興が乗ったのでもいっぱぁーーつ!
回答者 ・ 匿名のオジサン
「あなたにとって、オリオンとは?」
「……そういうのを年若い娘さんに聞くんなら分かるが、こんなしょぼくれたオジサンに聞いても面白いことなんか何にもないぜ? もっと適役がいるだろうに」
「皆に聞いてるから」
「ああ、そういう……ま、難しく考える事ぁないさ。彼もまた立派な英雄ってだけよ」
「英雄? 狩人なのに?」
「そらそうさ。ただ獣を狩って一生を終えました、なんて狩人が英霊になんて祀り上げられるわけないでしょうに。前提が違うのさ。英雄で狩人じゃなく、狩人であり英雄っての」
「同じことじゃないの?」
「いいや、違うね」
「どういうところが違うの?」
「んー、そうさな。んじゃ例えばだが、マスターが国を守る兵士だったとしよう。
アンタが守る国にとんでもない大魔獣が攻めてきた、ときたら、アンタどうする?」
「どうするって言われても、もちろん戦うよ。国の兵士なんだから」
「それよ、それ」
「……どれ?」
「自分で言いなすったろ。兵士だって。そうさ、国を守る兵士は『兵士が前提』なんだよ。
兵士ではなく『人間が前提』だったら、一目散にケツまくってトンヅラこくもんだし」
「え、逃げちゃダメでしょ」
「兵士なら逃げたらイカンわな。だが自分が人間であることを前提にしたんなら、勝てっこない相手にわざわざ挑んで死ぬような馬鹿はしないだろ? つまりそういうことさ」
「……オリオンは『狩人を前提』とした英雄、ってこと?」
「マスターの理解が早くてオジサン大変助かる」
「なんかバカにされてるような」
「いやいやいや! そんな事ぁないよ? 本心から言っただけさ」
「ふーん」
「普段の素行の問題かねぁこりゃ……んまぁとにかくだ。オリオンはきっと、英雄になろうとした狩人ってわけじゃあない。狩人として生きた結果、英雄と認められた男ってことなのさ」
「なるほど…」
「だからってわけじゃないが、あのオリオンが俺が生きてた頃にトロイアへ足を運んでくれていたらと思うとねぇ……魔獣に国を挙げてドンパチやらずに済んだかもなぁ」
「メチャクチャ強かったんだっけ」
「強いのなんの、固いのよアレ。並の武器じゃ文字通り〝刃〟が立たないくらいだし。
かの狩人サマがいてくれたら、ほれ。何とかってスキルだか宝具で楽チンできたでしょ」
「もしかして【
「そーそー、それよそれ。どんな魔獣だろうが絶対殺せるようになるトンデモパワーがありゃ、
向こう10年は安泰だったろうに。今更ブツブツ言ってもしょうがないけどね」
「けどあの宝具、オリオンが
「あら、そーなの? やっぱり世の中簡単にはいかないのねぇ…」
「そうは言うけど、ヘクトールだって充分凄い英霊だってば」
「へへ、嬉しいこと言ってくれるじゃない。でもね、助かる命が一つでも多けりゃ、それに
越した事ぁないのさ。魔獣一頭仕留めて何十万も助かるなら、そうした方がいい」
「…………」
「それを簡単にできる奴がいたんなら、頼りたくなるのは人の道理ってモンだよ。
適材適所って言葉もあるんだろう? オジサンその言葉だぁいすき」
「兜輝く護国の王将でしょアナタ……」
「へっへっへ! それこそ何千年前の話だよ! ま、あくまで手を借りるだけで留めるよ。
オリオンがトロイア国民じゃないってんなら、彼だけに国を守る使命を果たさせるわけにゃ
いかんでしょ。トロイアに生まれ育ち、トロイアを愛する心を持った兵士なら尚更さ」
「……結局は意地の問題?」
「ああ。よく言うだろ? 『ここにアイツがいれば』『こういう時ならアイツが』みたいなの。
そういった言葉は、ソイツがいなけりゃ他の奴には何もできないって侮辱してんのと同じだ。
マスター。アンタならその辺、よく分かってるんじゃないのかい?」
「ヘクトール…」
「誰にも何も言わせねぇよ。その時、その場所にいた。他の何者も介在の余地はないのさ。
俺たちだけでトロイアを守り、敗れ、滅んだ。最悪の結末だとしても、誇りは残る。
後世に語り継がれた人の遺志がある。そうしたものが積み重なって、今の俺たちがある」
「英霊のこと?」
「……長くなったが、俺が言いたいのはそういうことさ」
「オリオンが狩人であり英雄って言ってたやつ?」
「おう。あの男もまた、伝説が語り継がれる存在。紛れもない『英雄』なんだよ」
回答者 ・ 匿名の神霊
「あなたにとって、オリオンとは?」
「あ? ンだよ突然ワケ分かんねぇこと言いだして」
「皆に聞いて回ってるんだよ。できたら答えてほしいな」
「答えろったって、オレは生前にも関わったことはねぇぞ」
「そういう人にも聞いてる」
「チッ。メンドくせぇなぁ。で、あのションベン野郎についてだったか?」
「ションベンて……」
「それが野郎の名前だからな。傑作だろ、あのクソ神の血筋にゃピッタリだぜ!」
「それって海神ポセ」
「不用意にヤツの名を口にするな。次言ったら即! 殺してやるからな」
「ご、ごめん」
「ケッ……生きてた頃にゃ殺してやりたいリストの上位ランカーだったけど、こうして
同じ英霊の身になって、そんでカルデアっつー稀有な状態で鉢合わせてみたわけだが」
「だが?」
「ん、その、アレだ。殺す程の価値もねぇっつーか? なんてことのないヤツだった」
「どういうこと?」
「なんでいちいち説明してやらなきゃならねーんだよ!」
「分かんないから…」
「……ったく。そういうトコ、アイツにやたら似てるようでムカつくぜ」
「???」
「話してやるからよく聞いてろ。あー、アレだ。自分で言うのもそれはそれで腹立つが、
あのションベン野郎は、クソ神の息子。血を引いてるってだけで殺害対象確定だ」
「とりあえずノーコメントで」
「で、当然ながらカルデアに召喚されて、野郎がいる事を知って、早速殺しに行った」
「もう行ってたの⁉」
「ハッ! そしたらあの腑抜け、なんて言いやがったと思う?」
「……もしかして、素直に謝ってきたとか」
「よく分かってんじゃねぇか。あー、そうだよ。野郎がオレに頭を下げやがったんだ。
直接関係ねぇクセして『我が父ポセイドンの悪行非道は聞き及んでいる。弁解の余地もない。
神の気紛れといった最大級の理不尽に見舞われた貴殿に対し、謝意を示すことしか出来ん』
だとさ。ムカついたんでシミュレーターでボコボコにしてやったがな」
「ホント紳士だね…」
「抵抗もしねぇからクソほども楽しくなかったがな。ちったぁ気晴らしにはなったか?
その程度にしか考えちゃいねぇよ。さっきも言ったがオレも野郎もほぼ初対面だしよ」
「だよね」
「しっかし、アイツ本当にワケがわかんねぇよな」
「なにが?」
「テメェに非がねぇのに制裁を受ける事を良しとして、挙句に知りもしねぇ因縁に頭下げて。
おっそろしく損な性格っつーか。ホントにあのクソ海神の子か真面目に疑ってるぞ」
「そこまで言う?」
「ギリシャの神は大概クソだからな! そのクソの頂点争い出来そうなクソオブクソの
ポセイドンの子だぞ⁉ クソからまともな奴が生まれたってんだからビビるだろ普通!」
「えぇ……」
「はぁ。マジであのションベン男の誠実さが二割もありゃ良かったのによ……」
「オリオンの誠実さは評価してるんだ」
「あ? あぁ、まあな。ってか名前がションベン漏らしだし、妻は
クソ女のせいで眼まで潰されるって。まぁ眼は治ったらしいが、いくらなんでもなぁ…」
「流石に同情する?」
「しねぇよバーカ。いや哀れ過ぎるとは思うが。アイツも大概な人生送ってんな」
「神話の英霊ってだいたい自分の死因をネタにしてくるから扱いに困る」
「オレはしねぇぞ!」
「しなくていいよ!」
回答者 ・ 匿名の不死身の英雄
「あなたにとって、オリオンとは?」
「オリオン? そんな事を聞いてどうするんだ?」
「ちょっとね。それで、どう思ってるのか教えてくれる?」
「別に構わないが……俺の見方は英雄としてのソレだから、マスターの知るオリオンとは
イメージがかけ離れちまうかもしれんぞ? それでもいいのか?」
「むしろそういう多方面での客観的な意見がほしかった」
「ならいいか。でもなマスター。俺は確かに同じギリシャの地に生きた英霊で、時代もさほど
離れちゃいない。それでも交流なんか無かったし、聞こえる話も風の噂程度だったんだぞ」
「そういうのでもいいよ」
「そう、か? ただそれだと『そんな奴もいたらしい』だけで話が終わりになっちまうし。
英霊として座に召し上げられた時に刻まれた情報とかでも問題ないか?」
「全然」
「だったらソッチにしよう。俺は戦士で英雄。片やオリオンは狩人で英雄。目的も到達点も
違えど、我ら共に在り方を定められし者。そういう意味じゃ、共感を持ってたりするな」
「意外な感じがする。もっと、俺とアイツは違う、みたいになるものかと」
「違わないさ。結局、神の血があろうとなかろうと、人は誰しも己の命を燃やして進む。
限られた生を全うするべく必死になって。そうして何か一つでも偉業や功績を残せた者を
後世に生きて伝えられた人々が『英雄』と名付ける。俺もアイツも、そんでマスターも」
「俺も?」
「おうよ。世界を救うなんてのは、英雄っつー到達点を目指す誰もが夢見る大偉業。
それをまさに成し遂げようってんだから、後の世の誰もが英雄と認めてくれるだろうぜ」
「別に俺は…」
「望む望まざるに関わらず、行動を起こした結果は常に〝第三者〟が見て判定を下すんだ。
例え俺が正しいと信じた行いであっても、それを他の誰かが悪だと断じれば悪に成り得る。
自分で引き合いに出すのは正直嫌な気分だが、俺にもそういった伝説が残ってたりする」
「………」
「ノーコメントはありがたい。けど、要するにそういうことなのさ。結局はな」
「つまり『自分がどう思っていたか』よりも、『自分をどう思われるのか』が重要?」
「英雄と呼ばれる者は、そうした伝承や伝説との食い違いに悩まされるもんなのさ」
「食い違い……」
「さっきの話に戻るが、判定を第三者が下すからってそれはマスターが『何もしない』事を
正当化するって意味じゃないからな。良きにつけ悪しきにつけ、いずれそうなるってだけで
行いそのものにあった意思まで消失するわけじゃない。そこは間違えないでくれ」
「えっと……?」
「あー、説明が悪かったか。こういうのは先生の得意分野だからな……まぁとにかく!
マスターはマスターが正しいと信じる道を進めばいいのさ! 俺たちはそれを手伝う!」
「アキレウス…」
「そうさ! 『命懸けで突っ走れ、我が命は流星の如く』ってな!」
「流星…」
「人の一生、どこでどう終わるか見当もつかん。だから常に全力で以てひた走ればいい!
流星の如き速度で駆け抜けろ! 瞬きほどの刹那に、綺羅星の如く輝いてみせるんだ!」
「綺羅星って、確かオリオンの…」
「ああ。後世の歴史家はオリオンの一生を『
だが奴の魂は未だにソラで輝きを放ってやがる。そこだけはちょいと悔しいとも思う」
「悔しい?」
「そうだろ。オリオンの魂はずっと星とともに輝き続けている。この現代まで、ずっと。
俺は流星の如く駆け抜けたが、そこまでだ。オリオンのように残り続けてはいないのさ。
人々の記憶の中だけでなく、その頭上にいつまでも在り続けている。それじゃまるで」
「…………まるで?」
「―――英雄、と。そう呼ぶ以外にねぇじゃねぇかよ」
ギリシャ鯖のネタが尽き申した。
他のおまけシリーズを考えるか、
それともギリシャ限定縛りを無視して続けるか…。