、マグマ蛇を全て討伐したところで攻略を認められたようで、脳内に直接、神代魔法が刻み込まれていった。
「…これは、空間操作の魔法か」
「俺グリムロック、サイクロナスの瞬間移動はこれのおかげか…」
「ああ、あのいきなり背後に現れたやつですね」
どうやら、グリューエン大火山における神代魔法は「空間魔法」らしい。また、とんでもないものに干渉できる魔法だ。相変わらず神代の魔法はぶっ飛んでいる。
グリムロックが片言な口調で、先程のサイクロナスの奇襲について言及する。最初の奇襲も、おそらく、空間魔法を使ってあの場に現れ攻撃したのだろう。空間転移か空間を歪めて隠れていたのかは分からないが、厄介なことに変わりはない。フリードも恐らくこれを利用して奇襲を仕掛けるつもりだったと思われるので、グリムロックの素早い攻撃で魔法陣の描かれた布をマグマに落としたのはファインプレーだ。
マキシマル一行が空間魔法を修得し、魔法陣の輝きが収まっていくと同時に、カコンと音を立てて壁の一部が開き、更に正面の壁に輝く文字が浮き出始めた。
『人の未来が、自由な意思のもとにあらんことを、切に願う
「…俺スラッグ、シンプル過ぎる」
そのメッセージを見て、スラッグが素直な感想を述べた。周囲を見渡せば、グリューエン大火山の創設者の住処にしては、かなり殺風景な部屋だと気が付いた。オルクスの住処のような生活感がまるでないのだ。本当に、ただ魔法陣があるだけの場所だ。
「…身辺整理でもしたみたい」
「ナイズさんは、魔法以外、何も残さなかったみたいですね」
「そういえばオスカーの手記に、ナイズって人も出てたね。すごく寡黙な人だったみたいだ」
スラッグを支える役をハジメ一人に任せて、ユエは、拳サイズの開いた壁のところに行き、中に入っていたペンダントを取り出した。今まで手に入れた証と少々趣が異なる意匠を凝らしたサークル状のペンダントだ。それを、そっとハジメの首にかけた。
「…さて、魔法も証も手に入れたし、次は脱出なわけだけど…………亮牙、何時までその姿でいるの?」
ふと、ハジメがそう尋ね、他の三人もグリムロックに向き直る。さっきから人間態になれば良いのに、彼は未だに本来の姿のままだ。
「…俺グリムロック、何だかさっきからあたまがボ〜とする。何だかすっごく疲れた…」
「…まあ、死闘の末にマグマに落ちたかと思えば、なんかパワーアップして復活したからね。大丈夫?」
「うぅ…と、とりあえず、おれもとにもどる…」
何処か喋り方に何時もとは違う様子を見せながら、グリムロックは人間態に戻ろうとする。金属のパーツが折り畳まれて全身が縮小していき、やがて現れたのは────
「おれ、ぐりむろっく」
…見た目が幼児になった、我らが主人公、灘亮牙であった。
「「えええええええ!!?」」
あまりにも唐突な展開に、ハジメとユエの絶叫が周囲に木霊する。二人とも盛大なエ○ル顔となり、ユエに至っては普段のクールビューティーな面影がないくらいにキャラ崩壊している。
無理もないだろう。元々なんでもありな亮牙が、マグマの中から復活したかと思ったら、見た目はミュウと同年齢ぐらいの幼児の姿になってしまったのだ。もう無茶苦茶過ぎる。
「え⁉︎え⁉︎なんでいきなりショタ化した⁉︎マジでどうなってんの⁉︎」
「おれ、ぐりむろっく」
「も、もしかして、さっきの姿の副作用…?」
「おれ、ぐりむろっく」
「俺スラッグ、さっきからグリムロック、同じ事ばかり言ってるぞ…」
「おれ、ぐりむろっく!」
「いや何言ってるか分かんねえよ!!!
可笑しいだろ!パワーアップしたかと思いきやショタ化って、どんな副作用だよ!!!」
「ん、ストレイフに見てもらわないと……シア、どうしたの?」
ハジメの盛大なツッコみが、周囲に響き渡る。漸く大迷宮をクリアしたというのに、余計に面倒臭い展開となったのだから、無理もないだろう。
一方、亮牙本人はというと、さっきから自分の名前しか喋らず、流石のスラッグも困惑していた。ユエも動揺を隠し切れないが、何とか落ち着くよう自分に言い聞かせると、先程のパワーアップが原因なのではないかと推測していた。
ふと、ユエはシアが先程から黙ったままでいる事に気づいた。一体どうしたのかと、彼女に尋ねると…
「………か」
「「「か?」」」
「おれ、ぐりむろっく?」
「可愛いですぅ〜♡」
「おれぐりむろっく!!?」
シアは瞳を♡マークにしながら、幼児化した亮牙を抱き上げると、そのまま縫いぐるみでも抱くかのようにギュ〜と彼を抱き締めた。
「も〜!亮牙さんったら、どれだけ私をメロメロにすれば気が済むんですか〜♡普段もカッコよくて素敵ですけど、こんな可愛い姿になっちゃって〜♡」
「お、おれぐりむろっく…////」
「や〜ん♡照れてる姿も可愛すぎますぅ〜♡」
「「「……」」」
自慢の巨乳に亮牙の顔を埋めさせながら頬擦りするシア。亮牙自身も最初はびっくりしながらも、顔を赤らめて何だか嬉しそうにしている。
そんな二人のバカップルぶりに、残る面々は呆れた視線を向けるのであった。
シアが漸く落ち着きを取り戻すと、マキシマル一行は脱出計画について話し始めた。ちなみに亮牙は未だ幼児の姿のままで、シアが我が子をあやすかのように抱き抱えている。
「…それで、どうするの?」
「俺スラッグ、外はマグマで満たされてると思うぞ?」
「もちろん、マグマの中を泳いで進むさ」
「…ん?」
「…はい?」
「…俺スラッグ、ついにハジメもおかしくなったか?」
「いや、発狂したわけじゃないからね。ちゃんと説明するからそんな目で見ないでよ…。えっとね、実は、この建物のすぐ外に潜水艇を用意しておいたんだ。次のメルジーネ海底遺跡で必要になるだろうと思って作っておいたものなんだけど。果たして、マグマの中でも耐えられるか少々不安ではあったんだけどさ、金剛で覆った小舟が大丈夫だったから、いけると踏んだんだ。やはり大丈夫だったみたいだね」
「おれ、ぐりむろっく!」
「そうでちゅねぇ〜。ハジメさんはすごいでちゅねぇ。だけど、亮牙さんもすごいでちゅからねぇ〜♡」
流石ハジメだと言わんばかりに亮牙が声を上げると、シアが我が子をあやすかのように赤ちゃん言葉で喋りながら頭を撫でる。いつの間にとハジメを呆れた目で見ていたユエとスラッグは、今の言葉がよく理解出来たなと、更に呆れを宿した瞳でバカップル二人を見つめていた。
実はフリード達が要石を破壊したと告げた時、亮牙はハジメに既に宝物庫から直接マグマの中に潜水艇を転送するよう命じていたのだ。溶け出すようなら、直ぐに強行突破してティオと一緒に天井から脱出するつもりだったが、しばらく様子を見ても溶け出す様子がなかったので(感応石が組み込んであるので様子が分かる)、マグマに満たされても後から脱出できると踏んだのである。
ただ、明らかにヤバイレベルでグリューエン大火山自体が激震し、あちこち崩壊していたことから、スムーズに脱出できない可能性が大いにあった。アンカジへ戻るタイムリミットが迫る中、悠長に脱出ルートを探っている時間はなかった。なのでその場合に備えて、確実にタイムリミット内に静因石を持ち帰るために、ティオを先に脱出させたのだ。
「脱出ルートは、当然、天井のショートカットだ。ユエ、潜水艇の搭乗口まで結界を頼むよ。出来るよね?」
「んっ、任せて」
ハジメの言葉に頷いて、ユエが念を入れて「聖絶」を三重に重ね掛けする。光り輝く障壁が五人を包み込んだ。彼らは扉の前に立つと、煮えたぎるマグマで満たされた外界への扉を開いた。
直後、ゴバッ!と音を立てて、灼熱の奔流が部屋の中に流れ込んできた。「聖絶」はしっかりとマグマからマキシマル一行を守ったが、一瞬にして視界の全てが紅蓮に染まった。マグマの中からマグマを見るという有り得ない体験に、覚悟していたとは言え、流石の彼らも言葉に詰まる。世界広しと言えど、このような体験をした事があるのは彼らくらいに違いない。
「すぐ外だ。行くよ!」
「んっ」
「おれぐりむろっく」
「は、はいです!」
「俺スラッグ、分かった!」
ハジメの号令で、五人は、ゆっくりと部屋の外に出た。何も分からない閉ざされた世界ではあるが、彼の言葉通り、本当に出入り口のすぐ傍に待機させていたようで直ぐに「聖絶」に当たり場所がわかった。ユエは、障壁を調整しながらハッチまで行き、ようやくマキシマル一行は潜水艇に乗り込むことができた。
思わず、体に入っていた力が抜けたその瞬間…
今までの比ではない激震が空間全体を襲うと、突如、マグマが一定方向へと猛烈な勢いで流れ始めた。潜水艇はその激流に翻弄され、中の五人はミキサーにかけられたように上に下に、右に左にと転げまわる事になった。
「ぐわっ⁉︎」
「んにゃ⁉︎」
「あいたっ⁉︎」
「はぅ⁉︎痛いですぅ!」
「おれぐりむろっく⁉︎」
それぞれ、船内の壁に体のあちこちをぶつけて、悲鳴を上げる。ユエが咄嗟に「絶禍」の応用版を発動し、自分達を黒く渦く小さな球体に引き寄せることで、何とかシェイクされる状況を脱した。
「俺スラッグ、踏んだり蹴ったり…」
「た、助かった。ありがとうユエ」
「有難うございますぅ、ユエさん」
「おれぐりむろっく」
「ん、それより…」
ユエが「絶禍」を移動させ、操縦席らしき場所にまで運ばれたハジメは、魔力を流し込んで潜水艇のコントロールを試みる。だが、激しい流れとマグマの粘性に、思うように舵が取れなかった。
「クソッ、これが噴火なら、外に放り出されて、むしろラッキーなんだけどな…」
「…俺スラッグ、違うのか?」
苦虫を噛み潰したような表情をするハジメに、スラッグが首を傾げる。
「うん。マグマの中でも方向を見失わないよう、クロスビットに特定石を仕込んでおいたんだ。さっきの戦闘中に、脱出口付近に射出して置いたから、少なくとも天井のショートカットの場所は分かるんだけど…。この流れ、出口から遠ざかってるんだ」
「えっ?それって地下に潜ってるってことですか?」
「うん、真下ってわけじゃなくて、斜め下って感じだけど、どこに繋がっているのやら…。皆、やっぱり直ぐには戻れそうにないや。このまま行くとこまで行くしかないようだね」
「おれ、ぐりむろっく!」
「ふふ、亮牙さんったら『上等だ!』って言ってますね?私も、皆さんと一緒にいられるなら例え火の中水の中!『どこまででも』ですよ!」
「…私も、最後まで傍にいる。それが叶うなら何も問題ない」
「俺スラッグ、何にも怖くない!…でもちょっと回復させて」
「ハハハ、愚問だったね」
仲間達の返答に、ハジメは頬を緩めると笑みを返した。マキシマル一行を乗せた潜水艇は、そのまま灼熱の奔流に流されていった。
「…てかさシア、何で亮牙が言ってる事分かるの?」
「決まってるじゃないですか!愛の力ですぅ!」
「おれぐりむろっく!」
「「「……」」」
グリューエン大火山からの脱出が叶わず、マキシマル一行が何処とも知れないマグマが流れる地下道を流されている頃、赤銅色の砂が吹きすさぶグリューエン大砂漠の上空を飛ぶ影があった。
言わずもがな、「竜化」状態のティオである。
『むっ!気の所為じゃろうか?何だかシアが羨ましい状況になっている気がするのじゃが…』
愛する亮牙が幼児化し、シアが大変羨ましい思いをしている事を本能的に感じ取ったティオだったが、先程の戦闘で疲れているのだろうと考え、深く考えるのをやめた。
重傷という程ではないが、ディセプティコン達によって負わされた傷を癒す為、亮牙から許可を得ていたこともあり、「宝物庫」から神水を取り出し容器ごと噛み砕いて服用した。おかげでブレスの連発と限界以上に身体能力や飛行能力に注ぎ込んだため大量に消費した魔力も、戦いで負った手傷もかなりの勢いで回復していった。
それから飛ぶこと数時間、ようやく前方にアンカジの姿が見えてきた。これ以上飛行を続ければ、アンカジの監視塔からも彼女の姿が見えるだろう。ティオは一瞬、竜化を解いて行くべきかと考えたが、ディセプティコン達だけでなく魔人族のフリードにも知られた事と、きっと今後、マキシマルの一員としてついて行くなら竜化が必要な場面はいくらでもあるだろうと考えて、すっぱり割り切ることにした。
隠れ里はそう簡単に見つかることはないし、万が一見つかっても、竜人族はそう簡単にやられはしない。それに、500年前の悪夢が襲いかかったとしても、ティオやストレイフが助けを求めれば、間違いなく亮牙もマキシマルの仲間達も力を貸してくれる筈である。何だかんだで、彼女の愛しの男は身内には甘いのだ。
そんな考え事をしているうちに、遂にティオはアンカジまで数kmの位置までやって来た。見れば、監視塔の上が何やら非常に慌ただしい。勘違いで攻撃を受けても面倒なので、彼女は入場門の方へ迂回し、少し離れた場所に着地した。
と、半ば墜落する形で砂塵を巻き上げながら着地したティオのもとへ、アンカジの兵士達が隊列を組んでやってきた。見れば、壁の上にも大勢の兵士が弓や魔法陣の刻まれた杖などをもって待機している。
もうもうと巻き上がる砂埃が風にさらわれて晴れていき、兵士達が緊張にゴクリと喉を鳴らす音が響く。しかし、砂埃が晴れた先にいるのが黒髪金眼の美女で、しかも何やら疲弊しているようだと分かると、一様に困惑したような表情となって仲間同士顔を見合わせた。
「やめろ!攻撃するな!彼女は味方だ!」
そんな混乱する兵士達の隙間を通り抜けて、一人の青年が飛び出さはた。ティオにとって大切な家族、ストレイフだ。後ろから危険だと兵士達や領主の息子ビィズが制止の声をかけるが、まるっと無視して猛然と、片膝をつくティオのもとへ駆け寄った。監視塔からの報告があった時点でストレイフは、仲間達が帰ってきたと察し、急いで駆けつけたのだ。
「お嬢!大丈夫か⁉︎」
「むっ、叔父上か…。うむ、割かし平気じゃ。ちと疲れたがの」
たった一人、疲弊した様子で戻ってきた姪の姿に、ストレイフは血相を変える。しかし、先程服用した神水のおかげでかなり回復できたティオは「心配するでない、もうすぐ浄化できるのじゃ」と微笑んだ。
本当に、ティオの表情から心配ないことを察すると、ストレイフは肩の力を抜いて安堵の笑みを浮かべる。そして辺りを見回し、仲間達が一人もいない事を再確認すると、深刻な表情になった。
「…お嬢、一体何があった?グリムロック達はどうした?あの噴火は…」
「落ち着くのじゃ、叔父上。全部説明する。まずは、後ろの兵達を落ち着かせて、話せる場所に案内しておくれ」
「ああ。おい下がれ!見せ物じゃねえぞ!」
悲愴な表情をしていないティオを見て落ち着きを取り戻したストレイフは、後ろで困惑する兵士達を怒鳴って下がらせる。彼はティオを抱えると、ビィズや駆けつけたランズィ達のもとへ戻り、事情説明をしながら彼女を落ち着いて話のできる場所に案内した。
「成る程、あの噴火はディセプティコン共の仕業か…」
「うむ。ご主人様達なら、後から追いかけてくる筈じゃ。微塵も諦めておらんかったし、時間がなくて詳しくは聞けんかったが、何か打開策があったのは確かじゃよ」
グリューエン大火山で何があったのかを聞かされ、ストレイフは顔を顰めた。アンカジの人々を震撼させた大噴火を見たときから、何か嫌な予感はしていたが、まさかディセプティコン達が襲ってきたとは思いもしなかった。
そんな叔父を、ティオは力強い眼差しで見つめて口を開いた。
「叔父上。ご主人様からの伝言じゃ」
「グリムロックが?何だって?」
「うむ。正確には叔父上とミュウにじゃが…。『あとで会おう』じゃ」
「ったく、相変わらず楽天的な奴だぜ」
「うむ、例え傍から見れば絶望的な状況でも、ご主人様なら普通にひょっこりと生還する。無条件にそう信じられるのじゃ…」
「当然さ。何てったって俺達の大将だからな。取り敢えず、俺はやれる事やるよ」
「そうじゃな。もちろん、妾も手伝うからの」
仲間達を信頼するストレイフは、先にランズィ達に渡しておいた大量の静因石が現在、粉末状にされ患者達に配られている頃だと判断し、衰弱した人々を癒すために戻っていった。
その後、宮殿で、領主の娘であるアイリー(14歳)に構われているミュウとも合流し、事情説明が行われた。ハジメパパがいないことに泣きべそをかくミュウだったが、ハジメパパの娘は、そう簡単に泣いたりしないとティオに言われて、ほっぺをプクッと膨らませながら懸命に泣くのを堪えるということがあった。
ミュウは海人族ではあるが、少し関わればわかってしまうその愛らしさに、アンカジの宮殿にいる者達はこぞってノックアウトされていたらしく、特に、アイリーに至っては病み上がりで外出禁止となっていることもあり、ミュウを構い倒しているようだ。
ティオが竜人族であるという事についても、ランズィ達は思うところがあるようだったが、命懸けで静因石を取ってきてくれた事から、公国の恩人であることに変わりはなく、そう大きな騒ぎにはならなかった。
ストレイフ達は患者達を次々と癒していったが、二日経っても亮牙達が戻ってこなかった。ティオが何度かグリューエン大火山までのルートを探索してみたが、仲間達の痕跡はなく途方に暮れた。
そしてティオが戻ってから三日目の晩、ストレイフは彼女とミュウに提案をした。
「今日で、処置が必要な患者はいなくなった。あとは時間をかけて安静にするか、医療院のスタッフに任せとけば問題ない。だから、俺達三人でグリムロック達を探しに行こう」
「パパやぐりみぃ達、お迎えに行くの?」
「ふむ、そうじゃな。妾も、そろそろ動くべきかと思っておった」
ストレイフの言葉に、ミュウは嬉しそうに身を乗り出し、ティオは真剣な表情で賛同した。
「まず先に、エリセンに行って、ミュウちゃんを御袋さんと爺さんに会わせよう。流石にミュウちゃんを火山に連れて行く訳にはいかないからな。それに今は噴火の影響で、どちらにしろまともな探索は出来ないだろうし…」
「ふむ、それが妥当じゃろうな。態々火山に連れて行くなど、ここにミュウを預けていった意味がないしのう…」
「お嬢もまだ疲れてるようだし、俺が二人を乗せていくよ。エリセンまでなら、急げば一日もかからず行ける。早朝に出れば夕方までには到着出来るさ」
スイスイと進んでいく話に、ミュウが頭の上で?の花を大量に咲かせる。ストレイフが丁寧にわかりやすく説明すると、彼女は直接ハジメを迎えに行けないことに悲しげな表情をした。しかし、母親と祖父にも会いたかったようで、三人でハジメパパが会いに来るのを待っていて欲しいと伝えると、渋々ではあるが納得をしたようだ。実母や祖父と天秤にかけられるとか、どこまでパパなんだとストレイフとティオは二人揃って苦笑いを浮かべずにはいられなかった。
翌日、引き止めたそうな領主達に見送られながら、ビーストモードに変身したストレイフは、ティオとミュウを背に乗せて西の空へと飛び立った。背後で、盛大な感謝の声が砂塵をものともせず響き渡る。
「「…ところでお嬢、さっきから少し興奮してる気がするんだが、またグリムロックに変な事でもされたのか?」」
「なっ⁉︎何言ってるのじゃ叔父上!べ、別に妾はいつも通りじゃよ!」
「「そうか…」」
「(い、言えん!まさかご主人様に乳を揉んで貰うと約束したなどとは!…じゃが、待ち遠しいのじゃ〜♡)」
内心、早く亮牙と再会して約束を果たして貰おうと願うティオであった。
〜用語集〜
・グリムロックの幼児化
ファイヤーブラストグリムロックへと変身した結果、グリューエン大火山の強大な熱エネルギーを大量に吸収した副作用として、擬態能力にバグが生じた結果、人間態が幼児化してしまった。
IDWコミックシリーズのグリムロックが、『モア・ザン・ミーツ・ジ・アイ』以降は脳障害を患って幼児退行したのが元ネタ。
決して作者がシアにおねショタカップリングをさせたかった訳ではない(`・ω・´)
多くの方々の応援もあり、本作も今やお気に入り件数600件以上、UAも16万以上を突破出来ました。
そこで今回、読者の皆様への御礼も兼ねて、お気に入り件数500以上突破後に考えていた、R18作品を執筆していきたいと思います!作者の好みで本編以上にキャラ崩壊するだろうし、何より作者の性癖丸出しになっちゃうと思いますが、18歳以上の方々は楽しみにしてお待ち頂けると幸いです。
これからも『グリムロックは宇宙最強』を宜しくお願いします。
本作での雫について現在検討中なのですが、読者の皆様はどんな展開が良いですか?
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光輝の被害者だし救済してあげて(泣)
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取り敢えず主要メンバーのヒロイン入り
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救済する必要なし。悲惨な末路にしろ