まさかのハロウィンでTSモレ―実装!
しかもフォーリナーとか、スケベ過ぎる…!
あ、引きましたよ(諭吉七人ステラ済)
ちなみに、そんなTSモレ―ちゃんの核たる外なる神をオリジナル鯖に落とし込んだ私の初FGOのSSも何とか更新していきたい次第です。ええ、何とか。
頭とんちきな夏イベ、はーじまーるよー。
みゃぁみゃぁ、と。
青く澄んだ空から時折、ウミネコの鳴き声が聞こえてくる。
どこか静かで、しかし空と同じぐらいに美しい紺碧の海からも、優しい潮騒が耳に届く。
そして、それらを塗り潰して余りある乙女の快笑が、シミュレーターで再現された常夏の浜辺に響き渡った。
「あっははは! あははっ! あはははははははっ!」
もうもうと砂煙を上げながら波打ち際を
そこまでならば、夏の砂浜でもトレーニングに勤しむ快活な少女程度に思えるだろうが、生憎と単純にはいかない。
何故ならば。その美少女の鼻から上は、灰白色の
「あーははははっ! すごいすごい! こんなに軽やかな気持ちは初めてですわ!」
呵々大笑という言葉以上の高笑いを上げながら、少女――狂姫メロペーは砂浜を疾走していく。そんな彼女の姿を波打ち際から離れた木陰から見守る人影があった。
「やはり、彼女は素晴らしいポテンシャルを持っていましたね。どうです、アキレウス?」
「どうって言われても。相変わらず先生はすげーや、ってぐらいしか…」
「それはどうも。ですが、彼女がああしているのは、私の指導の腕前だけではありません」
「あのお姫さんに才能があったってわけですか?」
落ち着いた雰囲気でメロペーを見守る男性。大神クロノスが子にしてケンタウルスの大賢者、ケイローンである。その彼の傍らで腕を組みながらボーッと海を眺めるのは、イリアスの流星と呼ばれた不死身の大英雄、アキレウス。
ギリシャを代表する伝説的な英雄の両者が何故メロペーの様子を見ているのか。それは、ケイローンに理由があった。
「走るという行為そのものに才能の有無は関係ありません。人が生まれつき備え、成長する中で磨かれる運動能力の一つですからね。私が見出した彼女の才能とは、ずばり…努力の才能です」
「努力?」
「ひたむきな精神性、と言い換えていいでしょう。彼女は私に指導を乞い、私はそれに応えました。当然、目が見えないというハンデを考慮に入れたうえで厳しい訓練を課しました」
「うえぇ……けど、元王族のお姫様ってんなら、早々に音を上げそうなもんですがね」
「そこです。彼女の中にあった最も輝ける才能とは、努力を続けるというものだったのです」
ケイローンの言葉にアキレウスは意外そうに片眉を上げる。
自分のように強くなることに喜びを覚える性質ならともかく、王族として生まれたワガママ放題の小娘が努力を継続できる理由という部分に僅かな興味を覚えたからだ。
「そんな風には見えないけどな…」
「貴方には、恋に燃える乙女心を理解するのは難しいでしょうね。ですが事実、彼女は内に秘め……てもいませんが、その恋を成就させんと必死で訓練を続けてきました」
「執念深いとしか思えねぇ」
「間違ってはいませんよ? 他人の目にどう映るかはともかく、彼女はひたすらに夢を叶えようと諦めずに努力し続けた。その結果が、今の彼女の姿です」
風に揺られて靡く木陰で二人、砂煙の先頭に立って笑いながら突っ走るメロペーを見送る。
「……ここの砂浜って端から端までどんぐらいでしたっけ」
「約1.3キロメートルほどでしたか」
「七往復ぐらいしてるよな、あのお姫様」
「してますね」
努力がどうとか言われようと、やはり執念深いとしか思えない。
アキレウスは女心など一生分かりたくもないと改めて心に思った。
「ケイローンせんせー!」
「おや、戻りましたか。調子はいかがです?」
「はい! もう最高です!」
ずざざーっ! 砂浜に足でブレーキ痕をつけながら、メロペーがケイローンの元へ戻ってきた。大賢者は彼女に様子を尋ねるが、彼女は大輪の花を抱えた少女のように笑って答える。
それを聞き、ケイローンは静かに呟いた。
「それは何より。しかし、貴女が今の感慨を抱けるのも、貴女自身の努力の結果です。誇りなさい。愛する者の為に自らの限界を定めない、それができる者はほんの一握りなのですから」
「はい! 御指導ありがとうございました! それではっ!」
「ええ。貴女の頑張りが実を結ぶことを祈っています」
ケイローンに頭を下げ礼を述べたメロペーは、そのまま全力疾走して彼方へと姿を消した。残されたのは木陰で佇む大賢者と英雄の二人。と、そこにもう一人の人影が歩み寄って来た。
「ありがとう、ケイローン」
「いえいえ。こちらこそ、新たに才能ある弟子を磨く機会が得られて、久方ぶりに心が弾みました。感謝を、マスター」
「お、マスター。なんだ、見に来てたのか」
シミュレーター内部に入り込んで現れたのは、ケイローンらと共に人理の為に日々戦う人類最後のマスターこと、藤丸立香少年である。
実は先程のメロペーの劇的な変化には、彼が関わっていた。と言うより、彼がメロペーに相談されたことが発端だった。
「そりゃ気になるよ。一応、最初に頼まれたのは俺なんだから」
「そうだったのか?」
「アキレウスには話していませんでしたね。順を追って説明しましょう」
男三人は木陰に腰を下ろし、顔を突き合わせて話を始める。
「まず、メロペーがマスターに相談を持ち掛けた」
「うん。凄い剣幕で急に部屋に飛び込んできて、『この映画の女性のようになりたいんです!』って言いだしてさ……内容を確かめたら、ラブロマンスものだったんだけど」
「けど?」
「あの、ほら。いわゆる『つかまえてごら~ん♡』な感じの映画でさ。砂浜を男女のカップルが走って追っかけるやつ」
「ほぉ。で、それが先生とどう繋がるんだ?」
マスターが来たことで先程よりもそちらに興味がわいてきたアキレウスの口数が増える。それを補足する様にケイローンの言葉もまた増えてきた。
「そこでマスターは私の指導能力を買ってくださったのです。なにせ、彼女は神罰による失明を英霊となったことで固定化されていますので、普通に走ることは単純に困難でした。そこで私は、夏季に頻発するという霊基の変質現象に目をつけました」
「夏はみんな水着霊基になっちゃうからね…」
「なぁ、今更だが水着霊基って、何なんだ?」
「さぁ…?」
「解明は他の方がするでしょう。とにかく、マスターとメロペーは私を尋ねて来て下さった。目が見えずとも、愛する人と砂浜を駆けてみたい。そんな、ささやかな願いを叶えたいとね」
「なるほど、それであのお姫さんが先生を頼ったわけか」
合点がいった、とアキレウスは相槌を打つ。藤丸少年はケイローンに改めて感謝を伝え、成果について尋ねる。
「夏の水着霊基への調整、どう?」
「結果から見れば成功です。彼女の装いは私とミス・クレーンのアイデアを統合して設えたものですが、霊基情報の更新は私の課した訓練と他の皆々様の協力あってこそ。私だけでなく、協力してくれた方々にもお礼を言ってあげてください」
「勿論だよ。だからまずケイローンに言いに来たんだ」
「ありがとうございます。と、前置きはこのくらいにして」
ケイローンは懐に持っていたタブレットを操作し、マスターに手渡す。
そこにはサーヴァント・メロペーに関する情報が詳細に記載されていた。
サーヴァント / プロフィール
・クラス【
・真名 「メロペー」
身長/体重 : 148cm・36㎏
出展 : ギリシャ神話・新約古代ギリシャ怪談
地域 : キオス島
属性 : 混沌・善
性別 : 女
・パラメーター
「筋力 / E」 「耐久 / E」 「敏捷 / E」
「魔力 / B」 「幸運 / E」 「宝具 / C」
・クラススキル
「陣地作成:D」「道具作成:C」
「狂気:A+++」「神性:D」「神罰の失眼:EX」
・スキル
「精神汚染:B+」「無辜の怪異:B」「千里眼(過):C」
・宝具
『
「こちらはマスターも御存知の通りですね?」
「うん。召喚したメロペーそのままだよ」
データを閲覧し、本人であることを確認したマスター。
ケイローンは画面を操作し、次のデータを表示してみせた。
「そしてこちらが、水着霊基を獲得したメロペーの情報です」
サーヴァント / プロフィール
・クラス【
・真名 「メロペー(水着)」
身長/体重 : 148cm・46㎏
出展 : ギリシャ神話・新約古代ギリシャ怪談
地域 : キオス島
属性 :
性別 : 女
・パラメーター
「筋力 / D」 「耐久 / E」 「敏捷 / C」
「魔力 / C」 「幸運 / B」 「宝具 / C」
・クラススキル
「陣地作成(砂浜):C+」「道具作成(演出):A+」
「狂気:A+++」「神性:D」「常夏の眩暈:EX」
・スキル
「渚のランデブー(偽):A」「浮き立つシーサイド:EX」「波打ち際のロマンス:A」
・宝具
『
「……なるほど?」
「かなり大幅に霊基が変質したのが分かりますか?」
「うん。でも…」
「ええ。霊基の質自体が大きく変わっても、彼女自身の在り様は変わっていません。彼女の行動原理が一貫し過ぎているからです。今回はそれが功を奏したわけですが」
ケイローンはマスターの気付きに対し、即座に答えを示してみせた。
行動原理の一貫性。つまるところ、メロペーというサーヴァントが動く理由など、一つしか有り得ない。それが分かっている藤丸少年は、彼女の次なる行動も想定が出来ていた。
「まぁ、バーサーカーになったからってすぐ暴走するとは限らないよね」
「ま、そうだな。というか元々がバーサーカーみたいなもんだったし…あだっ!?」
「アキレウス。未婚の、それも元とは言え王族のご息女にその物言いは失礼ですよ」
「そりゃ言いっこなしだろ先生!」
アキレウスの失言を窘め、ケイローンはマスターへと振り返り、頷きを返す。
「十中八九、新たな姿をオリオンへ見せに行くでしょう。自分の新たなる可能性を示すこと、あの姿になったことで出来るようになったこと。きっと彼女は、ありとあらゆる思いを文字通りぶつけに行くのではないかと」
「俺もそう思う。ただその場合、アルテミスが…」
「今までだってぶつかってんだ。バーサーカーなんつーごり押しまっしぐらな性質になっちまったんなら、もう比じゃねぇぐらいのぶつかり合いになっちまうかもな」
「対岸の火事のように見るばかりではいけませんよ、アキレウス。貴方の妹弟子なのですから、兄弟子として何かあれば手助けぐらいすべきでは?」
「それ、マジで言ってないよな先生?」
「ふふ、どうでしょう」
「マジの目してやがる…」
静かに目を細めてにこやかに微笑むケイローンに、アキレウスは顔色を青くして表情を歪める。妹弟子が出来るのは歓迎だが、それにしたって相手を選んでもいいだろう。そんな思いが透けて見える大英雄に苦言を呈する事もせず、ケイローンはマスターへ向き直り話を続ける。
「とにかく。取りあえずのところは暴走といった危険は見られないかと思われます。マスターの危惧も少しは晴れたでしょうか?」
「うん。まぁ、そこまで心配してたわけじゃないけどね」
「マスターたる身としては、最悪の想定も必要不可欠ですので、可能性を考慮して検証する行為は重要ですよ」
「ありがとう。でも、この分なら大丈夫そうだね」
アキレウスの言っていた通り、元々のキャスタークラスの時でさえバーサーカー並に精神状況が不安定なサーヴァントだったメロペー。彼女が正真正銘のバーサーカークラスへと変貌を遂げた今、どうなるか分かったものではない。警戒心を露わにするカルデアブレーンたちの考えも分からないではないのだが。
藤丸少年としては、恋に恋する乙女であるメロペーをそこまで危険視しなくてもいいだろうと楽観視したかった。
「そのようです……おや?」
「ケイローン?」
「誰か来たようですが」
ケイローンの言葉に周囲を見回す藤丸少年。
シミュレーターを起動してわざわざこの設定された砂浜へ足を運ぶ者がいるとすれば、ケイローンかアキレウス、もしくは自分に用件があると推測できる。
潮風を肌で感じながら十数秒。小島の森林地帯から枝を掻き分けて誰かが迫ってくることに気付く三人。アキレウスは寝そべったまま顔だけを向け、ケイローンは念の為にとマスターを背に隠して前に立つ。
ガサガサと枝葉を鳴らして近付いてきた者の姿が見えてきて、マスターは驚きの声をあげた。
「あ、いたぁ~! マーちゃ~ん!」
「マスター!」
「あれ、刑部姫? それに巴御前も?」
三人の前に現れたのは、美しい和装で着飾った黒髪と銀髪の美女二人。
ひとりは、現代日本にまで現存する文化財「姫路城」に住まうとされる物の怪、城化物の『刑部姫』である。クラス【
もうひとりは、古く日本の歴史に刻まれた女性の武将にして豪傑、鬼の血を宿す旭将軍の『巴御前』である。クラス【
同郷の英霊同士がカルデア内で時代を超え意気投合することは良くある話。また、時には住んでいた国や時代どころか種族さえも超えた繋がりを得ることもある。刑部姫と巴御前はまさにその最たる例と言っていいだろう。
「大変なの~! 助けてマーちゃん!」
「た、大変って何が?」
「それが、そのぉ……なんとお伝えしたものか。巴の言葉だけで正確に伝えきれる自信が無いのですが、マスターのお耳に入れておかなければならないかと考え、参上した次第です」
黒髪の美女刑部姫がマスターの顔を見るなり、ぜぇぜぇと息を切らして飛びつき助けを乞う。着いてきた巴御前は何やら口をもごもごさせて言い澱むばかり。首を傾げる藤丸少年とケイローンだったが、横になっていたアキレウスが起き上がり、欠伸を噛み殺して二人に問いかけた。
「くぁ~……で、何か起きたのは違いねぇんだろ? だったら早く話しなよ。問題かどうかはマスターとかダヴィンチあたりが判断する、だろ?」
「それも、そうですね」
アキレウスの言葉に頷いた巴御前は、マスターの顔を見つめ、告げる。
「実は――オリオン殿が突然、姿を消してしまったのです」
~一方その頃、名もなき微小特異点~
人の気配どころか獣の息遣いすら感じられない孤島の中心で、黄昏色に染まる西の空に背を向けた一人の美女が笑みを深める。
「ふふふ、くくくっ…はははは!」
『アンタの笑い声っていちいち癪に障るから止めてくんないか?』
『同感だよ。お前、貞淑って意味は理解してる?』
「ええい、やかましい! いま妾が歓喜に震えておるのだ、邪魔するなぁ!」
…訂正。肉体的な意味では一人だが、その内面には三人分の異なる精神が複合されている。自身の内から響く皮肉を喚くことで掻き消し、高圧的な性格の彼女は目の前にあるソレを見つめた。
「とにかく、コレで計画はいよいよ動き出すわけだ。思わず笑いが零れるのも致し方なかろう?」
『気持ちは分からんでもないよ。ただ…』
『ぶっちゃけるが義妹よ。お前さ、何か貢献した?』
「………ん?」
蠱惑的な笑みを張り付けて光り輝くソレを見つめていた彼女が、ほんの一瞬停止した。ささやかな悪戯がバレた小童のように、一目で分かる反応である。
『私が製造工程を
「ッスー………」
『オイなに目線そらしてんだコッチ見ろ』
先程とは変わって凍り付いて離れなくなったぎこちない笑顔のまま、美女は冷や汗を垂らす。
肉体の主導権を
『アタイの神殿で日の出から日没までの間、陽光から魔力を生成し続ける。そんでそれを姐さんの神殿で増幅、凝縮。工程に沿って形状を固定する。この作業があって初めて、聖杯ってのが完成するんだよな?』
『合ってるとも。さぁ愚妹? この作業工程の中で、お前が携わってる部分はあるのかい?』
「そ、それはそのぉ、えっと」
しどろもどろになって視線が宙を右往左往する美女。とんでもない醜態を晒しているが、此処は海に浮かぶ無人の孤島。他者の目を気にする必要が無いことが救いである。
自分の内側からの追及である為、逃れることも難しい。
たっぷり一分の沈黙に浸された彼女は、僅かに残っていた優美な雰囲気も拭い捨てて吠える。
「がああああっ! もうよいわ! 妾の命令がなければそもそも貴様らも動きだせてはおらなんだのだ! 妾、言い出しっぺ! 世の中言い出したモン勝ちなんじゃい!」
『……なぁ、姐さん』
『なんだい?』
『コレが神々の女王ってマジ?』
『信じたくないだろう? 現実なんて大体そんなものなのさ』
額を抑えて溜息を吐くような二人の反応を受け、目尻に大粒の滴を湛える美女。
「グスッ……後で覚えとれよ貴様らぁ…」
『はいはい、お前が覚えてたら私も忘れないであげるよ。ほら、完成したぞ』
「本当かっ!? わーいやったー!」
『もう忘れてない?』
『しっ、言わなくていいよ』
金色に輝く杯をそっと持ち上げ、見る者の心を奪う神秘的な輝きに恍惚の表情を見せる美女。内心の二人は言葉を発する度にまとっていた神々しさの皮が剥げていく彼女を憐憫の思いで見つめるが、もうそんなことなど気にも留めていないのであった。
「……で、どうすれば使えるのだコレ」
『使い方とかってあんの?』
『聖杯の所有者となれば、ただ願うだけでいいみたいだ。所有権も、まぁ私たちが作ったものだし問題ないでしょう。不安なら本命の前に、小さな願いで試してみればいいじゃないか』
「そ、そうか。よぉし…」
ドキドキドキ。
頬が紅潮し、動悸が高まる。体内の熱が上がり、思考に無意味で無価値なエラーが入り乱れる。それらを胸の内にギュッと押し込め、美女は息を大きく吸い込み。
願いを、口にした。
「では―――ギリシャにその名を刻みし無双の狩人、三ツ星の狩人オリオンよ! 今再びその比類なき身と精神を携え、妾の元へ馳せ参じるがよい‼」
美女の宣言の様な言葉に反応し、魔力塊である聖杯が起動する。
『この莫迦! 初めは小規模な願望にしておけって言ったろうが!』
「だって早く逢いたかったんだもん!」
『ホンットに話を聞かないなぁアンタはぁ!』
「うるさいうるさい! もう願っちゃったんだから仕方なかろう!?」
がなる美女、責め立てる二人。もう見慣れた構図だが、眼前で輝きを増していく聖杯の様子に
ごうごうと唸りを上げて魔力が集束している様を間近で見つめ、弾けるエーテル光に期待が膨らんでいく。
「ほれ見ろほれ見ろ! コレ成功であろう? ちゃんと使えたぞ妾!」
『喜んでる場合かよっ! どどど、どうしよぅ…あ、アイツと本当にまた逢えるなんてぇ…! き、緊張してきちゃった』
『私は初対面だから感慨も何もありはしないけども。お前はどうなのさ』
「わ、妾? 妾は当然………どうしよぅ」
『どいつもこいつもどうかしてるんじゃないのか!?』
一番理性的で知性的な人格の女性がついに匙を投げた。
残された二人は、念願の人物――無双の狩人オリオンその人――を召喚できることに(自分たちでやった癖に)驚き、慌てふためくばかり。
召喚する準備に勤しむあまり、召喚してからのことなどこれっぽっちも考えていなかった。ようやく思い至った点に、高圧的な彼女と勝気な彼女は頭を抱える。
「『どうしよぉ~~~!?』」
『今更ジタバタしても遅いよ! って、待った。召喚され始めてる、けど……コイツは?』
エーテル体が徐々に形を成していく。情けない声を上げて髪を掻き乱す美女の眼前で姿が形成されていくソレは、けれど彼女らの想定している以上に
そして、青白い余剰魔力の霧が晴れ、その全貌が露わになる。
「…………ん?」
霧散した魔力の中心にいたのは、愛らしくもどこか凛々しさをまとうクマを模したヌイグルミ。
何故か小型のコントローラーの様なものをふわふわおててで握りしめたまま、此方を見上げている姿で召喚されたようだ。
状況が飲み込めていないらしく、キョロキョロと周囲を見回す姿は、母熊を探す小熊のようでなんとも言えない愛くるしさで胸中を満たしてくる。
そんな彼――霊基の大半をアルテミスに削ぎ落とされた狩人オリオンの姿に、美女は固まり、そして。
「………か」
『…………わ』
『……………い』
「んん?」
それまで風と木々の揺れる音だけが騒がしかった島で、初めての騒音が轟いた。
「『『かわいいいいいいッ‼』』」
……コレが、オリオンと彼女、『テレイア』との出逢いの総てである。
いかがだったでしょうか?
ここで真名が明らかになった美女「テレイア」の正体とは!?
なお正体を隠すつもりもない模様。アルターエゴだって感想欄でバラしちゃってるしね。
次回をお楽しみに!
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