グリムロックは宇宙最強   作:オルペウス

89 / 105
コロナ感染者が再び増加してきた昨今、読者の皆様は大丈夫でしょうか。
私の方は、遂に同居している親類の一人が感染してしまいました。幸い直ぐに隔離された末に完治し、私含めた濃厚接触者は検査の結果陰性でしたが、一週間は自宅に閉じ込められる事になりました。

それからは仕事もハードになって、スランプ気味だった事もあり執筆の意欲が分かず、お待たせしてしまい申し訳ございませんでした。

今回は再び戦闘に入ります。読者の方から指摘もありましたが、とある怪獣映画のオマージュも込めてあります。

今年は『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』も公開予定ですし、そうした映画作品のインスパイアも結構作中で出す予定です。


怒れる海の翁

 海から襲来するゴジラのように雄叫びを上げると、スコーンは再び水中に頭を潜らせる。それでも背中の棘は、まるでサメの背鰭のように水面に突き出ており、凄まじい勢いで潜水艇目掛けて突っ込んでくる。

 

「ふぇえええ〜⁉︎もの凄い勢いで突っ込んできますよ〜!!?」

「おれぐりむろっく!」

 

 堪らずシアが叫ぶ。亮牙は彼女の腕に抱かれながらも、迫り来るかつての仲間に吼えかかる。もっとも、今の彼に正常な思考があるのか不明だが。

 かつてスコーンが破壊した帆船の錨や縄が、水中を突き進む彼の身体に絡み付くが、当のスコーンは全く意に介さず、錨や縄に繋がった帆船の残骸を引っ張りながら突き進んでいく。

 

「ち、ちょっとスラッグ!あれ仲間なんでしょ⁉︎早く宥めてよ⁉︎」

「ん!急いで!」

「俺スラッグ!スコーン、止めろ!落ち着け!」

「うわぁああ⁉︎親分さん!おやめ下さい!」

 

 漸くハッとなったハジメとユエが、慌ててスラッグに宥めるよう叫ぶ。彼らの仲間である以上、下手に攻撃は出来ないし、そもそも生半可な攻撃で止められる相手じゃない。

 スラッグは大声で呼びかけ落ち着かせようとするも、スコーンは応じず突っ込んでくる。一人だけ意識を取り戻していた海人族の青年は恐慌状態となり、泣き叫ぶ始末だ。

 しかし迫り来る棘だらけの背中は、潜水艇まであと少しのところまで近づいたかと思うと、突如として海中に消えた。絡みついて引っ張られていた帆船の残骸も、そのまま海中へと沈んで行った。

 一体、どうしたのだろうか?警戒をしつつも、皆が疑問を浮かべる中、シアの腕に抱かれた亮牙は海中を睨みつけながら、唸るように叫んだ。

 

「おれぐりむろっく!!!」

 

 

 

 

 

「ギャオオオオオオオッ!!!」

 

ザバァアアアアアアンッ!!!

 

 亮牙が海中に向かって吼えた次の瞬間、スコーンは凄まじい雄叫びとともに垂直に海中から浮上し、潜水艇に体当たりを喰らわせた。

 

「わああああっ⁉︎」

「きゃあああ〜⁉︎」

「ん〜っ⁉︎」

「のわぁああっ⁉︎」

「おれぐりむろっく⁉︎」

「「「「「アイエエエ〜ッ!!?」」」」」

 

 あまりの衝撃に潜水艇はひっくり返され、荷台に乗せていた海人族達は悲鳴とともに投げ出される。ハッチから身を乗り出していたマキシマル一行も、潜水艇が転覆したのだから堪らない。

 忽ち船内に海水が入り、ハジメは慌ててハッチを閉める。仲間達の様子を確認すると、ユエが口からピュ〜と海水を吐き出し、スラッグに至っては口に飛び込んできた魚を吐き出している。どうやら近くを泳いでいたところを、運悪く彼の口に飛び込んでしまったのだろう。

 

「ゲホッ…みんな大丈夫?」

「グヘェ…スコーンの奴、後でぶん殴る…」

「ん………亮牙とシアは?」

 

 ユエは、亮牙とシアがいない事に気づいた。ハジメとスラッグもハッとなって船内を見渡すが、二人の姿はなかった。

 

「不味い!さっきの衝撃で投げ出されたんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うきゃああああ〜!!?またこんなのですか〜!!?」

「おれぐりむろっく〜!!?」

 

 一方、スコーンの衝突で潜水艇から海へと放り出された亮牙とシア。そのまま勢いよく水面へと墜落し、ドボォン!と水飛沫を上げた。周囲では、同じく潜水艇の荷台から投げ出された海人族達が「アイエエエ〜⁉︎」と悲鳴を上げながら海へと墜落していった。

 

「ごばばはばば!!?」

「おべぐびぶぼっぶ!!?」

 

 二人も海中へと沈んでいくが、直ぐにシアが身体強化を施し、亮牙を片腕に抱えながら海面へと浮上し、「プハァ!」と息を吸う。亮牙も口からピュ〜ッと海水を吐き出していた。恋人の無事を確認した彼女は、そのまま彼を片腕に抱えて、ひっくり返された潜水艇まで泳いで戻ろうとした。

 しかし、脅威はまだ去ったわけではなかった。先程の攻撃の後、海中に潜って姿を消したかに思われたスコーンは、再び海面に浮上すると、シアと亮牙に狙いを定め、凄まじい水飛沫を上げながら突進してきた。

 

「ギャオオオオオッ!!!」

「うひゃああああ〜っ!!?」

 

 まるでサメ映画でよくある、人喰いザメに襲われる水着ギャルのような状況に、シアは思わず悲鳴を上げる。その様子を見て、突如として亮牙は彼女の腕から抜け出すと、迫り来るスコーンを睨みつけた。

 

「ちょっ…⁉︎亮牙さん⁉︎」

「うぅ…グガァアアアアアアッ!!!

 

 突然の事に驚くシアだが、亮牙はお構いなしに凄まじい雄叫びを上げると、忽ち元の姿へと変身した。体色はファイヤーブラストの時と違い、元の燻銀のような色へと戻っていたが、何処か様子がおかしい。

 そんな彼は右腕を振りかぶると、まるで羆が鮭を仕留めるかのような強力なパンチを、迫り来るスコーンの巨大な顎目掛けてお見舞いした。

 

「ギェアアアアアアアッ!!?」

 

 流石のスコーンも、まさかの敵の反撃に反応できず、顔面を殴り飛ばされて大きく仰反る。大きな水飛沫が上がる中、彼は呆気に取られていたシアを優しく手に抱えると、そのまま一気に潜水艇の方まで泳いでいった。

 潜水艇はまだ転覆したままだったが、グリムロックはその怪力で易々と潜水艇をひっくり返して元に戻すと、片手に乗せていたシアを優しくハッチの上に降ろした。

 

「ふぇ〜、助かりました〜。亮牙さん、元に戻ったんですか?」

「……おれぐりむろっく?」

「どうやらまだ戻ってないみたいですね…」

 

 恋人が全快したのかと思ったシアだが、その厳しい外見とは裏腹にキョトン?とした表情で見下ろすグリムロックの姿に、まだ幼児化した時のままかと悟り、思わず苦笑いとなる。

 

「ギャオオオオオオオッ!!!」

「グォオオオオオオオッ!!?」

「ッ!!?亮牙さん!!?」

 

 だが次の瞬間、海中からスコーンが飛び出して、ワニのような顎でグリムロックの左肩に噛みついた。先程殴り飛ばされたものの、すぐに体勢を立て直して追いかけてきたのだ。

 痛みに悶えるグリムロックの叫びに、シアが思わず悲鳴を上げるが、スコーンはお構いなしに彼を海中に引き摺りこみ、グリムロックは潜水艇から引き離された。

 水中に引き摺り込まれたグリムロックだったが、スコーンの顎が弱まった一瞬の隙をついて敵の拘束から逃れた。スコーンが再び噛みつこうと迫るが、彼は強力な頭突きをお見舞いして一旦距離を取ると、海面へと浮上した。

 ザバァ!と勢いよく水飛沫を上げて海面へと浮上したグリムロックは辺りを見渡す。潜水艇の方を見ると、シアがホッとした様子でこちらを見ていた。彼女の無事を確認した後、更に周囲を見渡し、ふとエリセンの方を見た。本能的に、陸に上がって敵を迎え討とうと判断した彼は、そのまま勢いよく飛び上がると、スコーンに破壊された帆船の残骸を足場代わりにしながら陸場へと目指した。

 やがて港に到達すると、彼はズシィィン!と地響きを起こしながら着陸した。不幸中の幸いか、スコーンが暴れ回った事で人族は全て追い出され、海人族達も恐れをなして避難しているからか、エリセンがパニックに陥ることはなかった。

 

「グルゥオオオオオオッ!!!」

 

 安定した足場を確保できた事を確かめると、グリムロックは海中にいるスコーンに向かって雄叫びを上げた。この雄叫びは威嚇ではなく、挑発だ。敵の注意を仲間達から自分へと向けさせるための。

 一方、スコーンは再び海面に顔を出して、グリムロックか潜水艇の何方を攻撃すべきか品定めしていた。だが、港へと上陸して逃げたかに見えたグリムロックの挑発的な咆哮を聞き、標的を彼へと定めると、怒りを露わにしながら港目掛けて突き進んだ。

 グリムロックはスコーンが自分に狙いを定めたのを確認すると、地面の石畳へと視線を向けた。そしてその巨大な手で、まるで食パンでも引き千切るかのように石畳を抉り取ると、迫り来るスコーン目掛けて投げつけた。トータスの原始的な船舶ならこの投石で容易く沈められただろうが、生憎彼はダイナボットだ。そんな攻撃などで怯んだりなどしない。

 

ザバァアアアアアアッ!!!

 

「ギャオオオオオオオッ!!!」

 

 凄まじい水飛沫が上がると共に、港の石畳に前足の鉤爪を食い込ませ、怒り狂うスコーンが上陸した。元々がスピノサウルスなだけあって、体高は18m、全長も50mに達し、グリムロックのビーストモードより遥かに巨大だ。海から這い上がってきた事もあり、まるで某怪獣王のような迫力だ。

 だが、相手はグリムロックだ。現在の彼に正常な思考が出来ているかは不明だが、相手が何者だろうと怯んだりなどする性格ではない。

 

「グルゥオオオオオオッ!!!」

 

ガァァァァァァァンッ!!!

 

「グギィッ!!?」

 

 グリムロックが右腕を大きく振りかぶると、強烈なストレートをスコーンの顔面に直撃させる。凄まじい金属の衝突音が響き、スコーンの口から鋭い牙が数本へし折られた。だが、彼は両足に力を込めて踏ん張り、そこから身体を大きく捻らせて、全長の半分近くもある長い尾でグリムロックに反撃した。

 

バシィィィィィィッ!!!

 

「グォオオッ!!?」

 

 大きく拳を振りかぶった事で隙が生まれたグリムロックはその一撃を防ぐ事が出来ず、カウンターとなってしまった。大きく仰反った彼は、ドスゥゥゥン!と地響きを立てながら石畳の上に倒れ込んだ。

 スコーンは倒れ込んだグリムロックに伸し掛かって、喉元に食らいつこうと巨大な顎を開いた。

 

ヒュウウウウ!!!

 

チュドドドドドッ!!!

 

「ギャオオオオオオオッ!!?」

 

 だが突然、海上から大量の何かがスコーンの背中目掛けて降り注ぎ、直撃するや大爆発を起こした。大したダメージとはならなかったものの、思わず怯んだ彼は唸り声を上げて海上を睨みつける。

 攻撃の正体は、ハジメの放ったオルカンだ。無事にシアを潜水艇内に回収した後、グリムロックがまだ本調子を出せてない事に気づいた彼が、咄嗟に援護射撃を行ったのだ。

 スコーンが忌々しそうにハジメの方を睨みつける。この一瞬の隙をついて起き上がったグリムロックは、そのまま勢い良く彼に体当たりを喰らわせ、再び海中へと叩き落とした。

 

「ギャオオオオオッ!!?」

 

ザバァアアアアアア〜!!!

 

 海中へと叩き落とされたスコーンは、再び怒りの矛先をグリムロックへと向けた。そして彼は、全身のエネルギーを背中へと送り込み始めた。

 忽ち剣山のように生えた背中の棘が、まるで放射熱線を吐くゴ◯ラの背鰭の如く輝いていく。水中が光り輝く光景に、海上から見下ろしていたグリムロックも本能的に危険を察知した。

 その予感は正しかった。

 

放射棘槍(ラッシュスパイン)!!!」

 

ジュパパパパパパパパパッ!!!

 

 次の瞬間、発光していたスコーンの棘が、まるで魚雷を発射したかのように彼の背中から放出された。ハジメのパイルバンカーの杭より巨大な棘が、何十本も海中から飛び出して上空高く舞い上がったかと思うと、まるで絨毯爆撃の如くグリムロック目掛けて降り注いだ。

 

ズドドドドドドドドッ!!!

 

「グオオオオオオオッ!!?」

 

 降り注がれた大量の棘は、そのまま建物や石畳に貫通して破壊していく。幸いな事に、どの建物も住んでいた人族はとうの昔に追い出されて廃墟と化していたため、犠牲者はいなかった。

 グリムロックは必死になって降り注ぐ棘を躱していくが、陸に降り注ぐ棘の量があまりにも多過ぎる。やむを得ず、彼は棘を避けるために再び海中へと飛び込んだ。それが罠とも気づかずに。

 

「ギャオオオオオオオ〜!!!」

「ッ⁉︎グガァアアアアア!!?」

 

 スコーンが待ってましたと言わんばかりに海中から飛び出して、グリムロックの脇腹に噛みついた。彼は一見、無差別に棘を放出したかのように見せかけて、実際はグリムロックを海中へと追い込むように放出していたのだ。そして狙い通り、再び自分の得意とする海中戦へと持ち込んだのだ。

 グリムロックはスコーンの頭を殴り飛ばして顎から逃れると、急いで海面へと浮上しようとする。だがスコーンは再び彼に襲い掛かり、その長い尾で大蛇のように彼の胴体を締め上げた。必死にもがくグリムロックだが、拘束から逃れる事は出来ない。スコーンはそんな彼を締め上げたまま、更に海中奥深くまで潜ろうとする。このまま海底深くまで引き摺り込んで仕留めるつもりだ。

 危うし、グリムロック!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それより少し前、潜水艇では他のマキシマルの面々が、グリムロックとスコーンの戦いを心配そうに眺めていた。先程自分達を襲ってきたスコーンは、グリムロック達の仲間の筈だが、グリムロックの姿を見てもなお怒り狂ったままで、海人族達以上に聞く耳を持ってくれなさそうだ。

 それに何より、グリムロックの様子がおかしい。ロボットモードは元のカラーリングに戻ってはいるが、戦い方が彼らしくない。何処となく本能のままに暴れているようなのだ。事実、さっきから全く武装を展開したり、変形する素振りすら見せていない。

 皆がそう心配しているうちに、放たれたスコーンの棘を避けて海に飛び込んだグリムロックが、スコーンによって海中へと引き摺り込まれていった。

 

「大変です!亮牙さんが⁉︎」

「俺スラッグ!水の中じゃスコーンが有利すぎる!」

「ん、海の中じゃ亮牙、火が吹けない…!」

「早く助けるよ!ユエとスラッグも手伝って!」

 

 ハジメはそう叫ぶと、自身の宝物庫から自作の機雷を取り出し、海中目掛けて放り投げた。続いてユエとスラッグも、電撃を海中目掛けて放った。

 

チュドォオオオオオンッ!!!

 

バチバチバチバチバチッ!!!

 

 凄まじい騒音を上げながら、巨大な水柱が上がった。潜水艇から振り落とされた海人族達は、意識を取り戻して海上へと逃げ出していたが、もしまだ海面に浮かんでいたら大惨事となっていただろう。

 やがて海面が静かになったかと思うと、ザバァアッ!と再び凄まじい水飛沫をあげて何かが浮上してきた。グリムロックだ。さっきのハジメ達の攻撃で何とか拘束から脱出出来たのだろう。マキシマル一行もそれを見てホッとした。

 但し、今の彼は目に見えて分かる程に疲弊しきっていた。息も絶え絶えといった様子で、何とか港に上陸したかと思うと、そのままドスゥン!と仰向けに倒れ込んでしまった。

 その間に、再びスコーンが海面から顔を出した。彼も先程の攻撃でかなり疲弊しているようだが、その目は未だ闘志と憤怒で燃え滾っている。そのままゆっくりと、まるで仕留めた獲物にありつこうてするワニのように近づいていった。

 

「待ちなさい!いくら亮牙さん達のお仲間とは言え、これ以上はさせませんよ!」

 

 その光景を見たシアはすかさず身体強化を施すと、潜水艇のハッチから飛び出した。そして因幡の白兎の如く、帆船の残骸を飛び越えながら港に上陸すると、ドリュッケンを握りしめてスコーンの前に立ち塞がった。

 グリムロックはシアを庇おうと身体を動かそうとするが、疲れ切って思うように動けない。ロボットモードを維持するのもやっとな状態で、力が抜ければ幼児の姿に戻ってしまうだろう。

 スコーンは唸り声を上げながら、鋭い鉤爪の生えた前足を振りかぶり、シアへと振り下ろそうとした。

 

 

 

 

 

「「堅気に迷惑かけてんじゃねえよ───

 

 

 

 

 

 ───貂自尊皇(テンプラウドン)!!!」」

 

チュドォンッ!!!

 

「ギャオオオオオッ!!?」

 

 次の瞬間、上空からレーザーのように収束された強烈な衝撃波が放たれ、ガラ空きだったスコーンの腹部へと直撃した。流石の彼もこれには堪らず、仰向けに倒れ込んだ。

 シアが上空を見上げると、見覚えのあるシルエットが見えた。二つの頭に二股に分かれた尾、そして40mはある巨大な翼、間違いなく彼だ。

 

「「全く、何奴も此奴も手が掛かるよ」」

「ストレイフさん!」

 

 そう呆れたように呟きながら、彼はグリムロックとスコーンの間に割って入るように着陸すると、背中から二人の人影を優しく降ろした。勿論、ミュウとティオだ。

 

「ご主人様!」

 

 上空から愛しのグリムロックの無事を確認する事は出来たが、その彼がかつての仲間が相手とは言え、手ひどく痛めつけられ追い詰められた姿を目にして、彼女は目に涙を溜めながら駆け寄ってゆく。

 一方、ストレイフの方はロボットモードに変形すると、痛みに悶えながらも再び起き上がったスコーンを睨みつけて問いかけた。

 

「…おいスコーン。何があったか知らんが、これはちょっとおいたが過ぎるんじゃねえか?」

 

 例え古くからの仲間とはいえ、見た限りエリセンの町に甚大な被害を齎した犯人は、間違いなく彼だろう。おまけに先程まで、グリムロックを手酷く痛めつけていたのは見過ごせない。

 だが当のスコーンは、まるで聞く耳を持たないといった様子で、「グルルル…」と唸るだけだ。彼がこれ以上馬鹿な真似を続けるようなら容赦は出来ないと考えたストレイフは、拳を握り締めた。

 

「う〜!喧嘩したらめっ!なの!ぐりみぃにひどいことしたの、謝るの!」

「ちょっ⁉︎ミュウちゃん⁉︎」

 

 だが、新たな戦いが始まろうとしたその場を、全く予想外の人物が仲裁のために動いた。マキシマルのアイドル、ミュウだ。頬をプクッと膨らませながら、ストレイフの前に立つと、目の前の金属の恐竜に向かってそう叫んだ。

 彼女にとっても、グリムロックが手酷く痛めつけられた事は許せなかったようだ。何せなんだかんだで優しく、しょっ中シアに甘える彼の姿を見てきた彼女にとっては、マキシマルのリーダーは弟かペットの子犬のような存在なのだ。怒るのも無理はない。

 しかし、目の前の相手がそんな話を聞くとは思えない。シアとストレイフ、そしてグリムロックに寄り添っていたティオは慌ててミュウを下がらせようとするが…

 

 

 

 

 

「……ミ…ミュ…ウ…?」

 

 

 

 

 

 ふと、ミュウの名を呼ぶ男の声がその場に響いた。一行が一瞬キョトンとなって声のした方を見ると、先程まで闘志剥き出しだったスコーンが、嘘みたいに大人しくなっていたのだ。

 彼は、プンプンと怒りながら自分を見上げるミュウを、信じられない者でも見たかのように目をパチクリさせながら見つめていた。やがて、他のダイナボット達のように全身の金属がギゴガゴゴと折り畳まれ、その巨体は縮小していった。

 やがて現れたのは、初老の海人族の男だった。但し背丈は2mを超えており、髪は他の海人族のようなエメラルドグリーンではなく、真鯛のような赤髪だった。鰭状の耳も、まるでカサゴのように刺々しい。

 最初はキョトンとしていたミュウだったが、そんな厳しい大男の姿を見ると、顔をパァアッ!と輝かせた。

 

()()()()()!!!」

 

 彼女は嬉しそうにそう叫ぶと、人間態となったスコーンに抱きついた。

 

 

 

 

 




今回の戦闘で参考にしたのは分かる人ならすぐ分かったかもしれませんが、『ゴジラVSコング』です。
最初は『ジュラシック・パークIII』のオマージュや、スラッグと戦わせる事も考えていましたが、ゴジラとコングの戦闘描写に非常に魅了された事もあり、中盤の海上戦を参考に今回の戦いを設定しました。

個人的には昨年見た『ヴェノム/レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の主題歌「Last One Standing」が原作ハジメにマッチしてる気がするので、そうしたオマージュも入れてみたいなと考えています。





感想、評価お待ちしております。

本作での雫について現在検討中なのですが、読者の皆様はどんな展開が良いですか?

  • 光輝の被害者だし救済してあげて(泣)
  • 取り敢えず主要メンバーのヒロイン入り
  • 救済する必要なし。悲惨な末路にしろ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。