流石に自分もショックを受けました。
本日は選挙の日。この悲劇が二度と起きないよう、我々が日本の未来を考える必要があります。選挙権のある方々は、可能な限り投票に参加しましょう。
マキシマル一行が見上げる帆船は、地球でもそうそうお目にかかれない規模の本当に巨大な船だった。全長300m以上、地上に見える部分だけでも十階建て構造になっており、そこかしこに荘厳な装飾が施してあった。朽ちて尚、見るものに感動を与えるほどだ。
木造の船でよくもまぁ、これほどの船を仕上げたものだと、同じく物造りを得意とするハジメは、当時の職人達には尊敬の念を抱かずにはいられなかった。彼らが飛び上がって豪華客船の最上部にあるテラスへと降り立つと、案の定、周囲の空間が歪み始める。
「またか…。まあ、どうせ碌な光景じゃないな」
「おれ、ぐりむろっく」
そうストレイフが呟いている内に周囲の景色は完全に変わり、今度は、海上に浮かぶ豪華客船の上にいた。
時刻は夜で、満月が夜天に輝いている。豪華客船は光に溢れキラキラと輝き、甲板には様々な飾り付けと立食式の料理が所狭しと並んでいて、多くの人々が豪華な料理を片手に楽しげに談笑をしていた。
「俺スラッグ、なんで此奴ら、宴なんかやってんだ?」
「宴っていうよりパーティだよ…。随分と煌びやかだけど、メルジーネのコンセプトは勘違いだったかな?」
予想したような凄惨な光景とは程遠く肩透かしを喰ったような気になりながら、マキシマル一行はその煌びやかな光景を、おそらく船員用の一際高い場所にあるテラスから、巨大な甲板を見下ろす形で眺めていた。すると彼らの背後の扉が開き、休憩に来たのか船員が数名現れ、少し離れたところで一服しながら談笑を始めた。聞き耳を立ててみたところ、どうやらこの海上パーティーは終戦を祝う為のものらしい。長年続いていた戦争が、敵国の殲滅や侵略という形ではなく、和平条約を結ぶという形で終わらせることが出来たのらしく、船員達も嬉しそうだ。よく見れば甲板にいるのは人間族だけでなく、魔人族や亜人族も多くおり、誰もが種族の区別なく談笑をしていた。
「俺もこの世界では長く生きてきたが、こんな時代があったとはな…」
「終戦のために奔走した者達の、まさに偉業だな。終戦からどれくらい経っているのか分からんが、全てのわだかまりが消えたわけでもないだろうに、あれだけ笑い合えるとは…」
「恐らくあそこに居るのは、その頑張った者達なのじゃろうな…。皆が皆、直ぐに笑い合えるわけではないじゃろう…」
楽しげで晴れやかな人々の表情を見て、年長者であるストレイフとスコーン、ティオが感慨深そうに呟いた。しばらく眺めていると、甲板に用意されていた壇上に初老の男が登り、周囲に手を振り始めた。それに気がついた人々が、即座におしゃべりを止めて男に注目する。彼等の目には一様に敬意のようなものが含まれていた。
初老の男の傍には側近らしき男と何故かフードをかぶった人物が控えている。時と場合を考えれば失礼に当たると思うのだが、誰もフードについては注意しないようだ。
やがて、全ての人々が静まり注目が集まると、初老の男の演説が始まった。
「諸君、平和を願い、そのために身命を賭して戦乱を駆け抜けた勇猛なる諸君、平和の使者達よ。今日、この場所で、一同に会す事が出来たことを誠に嬉しく思う。この長きに渡る戦争を、私の代で、しかも和平を結ぶという形で終わらせる事が出来たこと、そして、この夢のような光景を目に出来たこと…。私の心は震えるばかりだ」
そう言って始まった演説を誰もが身じろぎ一つせず聞き入る。演説は進み、和平への足がかりとなった事件や、すれ違い、疑心暗鬼、それを覆すためにした無茶の数々や道半ばで散っていった友…。演説が進むに連れて、皆が遠い目をしたり、懐かしんだり、目頭を抑えて涙するのを堪えたりしている。
どうやら初老の男は、人間族のとある国の王のようだ。人間族の中でも相当初期から和平のために裏で動いていたらしく、人々が敬意を示すのも頷ける。
演説も遂に終盤のようだ。どこか熱に浮かされたように盛り上がる国王に、場の雰囲気も盛り上がる。しかしハジメ、ストレイフ、ティオ、そして(意識がはっきりしているのか定かではないが)亮牙は、そんな国王の表情を何処かで見たことがあるような気がして、途端に嫌な予感に襲われた。
「こうして和平条約を結び終え、一年経って思うのだ────
実に、愚かだったと…」
国王の言葉に、一瞬、その場にいた人々が頭上に「?」を浮かべる。聞き間違いかと、隣にいる者同士で顔を見合わせる間も、国王の熱に浮かされた演説は続いた。
「そう、実に愚かだった。獣風情と杯を交わすことも、異教徒共と未来を語ることも、愚かの極みだった。わかるかね、諸君。そう、君達のことだ」
「い、一体、何を言っているのだ!アレイストよ!一体、どうしたと言うッがはっ!?」
国王アレイストの豹変に、一人の魔人族が動揺したような声音で前に進み出た。そして、アレイスト王に問い詰めようとした結果、胸から剣を生やすことになった。
刺された魔人族の男は、肩越しに振り返り、そこにいた人間族を見て驚愕に表情を歪めた。その表情を見れば、彼等が浅はかならぬ関係であることが分かる。本当に、信じられないと言った表情で魔人族の男は崩れ落ちた。
場が騒然とする。「陛下ぁ!」と悲鳴が上がり、倒れた魔人族の男に数人の男女が駆け寄った。
「さて、諸君、最初に言った通り、私は、諸君が一同に会してくれ本当に嬉しい。我が神から見放された悪しき種族ごときが国を作り、我ら人間と対等のつもりでいるという耐え難い状況も、創世神にして唯一神たる『エヒト様』に背を向け、下らぬ異教の神を崇める愚か者共を放置せねばならん苦痛も、今日この日に終わる!全てを滅ぼす以外に平和などありえんのだ!それ故に、各国の重鎮を一度に片付けられる今日この日が、私は、堪らなく嬉しいのだよ!さぁ、神の忠実な下僕達よ!獣共と異教徒共に裁きの鉄槌を下せぇ!ああ、エヒト様!見ておられますかぁ!!!」
膝を付き天を仰いで哄笑を上げるアレイスト王が合図すると同時に、パーティー会場である甲板を完全に包囲する形で船員に扮した兵士達が現れた。
甲板は、前後を十階建ての建物と巨大なマストに挟まれる形で船の中央に備え付けられている。なので、テラスやマストの足場に陣取る兵士達から見れば、眼下に標的を見据えることなる。海の上で逃げ場もない以上、地の利は完全に兵士達側にあるのだ。それに気がついたのだろう。各国の重鎮達の表情は絶望一色に染まった。
次の瞬間、遂に甲板目掛けて一斉に魔法が撃ち込まれた。下という不利な位置にいる乗客達は必死に応戦するものの、一方的な暴威に晒され抵抗虚しく次々と倒れていった。
何とか、船内に逃げ込んだ者達もいるようだが、ほとんどの者達が息絶え、甲板は一瞬で血の海に様変わりした。ほんの数分前までの煌びやかさが嘘のようだ。海に飛び込んだ者もいるようだが、そこにも小舟に乗った船員が無数に控えており、やはり直ぐに殺されて海が鮮血に染まっていった。
「「「「グルルルルル…」」」」
余りに凄惨な光景に、常人なら吐き気を催すだろうが、ダイナボット四人は寧ろ、怒りを刺激されたようだ。幻影とは理解しつつも、凄まじい殺気の篭った目で、アレイスト王を睨んでいる。
そのアレイスト王は、部下を伴って船内へと戻っていった。幾人かは咄嗟に船内へ逃げ込んだようなので、あるいは、狩りでも行う気なのかもしれない。追従する男とフードの人物も船内に消えていった。
その時、ふと、フードの人物が甲板を振り返った。その拍子に、フードの裾から月の光を反射してキラキラと光る銀髪が一房、亮牙達には見えた。
周囲の景色がぐにゃりと歪む。どうやら、先程の映像を見せたかっただけらしく、マキシマル一行は元の朽ちた豪華客船の上に戻っていた。
「…皆、大丈夫か?」
「大丈夫です。ちょっと、キツかったですけど…。それより私達、何もしてませんけど、あれで終わりでしょうか?」
「この船の墓場は、ここが終着点だと思うよ。結界を超えて海中を探索して行くことは出来るだろうけど、普通に考えれば、深部に進みたければ船内に進めという意味なんじゃないかな?」
「ハジメの考えに同感だ。あの光景は、見せることそのものが目的だったのかもな。エヒトどもの凄惨さを記憶に焼き付けて、その上でこの船を探索させる…。そんな輩を神と崇めるトータス人にとっては、かなり嫌らしい趣向だな」
このトータスの人々は、その殆どが信仰心を持っているはずであり、その信仰心の行き着く果ての惨たらしさを見せつけられては、相当精神を苛むだろう。そして、この迷宮は精神状態に作用されやすい魔法の力が攻略の要だ。ある意味、ライセン大迷宮の逆なのである。異世界出身のハジメやダイナボット、そもそも被差別種族故にエヒトなど信仰していなかったシア達だからこそ、精神的圧迫もこの程度に済んでいるのだ。
マキシマル一行は甲板を見下ろし、そこで起きた凄惨な虐殺を思い出して気の進まない表情になった。ダイナボット達の場合は、アレイスト王やエヒトへの殺意で苛ついていたようだが…。
彼らは意を決して甲板に飛び降り、アレイスト王達が入って言った扉から船内へと足を踏み入れた。
船内は、完全に闇に閉ざされていた。外は明るいので、朽ちた木の隙間から光が差し込んでいてもおかしくないのだが、何故か、全く光が届いておらず、ハジメが宝物庫から緑光石を使ったライトを取り出し闇を払う。
「俺スラッグ、さっきの光景、終戦したのに、あのアンポンタンとか言うバカ殿が裏切ったのか?」
「ん…でも、ちょっと不自然だった…。壇上に登った時は、すごく敬意と親愛の篭った眼差しを向けられていた…。内心で亜人族や魔人族を嫌悪していたのなら、あんなに慕われる筈がない…」
「そうじゃな…。あの王の口ぶりからすると、まるで終戦して一年の間に何かがあって豹変した、と考えるのが妥当じゃろう…。問題は何があったのかということじゃが…」
「まぁ、神絡みなのは間違いないね。危ない感じでめっちゃ叫んでた姿、前に話した教皇のトリップ中の姿みたいだった…。いい歳したジジイのアヘ顔なんて、アレ程気色悪い光景は見た事なかったよ…」
「おれぐりむろっく」
聖教教会の教皇の気色悪い顔を思い出し、ハジメと亮牙は「うげぇ」とぼやきつつ、仲間達と先程の光景を考察しながら進んでいった。すると、前方に向けられたハジメのライトが、白くヒラヒラしたものを照らし出した。
マキシマル一行は足を止めて、ライトの光を少しずつ上に上げていく。その正体は白いドレスを着た女の子で、俯いてゆらゆらと揺れながら廊下の先に立っていたのだ。
猛烈に嫌な予感がしたハジメは、こんなところに女の子がいるはずないので、取り敢えず撃ち殺そうとドンナーの銃口を向けた。
その瞬間、女の子がペシャと廊下に倒れ込んだ。そして、手足の関節を有り得ない角度で曲げると、まるで蜘蛛のように手足を動かし、真っ直ぐマキシマル一行に突っ込んで来た。
奇怪な笑い声が廊下に響き渡る。前髪の隙間から炯々と光る眼でマキシマル一行を射抜きながら迫る姿は、まるで何処ぞの都市伝説のようだ。
「おれぐりむろっく!」
「亮牙さん⁉︎」
テンプレだがそれ故に恐ろしい光景。しかし此処にいるのは非常識の権化みたいな者達だ。ケタケタ笑って迫る少女を見て、亮牙は何かを刺激されたかのように近くの朽ちた木材を引っこ抜くと、そのまま少女に殴りかかった。
「おれぐりむろっく!」
「アイエッ!!?」
瞬く間に足元まで這い寄った少女だったが、凄まじい勢いで振り下ろされた木材に頭を叩き潰された。先程までケタケタ笑っていた少女だったが、何処かおかしな断末魔を上げて、有り得ない方向に曲げていた手足をピクピクと痙攣させると、そのまま溶けるように消えていった。
一方、グリムロックは少女がいなくなった事で、退屈そうにう〜と唸っていた。まるで玩具を取り上げられた子どもだ。
「亮牙さん、どうしたんでしょう?」
「多分、さっきの奴が虫みたいだったから、狩猟本能でも刺激されたんだろ。さっきの幻影でグリムロックもイラついてたしな」
「成る程、ストレス解消ってわけか…」
ストレイフの推測に、一行は成る程、と頷く。ティオだけ密かに叩き潰された少女を羨ましがっていたが…。
その後も、廊下の先の扉をバンバン叩かれたかと思うと、その扉に無数の血塗れた手形がついていたり、首筋に水滴が当たって天井を見上げれば水を滴らせる髪の長い女が張り付いてマキシマル一行を見下ろしていたり、ゴリゴリと廊下の先から何かを引きずる音がしたかと思ったら、生首と斧を持った男が現れ迫ってきたりした。
船内を進むごとに激しくなる怪奇現象だったが、大抵は亮牙が殴る蹴るで撃退したりと、マキシマル一行は何事もなく進んでいった。
メルジーネ海底遺跡の創設者メイル・メルジーネは、どうやらとことん精神的に追い詰めるのが好きらしい。奈落の底で闇と化け物に囲まれながら長期間サバイバルしていた経験があるハジメや、長年戦士として戦ってきたダイナボット達には、特にどうとも思わないが、普通の感性を持つ者なら精神的にキツイだろう。もっとも、ユエやティオはこの程度で驚きむせび泣くような性格ではないし、シアもこれまでの旅で精神的に強くなっていたので問題はなかった。
そうこうしてる内に、遂に彼らは船倉まで辿り着いた。重苦しい扉を開き中に踏み込むと、船倉内にはまばらに積荷が残っており、その間を奥に向かって進む。すると少し進んだところで、いきなり入ってきた扉がバタンッ!と大きな音を立てて勝手に閉まってしまった。
すると、また異常事態が発生した。急に濃い霧が視界を閉ざし始めたのだ。次の瞬間、ヒュ!と風を切る音が鳴り霧を切り裂いて何かが飛来した。咄嗟に、ハジメが左腕を掲げると、ちょうど首の高さで左腕に止められた極細の糸が見えた。更に、連続して風を切る音が鳴り、今度は四方八方から矢が飛来した。
「ここに来て、物理トラップ?ほんとに嫌らしいよね!解放者ってのはどいつもこいつも!」
「同感!光絶!」
ハジメは一瞬、意表を突かれたものの、所詮はただの原始的な武器であることから難なく捌き、ユエも防御魔法を発動した。直後、前方の霧が渦巻いたかと思うと、凄まじい勢いの暴風がマキシマル一行に襲いかかった。
ハジメは靴のスパイクで体を固定し、ダイナボット達もその巨体を重石代わりにして飛ばされないようにし、女性陣と幼児化した亮牙を掴んだ。
「おべぐびぶぼっふ!!?」
「痛えよグリムロック!髪を引っ張るな!」
暴風に吹き飛ばされそうになる亮牙だったが、咄嗟にスコーンの髪にしがみ付いて難を逃れた。怒るスコーンだが、今度は前方の霧を切り裂いて、長剣を振りかぶった騎士風の男が襲いかかってきた。何らかの技なのだろう、凄まじい剣技を繰り出してくる。
「
だがスコーンは、口から水の剣を生み出して、騎士風の男を袈裟斬りにした。斬り裂かれた騎士風の男は苦悶の声を上げることもなくそのまま霧散した。
しかし、同じような並みの技量ではない剣士や拳士、他にも様々な武器を持った武闘派の連中が、霧に紛れて次々に襲いかかってきた。
「成る程、中々面倒だな…」
「おれ、ぐりむろっく!」
悪態を吐きつつも、スコーンは仲間達とともに速攻で片付けにかかる。大体、二~三秒で歴戦の戦士を一体屠るペースで片付けていくが、如何せん数が多過ぎるし、この空間では元の姿に戻って戦うのは不可能だ。
「あ〜!面倒クセェ!一気に肩をつけてやる!」
倒すのに問題はないが、数の多さに苛立ったスコーンはそう怒鳴ると、大きく口を開いた。そして、一気に周囲の霧を吸い込み始めた。
「グオオオオオオッ!!!」
「「「「「アイエエエッ!!?」」」」」
周囲の霧は、あっという間にスコーンに飲み込まれていき、周囲の亡霊だか幻影だかはっきりしない戦士達も、呆気ない悲鳴を上げながら飲み込まれてしまった。彼が全ての戦士達を飲み込むのと同時に、周囲の霧も晴れていった。
「ゲプッ、片付いたようだな」
「いやいやいや!スコーンさん、どうやって片付けたんですか⁉︎」
「ん?ただ全部飲み込んでやっただけだが」
「俺スラッグ、美味かったのか?」
「いやいやスラッグ、気になるとこ違うでしょ…」
何事もなかったかのようにゲップをしながら呟くスコーンに、シアが思わずツッコむが、スコーンは呑気にそう答える。幾らなんでも無茶苦茶すぎるだろ、と思わずにはいられないハジメ達だったが、古い付き合いであるダイナボット達は特に気にしていないようだ。
そうしているうちに、霧が晴れた事で、倉庫の一番奥で魔法陣が輝き始めた。ハジメ達は、もうツッコんだら負けだ、と思うと、スタスタと進み、躊躇いなく魔法陣へと足を踏み入れた。
次に一行が転移したのは、巨大な地下空間で海底都市とも言うべき廃都だった。そこで再び空間が歪み、二国の軍隊と都内での戦闘に発展した。というのも、その都は人間族の都で魔人族の軍隊に侵略されているところだったらしく、結局、先程同じように両者から襲われたのだ?
都の奥には王城と思しき巨大な建築物があり、軍隊を蹴散らしながら突き進んだ一行は、侵入した王城で重鎮達の話を聞くことになった。
何でも魔人族が人間族の村を滅ぼした事がきっかけで、この都を首都とする人間族の国が魔人族側と戦争を始めたのだが、実はそれは和平を望まず魔人族の根絶やしを願った人間側の陰謀だったようなのだ。気がついた時には、既に収まりがつかないほど戦火は拡大し、遂に返り討ちに合った人間側が王都まで攻め入られるという事態になってしまった、という状況だったらしい。
そして、その陰謀を図った人間とは、聖教教会の前身であり、国と繋がりの深い光教教会の高位司祭だった。更に、連中は進退窮まり、困った時の神頼みと言わんばかりに、生贄を捧げて神の助力を得よういう暴挙に出た。その結果、都内から集められた数百人の女子供が、教会の大聖堂で虐殺されるという凄惨な事態となった。
その光景はハジメ達にとっても流石にかなりキツく、特にシアは吐きそうになった。
ダイナボット達は、先程よりもかなり怒りと殺意を抱いたが、特に怒り狂ったのが亮牙だった。先程の船内での戦いと違って広い環境だった事から、ビーストモードに戻り、破壊の限りを尽くした。元凶である高位司祭をはじめとした光教教会の亡霊達を、凄まじい殺意を持って破壊する姿は、地獄の鬼すら震え上がるであろう光景であった。
「ご主人様は、一体どうしたのじゃ…」
「…今のグリムロックに記憶がはっきりしてるのか分からんが、あの生臭坊主どもが原因だ。テメェらで撒いたタネだってのに、何の罪もねぇ子ども達を巫山戯た理由で虐殺したんだ。自分の子どもを守れなかった奴にとっちゃ、何より許せなかったんだろうよ…」
「亮牙さん…」
断末魔の悲鳴を上げる高位司祭の亡霊をなおレーザーファイヤーで焼くグリムロックの姿を心配そうに見つめるティオに、スコーンが代弁して答える。彼もまた父として、祖父として、この光景には思うところがあったようだ。
高位司祭の亡霊が焼き尽くされた後も、その跡を何度も巨大な足で踏みつけた末に、凄まじい雄叫びを上げるグリムロック。だが、彼の恋人であるシアには、一見すると勝鬨の声に思えるその雄叫びが、何処か悲しげな声に聞こえるのであった。
感想、評価お待ちしております。
最後に一言、安倍晋三氏の御冥福をお祈りします。
本作での雫について現在検討中なのですが、読者の皆様はどんな展開が良いですか?
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光輝の被害者だし救済してあげて(泣)
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取り敢えず主要メンバーのヒロイン入り
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救済する必要なし。悲惨な末路にしろ