グリムロックは宇宙最強   作:オルペウス

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半年以上もかかってしまいましたが、何とか今月中に終わらせる事が出来ました。
原作以上にキャラ崩壊&下ネタのオンパレードです。ご了承下さい。
なお、今話で雫の末路に関するアンケートは終了とします。多くの方々から意見を頂き、誠にありがとうございました。





それにしても、ジュラシック・ワールド最新作、完結作だけあってもう最高でした!



姪っ子との約束。

「ぐりみぃー!シアお姉ちゃーん!朝なのー!起きるのー!」

 

 海上の町エリセンの一角、とある家の二階で幼子の声が響き渡る。時刻は、そろそろ早朝を過ぎて、日の温かみを感じ始める頃だ。窓から、本日もいい天気になることを予報するように、朝日が燦々と差し込んでいる。

 

「んん…」

「zzz…」

 

 そんな朝日に照らされるベッドで爆睡しているのは、亮牙とシアだ。そして、そんな二人を元気な声で起こしに来たのはミュウである。

 

「シアお姉ちゃん、おはようなの」

「ふぁああ…。ミュウちゃん、おはようございます」

 

 眠そうに欠伸をしつつも、シアが起きたことが嬉しいのか、ニコニコと笑みをこぼすミュウ。シアも、朝の挨拶をしながら上半身を起こすと、微笑みながら優しく彼女の頭を撫でた。気持ちよさそうに目を細めるミュウに、シアも頬を緩ませる。

 

「zzz…」

「もうっ、ぐりみぃも起きるの!朝なの!」

「ふふっ。ほら亮牙さん、もう朝ですよ〜」

 

 そんなほのぼのした空気の中、シアの隣からいびきが聞こえて来る。無論、亮牙だ。

 それを聞いてハッとなったミュウは、頬を可愛く膨らませながらそう告げる。まるで弟の面倒を見る姉のようだ。

 シアも微笑みを浮かべながら、隣で眠る恋人の体を軽く揺する。

 

「んみゅ?どうして、ぐりみぃとシアお姉ちゃん、裸なの?」

 

 ふとミュウは、シーツから出たシアと未だ寝ている亮牙が、生まれたままの姿である事に気づいて、無邪気な質問をする。そして「もしかしてパジャマ持ってないの?」と不思議そうな、あるいは少し可哀想なものを見る目で二人を見る。

 幼く純粋な質問に、「だって、服は邪魔ですもん!」等と、セクハラ紛いの返しなど出来るはずもなく、シアは少し困った表情となりつつも、幼子の無邪気な質問に答えた。

 

「…え〜と、お姉ちゃんも亮牙さんも暑がりなんで、夜寝ているうちにパジャマ脱いじゃったんです!」

「んみゅ、暑かったの?」

「はい。お姉ちゃん達、ちょっと運動もしてたから…////」

 

 首を傾げるミュウに、顔を若干赤らめつつそう誤魔化すシア。ミュウの性教育は母親たるレミアと、祖父たるスコーンにお任せだ。ベッドの下で、脱ぎ散らかされた二人のパジャマや下着を見て、ミュウは「そんなに暑かったかな?」と昨日の夜を振り返る。 

 やや納得いかないように感じながら、ミュウはベッドの下を指差して、更に無邪気な質問を繰り出してシアを追い詰めた。

 

 

 

 

 

「それじゃあ、なんでティオお姉ちゃん、ぐるぐるになってベッドの下で寝てるの?」

「ん〜♡ん〜♡」

 

 

 

 

 

 そう言って彼女が指差した先には、下着姿のまま亀甲縛りをされたティオが転がっていた。目隠しをして、口には猿轡を咥え、顔を赤らめながら息を荒げている姿は、とても幼児には見せられない光景だった。

 

「あ〜、あれはティオさんのパジャマみたいなものですよ〜…」

「んみゅ、変なパジャマなの」

 

 呆れた描写でティオを見つめながらそう告げるシアに、純粋なミュウは素直な感想を告げる。

 無論、これは亮牙の仕業だ。彼とシアが寝ようとした際に、ティオがグリューエン大火山で約束した「胸を揉んでやる」という約束を果たしてもらおうと夜這いを仕掛けてきたのだ。勿論、直ぐに亮牙に拘束されてこんな状態にされたのだが、当人は「これはこれで…////」とご褒美のように喜んでいた始末だ。

 

「んん…」

「あっ。お早うございます、亮牙さん」

「んみゅ、ぐりみぃ、お早うなの!」

 

 そうこうしているうちに、先程まで眠っていた亮牙がようやく目を覚ました。まだ眠たそうな彼の目に映ったのは、姪っ子同然の幼女と、裸のまま優しく微笑む恋人の姿だ。

 

「シア〜」

「きゃっ♡も〜亮牙さんったら、ミュウちゃんの前ですよ////」

 

 そのまま亮牙はシアの胸元に飛び込むように抱きつくと、赤ん坊のように甘え始める。対するシアは、ミュウの前なので恥ずかしそうにしつつも、満更でもなさそうな表情だ。彼が幼児化してからは、暫くお預け状態だった事もあり、彼女も性欲が溜まっているのだ。

 

「あ〜!ぐりみぃ、またシアお姉ちゃんのおっぱい吸ってるの!大っきくなったくせに赤ちゃんみたいなの!」

「そうですねぇ〜。本当に亮牙さんは甘えん坊さんですねぇ〜。ミュウちゃんもお姉ちゃんのおっぱい、飲みます?」

「ミュウはもうおねえさんなの!もうおっぱいなんて飲んだりしないの!」

「ふふっ。お姉ちゃん達もおっぱいあげたらすぐ行きますから、ミュウちゃんは先に行っててくださいね」

「んみゅ、分かったの!」

 

 シアにそう告げられ、ミュウは元気に頷くと、そのままトテテテテッと部屋を出ていく。陽の光で少しずつ暖かさを増していく中、ほのぼのとした光景だ。今なおベッドの下で息を荒げるティオと、朝の牛乳の代わりにとシアの巨乳を堪能する亮牙の姿さえなければだが。

 その後、亮牙は思う存分シアに甘えた後、ようやく起きてリビングに来た。無論、ミュウから事情を聞いて怒り心頭だったストレイフとスコーンに袋叩きにされたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マキシマル一行がメルジーネ海底遺跡を攻略し、潜水艇を動かそうにもハジメも疲弊していたので、デプスチャージ族達に引っ張ってもらいながらエリセンまで帰り、再び、町に話題を提供してから六日が経っていた。帰還した日から彼らは、ずっとレミアとミュウの家に世話になっている。

 エリセンという町は、木で編まれた巨大な人工の浮島だ。広大な海そのものが無限の土地となっているので、町中は、通りにしろ建築物にしろ基本的にゆとりのある作りになっている。スコーン達の家も、元々五人暮らし用に建てた家にしては十分以上の大きさがあり、マキシマル一行が寝泊りしても何の不自由も感じない程度には快適な生活空間だった。

 そこで一行は、手に入れた神代魔法の習熟と装備品の充実に時間をあてていた。エリセンは海鮮系料理が充実しており、波風も心地よく、中々に居心地のいい場所だったので半分はバカンス気分ではあったが。

 ただ、それにしても、六日も滞在しているのは少々骨休めが過ぎると感じるところだ。その理由は言わずもがな、ミュウである。彼女をこの先の旅に連れて行くことは出来ない。四歳の何の力もない女の子を、東の果ての大迷宮に連れて行くなどもってのほかだ。

 まして、ハルツィナ樹海を除く残り二つの大迷宮は更に厄介な場所にある。一つは魔人族の領土にあるシュネー雪原の氷結洞窟。そしてもう一つは、何とあの忌々しい神山なのである。どちらも、大勢力の懐に入り込まねばならないのだ。そんな場所に、ミュウを連れて行くなど絶対に出来ない。

 なので、この町でお別れをしなければならないのだが、何となくそれを察しているのか、マキシマル一行がその話を出そうとすると、ミュウは決まって超甘えん坊モードになり、彼らに「必殺!幼女、無言の懇願!」を発動するので中々言い出せずにいた。結局、ズルズルと神代魔法の鍛錬やら新装備の充実化やら、ついでにスコーンが怒りに任せてぶっ壊した町の復旧やら、言い訳をしつつ六日も滞在してしまっているのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 六日目の今日も、グリムロックはスコーンとともに、ロボットモードになって瓦礫や人族の死骸の撤去を行なっていた。他の仲間達は現在、ミュウと共に海水浴を楽しんでいる。流石に二体だけでは大変そうに思えるかもしれないが、彼らには心強い協力者達がいた。

 

「よーし、お前ら。それを片付けりゃあ全部終わりだ」

「お疲れさん。瓦礫や人間どもの死骸は好きなだけ食っていいぞ」

「「「「「シャー!!!」」」」」

 

 そう、協力者とは、六日前まで敵だったシャークティコン達だ。ロボットモードになり、まるで工事作業員のような威勢の良い声で敬礼している。

 オクトパンチとの戦いの後、その死骸を食べて腹を満たした彼らは、圧倒的な力を以って自分達を打ち負かしたマキシマル一行に、野生の本能から忠誠を誓うようになったのだ。そのために、わざわざエリセンまでやってきて、定着するようになった。

 最初は警戒したマキシマル一行だったが、ミュウをはじめとした海人族の子ども達は「新しいお友達なの!」とシャークティコン達とすぐに打ち解け、更には漁の手伝いや、なんでも食べる悪食故にゴミ処理までこなして、あっという間に海人族達から受け入れられていた。今もこうして復興作業を手伝っており、通り行く海人族達から「今日もご苦労様!」と労われている始末だ。こうなっては、マキシマル一行もシャークティコン達を認めざるを得なかった。

 そして現在、最後の瓦礫の撤去が終わり、二人はシャークティコン達に後片付けを任すと、仲間達の元へと合流しに浜辺へと向かった。

 道中、海人族達から採れたて新鮮な魚介類を提供されつつ、浜辺へ着くと、ミュウは溢れんばかりの笑顔で、シアやティオ、スラッグにストレイフと水中鬼ごっこをして戯れていた。海人族の特性を十全に発揮して、チートの権化達から華麗に逃げ回る変則的な鬼ごっこ(ミュウ以外全員鬼役)を全力で楽しんでいる。

 一方、ハジメはというと、ビーチパラソルの下で寝そべるユエとレミアにせがまれ、日焼け止めを塗ったりマッサージをしていた。二人の色香に、彼はたじたじとしつつも、思いっきり鼻の下を伸ばしている。

 ユエは現在、黒のビキニを来ている。紐で結ぶタイプなので結構際どい。ユエの肌の白さと相まってコントラストがとても美しい。珍しく髪をツインテールにしており、それが普段より幼さを感じさせるのに、水着は大人っぽさを感じさせるというギャップがある。

 だが、レミアも負けず劣らずの美女だ。ミュウと再会した当初は、相当やつれていたのだが、現在は再生魔法という反則級の回復効果により以前の健康体を完全に取り戻しており、一児の母とは思えない、いや、そうであるが故の色気を纏っている。海人族の男衆がこぞって彼女の再婚相手を狙っていたり、母子セットで妙なファンクラブがあるのも頷けるくらいの、おっとり系美人だ。今はエメラルドグリーンの長い髪を背中で一本の緩い三つ編みにしており、ティオとタメを張るほど見事なスタイルを、ライトグリーンの結構際どいビキニで更に魅惑的にしている。

 しかし、色気とは裏腹にレミアの表情は幸せそうで、仲間達と遊ぶミュウも心底楽しそうな表情だ。娘と孫のそんな姿に、微笑ましげな表情のスコーンに、亮牙は問いかけた。

 

「…良いのか、スコーン?本当に俺達について来て?」

「くどいぞ、グリムロック。お前達、特にあの坊主には、娘と孫を救って貰った恩義があるんだ。俺にだって通す仁義ぐらいある」

「だが、ミュウはまだ小さいし…」

「確かにあの子はまだまだ幼い。だが、お前達と出会った事で、大きく成長出来た。いつも俺やレミアに甘えてばかりだったあの子が、自分より他の誰かを気遣えるようになった…。ミュウだって、お前達が行かなければならないことぐらい分かってるさ。幼さ故についつい甘えちまうが、一度も『行かないで』なんて口にしてない。これ以上、お前達を引き止めちゃいけないと分かってるのさ。だから、お前達も悩まずに、すべき事のために進め」

「…そうか。なら、俺からはもう何も言わん。明日には出発しよう。その前に、宴でもやりながらな」

 

 スコーンの、レミアの、そして幼いミュウの気遣いや覚悟を知り、これ以上は野暮だと考えた亮牙は、それ以上は何も言わない事にした。

 ちょうどその時、シアがミュウのいたずらで水着のブラジャーを剥ぎ取られ、「きゃあ!!?」と悲鳴を上げると、手ブラ姿で必死にミュウを追いかけ始めた。

 

「あの、ミュウちゃん?お姉ちゃんの水着、そろそろ返してくれませんか? さっきから人目が…」

「おいおい。何やってんだあいつは…」

「いやいやグリムロック、お前も鼻の下が伸びてるぞ…」

 

 自分の方が十歳以上も年上なのに、四歳の女の子に水着を取られて半泣きになるシア。そんな光景に亮牙は呆れるが、ちゃっかり見惚れている事をスコーンにツッコまれていた。

 そして、その光景を見ていたのは彼らだけではなかった。

 

「ああ…レミアさんは相変わらず美しいが、あの兎人族の娘も良いよな…」

「おっぱいデケェな〜。しゃぶりつきてぇ…」

「くぅ〜、今すぐミュウちゃんと代わりてぇ〜」

 

 レミアのファンクラブにも入っている海人族の若い衆が、ちゃっかりその光景を覗き見していた。初対面時は彼女の事を見下していた筈が、スコーンの友人達の仲間と分かってからは、元々美少女である事やそのナイスバディから、すっかり悩殺された者も増えていた。

 無論、シアの恋人たるこの男の前では、絶対してはいけない事だ。

 

「シアをいやらしい目で見てんじゃねぇ!!!」

「「「「「アイエエエ〜!!?」」」」」

「やり過ぎるなよグリムロック…。お〜いお前ら、飯にするぞ〜」

 

 ブチギレた亮牙が、近くにあった岩を持ち上げて、出歯亀をしていた連中目掛けて投げ飛ばした。直撃はしなかったものの、若い衆は一目散に逃げ出していった。

 スコーンは呆れつつも、皆を呼んで食事の準備を始めた。それに気付いた仲間達も、海から上がってくる。

 

「ふぇぇぇん…亮牙さ〜ん…」

「ほれ、泣くなって。スケベどもは追っ払ったから」

 

 シアも亮牙に気づくと、泣きべそをかきながら駆け寄って、その自慢の双丘を彼の胸板に押し付けながらもたれかかった。未だ、ミュウに水着を取られたままなので、体を隠す意図もあるようだ。

 亮牙は苦笑しつつも自身の上着を羽織らせてあげるが、極上の柔らかさに加え、当たっている二つの特徴的な感触にメロメロになっていた。

 ちなみに、ティオも中々魅力的な水着姿を披露していたのだが、自分もブラジャーを取れば亮牙に甘えられるのではと考え、ハァハァしながらブラジャーを外そうとしていた。こちらは色気よりも気色悪さの方が目立ち、ストレイフが泣きながら彼女を羽交締めにして必死に止めていた。

 ミュウも海中から出て来ると、シアの水着を「戦利品とったどー!」とばかりに掲げながら、亮牙の傍へと近づいていく。

 

「ぐりみぃ〜、ちょっとしゃがんでなの〜」

「ん?いいけどミュウ、そろそろシアに────」

 

 そう言われたのでミュウと目線が合うようにしゃがみつつ、シアの水着を返してやるよう注意しようとした亮牙。だが、彼がそう言い切る前に、ミュウはシアの水着を、亮牙の頭にパサッと乗せた。

 

「ミ、ミュウちゃん⁉︎なぜ、こんな事を……。はっ⁉︎まさか、亮牙さんに頼まれて?も、もうっ!亮牙さんたら、私の水着が気になるなら、そう言ってくれれば、いくらでも…」

「い、いや…そんな事頼んでないぞ…。ミュウ、なんでこんな事を?」

 

 顔を赤らめつつ、そんな事を呟きながら、イヤンイヤンと身体をくねらせるシア。一方の亮牙は、頭上に乗ったシアの水着から水滴を滴らせながら、頬を引きつらせつつミュウに尋ねる。何ともシュールな光景だが、それを目撃した海人族の男連中は血の涙を滴らせ、スコーンとストレイフはそれ以上に殺気立った目で亮牙を睨んでいる。

 そんな周りの雰囲気など気にしてない様子で、ミュウはニカっと微笑みながら理由を話した。

 

「んみゅ!ぐりみぃ、いっつもシアお姉ちゃんのおっぱい吸ってて赤ちゃんみたいなの!だから、お姉ちゃんのブラジャーをおしゃぶりにすれば良いの!きっと、おっぱいの味がする筈なの!」

 

 悪意の一切ない、満面の無邪気な笑みでそう告げるミュウ。彼女なりに、亮牙のためを思っての行動だったらしい。

 だが、そのメガトン級の爆弾発言に、海人族の男はより一層血涙を流し、スコーンとストレイフはメキメキと拳を鳴らし始める。レミアは顔を赤らめつつも「ラブラブですねぇ〜」と微笑ましげに呟き、ティオは「なら妾も〜♡」と水着を脱ごうとしている。

 一方、そう告げられた亮牙は、何かが吹っ切れたようだ。彼はすくっと立ち上がると、顔を真っ赤にして「亮牙さんがおっぱいばっかり吸うから〜」と言いながらより一層身体をくねらせるシアの両肩を掴んだ。

 

「シア」

「ふえ?どうしました?」

「向こうの岩陰行ってちょっと()()()()しよ「「ヤらせねえよ!!!」」グォオオオオオっ!?」

 

 そんな事を宣う亮牙に、遂にスコーンとストレイフの怒りが爆発し、二人の怒りの鉄拳が亮牙の後頭部に直撃する。亮牙はそのまま勢いよく砂浜にめり込むが、二人は止まらず彼を蹴り飛ばす。

 

「俺の可愛い孫の前でスケベな事ばっかりしやがって!おかげでミュウが変な事覚えちまったじゃねえか!」

「シアちゃんが可愛いからって羽目を外し過ぎだ!お嬢があんな手のつけられない痴女になっちまったのも、元はと言えばオメーが所構わず発情してる所為だぞ!」

「五月蝿え!俺が惚れた女とナニしようが俺の勝手だろうが!枯れ果てたジジイどもに説教される筋合いはねえ!」

「「オメーも6,600万歳のジジイだろーが!!!」」

「俺スラッグ、喧嘩なら俺も混ぜろ!」

 

 今までの不満や怒りをぶちまける二人に、今度は亮牙が逆上して殴り返す。次第に殴り合いはヒートアップして、スラッグまでもが便乗して参戦する始末だ。

 シアは喧騒のなか、亮牙が落とした自分の水着を拾うも、どう止めれば良いかオロオロとしている。ミュウはキョトンとして「やるって何をするの?」とレミアに問いかけてははぐらかされ、ティオは「妾だってご主人様に抱いてほしいのじゃ〜」と悔し涙を流す。

 そんな光景を眺めながら、自分達の馬鹿ップルぶりは、まだまだマシな方だな、と思わずにはいられないハジメとユエであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の晩、別れの宴の前にマキシマル一行はミュウにお別れを告げた。それを聞いたミュウは、着ているワンピースの裾を両手でギュッと握り締め、懸命に泣くのを堪えていた。しばらく沈黙が続く中、それを破ったのはミュウだった。

 

「…もう、パパにも、お爺ちゃんにも、みんなにも、会えないの?」

「……」

 

 答えに窮する質問だ。ハジメの目的は故郷たる日本に帰ること。しかし、その具体的な方法はまだ分かっておらず、どのような形でどのタイミングで帰ることになるのか分からない。

 かつて、ミレディ・ライセンは、望みを叶えたければ全ての神代魔法を集めろといった。もしかしたら、そのタイミングで直ぐに帰ることになってしまうかもしれないのだ。旅の終わりまでエリセンに来ることはないだろうから、あるいは、これが今生の別れとなる可能性は否定しきれない。安易なことは言えなかった。

 

「…パパは、ずっとミュウのパパでいてくれる?」

 

 どう答えるべきかと悩むハジメに、ミュウは、その答えを聞く前に言葉を重ねた。ハジメは、ミュウの両肩をしっかり掴むと真っ直ぐ視線を合わせた。

 

「…ミュウが、それを望むなら」

 

 そう答えると、ミュウは、涙を堪えて食いしばっていた口元を緩めてニッと笑みを作る。その表情にハッとしたのは仲間達だ。それは、どこか困難に戦いを挑む時のハジメの表情に似ていて、一瞬、本当の親子のように見えたのだ。

 

「なら、いってらっしゃいするの。それで、今度は、ミュウがパパを迎えに行くの」

「迎えに、か…。ミュウ。僕は、凄く遠いところに行くつもりなんだ。だから…」

「でも、パパが行けるなら、ミュウも行けるの。だって、ミュウはパパの娘だから」

 

 ハジメの娘たる自分が、出来ないことなどない。自信有りげに胸を張り、ハジメが会いに来られないなら、自分から会いに行くと宣言するミュウ。もちろん、ミュウは、ハジメが世界を越えて自分の故郷に帰ろうとしていることを正確に理解しているわけではない。まして、ミュウが迷宮を攻略して全ての神代魔法を手に入れ、世界を超えてくるなど有り得ない。

 それ故に、それは幼子の拙い発想から出た実現不可能な目標だ。

 だが、一体誰が、その力強い宣言を笑えるというのだろう。一体誰が、彼女の意志を馬鹿馬鹿しいと切り捨てられるのだろう。出来はしない。してはならない。

 スコーンから聞かされたレミアの言ったミュウが成長したという言葉の意味は、亮牙にはよく分かった。ミュウは短い時間ではあったが、それでもしっかりマキシマル一行の背を見て成長してきたのだ。そんな愛しい娘を今更手放せるのか。手放していいのか。いや、そんな事できるわけがない。していいわけがないのだ。

 だからこそ、ハジメは決断した。今、ここでもう一つ誓いを立てようと。

 

「ミュウ、待っていて」

「パパ?」

 

 ハジメの雰囲気が変化したのを感じ取ったのかミュウが不思議そうな顔をして首を傾げる。先程までの、どこか悩んだ表情は一切なく、いつもの力強い真っ直ぐな眼差しがミュウの瞳を射貫いた。ミュウがずっと見てきた瞳だ。

 

「全部終わらせたら。必ず、ミュウのところに戻ってくる。マキシマルのみんなで、ミュウに会いに来る」

「…ホント?」

「おいおいミュウ。ハジメがお前に嘘ついた事、あったか?」

 

 亮牙からの問いかけに、ふるふると首を振るミュウ。ハジメは、そんなミュウの髪を優しく撫でる。

 

「戻ってきたら、今度は、ミュウも連れていってあげる。それで、僕や亮牙達の故郷、生まれたところを見せてあげるよ。きっと、びっくりするよ。僕の故郷はびっくり箱みたいな場所だからね」

「!パパの生まれたところ?みたいの!」

「楽しみかい?」

「すっごく!」

 

 ピョンピョンと飛び跳ねながら喜びを表現するミュウに、マキシマル一行は優しげに目を細める。

 ハジメとまた会えるという事に不安を吹き飛ばされ満面の笑みを浮かべるミュウは、飛び跳ねる勢いそのままに、彼に飛びついた。しっかり抱きとめたハジメは、そのまま彼女を抱っこする。

 

「なら、いい子でママと待っててね?危ないことはしちゃだめ。ママの言うことをよく聞いて、お手伝いを頑張るんだぞ?」

「はいなの!」

 

 ハジメは、そんな二人のやり取りを微笑みながら見つめていたスコーンとレミアに視線で謝罪する。「勝手に決めて済まない」と。

 それに対し、二人はゆっくり首を振ると、しっかりハジメと視線を合わせて頷いた。「気にしないで」と。その暖かな眼差しには、責めるような色は微塵もなく、むしろ感謝の念が含まれていた。

 

「ワハハハ!ミュウ、えらいぞ!俺スラッグの子分だけある!」

「だな。よ〜し、また会う日までの前祝いだ。今夜はとことん楽しむぞ!」

「んみゅ!うたげなの!」

 

 亮牙がそう告げると、一行はスコーンの加入と、またミュウとレミアに会う日までの前祝いとして、宴を始めた。

 ミュウはジュースの入ったコップを持って乾杯の音頭を取ると、ハジメとスコーンに寄り添った。再会の約束をしたとはいえ、しばらくのお別れであることに変わりはない。最後の夜は精一杯甘えることにしたようだ。

 その翌日、マキシマル一行は、ミュウとレミアに見送られ、海上の町エリセンを旅立つのであった。

 

 

 

 

 









奴等は過ちを犯した。





自らが万物の霊長だと思い上がり、他の生命を蔑ろにし続けた。





その傲慢さは止まる事を知らず、今、真の王者達の逆鱗に触れた。





奴等に待ち受けるのは、滅亡か、零落か。





愚か者どもが蔓延る暗黒時代は終わりを告げ、新時代が幕を開ける。





次章「Fallen Kingdom/炎のハイリヒ王国」


近日公開






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